カメラの詩

僕のカメラのシャッター音は、僕が君に触れる音である。

現実では到底さわることのできない君にも、写真を撮る瞬間だけは少しさわれるのだ。 


僕のカメラのレンズは、君に触りたい僕の欲求のフィルターである。

直接は見せられない僕の恥ずべき欲求が、このレンズの中で何度も濾されて写真となるのだ。 


僕がカメラを持つこの手は、理論上もう君に触れている。

撮られたい君の欲求は事実、自覚し得ない地点で、僕にさわられたいと感じているのだから。


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