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vol.9 一人一人輝ける場所がある

「大学生活をもっと充実させたい!」「やりたいことを見つけたい!」という想いを持ちながらも、なかなか行動に移せない北海道内の大学生に向けた連載企画「Knows」。

編集チームが独断と偏見で選んだ面白大学生の人生をお届けします。今回は第9回目。ゲストは北海道大学経済学部3年の折橋桃子さんです。

折橋さんは高校から続けていた野球部のマネージャーとしての活動やひょんなことから活動に加わることになった留学生とのビジネスの活動の中で常に「自分にできること」「自分の良さ」を見つけ、それを発揮してきました。

集団の中にいると、自分には何ができるんだろうかと自信を失ってしまうこともありますが、折橋さんは「人には絶対にいいところがある」と言い切ります。

では、折橋さんはいったいどんな経験を経てその考えに至ったのでしょうか?

周りに合わせる

姐さん中学

ーこんにちは!では早速、折橋さんの自己紹介と今の活動について教えてください。
「北海道大学経済学部3年の折橋桃子です。今は、規格外の野菜を学生に提供するI’MPERFECTの活動と北海道ベースボールリーグの石狩レッドフェニックスでボランティアスタッフをやっています。」

ー気になることばかりなので後ほど深堀していきますね!まず、折橋さんは小中の頃、どんな子だったのか教えてください。
「小学校の頃は、「なんでも1番になりたい!」という感じの女の子でした。私がリーダー的役職になってクラスのイベントをやることも多かったです。」

―活発な子だったんですね。
「でも、中学生になってからその活発さは無くなってしまいました。私が入った中学校はヤンキーの多いマンモス学校だったので、周りに合わせて行動するのが普通だったんです。

そうじゃないと学校にいけなくなっちゃうから(笑)。学校内に「頑張る=ダサい」という文化が完全に根付いていました。」

ー思春期の頃は特にそういう雰囲気がありますよね。
「なので、ほとんどのことを中途半端にやっていました。ただ、勉強だけはみんなに頑張っていることがバレないようにしながら頑張っていました。私、小学校の頃から水戸第一高校(茨城県内で一番の進学校)に行きたいと思ってたんですね。」

ーそれはどうしてなんですか?
「高校生クイズに出てたからです。「目立ちたい!」「私もテレビに出たい!」と言って、完全に勢いなんですが、やっぱり一番を目指したかったんです。片道1時間かけて同じ高校を目指す子の集まる塾にも通っていました。」

ーということは、学校内の折橋さんと塾内の折橋さんは完全に別人だったということですか?
「そうですね(笑)。そのせいでなんでも話せる友達はほとんどいませんでしたね。人に頼るということを知りませんでした。」

人間として成長できた高校時代

姐さん高校

ー結局、志望校の水戸第一に受かったとのことですが、入ってみてどうでしたか?
「周りのレベルが高すぎて本当にびっくりしました。勉強はもちろん、スポーツもできる子が多くて。私がいた中学校とは真逆で、”何かを頑張っている子”しかいませんでした。学校の行事もクラス全員が1番になろうと頑張るんですね。」

ー素敵な高校ですね!
「はい。1年生の頃で一番記憶に残っているのが学園祭です。もちろん、全員が賞を狙っているので議論がすごく活発なんです。ここで、大事なのが「女子もめちゃくちゃ発言する」ことです。

男女差はなかったし、なおかつそれが認められる風潮でした。この空気を感じたことによって、「意見を言うことは悪いことじゃない」ことや、「意見を言うことによって目標に向かっていくためのステップや環境が良くなるから結果もついてくる」ことを理解することができました。」

ー中学では自分を表現できなかった折橋さんからするととっても重要な気付きですよね。その後に何か変化はありましたか?
「野球部にマネージャーとして入りました。野球が好きだったし、組織に関わっていく中で自分を成長させたいと思ったのが理由です。

1つ悩んでいたポイントがあって、うちの野球部は入ったら浪人するって言われていたんですよ(笑)。それで色んな人に相談しながら悩んだ結果、1年の12月に入部を決めました。」

ー2年生になってからはどんなことがありましたか?
「2年生の夏まではとにかく先輩から学ぶ日々でした。だから自分から動いたり発言したり、ということがほとんどありませんでした。そんな状態のまま、先輩の最後の大会が終わって、自分たちが最高学年になりました。

実際に自分たちがメインとなって動かなければならない状況になった時に頭ではわかってるはずなのに、全然動けませんでした。今までちゃんと考えてこなかったから、マネージャーとしての自分に選手たちは何を望んでいるのかすらわかりませんでした。」

ーそれは悩みますね...。
「はい。この頃は自分がいることがお荷物なんじゃないかと思ってばかりいました。そんな状況を見かねた顧問の先生が私にある言葉をくださったんですね。「ちゃんと中身で勝負できる人間になりなさい。」という言葉でした。」

ーどういう意味ですか?
「私ってすごく小さいんですね、身長的に。だから色んな人が私のことを助けてくれます。私はそれに甘えて自分で考えたり、行動することを怠っていました。

先生はそれを見抜いていたので「今後も見た目だけで判断されることがあるかもしれないけど、中身はしっかりとした芯のある女性になりなさい。」と伝えてくださいました。」

ーすごく刺さるお言葉ですね...!
「先生でこんなことを言ってくれる人ってほとんどいないですよね。本当に指導者に恵まれたと思っています。」

ー他に悩んだことはありましたか?
「たくさん悩みましたよ(笑)。「自分とは?」みたいな哲学的なことも考えました。正直マネージャーっていなくてもいい存在なんですよね。だから、どうやって自分の存在価値を見出そうか考えていました。」

ー答えは見つかりましたか?
「私は気が利くかどうかで言うと、気が利かない方なんですね。じゃあ、私なりにできることは何だろうと考えて出した答えが「1人1人とよく話して、1人1人を支えること」でした。

コミュニケーションを重ねることでその人その人にあった声かけをすることを心掛けていました。」

ーなるほど。大学受験はどうでしたか?
「現役の時は、周りよりもいいとこに行きたかったという理由もあって、前期は第一志望で阪大を受けたんですが、落ちてしまいました。それで浪人することになりました。

そして改めて、自分は大学に行って何がしたいのか?どんな場所に住みたいのか?を考えたんですね。考えた結果、留学制度が整っていて、住み心地のよさそうな北大に進むことにしました。」

新しいことに挑戦したい

姐さん最近

ー晴れて大学生になってからは何をしましたか?
「同じように野球部のマネージャーに入りました。ただ、ほとんどが高校の時にやっていたことの繰り返しだったので、正直物足りなさを感じてました。

「自分が成長できる環境ではないかもな」と思いながら毎日を過ごしてましたね。あと、女子マネージャーが意見を出すという環境がなくて。立場が明確に分けられている気がして、息苦しさも感じていました。」

ーそうだったんですね。
「はい。とりあえず部活は続けていたんですけど、2年生に上がって私の中で一つの大きなターニングポイントが訪れました。それはコロナウイルスです。これは多分私だけじゃないと思いますけどね(笑)。

コロナで一人の時間が増えたので必然的に自分と向き合う時間が増えました。

ー自分と向き合ってどんなことを考えたんですか?
「それまでの私は、集団の中でどう成長するかばかりを考えていたということに気付きました。その時、「もっと自分のためにも時間を使おう」と思ったんです。どんどん新しいことに挑戦しようと。」

ーどんなことに挑戦したんですか?
「ある先輩が紹介してくれたハルトプライズのイベントに参加してみました。簡単に言うと、英語でプレゼンするビジネスコンテストなんですが、私は軽いノリで参加したんですね。留学生と友達になりたいと思って。

でも、実際に参加してみたら、みんなが英語でビジネスについて話していて、「あ、ここは私がいるべき場所じゃない」と直感的に思いました(笑)。」

ー圧倒的アウェイだったわけですね。
「そんな環境だったので帰ろうとしたところ、1人の留学生が「私たち(留学生と日本人1人ずつ)と一緒にやろう」と誘ってくれました。もちろん自信もなかったし、力になれるわけもないので断りました。

そしたら、彼女から「自信がないなんて関係なんでしょ。やってみなきゃわかんないよ!」と説教を食らいまして(笑)。気付いたら一緒にやることになってました。」

ースポ根ですね。
「本当にそうですね。ただ、始めてはみたものの、やっぱりチームのみんなに付いていくのに必死だったので、全然チームの役に立てませんでした。でも、私にもできることがあったんですね。

私たちのチームは農業に焦点を当てていて、実際の農家さんの声を聞きたいので、ここで私が活躍できました。なにせ私は茨城の田舎出身なので、農家さんの知り合いがたくさんいましたから。」

ー自分にできることを見つけることができたんですね。
「ビジネスコンテストはそのままうまくいって終わったんですが、チーム(I’MPERFECT)の活動は今でも続けています。部活に関しては、チームのみんなと話し合って最近辞めました。

部活をやめてもいいと思えるほど、チームのメンバーと活動に対しての何かを感じれたんでしょうね。」

ー折橋さんにとって野球をやめるって相当大きな決断ですよね?
「そうですね。ただ、どうしてもウグイス嬢だけは続けたいと思っていました。そんな時にたまたまビラを配っていた石狩レッドフェニックスと出会いました。すごい幸運ですよ、本当に(笑)。

その後、代表の方に自分のことやウグイス嬢としての経験をプレゼンして、チームにボランティアスタッフとして入れてもらえることになりました。」

今後の展望とメッセージ

姐さん最近

ー折橋さんの今後の展望を教えてください。
「スケールの大きい話になってしまうんですが、私自身の今までの経験から「立場や性別によって差別されない世界」を作ることに貢献したいです。

私が意見を発言したり、積極的に行動をすることによって色んな人の行動するきっかけを作れたらいいなと思ってます。

あと、私はプロ野球でウグイス嬢をやりたいという夢を持っています。大人になってもその夢を捨てたくないです(笑)。」

ーでは最後に、想いはあるけど動きだせない大学生に対してのメッセージをください。
「「自信がないから」という理由で挑戦を諦めるのは本当もったいないことです。興味があるならやってみてから判断すればいいと私は思います。周りがすごすぎて自信を失っちゃうこともあるかもしれないけど、絶対に自分にしかできないことがあるはずなので。

「そんなことはわかっているけど行動できないよ」という方におすすめしたいのは誰かに相談することです。「良いからやってみなよ」と背中を押してもらうのが一番の原動力になりますよ(笑)。」





以上でインタビューは終了です。野球とビジネスコンテストの参加という大きな経験の中で折橋さんは自分にしかできないことを見つけてきました。自分には何もできないから、と諦めてしまうことはよくありますが、殻を破って自分なりの貢献方法を探してみる。この姿勢が人間を成長させるんだと気付くことができました。

折橋さんの人生を書いたこの文章から何かのきっかけを得てもらえたら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

取材・文:金子新太郎(FacebookTwitter

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