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私のDisenchanted⑤|「愛」という強大なエネルギーの魔法

①はこちら>>私のDisenchanted|原題は「?」を忘れてる

この強力な「思い出の魔法」については、はじめ「ん?」と引っかかってしまった。
なぜなら、前作では”この世で一番強い魔法”として語られるのは「真実の愛のキス」だったはずだ。
しかし、ちゃんとこの物語の中では、その「思い出(想い)」が真実の愛に通じるものだと描かれ、メインテーマ曲として、イディナ・メンゼルが歌い上げてくれる。

「愛」とはなんだろうか。
前作では「真実の愛のキス」と言うことで、恋愛感情としての「愛」という意味に留まってしまった。

愛、というものはどうにもロマンティック・ラブという意味だけで取られがちだが、日本語で言えば「家族愛」「友愛」など、本来「愛」というエネルギーが多様な意味と役割をもつ、とても万能で強力なパワーを持つものだということは、誰もが実感として知るところだと思う。

それをもし言語化するとするなら、『魔法にかけられて2』ではジゼルとモーガンの間に育まれた”愛”を描くことで説明した。

映画の中では「魔法の思い出の木」の存在から、その魔法は木の形をとる。
もしも、人の中に溢れるエネルギーが木という形を成したとしたら。それはきっと、たくさんの人から想いを注がれ、蓄積していった想いが育む木になるだろう。
モーガンがそうであったように、この現実世界の中に生きる人の中にも当然、その木は育っている。

愛は育むものだ。人の想いを、植木に水をやるように。
ときにやりすぎては根を腐らせてしまうから、エゴイスティックにやりすぎないように、その木の状態を見て、注ぐ。
お互いにそうして、人の中に愛を育んでいく。
それはとてもとてもパワフルで、魔法を可能にする。

作中これらを「愛」と呼ばずに「魔法」と呼ぶことは、言葉がもつ偏ったイメージを介さずに、純粋な意味を伝える、それこそディズニーという背景を持つからこそ意味を深められたチョイスだったと思う。

また案外スルーできないのは、「思い出の魔法の”木”」であること。
木をイメージの根幹においたので『真理』に近い印象がある。

ジゼルとモーガンの間にあるものを描くにしても
「木」は家系図などでも描かれることが多いことから、やはり「家族」「一族」というものを象徴する。
血縁に関わらない強い関わりを”育んだ”とも言える。
「木」はルーツであり、本当の自分を表すものにもなっている。
だからこそ、ジゼルは「あなたは私の娘だから」と、母親が願い続けた「我が子が健やかで、幸せで、彼女の願いが叶いますように」という想い(魔法)を伝えるシーンが浮かび上がってくる。

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