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齋藤孝の天才伝 シャネル

齋藤孝の天才伝 シャネル 人生を強く生きるための「孤独力」
齋藤孝・大和書房
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先日の「野口英世」の伝記が面白かったので、別のシリーズでかねてより気になっていたシャネルを読んでみました。これも子供向けなので挿絵も多くて文字も大きめで読みやすいですが、ちょっと著者の感想が間に多いかもなあ。好みもあると思うんですが、個人的には伝記って書かれた人物に没頭出来る方が面白さを感じます。
タイトルからおわかりかと思いますが、こちらの伝記「天才伝」てシリーズもので、偉人ごとに「○○力」とテーマを作っているんですが、それが本を読みやすくもしているけれど、人物の印象が狭くなってしまいもするなあと、そこは少し好みではないところでした。

こちらの本が2006年発行なのですが、女性の権利や在り方、書き方はここ10年でかなり大きく変わっているかと思います。なので、価値観や捉え方を更新した書かれ方の女性の偉人伝が、当時がどういった状況だったかの補足がついた形でどこぞで発行されてくれないかなとちょっと思ったりするわけです。

肝心の本の方なんですが、伝記て冒頭にしっかりと何をした人か、てのがわかりやすく書かれてる方がゴールが明確で面白いな、とちょっと思いました。わたしは読む前にシャネルが何した人かのアウトラインは知ってましたけれど、伝記てせいぜい「名前は知ってる」てぐらいの情報で読む子供が多くないですか?うーん、わたしが読み方を間違えてしまっただろうか…伝記と思って読まないほうがよかったのかも?著者の「読み解き本」か…そうか…そう思えばいいのか…
ここまでの文章でなんとなくお察しいただいたかもしれないんですが、わたしはこの本、ちょっと読みづらかったです。いや、シャネルの情報については多くて細かくて、彼女が世間に対して当時どのように異質で、それがいかにかっこよかったか、新しかったか、というのはとても良くわかるんです。ただ情報がぶつ切りすぎるのと、本文に太字が多すぎるのとで自分の感想を作りづらいし、シャネルの気持ちを想像すればいいのか、まわりの人の気持ちを想像すればいいのか、著者の視点を想像すればいいのか、とにかく頭がつるつると滑ってしまうといいますか…ちょっと読むのが難しかったです。
※本としては読みやすいんですが、わたしが楽しんで読むのが難しかった、ということですね

冒頭にも書いた通り、「○○力」とテーマを立ててしまったことで描き方がかえって狭まってしまったりいびつになってしまった部分も感じました。そういう意味では企画ものとして書かれてない形でもう一度読んでみたくありますね。また別の人の、ファッションもしくは女性史としてのシャネルの書かれ方のものもいずれ読んでみよう。うん。

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