人生の言い訳

「あのこは病気だからみんなと一緒にマラソンできません」 

小学5年生。 

もう周りの目が優しく見えなくなり初めて、少し経っていた。 

はっきりとはまだ分かっていなかったにしても、何となく1人で生きていくのだな。というのを自覚し始めていた気がする。 

みんながやりたくないことを、やらないでいい理由。 

みんなと一緒になれないことの、言い訳。 

いつの間にか都合の良い使い方をしてた。 

生まれてからずっと付き纏う。 

何もなく正常に生まれてきた人達とはその瞬間、生まれた瞬間から一緒じゃない。という事。 

クラスの中、30人。
その中で25人くらいは普通だった。表面上。 

私は表面的に普通じゃないあとの4人をバカにしながら、ひっそりとそこに含まれていた余りの1人だった。今ならわかる。 

小学生。同じクラスの女の子が、半月入院する。珍しさ。 

みんなそんなことが好きだった。多分先生だってそう言うのが好きだ。 

クラスメイト。という無理矢理の枠の中、義務で書かされた寄せ書き。 

奴らと同じ小学生だった私は、もう既にそれを気持ち悪いことだとちゃんと思っていたし。 

病気(笑) 

そのお陰で強く生きてきたとはいえ、周りから放たれた様々な言葉たちはずっと、私に刺さったまま。時間が経って同化したり、腐ったりしながら私の一部になった。 

好きな人に、ブス。って言われたことなんかを根に持つ人達。 

そんなので傷付くくせに他人の傷には物凄く鈍いのね。 

経験値が上がったことも、そのせいで傷ついたことも、今こんな生き方になったことも、分かり合ってもらえないことも、 

全部、病気(笑) 

あの日走らなかったマラソン。
ずるいかもしれない。ずるかったかもしれない。 

でもあのマラソンを走るだけでみんなくらい幸せになれたなら、 

私だって走りたかったけど。 

とはいえ、結局こんな風に成長した自分も可愛くて仕方ないのは 

私のことを本当の意味で愛せたのが、 

私しかいなかったからだけど。 

#小説  #エッセイ #コラム #詩

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