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短編小説

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これは短編小説を集めています。ちょくちょく更新するかもです。これ一個書くの大変だけど、結構頑張っているのでよく噛んでください。
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一日

一日

ジリリリリ… 少しうるさい。まるで汽笛みたいだ。この列車はいつになったら終着駅に着くんだ。何はともあれ、始発列車には乗らなければ。じゃないと。じゃないと?どうなるっていうんだ?…

疑問を持っちゃいけない。疑問を持っちゃいけない。疑問を持っちゃいけない。人生に意味なんて特にない。とにかく針に糸を通すように、始発列車に乗らなければ。もし乗り遅れれば、僕が自由の風に乗りこなすことは出来ない。自由を乗り

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オオカミだった少年

オオカミだった少年

とある少年の手記僕は狼だったのだ。何故そう思ったのかはわからない。しかし狼だったのだ。これは白昼夢でも、虚言でも妄言でもない。僕は狼だったのだ。狼だったころの記憶は存在しない。と言っても全くないわけではなく、朧気にその記憶が海馬を漂い、仄かな感覚が躰を蝕む害虫の如く僕の意識に一抹の後悔と一縷の絶望を這いずらせていることは間違いない事なのだ。

僕は此の事実を多くの人間に話した。これは別に英雄譚やコ

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