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佐藤彰悟「複業家から大学生に送る人生ハック術」 クラウドファンディングインタビューリターン

「大学生活をもっと充実させたい!」「やりたいことを見つけたい!」という想いを持ちながらも、なかなか行動に移せない北海道内の大学生に向けた連載企画「Knows」。

今回は先日終了したクラウドファンディングのリターンとして行ったインタビュー記事をお送りします。

支援してくださったのは複業家として活躍されている佐藤彰悟さんです。
↓が佐藤さんのTwitterとnoteです。

皆さんは「複業」という言葉を知っていますか?
最近、多くの企業で「副業」が解禁されていますが、その副業とは違います。
複業の説明は以下の通りです。

複数の本業に取り組む働き方は、複業と呼びます。
同時並行でふたつ以上の仕事に取り組む内容で、自由な事業活動を展開できるところがメリットです。
収入アップの目的だけでなく、自己実現ができる新しい働き方としても複業に注目が集まっています。
参考:複業とは?副業と複業の違いや企業が複業を認めるときの注意点

今回インタビューしたのは、そんな新しい働き方に取り組まれている佐藤さん。
元々は普通の会社員だった佐藤さんは、人事としての経験を積み、現在は複数社のプロジェクトに携わる複業家としてのキャリアを歩み、誰もがうらやましがるような理想のライフスタイルを送っています。

佐藤さんは一体どんな人生を歩まれてきたのか?何を考えて仕事に取り組んでいるのか?
特にキャリアについて悩む学生が聞きたい内容をたくさん質問してみました!


プロフィール

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北海道札幌市出身
かたわら代表
組織と地域を越境して働く複業人事
サツドラ HD HRパートナー
株式会社JobRainbow顧問
えぞ財団 事務局長

複業家のキャリアってどんな感じ?

「僕の人生って暗黒の幼少期から始まるんです(笑)。小学校も中学校もいじめにあっていました。かなり陰湿ないじめでした。この頃はまじで社会を呪っていましたし、何度も死のうと思っていたんです。

そんな小中だったんですけど、高校でバンドに誘われたことがきっかけで音楽に出会いました。友達もたくさんできて救われました。学祭の実行委員をやったり生徒会もやっていたので、仲間と何かを作る楽しさを知りました。

大学もその流れで学祭とバイトに明け暮れていました。小中よりはかなり明るい人生になったんですが、そのおかげで(?)留年しました(笑)。

その後、新卒でパチンコの会社に入りました。パチンコには全く興味がなかったんですけど、マーケティングをやらせてもらえるからという理由でその会社に入ったんです。でも1年目はパチンコホールの現場への配属でした。出勤初日にパンチパーマの副店長に首を持ち上げられてリアルに壁ドンされたこともありました。

そんな具合で超絶ブラック企業でした。でも、僕はなんだかんだこの会社に13年勤めてかなり出世したんです。入社時は80名だった会社も13年の間に850名の大企業にまで成長していました。僕は人事とマーケティングと接客と仕入れと社長秘書、5部門を掛け持ちして働いていました。

なんでこんなことができたかというと、僕のIQが高かったり、特別な能力を持っていたからではありません。ただ負けず嫌いだったからです。

30代を過ぎてから、『ずっとパチンコ業界にいても先がないな』と思って転職を考え始めました。しかし、1社目でいろんな経験を積んだ僕は転職でかなり苦労します。専門性が無かったからです。全部、60~70点で何の専門家なのかが良く分からない人材になってしまっていたんです。

結局、社員20人のITベンチャーに入ることになりました。人事として入ったはずなんですが、オータムフェストの店長やったり、通販の事業部の事業部長をやったり。結局2社目でもなんでも屋になってしまいました。今考えてみれば、ベンチャーなんだからそりゃそうか、という感じですけど(笑)。

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そして、『ついに良い会社に出会えたんじゃないか』と思えたのが今も本業にしているブライダルの会社です。どんな出会いかというと、自分が結婚式を開いたときに出会った会社でした。大学の時に地域社会学を専攻していた僕は、ブライダルによって地域活性をやっているこの会社に興味を持ち、結婚式の翌々日に電話して『仲間に入れてくれ』と伝え、入社することになりました。

この会社ではマーケティングを担当することになりました。ついに専門的な仕事に就くことができたんですけど......。

鬱になってしまいます。」

ーこのタイミングでですか!?
「僕は、今もこの会社のことが大好きです。それでも鬱になってしまいました。なんでかというと、上司ガチャに外れたからです。僕は放任された方がいいタイプなんですけど、僕の上司は超絶管理タイプでした。

メールも全部CCに入れなきゃいけないし、電話してたら『何、今の?誰と電話してたの?』と聞かれるし、休みの日もひっきりなしにLINEやメッセンジャーが飛んできます。無視してたら電話もかかってくるんです。」

ーやばい......。
「やばいよね。束縛系の彼女なのかと思うよね(笑)。そんな状況だったので僕も僕の家族も病んでしまって。ついに『もう無理です』と辞表を出したんですよね。そしたら、『彰悟さんは人事の方が合うよ』と隣にいた人事部長が引っ張ってくれたんです。そのおかげで人事部に異動することになりました。

人事部の新しい上司は僕の個性とマッチングする放任タイプでした。そしたら成果も出て、一気に復活することができました。また、この会社は複業OKだったので代表に『好きなことやったら?』と言ってもらいました。

その影響で副業をやり始めたら本業でも成果が出て、昇進して、という感じで気付いたら色んな会社さんの組織作りをお手伝いしたり、えぞ財団(サツドラホールディングス株式会社 代表取締役社長 兼 CEOの富山さんらが発起人の北海道の経済コミュニティ)の事務局長を務めるような複業人事になっていました。」

皆から必要とされる仕事をする

「僕はもともと職種が強みだと思っていました。『マーケもできるし、人事もできます!』みたいな。でも本当は、職種そのものは強みではないんです。自分が持っているパーソナリティに職種が紐づいている。

じゃあ、僕の強みは何かというと、 ”人の話を聞いてそれをわかりやすく整理する力” とか ”誰かを支える2番手としての力” です。これらの強みを活かしたら、仕事がバーッと増え、いい感じになっていきました。

それに加えて、僕が今、いい感じに仕事ができているのは ”前を向き続けたから” だと思っています。しんどくて一瞬逃げることは全然いいと思います。でも放棄はしなかった。だから何とかなったんじゃないかな?と思います。」

ーでは、佐藤さんのパーソナリティに人事がハマったということなんですかね?
「そうですね。友人から、僕の強みは ”物事を整理して分解して再構築する力” 、つまり、人と話したらその人の悩みをすっきりさせることができる力だと言ってもらったんです。このときに『このパーソナリティのおかげで人事もマーケもできたんだ』と気付くことができました。

でも、実は僕にとって人事の仕事って、やりがいはものすごくあるんですけど、そこまで『楽しい!』という程ではないんですよね(笑)。じゃあ、なぜ人事の仕事をやっているのかというと、人事がCANで、マーケがWILLだということに気付いたからです。やりたかったのはイベント・広報などのマーケティングだけど、人事の方が得意だったんです。

結局、人からお金をもらうために大事なのは、人から評価されることです。WILLじゃ食えないんです。10年くらいマーケの仕事をやったけどそれは人並みにしかなりませんでした。

でも人事は皆に必要としてもらえるし、成果も出ました。それに気づいたタイミングで、『もういい歳だし、皆に必要とされる仕事に振り切ったほうが幸せになれるんじゃないか』と思い、人事に絞ることにしました。

でも、人事の仕事にもマーケティング的な要素が沢山あります。文章書いたり、広告出したり。マーケティングの経験があったから、僕の複業人生が豊かになったんだと思います。これはたまたまですけどね。

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「もっとライトな感じに就活していいと思いますよ」

「就活してる時ってやりたいこと重視で人生を考えがちになりがちです。やりたいことが明確でそれに向かって課外活動などに取り組んできた人は別ですけど、全員がそうじゃないですよね?特に今は、コロナもあってろくに課外活動ができていない人が多いです。そういう人は特に就活の際に迷走してしまうんです。

僕は、やりたいことに振り回されなくていいと思います。これから就職する人たちの中でずっと同じ会社に勤める人はほとんどいないです。それに、卒業後すぐに会社に勤めなくたっていいと思うんですよ。

新卒カードは重要と言われるけど、実態は3分の1の人が3年以内に退職しています。お金を稼ぐ手段はWoltやUberなどいくらでもあるじゃないですか?だから無理矢理やりたいことをひねり出して、自分を偽ったり押し殺してまで就職する必要はないと思います。

もちろん、最初に勤めた会社の業種や職種が大切な側面もありますが、直感でいいと思った会社に入るとか、『これやってみたいな』と思ったから入る、みたいなライトな感じで気負いすぎず肩の力を抜いて就活をしてもいいと思いますよ。」

ー実際入ってみて『思っていたのと違うな......』となることって防げないんですかね?
「新卒は特に防ぐのが難しいですね。新卒採用って2つのガチャがあるんですよ。勤務地ガチャと上司ガチャ。その会社のことがどんなに好きだったとしても全く望まないところに飛ばされたり、(僕のように)相性の悪い上司に当たったら、1日の大半が仕事をしている時間だとすると辛くなっちゃいますよね。」

「複業家ってこんなに良い働き方なんです。もっと学生に知ってほしい」

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ーすごくシンプルな質問なんですが、仕事してて楽しいですか?
「楽しいです。僕のやりがいは ”僕が動いたことによって幸せになる人とか組織が生まれること” です。明日、すぐ売り上げが上がるみたいな短期的な成果は出ないんですけど、例えば、僕が面談した人が望まない退職を回避することができたり、僕が出会った方がクライアントの会社に入社してめちゃくちゃ活躍するとか。

僕は今は複業家として働いているので自分の好きな人・会社としか働かないというわがままな働き方ができています(笑)。だからそもそもストレスがないですね。」

ー複業家ってどんな人が向いているんですか?
「2つあって、1つは面倒臭がり屋な人。もう1つは多動な人、だと思います。僕ってかなりの面倒臭がりなんですよね。仕事において本当に面倒なことになるときって追い込まれた時です。例えば、イベントの前日なのに全く準備できてないとか。

僕はそうやって追い込まれて面倒なことにならないために、事前に仕事を終わらせることに全力を注いでいます。3月30日に締め切りの仕事があるとしたら、僕の中の締め切りは3月23日なんです。そうやって行動すれば、大変な場面に遭遇する機会が減るんです。だから面倒臭い状況を避けて事前に動ける人は複業家に向いています。

もう1つは多動な人と言いましたが、僕ってどんなに忙しい時でも話しかけられてストレスを感じない人なんですよね。。つまり、あれもこれも同時に対応できて、むしろそれが楽しいと感じるような人が向いていると思います。」

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ーちなみに佐藤さんの生活サイクルってどんな感じなんですか?
「僕の1日は朝6時半に4歳の息子がベッドに飛び込んできて起こされることからスタートします。そこから朝ご飯を一緒に食べて準備をして、朝8時に息子と共働きの奥さんを送り出します。朝9時まで皿洗い・家事・ヨガ・筋トレをし、そこから家かEZOHUB(サツドラのコワーキングスペース)で働きます。特に夜に用事が無ければ、16時に仕事を終え、17時に保育園に息子を迎えに行きます。17時から20時半までは息子と一緒に過ごします。そして20時半からまた仕事をします。こんな生活ですね。ちなみに、土日は基本的に休んでいます。」

ーびっくりです。最高じゃないですか(笑)。
「どうしてこんな生活ができるのかというと、まずは、クライアントに僕の生活スタイルを伝えているからです。『平日17時から20時半と土日は急用以外は連絡取れないです(笑)。』と伝えているんです。

その一方で、僕はプライベートと仕事の境目もあまり無いんですよね。仕事に対するスイッチのオンオフが無いって感じですね。」

ー複業家の実態を知ったら、佐藤さんのような働き方を目指す学生は増えそうですね。
「なんで僕が複業家をしてるのかと言うと、(成り行きややりがい、ライフスタイルのこともあるけど)1社から給料50万円もらうより10社から10万円ずつもらいたいからなんですよ。(年収1000万円は東京の有名外資系企業で働くのと同じくらいの給料)

これからの時代は何が起こるかわからない不安定な時代だけに、この方がリスクが少ないんじゃないかと思っているんですよね。僕は地方で働きながら、年収を青天井にしていくための最適解が複業家だと思っています。僕は複業家という働き方をもっと多くの人に伝えたいんです。だから僕は複業家としてのロールモデルになることを目指しています。

食っていくために北海道から東京に出て、その後戻ることがしにくい現状に異を唱えたい。その現状を、僕の複業家としての働き方を通してひっくり返したい。これが僕の志です。」

社会人生活をハックするには

ー学生時代と社会人って何が違いますか?
「2つあります。1つはお金の流れが変わること。もう1つは自由の度合いが変わること。学生時代は学費など、お金を払う側ですよね。でも社会人になると急にお金をもらう側に変わります。これは劇的な変化ですよね。でもお金をもらうということはもらった分の対価を返さないといけないわけです。

特に新卒は、まだ何もできないのに4月1日から月20万円くらいもらえるんですよ。だからこれから社会人になる学生さんには、お金をもらう分、対価としての成果を返す必要があるということを改めて認識してほしいです。会社が提供してくれる新入社員研修は厚意であって、義務ではないんです。学校ではないので。

自由の度合いに関しては、親から守られている状態から抜けて自由になるということです。でもその分、責任も大きくなります。

でも、逆の視点で言えば、社会人のお金の流れと自由と責任について理解できたら社会人は最高に楽しいですよ。これがわかれば自分の人生を思い通りにできるわけですから。学生時代は自分の所属するコミュニティを選ぶことができなかったのでいじめられてしまったけど、今は自分が自由に付き合う人を選ぶことができています。」




以上でインタビューは終了です。僕自身、複業家として働いている人のお話を聞くことが無かったので新鮮でとても楽しい時間でした。

日本はまだまだ働き方の多様性が乏しいですが、これから佐藤さんのような複業家の働き方が脚光を浴び、将来複業家を目指す学生が増えれば、もっといい世の中になるだろうなと本気で思いました。是非、この記事を読んでくださっている皆さんも複業家としての生き方を検討してみてください!

佐藤さんの人生を書いたこの文章から何かのきっかけを得てもらえたら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

取材・文:金子

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