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現行犯容疑で逮捕する!

タイトル:(仮)現行犯容疑で逮捕する!

▼登場人物
●十和田百合子(とわだ ゆりこ):女性。39歳。バツイチ。前の夫は事故で他界(何者かに殺されていた)。夫は元弁護士。
●横島義文(よこしま よしふみ):男性。40歳。警察官。優しい。百合子の夫(でもこれは見せ掛け)。
●真犯人にされた男:男性。40歳。4年前に百合子の夫を(百合子と結託して)殺す。でも本当に刃物で殺していたのは百合子(これを隠蔽する形で)。
●警察:一般的なイメージでお願いします。

▼場所設定
●百合子と義文の自宅:都内にある一軒家のイメージでお願いします。
●街中:必要ならで一般的なイメージでOKです。
●百合子の夫の事故現場:山道から転落した崖下。夫は焼死体で発見(でも刃物傷があるのを警察は判明させていた)。

NAは十和田百合子でよろしくお願い致します。

イントロ〜

男というものは暴力的な生き物。
女というのは裏切りの生き物。
さて、どちらが怖いでしょう?
現実に手を当ててみて、ゆっくり考えてみて下さい。

メインシナリオ〜

ト書き〈結婚式〉

「おめでとう〜♪」

百合子「ありがとう〜♪」

義文「いやぁ、みんなどうも有難う」

私の名前は十和田百合子から横島百合子に変わったところ。
そう、横島義文さんと言う人と結婚したから。

実は私にとってこの結婚は2度目。
前の夫は今でも忘れられない、忌々しい事件に巻き込まれて殺された。

義文「百合子、もう僕と一緒になったんだから、これからは怖い事は無いからね。どうか安心して、君の人生を僕に任せてくれないか」

百合子「…うん。有難う、そうするわ。ずっとそばに居てね」

義文さんはとにかく優しい。
それには理由(わけ)があり、彼は元警察官で、
私の殺された元夫の捜査を当時、担当していた。

あの事件は本当に悲惨なものだった。

夫はいつも使っていた車に細工され、
ブレーキが掛からない状態にされており、
それに気づかず坂道を降りていた夫は
そのままカーブを曲がりきれず崖から転落。
死体は焼死体で、ほとんど夫の見分けもつかない程
悲惨なものだった。

夫は殺されたのだ。
それまでに脅迫の電話が何度もかかってきていた。
もちろん警察にも言ったが犯人の居所は掴めなかった。

脅迫の内容は、弁護士をしていた夫への逆恨み。
前科者の犯行だと警察は当時見ており、
夫が担当したクライアントの中から
犯人らしき人物をピックアップしていたらしいが
それでも犯人は見つからなかった。

そして私がその時あまりにも落ち込んでいたのを見、
義文さんは警察ながら私の事をいつも気にかけてくれ、
私が泣き止むまでそばに居てくれた。

簡単に言えば、そこから愛が芽生えたのだ。
でも、その脅迫電話はいまだに続いている。

ト書き〈現在、自宅〉

(電話)

百合子「あ、あなた…もうやめて!あなたは一体誰なの!?夫を殺した上に私まで…?いい加減、私の前にちゃんと姿を見せたらどうなの!」

また脅迫電話がかかってきた。

義文「僕が先に出るべきだった。…大丈夫かい?」

百合子「え、ええ…」

義文「大丈夫、そのうち必ず捕まるから。電話が鳴るたびに怯えるような暮らしはもう嫌だからね」

百合子「ええ、そうね…」

警察は今でも常に監視を続けてくれていたが、
今の電話は急にかかってきたので逆探知もできなかった。
犯人は1つ所に留まらず、
至る所から電話をかけてくる。

警察は私を保護する上で、犯人の居場所を推定し、
そこで特定したエリアには絶対行くな…
と念を押す形で言ってくれたが、それでも犯人は捕まらない。
おそらく夫を殺したその犯人は、
こういう事に精通している犯罪のプロ。

私はもう度重なる脅迫に、
精も根(こん)も尽き果てる程に衰弱していた。

ト書き〈数週間後〉

それから数週間後。
せっかく幸せに結婚できたのに、その幸せは長く続かなかった。

百合子「もう!本当に警察は何してるのよ!いつになったら犯人捕まるの!?」

義文「落ち着け、落ち着くんだ百合子!」

百合子「もうこんな生活は嫌よ!せっかくあなたと結婚できて、これから幸せにやっていけるかな…なんて思っていたのに!あいつが居る限り、私の人生に幸せなんてやってこないわ!私と関わる人にも幸せなんてやってこないわよ!」

義文「落ち着くんだ、そんな事は無い。必ず犯人は捕まる。俺達は今幸せの方向へ向いて歩いているんだ。俺達がそう信じないで一体誰が…」

私は大泣きに泣いた。
義文さんは私の肩を優しく抱いてくれ、
「必ず奴は捕まる、絶対そのうち警察が捕まえるから」
と何度も言ってくれた。

義文さんはもう今警察はしておらず、別の仕事についている。
友人のツテを辿ってジャーナリストになっていたようで、
都内の出版社で働いている。

警察としてではなく、1人の人間として私と結婚したい…
そう言ってくれてから彼は警察を辞め、
今のその仕事に転職していた。

ト書き〈更に数ヶ月後〉

そしてそれから、更に数ヶ月後の事だった。
事件が思わぬ展開で、私達の目の前に現れたのだ。

百合子「早く撃って!!そいつを撃ち殺してぇ!」

その時、私達の家を警察が包囲していた。
理由は、家宅侵入の形で真犯人が私の目の前に現れていたから。

私は無我夢中で奴から逃げて、家の物を必死で投げつけ、
用事で家を出ていた義文さんがもうすぐ帰るから…
と言ってくれたのを心の支えに、
彼が戻って来るのを心待ちに待ちながら、
闇雲に犯人と格闘していた。

この犯人は、私が家に1人になるのを狙って待っていたのだ。
そして義文さんは状況を察知してくれた上、
自宅までの帰路を急ぎながら警察にも電話してくれ、
義文さんと警察が我が家に着いたのはほぼ同時。

そして警察が私達の家の周りを包囲して、
私に襲いかかろうとしていたその犯人に銃口を突き付けていた。

百合子「早く撃ってえ!あたし殺される!」

真犯人(愛人)の男「な、何言ってるんだお前!?」

その私の声に驚いたように銃声が鳴り、
私に掴みかかっていたその犯人は床に倒れた。

百合子「ハァハァ…」

義文「百合子、大丈夫か!?怪我はないか!?」

義文さんはすぐに私の元へ駆け寄ってくれ、
また優しく抱擁してくれた。

百合子「あ、有難う…。だ、大丈夫…」

私はほぼ放心状態。
まさか本当にあいつが我が家に乗り込んでくるなんて…。

それが信じられないと言った表情で、
私はただ一点を見つめていた。

ト書き〈奇妙〉

でも、それから奇妙な事が起きた。

銃弾に倒れたその犯人の身元を洗う内、
その犯人と夫との接点が幾つか明るみに出ながら、
私とその犯人の接点も幾つか浮上したらしいのだ。

警察「もう1度訊きます。あなた、この男と本当に何もなかったんですか?以前にどこかで知り合っていたとか、あなたの元旦那さんを交えて交友関係にあったとか?そういう事はなかったですか?」

百合子「…だから何度も言ってるじゃないですか。私とこの男は直接会った事は1度もありません。交友関係どころか、私にとっては恐怖の存在でしかなかったんですよ…?警察はあれだけ杜撰な捜査をしておいて、今度は私を疑おうってんですか?」

警察の目が、私を疑っている。
私は何が何だか分からず、正直を言うしかなかった。

百合子「義文さん!この人達、もう追っ払ってよ!冗談じゃないわ!せっかく脅威が去ったと思ったら、次はこんな形で私を攻めてくるなんて…!早く追っ払って!」

義文「百合子…」

義文さんも私に同情してくれたようで、その日は警察も帰ってくれた。

(少ししてから:真相が分かる)

でも、本当の恐怖はそれからやってきた。

百合子「よ、義文さん…?あなたまで、何言うの…」

義文「あの時、どうも引っかかってた事があったんだよ。僕が元警察官で、情報収集を担当していた事は君も知ってたね?その時に分かった事だが、君、やっぱりあの男と知り合いだったろ?」

義文「さっきも君が、あの男を家に呼び付けたんじゃないのか?あの男を消す為に。君とあの男との関係を示す証拠がやっと見つかったんだよ。それもつい数日前にね」

そう言って義文さんは、
懐から1枚のメモ用紙のようなものを取り出してきた。

義文「君が何日か前に、焼却炉で焼こうとしていたこの手紙。その内の1枚を君は庭に落として気づかなかった。それを僕が拾って今まで隠していたんだ。…君と、あの撃ち殺されて真犯人にされた男は、愛人関係にあったんだろう」

百合子「…なに言うのよ…あなたまで…」

義文「愛人の男にとって君の夫が邪魔になり、その事を君に伝えたら君もそれを承諾し、それから2人で手に手を取って計画して、夫を事故に見せかけて殺害した。車に細工をしていた時、君もすぐそばに居たんじゃないか?」

百合子「そ、そんなの、見た訳でもないのに…全部、あなたの憶測でしょ…?」

義文「そして口封じの為、君は真犯人に仕立て上げたあの男まで警察に殺させた。事件はたった4年前のこと。極秘捜査はまだ続いてるんだよ。焼死体になった君の夫の体から、刃物傷が出てきてね、それを警察は隠して捜査していた」

義文「焼死体になったから、そんな傷も出てこないと君達は踏んだんだろう?全く素人考えだ。全ては真犯人を捕まえる為の事」

そう言って義文さんはもう1つ、
懐から或る物を取り出し私に見せてきた。
それは警察手帳。

百合子「あなた…まさか…」

義文「そう、僕はまだ警察を続けている。ジャーナリストは嘘。何かに猪突猛進になった犯人は、外野の事に疎いと見える。もし君がこんな事件を起こしていなければ、すぐにでも気づいたろう。僕まで丸め込もうとしていた君の盲点が、今現れたんだ。唯一の我々の失点は、あの共犯者の男を撃ち殺してしまった事。まぁこういう事もあるだろう」

義文「そして君達はそのあとで一緒になろうとしたが、僕が現れたから計画を変更し、全てを終わらせてから自由の身になろうとした。そのとき君は彼と一緒ではなく、自分1人の自由を考えていたんだ。まだ他に犯人が居るように見せかけ、あの時と同じように彼に脅迫電話をかけさせ、警察が彼の居場所を特定する前に君から彼に連絡し、彼を上手く逃していた。そんな事も知らないと思っていたのか?唯一の協力者だったあの男まで裏切って殺し、自分1人だけの幸せを願おうなんて、女というのは恐ろしいもんだね…」

百合子「うわあああ!!殺してやる!殺してやるう!」(男の様なドスのきいた声で襲い掛かる)

ちょうどキッチンに立っていた私は手元にあった包丁を取り、
それを持って義文に襲いかかろうとした。

その時、バン!と家のドアが開いて数人の男達が乗り込んできた。

警察「十和田百合子、4年前の夫殺害の容疑と、今ここに居る彼を殺そうとした現行犯容疑で逮捕する」

動画はこちら(^^♪
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