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「バラエティ・バラード。」~10代から20代に書いた詩

「バラエティ・バラード。」
古くから語りつがれている叙情詩は、いつしか人間の背後から襲ってくるようになった。その背後から呟く言葉とは人間が生んだもの。“天井に向かってツバを吐く”とはこのことか。それらはいつもはじめだけ楽しさを与えてくれる。その言葉たちがウラハラになるのは世間がかわってゆくから、本来汚い人間がつい美談をほざいてしまうから?かと言って無言のままでは歴史は生まれなく、そこで人間はきっと美談のツケをバラエティとしたのだ。かげろうみたいな命で、すぐに消える言葉を、バラエティ番組でほざく。所詮叙情詩は寸劇なのだ。よくよく考えれば笑い話にもならない。
 
「芸術。」
芸術は議論し合うものではない。互い見つめ合って、自分の中で消化できるかどうかだ。
 
「空想。」
ただ汚い字を書くだけというのは、哲学などではない。真実を語るには、それなりの譲歩が必要だ。例えば、顔を見るのも吐き気がしそうな人に、心をあわすとか。この世間では、様々な哲学者が毎日を同じように生きている。誰も人間の力以上のことはできない、神にすがる者ではくては。哲学を書き続けながら、途中でペンを止めるのは、従い哲学ではなくなるのだ。誰もが持つ“生”への疑惑、その疑惑を永遠的に問けるのは神を於いてほかにない。それは、まわりが皆、人間だからだ。
 
「現在(いま)。」
私の悩みをおちついて聞ける者は私のまわりに誰一人いない。いつも、悩み言を真剣に話し出そうとする時、決まって退屈そうな様子を見せるのだ。そして、“やっぱりやめた!”と怒鳴れば、“いや、話せよ、話してくれよ、退屈だけど”と。(まぁ怒鳴ることすら、すぐに友達の一線を越すことになるが)悩み言など、とても打ち明けられる人達ではない。怒りすら覚えた私は、そいつらのことをさんざん馬鹿にしたあげく、自分の存在も空しくした。“この人達を馬鹿にしたことをお許し下さい。馬鹿は私なのです。”と神に祈ったあとに、私は、友達との縁を断ち切りたかった。孤独が大嫌いな私は、孤独を愛さ去るを得なかった。友達のうら返しは孤独なのだ。解決法は、流行を好こうが嫌おうが、なんでも金の続く限り身につけること。それしかない。“語る”など、とてもとても。
 
「虫の女。」
青春などと呼ばれる日はそう近くはない。もうすぐだ。私は20歳になる。10代はもう終わったのだ。若さを持つ私は、心までも若い。まわりの若者達は宇宙人みたく、狂ったように踊りまくる。そこには男よりも、女がいて、女は男よりもその青春という壁にしがみついて、その顔と体を自分で見たがる。男がよりその体を見て好むから、女はひたすらケーベツしたまま飽きるのだ。
 
「I dont know.」
“その時の気分で小説は創れるのさ”とあの方は語る。
人の声は..?と聞けば、“必要ない”と。むしろ邪魔な
様でもあった。どんな職業につこうが、それも人間界
でのこと。夢のことではない。現実をどうしたらやわ
らげられますか?と言えば、“やわらげるものではない
。自分がやわらぐのだ”と、私には理解できない、と
問えば、一言、“冗談さ”と。私は話すのも嫌になった。
 
「Miss,Friends.」
うるさい女がいた。たったひとりでも、さんざんわめきちらし、まわりの人を窮地に追い込むのだ。缶コーヒーを飲んでおちついていた私は、その女(ひと)の口数の多さにそれほど嫌気はささなかったが、もう少しひかえた方がいいとは思っていた。その女(ひと)は、ここの仲間内でも彼女の友達の間でも、やはり良くは思われていなさそうで、なにかと不憫な様だった。彼女は、自分が嫌われている、と誰かから直接言われたでもないが、人間の性(サガ)、それとなく気づいてはいた。
 ある夜、皆その日を終わらせて、彼女もそれなりに疲れていた様子で、次第に私に近づいてきた。私はいつものように缶コーヒーを飲みながら、その夜はじめて彼女に質問をした。“疲れた?”と一言ではあったが、彼女にはずっしりきた言葉である。その言葉が、心の水のしみたカーテンをおろした様で、彼女は狂ったように私に悩みごとを語ってきた。私はどうするワケでもなく、ただ黙って聞いていた。彼女はずい分前から自分の評判は気にしていたと言う。その言い様は、ここでは相当禁物だったのだ。皆が耳をそば立てて聞いている。善人ばかりではない、どちらかというと、悪人の方が多いここでは、自分の否を認めたが最期、つけ込む輩なのである。
 彼女は、どこからか別のところから自分を眺めている様に私にしゃべり、私はため息を飲み込む。彼女は心の中から自分を見ていたのだ。しばらくして、しゃべり疲れて黙った彼女の背後は、まっ黒に染まり込み、彼女は気づかず、私は黙っていた。その皆衆は、彼女を飲み込んだあげく、その前にいた私をも飲み込んだ。私は思わず自分の身を案じていたのだ。二人とも狂って死んだように見えた。人々はおのおの話し出し、喚にする者はなかった。
 
「ひとりの男。」
あれは、月のとても大きい夜のことだった。どこかの犬の遠吠えが、何度もしていて、やまない夜、男がつえをついて道を歩いていた。その男は、
“ああ、外国の人になれたらなぁ..”
と呟きながら、月を見ていた。様々な回想を踏まえながら、閉まっている銀行のそばを通りかかった。辺りは自分ひとりで、誰もいなかった。銀行の中も誰もいない。
“面白くないか..”と呟き、また歩き始めた。人一人いないその通りを黙って歩いていたので、つえの音だけがこだまして、心を明るくしてくれていた。男はのどがかわいていたので、どこかで水を飲もうとあたりを見回した。だが、人が一人もいないので、また“面白くない..”と呟き、歩き出した。
丁度、川にさしかかった時、遠くで犬が川に溺れていた。前の晩、大雨が降ったので増水したと見える。男は、あたりを見回し、誰もいないと悟ったので、上着を脱ぎ捨てその濁流に足を入れた。しばらくして犬を我が手の中にした。少しの余裕を心に作って、その犬を助けた。犬はどこかへ走って行き、男はあたりを見回した。さっきと同じように、人は誰もいない、と悟ったので、その感動はさめ、また歩き出した。
月はとても大きかったのである。

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