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相続人は、配偶者と兄弟です。子どものいない経営者の遺言の必要性。

こんにちは、ユナイトnote担当です。

遺言を書く。なかなかハードルの高いことだと思います。今回は、遺言があった方がいいかも?と私が思ったケースをひとつ取り上げてみたいと思います。

■子のいない夫婦の場合。

▼兄弟にも相続する権利があります。

子がいない夫婦の場合に誰が相続するのでしょうか。

今回は、経営者(死亡者=被相続人)、奥様、経営者のご兄弟1人、経営者のご両親はすでに亡くなっている場合です。

この場合の法定相続人は奥様と経営者のご兄弟の2人で、相続割合は、奥様は3/4、ご兄弟は1/4です。
奥様に全額ではなく、亡くなった方のご兄弟にも遺産がわたります

どのように遺産を分けるかは奥様とご兄弟で話し合います(遺産分割協議。)。遺産はどのように分けても構いません。奥様とご兄弟の双方が同意すれば、奥様が全額を相続することも可能です。
しかし、そもそも全額が相続できない可能性があることを奥様は納得するでしょうか。また、多額の遺産を相続できる権利があるときに、ご兄弟は主張しないでしょうか。「その時」にならないとわかりません。

遺言を用意しておくことで、無用な争いや心配・心労を防ぐことが可能になります。

では遺言があれば、誰かに資産を集中することが可能なのでしょうか?それは遺留分があるかどうかがポイントになります。

▼ご兄弟に遺留分はありません。

遺留分とは、相続人に最低限保障されている遺産取得分のことです。
法定相続人になった配偶者やお子様、ご両親にはありますがご兄弟には遺留分がありません(民法1042条1項)。そのため、遺言で奥様に全額わたすとあった場合、ご兄弟は遺留分を請求することはできません。もちろん、ご兄弟にも残して構いません。
いずれにしても、あらかじめ決めておけば、少なくとも法的にはもめにくくなります。遺産は、適性な遺言があれば、基本的には遺言の内容を優先するためです。

▼遺産分割協議が長引いてしまった場合。

もし遺産分割協議が長引くと、本来払う必要のなかった奥様の相続税を支払う必要が出てくることもありえます。よく配偶者の相続税は1.6億円までかからないと言われますが、これは配偶者の税額軽減特例というものです。相続税の大きな減額要因ですが、税額が確定してからでないと使うことができません。

相続税の納付は10か月以内です。これを超えてしまう場合には、一旦法定相続分で納税した後(この時は上記の特例などの使用不可)に、更生の請求をすることで取り戻す方法があります。また、3年を超えてしまった場合には、特例が使用できなくなる場合があります。

遺言であらかじめ分けておくことで、遺産の分割と税額の確定が、よりスムーズになることと予想されます。

▼保険の意義

以上は、奥様にすべての財産を残すための遺言の価値でした。弊社は保険代理店ですので、遺言がなかった場合でも保険が役に立つかもしれないケースも3つ挙げます。

一つは、連帯保証債務が多い場合です。
相続では連帯保証債務も相続されます。借金の方が多かった場合、負の遺産として相続されてしまいますが、その場合に、相続放棄という方法がとられることがあります。もし奥様が相続放棄をした場合に、今度は法定相続人であるご兄弟に借金が移行することがあります。保険で、債務を無くせるようにしておくことが一つの方法です。

二つ目は、遺産を分割することができにくい場合です。
経営者の場合、財産の多くが自社株や不動産ということもあるかもしれません。その場合、うまく遺産を分割できないこともあります。分割用の現金を生命保険で用意することができます。

三つめは、納税資金です。
特例などを使っても奥様の相続税やご兄弟の相続税がかかることもあるかもしれません。二つ目のように現金化しにくい財産ばかりだった場合には、納税資金を保険金で用意することもあります。

■まとめ

今回は、遺言を書いておいた方がよさそうなケースについて取り上げました。保険会社の講習で知ったことをベースに、拡張して記事にしました。

ご兄弟への遺産を0円にすべき、というわけではありません。あくまであらかじめ決めておくことで、残された側の苦労が少ない可能性が高い、というお話です。

個人的な話になりますが、私には争いに発展するような資産もないため、現状では遺言を残すことはしないだろうと思っています(もしも増えればわかりません!!)。ただ、資産の内容についてはiDeCoや保険があり、手続きはどこに聞けばいいかなど簡単にですがまとめてみました。私ほどの資産でもその作業を行うことは面倒に感じましたので、何も知らずに残された側はもっと大変だろうと思います。私の死後は、やるべきことはすっきり終わらせて、なるべく早く現実に切り替えてもらえたらな、と思っています。

なお有料の制度ですが、故人の生命保険の契約状況を調べる制度がありますので最後にご紹介しておきます。生命保険契約照会制度のご案内 | 生命保険協会 (seiho.or.jp)

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。制度を活用して、問題を防いでいきましょう。

※記事内容の正誤に関わらず、読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
※私なりに言い換えた表現を使っていることもあるため、より正確な内容を知りたい場合は以下の■参考をご覧いただければと思います。


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■参考

▼日本公証人連合会

日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)

▼e-Gov.法令検索

民法 | e-Gov法令検索

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