だれも救えない神様


「おねがいがあるの。」
「なんでも聞くよ。」
「もう誰も救わないで。僕で最後にしてほしいの。」
「お願いと言うより呪いみたいだ。」
「うん。もう誰にも手を差し伸べないで。」
「ふふ、そんな大層なことしたわけじゃないけど、なんだか神様になった気分だ。」

もう誰も救えなくなっちゃったけどね。

飛べなくなったくせに優しく笑う
呪いなんて無いのにかかったフリをする
やさしいきみが他の誰かの手を取らないように
ぼくのほうがずっと君のことを離せないんだよ

羽がないならずっとここにいて
きみはずっと神様だったよ
でもやっと僕だけの神様になった
もう僕みたいに君に救われる人はいない
僕みたいに君に焦がれる人はいない
ここにいてね、
きみの胸の辺りの匂いを吸い込んで
また強くぎゅってする
笑う君の声がする



ウニ


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