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峯澤典子詩集『微熱期』(思潮社)について

【追記】
私の4冊目の詩集『微熱期』(思潮社)について。
第60回歴程賞を受賞しました。歴程賞について→こちら
これもお読みくださったみなさまのおかげです。
心より御礼を申し上げます。
詩集の御購入先などはこの記事の終わりにあります。
ご覧いただけましたら幸いです。

また2022年には、素晴らしいドラマ「silent」にて、この詩集をはじめ、私のこれまでの詩集を、それぞれに大切な場面で映していただきました。
夢のような、思いがけない出来事で、とても驚き、嬉しく。
大きな励ましとなりました。
風間太樹監督に丁寧に、温かい眼差しでお読みいただけましたことは、この詩集の大切な思い出です。
ほんとうにありがとうございます。

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2022年6月に『微熱期』(思潮社)が刊行されました。
2017年に詩集『あのとき冬の子どもたち』を刊行したあとに書いた詩を推敲し、選び直し、新しい詩も加えて、20篇をここには収録しました(全112ページ)。

20篇とはいっても、行分け詩か散文詩が20篇、ということではなく。
たとえば「未完の夏の眼に」という詩篇は、30篇の4行詩で構成された13ページにわたる作品ですし、作品のなかには4篇で一つの連作になっているものもあります。

行分け詩と散文詩、4行詩30篇で一つの作品となるもの、そして4篇で一つの連作詩。
今回の詩集では、そんなさまざまなかたちの詩のそれぞれの輝きを集めて、「微熱期」というものを表してみたいと思いました。

「微熱期」とは何か。それは、私のなかのイメージでは、少年・少女期や思春期特有の「微熱」に包まれたあるひと時のこと。ピカソの「ブルーピリオド」という言葉で表わされる「青春期」のことかもしれません。
つまり、さまざまな「青い微熱」に浸された季節のことでしょうか。

そんな「微熱期」に感じていたものや、そのとき失くしてしまったものをもういちど言葉で探してみたい、とずっと思っていました。
あのとき、見失ってしまったもの、諦めてしまったもの、手放してしまったものたちの、つかのまの輝きに言葉でふれる。
もう、それらを取り戻せないのだとしても、せめて会いに行く。
そのための長い旅に出る。
それは、私がいまも詩を書く理由の一つです。

今回、行分け詩だけでなく、散文詩、四行詩、連作詩を用いたのは、「微熱期」=「ブルーピリオド」の奥底に眠っている、自分でもふれられそうでふれられない「何か」に少しでも近づくために、さまざまな詩形を試してみよう、と思ったからです。
「何か」がもとめる詩のかたちをその時々で選んだ、とも言えるでしょうか。

じつは、作品のなかには、熱にうかされたように短歌を作ることに毎日夢中になっていた19歳の自分の作品も潜ませてあります。
あのときの「微熱」にふれる思いで。もうどこにもいない自分と合作しました。
(ちなみに「微熱期」という書名は、10代の自分が短歌の連作につけたタイトルだったと、詩集名を決めたあとに気づきました)

この詩集を制作しているあいだずっと、私は、集団にまじるのが苦手でいつも廊下でひとり遠い空を見ていた幼い子に戻っていました。
その子が、いつかたどり着きたいと願った場所を、空の向こうを、もういちど、一緒に見ていました。

この詩集は、これからも続くだろう、果てのない旅の途中にかろうじて記せただけの、たよりない言葉でしかないのかもしれません。

けれど、あのときたしかに感じていた「微熱」を宿した言葉であるとは言えるのかもしれません。

装幀と本文の組版は、私の個人誌や第3詩集『あのとき冬の子どもたち』のデザインを手掛けてくれた吉岡寿子さん(現在は、片桐寿子の名で活動)。

そして、装画はサカモトセイジさん。青みがかった雪の野を行く二人の少女のシルエット、神秘的なコテージ。しん、とした静けさのなかにも消えない熱を帯びた絵。ずっと眺めていたい、とても惹かれる作品「COTTAGE」をありがたく使わせていただきました。

濃やかに原稿をお読みくださった思潮社編集の藤井一乃さん、とても美しい本に仕上げてくださった藤原印刷さん。そんな頼もしい方々のお力もお借りして、この一冊は生まれることができました。
ご覧いただけましたら、とてもうれしく思っております。

◆御購入について
たくさんの方にお手にとっていただき、とてもありがたく、感謝しております。心より御礼申し上げます。
下記の書店様からご購入いただけます。
七月堂古書部オンラインショップこちら
※七月堂古書部のショップには、署名入りの本もあります
hontoこちら
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ジュンク堂池袋店本店、丸善丸の内本店様ほか、全国のジュンク堂数店の店頭、紀伊國屋書店新宿本店様にも置いてあります。

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ジュンク堂、紀伊國屋書店の在庫は、各通販サイトで検索いただけましたら幸いです。

★また、第二詩集『ひかりの途上で』と第三詩集『あのとき冬の子どもたち』も、七月堂さんで新本を定価でお求めいただけます。
ひかりの途上で』→こちら
あのとき冬の子どもたち』→こちら

★「現代詩手帖」10月号の特集「詩への扉」、松下育男さんとの対談でも、『微熱期』について詳しくお話しています。
どのように書いたか、ここにこめた思いなど。よろしければご覧ください。
Amazonでも購入できます→こちら

峯澤典子第4詩集『微熱期』(思潮社)本文:112ページ 価格2300円(税込:2530円)
刊行:2022年6月20日 装画:サカモトセイジ 装幀:片桐寿子