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「気軽に話せる『近所の町内会』っぽさを目指してます」広島Unity勉強会@広島【メンバー募集!全国Unityコミュニティ名鑑】

こんにちは、Unity Japanのコミュニティ・アドボケイトの田村幸一です。私は普段、Unityを広く世の中に伝える、広報的な役回りをしています。

2月からスタートした連載『メンバー募集!全国Unityコミュニティ名鑑』では、全国各地で活動する有志によるUnityユーザーのコミュニティを紹介しています。

ここ数年の新型コロナウイルス感染症の影響で、ユーザーが集まるオフラインイベントやコミュニティ間の交流が減ってしまいました。そんな中でも、新しくUnityを始める人にとって、学びを後押しするようなコミュニティと出会えるようにしたい、というのが連載の目的です。

第8回は、広島を拠点にUnity勉強会やゲームジャムなどを開催している「広島Unity勉強会」を紹介します。コミュニティオーナーの1人、中奥貴浩さんにお話を伺いました!

中奥貴浩さん
通信会社に勤め、主にネットワークやサーバーの構築や保守をしていて、ときには、電柱に登ったりしている。2014年に広島Unity勉強会を設立した。

学校や企業、IT勉強会とのコラボでイベントの幅を広げる

──はじめに、Unityと出会ったきっかけを教えてください。

2013年の春、大学図書館で卒業研究の準備をしていたら、『Unityによる3Dゲーム開発入門』を見つけたのがきっかけです。中学生の頃から3Dゲームを制作していたのですが、一読して「こんなに簡単に3Dが扱えるの!?」と驚きました。

本を借りて、大学のネットワークからすぐにUnityをダウンロード。一心不乱に勉強しましたね。

──そこから、なぜ広島Unity勉強会を設立したのでしょうか?

2010年頃にIT勉強会のブームがあり、広島でもさまざまなITコミュニティや勉強会が発足していました。しかし、扱われるのはWebやOSS技術が多く、ゲーム制作は全くなく……。

Unityを勉強していくなかで「みんなにも知ってもらって気軽に使ってほしい!」という思いが強くなり、コミュニティを作りたい気持ちが芽生えました。

そんな思いを勉強会でお世話になった人に話してみると、「いいね!面白いことは早めに取り組んでみたら?」と背中を押してもらったこともあり、広島Unity勉強会を設立しました。

当時は大学生でしたので、ゼミの先生に会議室を借りてもくもく会を開催するのみでした。社会人になってから開催場所を借りて、大人数のイベントやゲームジャム、多くの人が参加できるような勉強会も実施できるようになりました。

──何人が所属し、どういった活動をしていますか?

運営メンバーは、私含めて3人います。全員、広島で働いています。

そのうちの1人は、Webのフロントエンジニアで、学生時代にUnityを使ったゲームジャムを運営していました。今でもイベント運営では頼りになり、コミュニティのムードメーカーとして活躍しています。もう1人は、ゲーム専門学校の講師です。広島のゲーム企業で商用ゲームを制作していた経験があり、プロ目線からアドバイスをしてくれます。

コミュニティの規模としてはFacebookページは60人、connpassは220人の登録があります。しかし、東京に移住した人もいて、非アクティブな方も多いです。

活動では、BlenderなどUnityと関連がある技術も勉強し、運営メンバーの技術力の向上に注力しています。例えば、BlenderやMagicaVoxelなどの3Dモデリングを用いて、VR内で楽しむSNSを共同で作成したりもしました。

新型コロナウイルス感染症の拡大前はオフラインでのゲームジャムや、不定期の勉強会やもくもく会を開催してきました。不定期にしているのは、運営メンバーの負担を少なくし、継続することに注力しているためです。

──他にも、運営しやすくなるために工夫していることはありますか?

他のコミュニティや会社、学校とコラボすることを心がけていることでしょうか。設立初期に開催した勉強会は、参加者が運営メンバーしかいなかったときもあったのですが、外部とのコラボで新規の参加者が望めるのです。幸いにも、設立前に多くのITコミュニティに出入りをしていたので、その縁をフル活用しています。

コラボイベントの一つは、WebVRの勉強会です。広島フロントエンド勉強会とユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの常名さんに協力いただいて開催しました。このイベントは、広島フロントエンド勉強会からの相談がきっかけで開催することになり、私たちのコミュニティは運営や集客に協力しました。

また、常名さんと、ウェブに関して勉強するコミュニティ「WEB TOUCH MEETING」との協力のもと、ハンズオンでUnityについて学べる勉強会も催しました。エンジニアやウェブデザイナーが集まっているコミュニティ「すごい広島」とも共同で、もくもく会を設けています。

2019年3月に実施したもくもく会の様子

オフラインで開催できるようになったら、情報共有の場や勉強会を実施したいですね。周辺技術について向上しあえると、結果的にUnityコミュニティが拡大すると考えています。

気軽に情報交換できる「近所の町内会っぽさ」

──新型コロナウイルス感染症の影響で交流が難しいなか、コミュニティ活性化のために工夫したことはありますか?

正直なところ、メンバー勧誘などは積極的にやっておらず……。中四国には岡山Unity勉強会や讃岐GameN、VRChatコミュニティなど、より活発なコミュニティがあるので、私たちは別のアプローチをしています。

その一つが、ゲームジャム事前勉強会の動画を編集し、YouTubeで切り抜き動画を公開していることです。

私は中学生の頃に、ニコニコ動画に公開されたプログラミング動画がきっかけで、技術者を志しました。広島Unity勉強会の動画も、Unityに関心を持つきっかけになってくれればと願っています。

また、専門学校の講師が運営メンバーにいることもあり、即席チームで48時間以内にゲームを作る世界規模の開発イベント「Global Game Jam」や事前勉強会などのオンラインイベントは、学生へ直接告知をしてもらっています。コロナでイベントがオンラインに切り替わってからは、なかなか告知しづらい状況なので助かっていますね。

──広島Unity勉強会の特徴を教えてください。

一つは、運営メンバーが趣味でUnityを使っている人たちということです。ガチガチの技術者コミュニティというより、ちょっと詳しい人がいる「近所の町内会」に近いなと。

この雰囲気が、広島の規模感にマッチしていると思っています。なぜなら、昔から広島は、製造業の街であり、学生の街です。そのようなバックグラウンドを持った人たちが気軽に情報交換するには「近所の町内会」がちょうどいいと感じています。

もう一つは、参加者の入れ替わりが激しいことです。ありがたいことに、イベントは初めての参加者が多い状態です。Unityエンジニアとして生計を立てたいという人が多く、技術を身につけたら東京のゲーム企業やエンタメ会社へ転職することも多いです。

転職と同時に疎遠になってしまいますから、一時期は「どうすればコミュニティに居続けてもらえるだろう」と悩んでもいましたが、今ではネガティブなことではないと感じています。東京でしかできない経験を活かして「コンテンツを完成させました」「大きなタイトルで名前が載りました」と報告を聞くのは、とても嬉しいことです。

また、東京に就職した人でも「将来は地元の広島に戻ってきたい」と話す人もいます。そのような人たちと、広島の3Dコンテンツを制作している企業とマッチングしていけるよう、仲介に取り組みたいと思っています。

コロナをきっかけに、リモートワークを導入する企業も増えてきました。制度を活用して広島にUターンやIターンをしつつ、広島Unity勉強会に参加してくれる人が増えると嬉しいですね。

経済的に不安定な人たちでも参加しやすいように

──広島Unity勉強会を運営していて、「よかったな」と思う出来事を教えてください。

イベントに参加して、楽しそうな姿を見たときです。運営メンバーは本業の忙しいなかで準備をしているので、励みになりますね。

また、私や運営メンバーは、企画したゲームジャムやハッカソンにも自ら実際に参加します。時間制限があるイベントで緊張感もありますが、終わった後にはやりがいや達成感を得られます。

──コミュニティ運営する上で、心がけていることはありますか?

学生など経済的に不安定な人たちも気軽に参加できるよう、参加費を安価にしています。

都市圏に比べて、広島ではハッカソンやゲームジャムの開催が少なく、Global Game Jamの参加も他県へ遠征する必要が出てきます。そうなると、交通費や宿泊費もかかってしまいます。今後は広島でのイベントを増やし、金銭面の負担を少なくして、気兼ねなく参加いただきたいなと思っています。

2020年開催Global Game Jamの様子

──中奥さんにとって、広島Unity勉強会はどんな存在ですか?

みんなが集まる公園のような存在だと思っています。

Unityで作品を作っても、第三者に見せる機会がなかったり、問題の解決が難しいときがあります。そんなときに、作品のフィードバックをもらったり、問題の解決ができるような場になったらと思い、イベントを運営しています。

作ったものの感想を言い合ったり、どうすればもっと良くなるかをみんなで考える。この工程は、子どもの頃に公園の砂場で遊ぶのと似ているなぁ、と。

そういう意味では、ゲームジャムやハッカソンは年に数回の「公園でのお祭り」に近いかもしれません。みんなでお祭りを体験し、喜びを共有するので。

Unityを楽しむ時間を最大化していく

──活発なコミュニティを育むために、大切にしていることを教えてください。

一つは、熱量あるコミュニティとコラボすることです。

中規模の都市が点在している広島だと、単独イベントだと発表者が集まらなかったり、毎回同じ発表者になったりするという状態に陥りがちです。しかし、多くの人を集めようと思えば、運営メンバーの負担が高くなってしまいます。

他のITコミュニティとコラボすることで、運営メンバーの負担を下げたり、告知できる範囲が広くなったりします。結果として、熱量を上げやすくなるのかなと思います。

もう一つは、協力者を増やすことです。広島Unity勉強会では、定期的に運営メンバーと井戸端会議を開催しています。現状の課題や理想を話し合い、どうやったら実現できそうかを考える機会を多く設けています。

──今後、どのような人たちに参加してもらいたいですか?

他の地域と広島をUnityで繋げる「地域コミュニティの拠点」にしたいと考えています。そのためにも、「Unityをゲームの一つとして遊んでいる人・遊びたいと思っている人」を集めたいです。

Unityで制作するだけでなく、「Unityを触ることが気分転換で楽しい時間だ」という思いを増やしていきたいです。私自身、大学生の時に偶然出会った本が、Unityに触れる面白さを教えてくれました。

参加者同士で質問しあったり、新しい知識を増やす機会を提供したりして、「みんながもっとUnityを楽しいと思える時間を最大化したい」ですね。

──今後の活動予定やイベント情報などを教えてください。

10月8日に「ゲームジャム高梁2022事前勉強会 & 第92回ゆるもく勉強会 in Discord」を岡山Unity勉強会や讃岐GameNと開催します。10月25日には「Unity SYNC 2022 in 広島工業大学サテライト会場」を設けます。Unityが主催する大規模オンラインカンファレンス「SYNC 2022」をみんなで視聴して、感想を共有するために、広島工業大学サテライト会場を開設します。広島のUnityユーザーの人たちは是非きてください。

また、不定期ですが「すごい広島」と一緒にもくもく会を開催予定です。

遠方から出張や旅行で広島に来る際に、「Unity勉強会や交流会したいな〜」という気持ちがありましたら、お声をかけていただけると嬉しいです。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンさん、ゲーム企業やXR事業者さんともご一緒できる機会をお待ちしております。

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