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大学授業一歩前(第72講)

はじめに

今回は予備校講師の佐京由悠先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。先生が講義を担当してらっしゃるEducational Loungeでは他に英語科の安藤先生や国語科の武川先生、羽場先生また根岸先生にも記事を書いて頂きました。そちらも合わせて是非ご一読くださいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:佐京由悠(予備校講師)。首都圏の予備校で日本史、政治・経済を担当しております。学びエイド認定鉄人講師Educational Lounge日本史担当。(それぞれの予備校のサイトに飛べるようにリンクを張っております) 大学・大学院では日本近現代史、特に「日本人」論の歴史的変遷というテーマに取り組んでいました。大学受験予備校での授業の他、コラム執筆や大学での授業内講演なども行っています。受験生におくる言葉は「一生勉強、何のこれしき。」

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:何をしようと「今しかできないこと」です。せっかく大学にいるのだから、勉学はもちろん、自分が「コレ!」と思ったものに熱中するのがいいと思います。それを探すのもいいですね。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになるでしょうか。

A:なんでしょう、〈調べるチカラ〉〈疑うチカラ〉ですかね。自分の「やりたいこと」を突き詰めるにあたって、まずはいろいろなことを「調」べて正しい情報にアクセスしなければいけませんし、そもそもそれが正しい情報かどうかを「疑」わなければ、誰かの都合の良いように搾取されてしまうかもしれない。そんなの、もったいないですよね。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義を教えてください。

A:あんまり考えたことないですね。知りたいことを知りたいと思う、だから学ぶ、それで充分だと思います(笑)。でも、あえて「意義」というなら、それは自分の〈武器〉や〈栄養〉を増やすことなんだと思います。世の中、知っていれば怖くないことってたくさんあって。例えば、医学の知識があればちょっとしたケガにもうろたえずに済むし、法律の知識があれば変なオトナに騙されても自分の権利救済を公的機関に求めることができる。まさに〈武器〉です。また、〈栄養〉ということでいえば、失恋しても文学によって自分の心が救われる(かもしれない)。歴史の知識があれば旅行がもっと楽しくなる。だから、〈武器〉であり〈栄養〉なのだと思います。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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與那覇潤『日本人はなぜ存在するか』(集英社、2013)。本書は與那覇潤先生が実際に愛知県立大学で、ご担当の教養科目「日本の歴史・文化」の講義録です。「日本の歴史・文化」とはいいながら、文系学問全体の「オードブル」(本書7ページ)のようになっていて、大学生の皆さんにぜひおすすめしたい本です。

メッセージ

Q:大学生へのメッセージをお願いします。

A:「ことばを大切に、ことばに真摯に」。実用的なことでいえば、ガクモンの場で議論するときには用語の定義が共有されていなければ、そもそもコミュニケーションが成立しません。お互いの会話がかみ合わなければ議論は実りあるものになりません。自分のイイタイコトを聴いてもらうためには相手のイイタイコトを正確につかまなければならず、相手のイイタイコトを正確につかむためには言葉の意味の理解が不可欠です。ここでいう「相手」とは、生身の人間だけでなく、書籍の内容でもそうです。
 
そしてまた、これは大学生に限りませんが、言葉は人を傷つけることも、救うこともできます。あなたの何気ない一言で傷つく人も救われる人もいるのです。そして逆に、あなたも傷つけられたり救われたりする。だからこそ、大切に、真摯に。

おわりに

今回は予備校講師の佐京由悠先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。文系の学問の場合言語こそが、その内容を伝達する媒体であり、私達は言葉や言語の運用の仕方に自覚的になる必要があるでしょう。国語に限らず英語でもです。言葉の力を大きいですから。次回もお楽しみに!!


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