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人生最大のマンガ肉を食べにドイツまで行った話(画像付き)

漫画やアニメ、ゲーム、その他フィクション作品に触れてきた人間なら、誰しもが死ぬ前に一回は考えることがある。



でかーーーい骨つきマンガ肉を食いて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!


私は何か一つの作品のオタクではないものの、フィクション作品や概念が好きだ。特に、ファンタジー作品の場所やアイテムなどの設定を読んだり体験することが好きで、だからこそ、人生で1度は現実世界で現実離れしたサイズのマンガ肉を食べたいと思ってはいたのだ。

と、いうわけで、たまたま長期の休暇に入っていたため、恋人を巻き込みはるばる行ってきました、ドイツはベルリンに。旅費たっけ〜。だがこれもマンガ肉を食べるための出費だと思えば安いものだろう。

スパイ博物館や一切雰囲気に合わないヒップホップを流す高級チョコレート店など観光はしましたが、これはこの記事とは関係がないので省略します。

レーザーに当たらないように向こう側に行くゲーム。試してみたけど秒殺だった。

夕方になり、私と恋人が向かったのは、ベルリン観光客の間で定番のAugustiner。同じくドイツの街、ミュンヘンで一番歴史のある醸造所のレストランらしい。

ベルリンの中心街にあったが、平日の夕方だったからか予約なしで通してもらえた。店内に一歩踏み込んだ私は目を見開いた。

ぼ、冒険者ギルドだ!!!


重たい木製の丸テーブル、木樽に入ったビール、伝統服で大量のビールを運ぶウェイトレス、そして幅がガチでデカイ髭を生やした中年のおじさんが大声で笑いながらガラスのドデカジョッキのビールを飲み干している景色。そこには、冒険者ギルド居酒屋の概念が密集している空間があった。このビアホールのゴツさと暑苦しさは日本のどこでも再現できないだろう。

二人合わせても戦闘力はこの店にいるドイツ人一人にも満たないであろう、体年齢>実年齢の私と恋人は緊張しながらテーブルに着いてメニューを開く。ここで怖気付く場合ではない。私たちも今夜、このマンガ肉を食べて戦闘力を培うのだ。英語メニューありがてぇ〜。ドイツ語難しすぎ。



…ん?ちょっと待てよ?

……


……?






終わったかもしれない。


私たちは胃のサイズは決して大きくないし、このレストランにくる数時間前に私が持つわがままボディは思うがままにケーキとハリボーグミを取り込んでいた(バカ)。

流石に一人で挑戦して残すのは申し訳ないので、恋人と協力して二人で注文することにした。

『1000gって…ほ、骨がほとんどの重さを占めているんだよ…ね?』

不安になりながら恋人と言い聞かせあう。しかし、その緊張はでっけぇ肉をこの目で見てみたいワクワクも孕んでいた。

ちなみにドデカジョッキビールに挑戦したかった恋人は、そのジョッキに1Lビールが注がれることを聞いた瞬間にギブアップして普通サイズを頼んでいた(それでも0.5L。ドイツ人にとっての液体の最小単位って0.5Lだったりする?もしかしてそれより少なく注いでいいって知らない?)


そうこうしている内にお肉が届いた。彼の表情をお届け出来ないのが悔やまれるが、今までに見た事のない表情筋の動きが面白かった。しかし、それを楽しむ暇もなく、私の目はそのお肉に奪われた。

写真じゃ伝わらないが、ココナッツぐらいの大きさ。これが胃にはいると思うと普通にビビる。

でっっっっっ…!!!

言葉に出来ないぐらいデカい。骨の重さなんて全体からすれば微々たる程で、それを包む肉の分厚さがこれから私達に立ちはだかる壁の高さを物語っていた。そこから漂うこんがり焼けた豚の良い香り。これはマンガ肉その物だ。レストランのギルド感も相まって、いつのまにか自分の事を、強そうな勇者を探している戦士だと思い込んでしまう。

妄想に浸ったまま、私はウェイターに渡されたステーキ用のナイフを豚の表面に突き立てる。

カキーンッ。

これは5分ぐらい格闘してようやくナイフが入ったお肉。

嘘だろ。こんな鉄みたいな音が肉からしてたまるか。人間は絶望を目の前にすると、笑ってしまうのは本当らしい。しばらくの間、私は恋人とケラケラと笑いながら豚のすね肉にナイフを立てようとして弾かれていた。

ようやく切れて、口に入れた瞬間、弾む食感と噛み締める度に溢れだしてくる塩辛い肉汁と油がこれでもかと肉を主張してくる。美味い。力仕事から帰ってきて、レストランでこれとジョッキビールを味わえるのは、確かに至福のご褒美なのかもしれない。私は肉を頬張りながら存在しないファンタジー世界の大工や盗賊に思いを馳せた。

美味しいのだが、長期戦だとやはりキツい。普段の私はお肉や揚げ物などジャンキーな食べ物大好きクラブなのだが、今回ばかりは付け合せのピクルスがオアシスだと思えた。

恋人とボロボロになりながら可食部を食べ終えると、2人とも完全に燃え尽きてしまった。食べ物って体力回復するものじゃなかったっけ?体力消費して食べるものなんだっけ?つまるところ、私達2人はこのお肉を食べて体力を回復出来るほどの身体を持ち合わせていないという事なのだろう。

支払いを終えて店から出て、ドイツ人が樽のテーブルに1Lジョッキビールとマンガ肉を1人で相手にしていたのを見た私達は完全にお手上げだった。私達はこの人たちには敵わない。

もし異世界転生したらどうかこの人達に対峙することの無い生物になれますように。





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