![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/121497980/rectangle_large_type_2_c27d11c8ea09c227065d207e3bdf3943.png?width=800)
2023大学ラグビー関東リーグ戦:東洋対東海を簡単な数字で見てみた
みなさんこんにちは
季節の変わり目、お元気でしょうか
今回は11/12に行われた関東大学リーグ戦、東洋大学対東海大学の試合についてレビューをしていこうと思います
まずはメンバー表から
![](https://assets.st-note.com/img/1700268438019-zcSjweS9CL.png?width=800)
次にスタッツです
![](https://assets.st-note.com/img/1700268451265-pyXiSdrdSK.png?width=800)
それでは順番に見ていきましょう
東洋大学のアタック・ディフェンス
東洋大学のアタックシステム
傾向的には9シェイプでのコンタクトをアタックの起点に置き、BKに揃っている走力のある選手にボールを回すスタイルをとっているように見えました
回数的にもそうですが、キャリーのメインとなっているのは6番のヴェア選手や13番のマークス選手になっているので、ラックからそう離れていない位置でコンタクトを起こそうとしている印象ですね
BKのマークス選手も早いタイミングでボールをもらいにいこうとしている感じです
10番の天羽選手に関しても、今回の試合ではゲームをコントロールするというよりはチームのアタックをスムーズに動かす潤滑剤のような役割でプレーしていたように思います
むしろ、SHに入っていた清水選手の方がゲームの店舗をコントロールしていたという点ではゲームメイカーのような動きをしていたようにも見えました
また、清水選手は9シェイプへの投げ分けという点でもアタックに大きな役割を果たしていたように感じます
9シェイプには基本的に3人+CTBの選手の走り込みといった形でキャリアーになりうる選手が選択肢として揃っているのですが、清水選手は相手のディフェンスやその場の流れを読んでその辺りの投げ分けをしていましたね
アタックの中では10シェイプも使っていましたが、アタックの肝になるほどのものはなかったように思います
あくまでも少しラックから離れたエリアでコンタクトが起きる、くらいの認識で用いられていた形に見えました
あと特筆すべき点としてはWTBの選手が1stキャリアーになることもあるといった点でしょうか
見つけたシーンとしては14番のボンド選手がSOのような位置に立っていたシーンなのですが、他のチームでよくあるようなWTBの選手もつなぎの役割を果たすというよりは、「最適解(と思われる)の選手がボールを積極的にもらいにいく形」が見えたという感じですかね
一連のアタックではビッグゲインをほとんど引き起こすことができなかったのが大きな敗因になっているように感じ、トライをとることができたパターンもゴール前のラインアウトからのモールと連続アタックの成果によるものでした
再現性が高いということもできるかと思いますが、FW戦に関しては互角もしくは上回られると戦術的にスコアに繋げにくいという点を考えると、戦略的なアタックで崩していくことができなかったのが痛いですね
キックに関しては一般的な脱出のキックが主に用いられていたという感じでしょうか
そもそも自陣深くでポゼッションが始まる機会が少なく、後半にかけて点差からアタックを続けなければいけない状況に陥っていたため、結果としてキックは減っていたように思います
東洋のキャリー
キャリーに関していうと、「普段前に出ることのできる選手が前に出ることができなかった」という点に尽きるかと思います
普段の試合では6番のヴェア選手や13番のマークス選手が主にペネトレーター的な役割を果たしており、次点で4番の森山選手が前に出ることが多いといった感じのアタックをしているのですが、今回の試合では最初に述べた2名がほぼ完封に近いほど前にでることができておらず、森山選手がなんとかディフェンスの隙間を縫って前に出ていたという形になっっていました
キャリーの質そのものを見てもヴェア選手に関しては東海側の
ダブルタックルで勢いを殺されることが多く、一人か二人弾くことができても波状にディフェンスの選手が寄ってくるために前に出ることができていませんでした
東海のディフェンスの集散も比較的早いため、ヴェア選手に寄った相手ディフェンスもすぐに次のセットに向かってしまうために効果的に相手を寄せることもできていなかったように思います
一方マークス選手は普段はもう少し外のエリアを主戦場としており、外のエリアでの質的優位を使って前に出たり少しのギャップを突いて走力で前に出ることのできる選手かと思うのですが、今回の試合では相手のセットにハマってしまったというか、ボールをあまり自分に優位な状況でもらうことができていなかったように感じました
今回の試合の中では68回のキャリーが生まれていますが、31回が9シェイプと戦術的には9シェイプがかなり偏って用いられていることがわかります
おそらくは普段の戦略的にもそのエリアで前に出てテンポを作る算段だったとは思うのですが、今回はその部分で倒壊に押し込まれることが多かったように見えました
シェイプ外のキャリーは合計で11回と比較的抑えめな回数となっており、回数的には中央エリアが6回でエッジエリアが5回となっています
シェイプ外のキャリーだけを見るとエリアをバランスよく使っていますが、実際はこれに9シェイプや10シェイプを用いた中央エリアでのキャリーが含まれるため、主戦場は中央エリアとなりそこまで外に回す意識は高くなかったということができますね
東洋のパス
パス回数が64回と合計キャリー数よりも少ないという状況になっており、これはパスをそこまで介さずにキャリーに持ち込んでいるということから9シェイプや中央エリアでのキャリーが多いという結果とも合致する数値となっています
パスワークとしては比較的シンプルなものが多かったように見えましたね
個人的な感覚としてはバックドアへのパスや内側に返すようなパス、または特殊なムーブが増えてくると複雑な動きをしていると判断することが多いのですが、東洋なシンプルなアタックムーブに終始しており、パスも順目方向・同方向に回していくといった形だったように思います
パスの質を見てももう少し改善の余地はあるかなといった感じで、パスをもらう側の勢いが死んでしまうような位置にパスがきていたり、テンポが悪くタイミングが掴みづらいパスがきていたりとアタックに勢いをもたらすことのできるようなパスワークはなかったような印象です
パス回数を細かく見ていきましょう
9シェイプへのパスが29回とキャリーと同様に比率的に最も多いという結果になっており、ラックからバックスラインへの供給は前後半合わせても9回という数にとどまっていました
この辺りが今回の試合の中でSOの天羽選手がゲームコントローラーとして動いていない印象を受けた要因かもしれませんね
バックスへ展開された回数そのものも少ないですが、そこからの動きとしては10シェイプへのパスが1回、バックスライン上でのパスワークが5回となっています
バックスライン上でのパスが極めて少ないことに違和感があるかもしれませんが、これはうまくつながっていないパスなどがOtherの方にカウントされている可能性を示しており、意図的なアタックを意図したフェイズ重ねることができていなかったのではないかと想像することができます
個人的にはウーストハイゼン選手がもう少し器用なワークレートを示すことができると大きいかと思います
体の大きさや強さからおそらくは前に出ることが期待されていて、実際にトライにつながるキャリーをしていたりもしたのですが、そこからの繋ぎやアタック自体に勢いをもたらすという点では貢献度はもう少し上げることができそうです
手足も長いのでオフロードパスをつなげたり、スイベルパスの精度を鍛えたりしていくことができれば、東洋のアタックにも色が出てくるかと思います
東洋のディフェンス
今回の試合での東洋のディフェンスとしては、極端なディフェンス成功率の悪さこそなかったもののクリーンにブレイクされることが多く、一つ一つのコンタクトシチュエーションの部分で東海の選手に前に出られていたのがかなり響いていたかと思います
ダブルタックルを中心に体を当てることには成功していましたが、今回の試合でおそらく1番の問題となったのはディフェンスラインんの整備の部分ではないかと思います
ラックにそこまでプレッシャーをかけていた印象もないので多分人数としては揃っていたかとは思うのですが、ディフェンスラインが全体的に段が出来ていたような印象で、そのギャップを東海のランナーの選手にうまく突かれていたように見えました
また、東海が意識的に行なっていたと思われる自陣深くからのアタックに対してもうまく対応することができておらず、外のエリアで容易に前に出ることを許してしまっていました
見た感じずらされているというよりはそもそもそこに人数が揃っていなかったように見えたので、東海のセブンスター選手の飛距離のあるキックを警戒して多めに人数を揃えていたのかもしれません
東海のアタック・ディフェンス
東海のアタックシステム
今回の試合ではメインのペネトレーターとなるオフィナ選手などが出場していませんでしたが、全体的に前に出る勢いがあってギャップをつく余裕もあったりと、アタックに将来性を感じさせるような試合展開を見せていたかと思います
今年の東海は10番の武藤選手の動きに応じて周りの選手が配置されるような形のアタックシェイプをとっており、回数的にも10シェイプがある程度起こるアタックをすることが多いです
今回の試合でも武藤選手が起点となってパスを受けることが多く、そこからさまざまなパスを工夫して選択肢を設けることによってギャップを狙っていくという形が多いように見えます
今回の試合ではそれに合わせて表裏を使ったアタックが面白いように東洋にハマっていましたね
東洋のディフェンスは若干個人の動きに依存している部分もあるために前後のギャップが生まれることがあり、東海は今回の試合で表裏を使ったアタックを多用することによってギャップを効果的に突いていました
武藤選手の判断も効いていましたね
また、それ以外のBKの選手に関しても要所でアクセントとして効いており、今回の試合では特にセブンスター選手がチームへのフィット感を遺憾無く発揮していたかと思います
ここまでの数試合でポジショニングの影響か少しやりづらそうな雰囲気も醸し出していましたが、今回はある程度ハマってきたような印象があり、個人的にはもう少し攻撃的な姿勢を見せることができれば完璧かと感じています
ブレイクダウンにも献身的に働きかけていましたしね
キック戦略に関してもセブンスター選手の貢献度は大きく、軽いフォームでロングキックを蹴ることができるのでエリア取りという点で効果的なキックを見せていました
印象だけを見ると普段よりもGrubberなどの少し裏をとるキックが少なかったことくらいが気になる点ですかね
東海のキャリー
キャリーの全体的な質は東洋と比較してすると良さを示していたかと思います
強く当たることもずらすこともできるので、さまざまなキャリー戦略で前に出ることができていたのではないでしょうか
キャリーの回数を見ていくと前後半合わせて78回と若干東海の方が長くアタックをしていたということができるかと思います
とはいえ、普段の東海のラグビーやスコアを見た印象と比べるとキャリー回数は比較的少なかったように感じます
実際、ポゼッションの開始からフェーズを重ねずにトライを奪うことができていたので、今回のような結果になったのだと思います
また、今回の試合ではキャリーの中でもストレートランの質が揃って高かったように見えました
東海は外側の選手を中心に少し流れながらキャリーをすることでラインブレイクを図ることも多いのですが、今回は少し膨らんだ後に前方向のベクトルの強いランニングコースで走り込んでいたのが効いていましたね
特にその中でも9シェイプや10シェイプの裏でスイベルパスでもらった選手が前方向に立て直して走るというコースどりが特にうまく効いていて、何度もラインブレイクをもたらしていたように思います
キャリーの回数的には9シェイプでのキャリーが16回、10シェイプでのキャリーが6回となっており、傾向的にはそこまでシェイプは使われていませんでしたね
一方でシェイプ外のキャリーが35回となっており、どちらかというとポッドを用いないキャリーが多かったということができるかと思います
シェイプ外のキャリーの中では中央エリアが15回、エッジエリアが20回と、どちらかというと外側に寄った傾向を示していました
実際にラインブレイクが起きた後は外方向に回すという基本的なサポートの流れが守られており、ゲインの後はきっちりと外へとパスを回していたように見えました
東海のパス
パスワークに関していうと、表裏を使ったアタックを中心に策を凝らしたパスを中心にうまく相手を崩していたように思います
キャリー・パス比も1:2以上の比率を示しており、一般的な傾向に比べるとパスの回数がかなり多いということができます
パス回数を見ていくと、ラックからのパスでは18回が9シェイプへ、24回がバックスラインへと供給されています
バックスラインでは10番の武藤選手が基本的に待ち構えており、武藤選手のボールタッチがかなり多くなっていますね
他の選手が1stレシーバーになることはほとんどなく、武藤選手にかなり自由を与えるスタイルであることが見て取れます
バックスラインへ供給されたボールは10シェイプへ15回、バックスライン上で36回のパスへとつながっており、多くがライン上で回すようになっていますね
試合を見たイメージとも一致しており、細かいパスを繋いでギャップを狙うというスタイルが今回の試合ではうまく働いていたかと思います
一方で気になったのはOtherの分類に入るパスが多かったことですね
キックリターンをする際のパス回しが含まれることも多いので、納得と言えば納得なのですが、そこまでシステマチックではないパスワークがあった印象もなかったので、少し不思議な感覚に陥りました
東海のディフェンス
ディフェンスはかなり高いクオリティだったということができるかと思います
タックル成功率も高かったですし、コンタクトした後に前に出られる回数もかなり抑えることができていたと思うので、相手にリズムを作らせないディフェンスをしていたように見えました
ダブルタックルもうまくハマっていて、特に相手の中心選手であるヴェア選手の前進をしっかりと止められていたのが大きかったですね
トライを取られたパターンもモールからの前進とFWによる連続アタックというところで、ある程度即効性のある対策を取ることもできる部分かと思います
ただ、今回の試合ではBKに工夫を凝らしたアタックをしてくるチームではなかったのである程度抑え切ることができていましたが、このあたりに強みのあるチームと当たった時の戦略性の部分は気になるところですね
選手権までそのようなチームには当たらないと思うので、ここからの組み立てに期待です
まとめ
昨年は東洋が下馬表を覆して勝利を収めていましたが、今年の試合に関しては東海が圧倒した形になっていましたね
東洋はまだ選手権のチャンスは残っているかと思うので、これからの立て直しに期待です
今回は以上になります
それではまた!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?