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ダブルキャラクター

タイトル:ダブルキャラクター

イントロ〜

皆さんは、誰かの家に侵入したことがありますか?
あるわけないですよね?
ですが子供の頃はそういう事があったかもしれません。
まだ善悪の区別がつかない子供の時、
架空と現実とを混同する子供の時。
そう言う時は特撮やアニメの中の現実と
自分が今体験しているこの現実とを混同させてしまい、
例えば他人の家に入ったとき、
それを探検のように感じてしまう事もあるのでしょうか。
でもそれを大人になってしてはいけませんね。
もしそんなことをすれば、今回ご紹介するような
悲惨な結末を迎える事になるかもしれませんから。

メインシナリオ〜

ト書き〈侵入先の家にて〉

俺は今、ずっと追い続けてきた、心の恋人の家に侵入している。
俺は侵入の名人だ。この道のプロであり、
誰になんと言われてもこの厳粛な儀式をやめる事はせず、
法に訴えられても自分の信念を貫き通し、
とにかく心の恋人…それと決めた相手の事を想い、追い続けるのだ。

今俺が侵入しているこの家の持ち主・心の恋人は、
これまで巷で見掛けたどんな女より絶世の美女。

いつかその内こいつの心を射止め、俺のモノにしてやる。
そんなことを思いつつ、俺は今日もこの部屋のクローゼットの中から
こいつの日常風景を眺めているのだ。

彼女の名前は輪抜井 照美(わぬい てるみ)。
何をしても美しく、立ち振る舞いから座ってる姿までが美しく可愛らしい、
俺の心を射止めて放さない人。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
こんな言葉もあったっけ。
それを地(じ)で行くようなヤツだ。

朝ご飯はいつもクロワッサンにコーヒー。
それにサラダなんかちょっと添えて、一昔前の
キャリアウーマンの生活をそのまま再現してる。
これも俺の好みそのもの。

入浴は夜より朝に入ることが多いらしく、
朝シャン派のコイツはいつも髪の毛をふんわり匂わせ、
ここに居たってその匂いがほのかに漂ってくる。  

俺はこの道のプロだから、クローゼットにずっと入ってても気づかれない。
こいつの注意を上手くかわしながら、
巧みに自分の居場所を変えたり
侵入・退出経路を変えたりして、
これまでずっとバレずにやってきているのだ。

「グフフ、でもまぁそろそろこいつの前に現れて、
俺の気持ちをそのまま体に教えてやっても良い頃かなぁ」

そんな事も思いつつ、こいつの日常を
いつも通りに見ていた時の事だった。
ある日からこいつは、いつもの生活を変えたのだ。

「ん?なんだあれ?」
ホームセンターでいろいろ買ってきたようで、
部屋のレイアウト品なんかを作り始めていた。

そう言えばこいつは部屋のレイアウトをするのが好きだった。
それを思い出しつつ、
「なるほど。またDIYを始めたってわけか♪」
とやっぱりこいつの生活を見るのに楽しみを覚えていた俺。

そんなある日。いつものようにこいつは出掛けた。
部屋のドアがちゃんと閉まり、鍵を閉める音までちゃんと聞こえて、
それを聞き届けた後、俺はいつものようにクローゼットから出てきて、
こいつの私物を物色し、こいつが使ってた日用品なんかを手に取り眺めたりした。

これも侵入者&ストーカーの俺にとっては、何よりの楽しみ♪

そうしていつものお楽しみに興じていた時、
玄関の方から「フサ…」という音が聞こえた気がした。
もしかして誰か来たのか…?
俺の同業者でも入ってきたのか…?

そんな事まで思った俺は、
とりあえずいつもの安全地帯・ベランダに身を隠し、
事の成り行きを眺めた。
こんな時、クローゼットには入らない。
いつでも逃げる経路を確保しなきゃならないからだ。

でも、静かに成り行きを眺めていても何にも起きない。
多分気のせいだ。風か何かでタオルでも揺れたんだろう。

そう思いつつ俺は又部屋に戻り、とりあえず玄関の様子を見に行った。
ドアちゃんと閉まってる。鍵も掛けられたまま。チェーンまでちゃんと掛けられていた。
「フフ…気の遣いすぎだ。俺も焼きが回ったもんだなぁ」
そして玄関に居た時、次はさっきまで居たリビング、
特にベランダ付近の方から何か音が聞こえた気がした。

少し気をおおらかに持った俺は又リビングの方へ戻り、
ベランダの戸をふとなにげに確認してみた。
「…あれ?俺、カギ閉めてたっけ…?
ベランダの戸の鍵が二重ロックにされてある。

それを確認した直後、俺の背後に猛烈な人の気配が漂った。
「ふあっ…!」と言うため息に似た人の声とともに、
俺の脳天にノコギリが振りおろされた。

その瞬間、走馬灯のように理解が追いつく。

このノコギリ、あいつがDIY用にホームセンターから買ってきたやつだ…あれカモフラージュだったのか…

この結果に落ち着いたってことぁ、その道具は俺をヤルため…?

こいつ出掛けてた筈なのに、内側からチェーンロックが掛けられていたのはやっぱりおかしかったんだよなぁ…

こいつ、出て行ったふりして部屋の中に居たのか…

ベランダの戸の鍵はやっぱり閉めてなかったんだよな…

てことぁこいつの方が俺より1枚上手(うわて)だったってか…?(笑)

美しい花には毒がある…こんな事まで学んだ俺。
少し学びの気づきが遅かった気もするがw

動画はこちら(^^♪
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