大人になって子供になろう
タイトル：大人になって子供になろう
俺はミスターチルドレン。
大人になって、子供になることができるんだ。
つまり成長しても子供のままと言うこと。
これがどんな特典を引き出すかと言えば…
（森）
「あは、やっぱりいてくれた♪トトロ！」
トトロを見ることができるのだ。
「そんなもんが一体何の役に立つんだ？」
「写真でも撮れば金儲けできるんじゃないか？」
「いやいや純粋に見ろよ」
「アニメの世界を生きてるようで楽しいじゃないか」
いろんな意見が飛び出るだろうが、
俺はただ純粋にトトロが見たかっただけ。それだけ。
そうしてトトロを目の当たりにしていた時、
「でも確かに写真に撮ってお金儲けできるって良いよな…」
と思った瞬間、
「あ、消えた」
「いやいや純粋に見るんだよ。俺は大人になって子供になることができるんだ。だからまた…あ、いた」
トトロが出てきてくれた。でも…
「…なんで大人になってトトロが見れるんだろう…」
そう考えた瞬間、
「あ、また消えた」
どうも、合理的になるといけないらしい。
「合理捨てる！だから出てきておくれ♪僕は君を信じてるんだ」
「君をもっと近くで感じてたい。君だって実はそうなんだろう？」
「そうだよ、僕たち友達になろう」
純粋に戻ると、
「あ、出てきてくれた」
でもこれはトトロじゃないよね、なんて思いながら
自分を騙し騙しピュアに仕上げていると、
謎の男「なぜ見えるか教えてやろうか？」
「ギョッ！き、君は誰だい？」
いきなり森奥から、変な男が現れた。
トトロもいるぐらいだから
こんな男がいても不思議じゃない。
なんて思いながらその理由を聞いてみると…
謎の男「それはね、君が子供返りして、精神が幼稚になってるからだよ。以上」
「…………」
「幼稚」と言うのに少しムッときたが、
でもそうしてトトロが見れるならそれでも良い、
なんて自分の中で解決をつけ、
あっと言う間に消え去った
その男の余韻を見送っていた。
そう、確かに俺は幼稚な男と散々言われてきたのだ。
幼稚というのは世間じゃマイナスに見られがちだけど
こうした特典だってついてくるんだ。
俺が幼稚だったおかげで、
今生きている多くの日本人の忘れ物を
俺は心の中にしっかり持っていたような、
そんな気がしてうれしくなった。
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