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弱者を次々とモルモット代わりに…!

タイトル:(仮)弱者を次々とモルモット代わりに…!マッドサイエンティストの哀れな末路と権力の正義

1行要約:
権力が自殺希望者をモルモットにした果ての物語

▼登場人物
●泥田科人(どろたかひと):男性。40歳。政府お抱えの最高ポストに就く生命医学者。権力欲しさにマッドサイエンティストの気質を持ってしまう。動物のモルモットばかり使って医薬品~化学兵器の実験をしていたが、生身の人間を被検体にしなければ正確なデータが得られない事に気付く。
●剛田剛人(ごうだたけと):男性。65歳。政治家。かなりのお偉いさん。泥田に医療発展の為の依頼を沢山する。
●木世輪那男(きよわなお):男性。18歳。家庭環境最悪で、就職も上手く行かず自殺願望あり。
●A~H氏:10代~30代の男女9人。全員、自殺願望あり。理由は様々。全員、SNSサイト「ヘブン鉄道」の投稿者。
●現(うつつ)エラ:女性。30代。スピリチュアルカウンセラー。SNSサイト「ヘブン鉄道」の事を泥田に教える。泥田の欲望・権力欲から生まれた生霊のような存在。

▼場所設定
●外見世研究所(そとみせけんきゅうじょ):医薬品から化学兵器の人体実験が行われている。政府が極秘で運営する研究所。
●バー「Switch(スイッチ)」:エラの行き付け。高級でかなりお洒落な感じ。

NAは泥田科人でよろしくお願いいたします。

オープニング~
 
エクソちゃん:ねぇデビルくん、今の日本でさ、人体実験って行われてると思う?
デビルくん:人体実験だぁ?
エクソちゃん:そう、ほらナチスの時代でもよく見られて来たけどさ、医薬品の効果を試す為だったり、化学兵器の実践度を試すだったりさ。ああいう目的でよく人間がして来たじゃない?
デビルくん:なぁるほどねー。うーん、でも現代の日本じゃ、ンな事もうやってねーんじゃねぇの?
エクソちゃん:だよね。普通そう思うよね?でもさ、国家権力ってのはやっぱいつの時代でも〝闇〟の部分を作っちゃうモンでね、そう言う非人道的・背徳的な事が知らない内に起きてないとも限らないのよね。
エクソちゃん:今回のお話はね、そういう国家権力の闇に少し関わったストーリーなんだけど、とあるマッドサイエンティストに訪れた悲劇と言うか幸福と言うか、結果的にはちょっと胸糞悪くなるような、そんな結末を招いちゃった感じなの。
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)

メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4190字)

ト書き〈外見世研究所で医薬品の実験中〉

泥田)「駄目だ!やはり生身の人間を被検体にしないと効果が判らない…!」

NA)
俺は泥田科人(40歳)。
この外見世研究所で働いている。
この研究所は政府お抱えの生命医科学研究所。
国の未来を左右する、あらゆる科学分野に精通したトップクラスの施設だ。

剛田)「やぁ泥田君。やっとるかね?」

泥田)「あ、これは剛田先生…」

NA)
この人は剛田剛人(65歳)。
政治界でも最高クラスに座するお偉いさん。

剛田)「この前、政府から直々に依頼した新しいウィルス除去の為の試薬品、あれはどーなっとるかね?高官の面々も吉報を待っとるのだよ?」

泥田)「は…そ、それがまだ…」

NA)
ウィルス除去…人体から新型ウィルスを完全に駆除し、更に体内でウィルスへ抗体を具えさせる実用的な薬品の開発に俺は取り組んでいた。

剛田)「困るよ君。莫大な金を費やして何の為にこんな専用施設まで与えてやってると思う」

剛田)「今回の研究で何らの成果を出せば、以前に言った通り、君の出世は約束する。これまで以上のポストを用意し、君の一生を面倒見てやる。いいな?期限は今月末だ。それ迄に必ず成果を挙げろ」

泥田)「は…はい!必ず…!」

NA)
俺は子供の頃から純粋に科学者になりたかった。
しかし、どうせ成るなら世界的に有名な学者になりたい…という野望を抱くようになったのだ。

ト書き〈バー「Switch」で飲みながら愚痴〉

泥田)「ああは言ったものの、今の状況で成果を挙げるなんて無理だ…!もう動物の生体じゃ確かなデータが得られない。これ以上は進めない…」

泥田)「今回の医薬品は副作用がどんなものか、動物の生体では検証できない…。どうしても人体を用意しなければ…。くそ、俺の出世もここまでか…」

エラ)「こんばんは。なんだか荒れていますね?」

NA)
独りで愚痴を吐いていた俺の横に、いつの間にか美しい女性が座っていた。

泥田)「え…?な、なんだ君は…」

エラ)「失礼、私こういう者です」

NA)
彼女は名刺を差し出した。

泥田)「…『科学者・芸術家を支援するスピリチュアルカウンセラー』…現(うつつ)エラ…?」

泥田)「…ヘン!俺の悩みはね、カウンセリング受けたぐらいでどうこう出来るような、そんな甘い代物じゃないんだよ。ほっといてくれ…」

エラ)「まぁそうおっしゃらずに。あなた、今、お薬開発の為の実験材料が無くて困っておられるんじゃないですか?或いは環境設備が思うように整っていないとか…」

泥田)「…な、何故それを…?」

NA)
正直、驚いた。
エラは初対面で俺の心を見抜いた。
俺はこの時少し、彼女の言葉に耳を澄ましてしまった。
お互い改めて自己紹介し、俺は心の正直や悩みをエラに打ち明けた。

泥田)「…研究に今、モルモットを使ってるんだ。まぁ映画やドラマでもよくあるでしょう。アレと同じです。でも俺がいま取り組んでる研究ではもう、モルモットなんかの人間以外の動物の生体じゃ研究が進まないんだ…!」

泥田)「覚醒時の人間…睡眠時の人間の生体反応…そういうリアルな人間の生体から得られるデータがどうしても必要なんだよ…!」

エラ)「なるほど。実験材料に『生身の人間』が欲しいと…こう言う訳ですね?」

ト書き〈SNSサイト「ヘブン鉄道」を教える〉

エラ)「わかりました。あなたのお悩みを解決して差し上げましょう」

泥田)「…え?」

エラ)「このメモリーカードを差し上げます。中に『ヘブン鉄道』というSNSサイトのアドレスがあります。そこにアクセスしてみて下さい。きっとあなたの理想は叶えられ、悩みは解決するでしょう」

泥田)「『ヘブン鉄道』…?」

エラ)「ええ。あなたにとってはお宝になるでしょう。但し、いいですか泥田さん。1度そのSNSサイトを利用すれば、あなたはもう元の生活には戻れません。その覚悟がおありなら、どうぞご利用下さい」

泥田)「…」

NA)
俺はエラと別れ、早速、研究所に戻った。

ト書き〈研究所〉

泥田)「さぁこれから泊まり込みだぞ。取り合えず、確認してみるか…」

ト書き〈自殺願望者が集まる極秘サイト〉

NA)
俺はエラがくれたメモリーカードの中身を確認した。

泥田)「ん?…な、なんだこりゃ!?」

NA)
そのSNSサイト「ヘブン鉄道」は、自殺願望者が集まるサイトだった。

泥田)「…もしかしてあの女、この中から実験体を選出しろってのか…?!冗談じゃない!そんな事すりゃ一発でアウトじゃねぇか!何考えてんだ!」

NA)
俺は呆れながら名刺の裏を見た。
電話番号があった。
俺は文句の1つも言ってやろうとつい電話した。

ト書き〈電話〉

泥田)「おい!俺だよ泥田だ!何だよこれ!こんなの使えるワケないだろ!」

エラ)「ご確認されましたか。フフフ、大丈夫ですよ。そのサイトは極秘のサイトです。詰り世間には公表されないサイトです」

泥田)「いや、だからって!アンタきっと、この中から被検体を選べって言ってんでしょ?!そんな事すりゃね、すぐ警察に捕まってオジャンですよ!」

エラ)「それをご心配されてるんですね。大丈夫です。そんな事になっても、あなたは政府の権力により守られるでしょう。決して捕まる事はありません」

エラ)「まぁ騙されたと思って…。でも必ずあなたの夢は成就します」

泥田)「な…なんだと?!おい!」

NA)
いきなり電話は切れた。

ト書き〈剛田に追い詰められる〉

剛田)「おい泥田君!もう期限は1週間後だぞ!それまでに成果を挙げられんとなると、君は全てを失うぞ!早いとこ成果を見せろ!」

泥田)「そ…そうは申しましても…。実は私、こんなものを持ってるんですが」

NA)
俺は出世欲に心と目が眩み、ついエラに渡されたメモリーカードの中身・SNSサイト「ヘブン鉄道」を剛田に見せてしまった。

剛田)「な、なんで君がこれを持っとるのかね?!」

泥田)「え?」

NA)
剛田はまさしくこのサイトを知っている反応を見せて来た。

泥田)「(あの女が言った事…嘘じゃなかったのか…)」

剛田)「まぁいい。いずれ君に教えようとしていた情報だ。これで解決するな」

NA)
剛田はそう言って、ニヤリと笑った。

ト書き〈翌日から〉

NA)
俺はGoサインでも出たかのように、早速「ヘブン鉄道」の利用を開始。

泥田)「どうやらエラの言ってた事は本当だ。剛田の奴もこのサイトを知っていた。これはGoサインだ!やってやる…!やってやるぞ…!」

NA)
自殺願望の書き込みを適当に見て行く内に、木世輪那男というハンドルネームか本名か判らない奴の投稿が目に付いた。
俺は早速そいつにメッセージを送り、「一緒に夢を叶えよう」等の言葉を含め、とにかく会えるように話を持って行った。

ト書き〈研究所にて人体実験〉

木世輪那男)「あ、あの…初めまして…」

泥田)「やぁこんにちは。どうぞお楽に」

NA)
彼はまだ18歳。
家庭環境が劣悪で、就職も恋愛も全く上手く行かず、ずっと前から自殺を考えていたと言う。
俺はそんな彼の心を優しく抱擁する振りをした。

泥田)「さ、これを飲んで少し落ち着き給え。心が癒されるだろう」

NA)
そう言って渡した飲み物は、いま開発中の試験薬。
ウィルス除去の為の薬だが、その副作用は全く知られていない。
飲んで5分後、彼は吐き気を催した。
俺はすぐに彼を諭し、別の試験薬を静脈注射した。
そして彼を眠らせた。
今度は「睡眠時の人体にどう影響するのか」というデータが必要な、別の試験薬を点滴にて投与した。

ト書き〈死亡〉

泥田)「ふぅ…。やはりダメだったか。まぁいい。生身の人間を被検体にしたお陰で、かなり正確なデータが採れた」

ト書き〈A~H氏の人体実験→1人だけ生き残るが植物人間に〉

NA)
それから俺は次々と「ヘブン鉄道」から被検体を募った。
もともと自殺希望者だけだから、甘い言葉を掛ければ簡単に会いに来る。

(実験内容と結果)
A氏(10代/男性/学生):ウィルス感染した細胞を除去し、別の細胞を体内で再生させる医薬品を投与→死亡。
B氏(20代/女性/会社員):ウィルス抗体を体内で造り出す試験薬を投与→死亡。
C氏(20代/男性/無職):既存ウィルスを投与し抗体への活性を測る→死亡。
D氏(30代/女性/フリーター):B氏に行なった実験内容の再試行→植物人間に。
E氏(10代/男性/無職):C氏に行なった実験内容の再試行→死亡。
F氏(30代/女性/無職):A氏に行なった実験内容の再試行→死亡。

ト書き〈剛田が進捗を確認に来る〉

剛田)「やっとるねぇ。結構、結構。ついては泥田君。今度は医薬品に加え、こちらの条件を満たす化学薬品を開発し給え」

NA)
人体実験をし始めてから以降、目覚ましい程の研究データが集まった。
遅々として解明できなかったその研究結果を瞬時に解いてしまう。
まさにそんな感じだ。

泥田)「わかりました。きっと今後の成果にも繋がる事でしょう」

NA)
その後、G氏とH氏には化学薬品の実験を行なったが、揃って死亡した。

ト書き〈遺族が糾弾〉

NA)
その後、被検体となった者達の遺族が立ち上がり、裁判を起こそうとした。
しかし…

政府関係者)「そのような事実は一切ございません」

NA)
先ず政府関係者の声明が出され、俺と剛田の身柄は徹底して保護された。
そして被検体となった者達には全て「事故死」とその経過が政府の裏組織によって用意され、どこをつついても「人体実験」「殺人」「殺人教唆」等の疑いが出ないよう秘策が練られた。
結果「証拠不十分」とされ、裁判に向いた遺族全ての努力は虚しく散った。

泥田)「ハハ…はーはっは!これで俺はやりたい事が今後も自由に出来る!科学者として最高のポストも用意された!俺の未来は永劫に安泰だ…!」

NA)
その後も俺は外見世研究所にて、科学部門の最高責任者を任された。
警察は初めから事なかれ主義を貫くように、ずっと沈黙していた。

ト書き〈外見世研究所を外から眺めながら〉

エラ)「また人体実験しているようね。泥田さん、これであなたはもう元の人生に戻る事は無い。あなたはまだ気付いてないようだけど、必ず殺された者達からの報いを受ける事になるでしょう」

エラ)「私は泥田科人の欲望と夢から生まれた生霊。彼の理想を叶える為に悩みを解決し、この世でのステータスを用意してあげた。でもどんな人にも人生の終りが来るのよ。その最期の審判で、あなたはきっと裁かれる」

エラ)「未来永劫に今のステータスが続くなんて、そう思ってる所にあなたの取り返しの付かない未熟さがあったわね」

エンディング~
 
エクソちゃん:まぁ~今回もエゲツナイ話だったわね~。全く何考えてんだろうねこういう人種って!幾ら自殺希望者だからって、その人達の命を奪っていいなんて道理どこにも無いわよね!
デビルくん:そりゃそうだな。でも人間界じゃそういうのが普通に横行してんだろ?
エクソちゃん:そうなのよね!そう言う事するって段階で、ホントに良心の呵責とか微塵も無いのかしら?こういう事できる人達って!泥田とか言うこの男は名前通り、完全にマッドサイエンティストね!
デビルくん:良心の呵責ねぇ。ま、そういうのがほんの少しでもありゃ、こんな事件めいた事ぁ起こらないんだろうよ。どっか心の中の神経がマヒしてんだろな。
エクソちゃん:そんな事で済む問題でもないんだけどね!
エクソちゃん:でもこういう事がもし今回のストーリーみたいに罷り通るような世情になったら、ホント、世の中どーなっちゃうんだろね。
デビルくん:まぁ人間としちゃ、そうならねぇ事を祈るのみだな。
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)

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