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千原ジュニアの世界観に酔いしれたライブ

千原兄弟の単独ライブ「赤いイス」を観に行ってきました。
2人だけでの単独ライブは約12年ぶりとのこと。

僕は前々から千原ジュニアさんが大好きで、ラジオも聞いていたし、エッセイ本は全部読んでるし、月1で開催されている「チハラトーク」もこれまで3回ほど観に行ったことがあります。

2017年9月にジュニアさんが1人で開催した単独ライブ「1P」も観ていた僕は、「これは行くしかない!」と彼女を誘って観に行くことにしました。

◆コント内容

はじめに、コントの内容を。
覚えているもの、印象に残ったものだけ書いてみます。

ネタバレを含んでいるので、
DVDを楽しみにしている方はお気をつけください。

「ドラオケ」

開幕1発目のコント。

仕事終わりのサラリーマン2人組。"ドラ"オケ店に入ってリモコンで選曲。ここまでは通常のカラオケと同じ。
スクリーンに事前に撮影された短いサイレントドラマが流れ、最後の決め台詞の部分をカラオケの要領で、字幕に沿って言葉を放つというコント。

歌い終わる度に「これ気持ちいいなぁ」などと言いながら、交互に選曲し、決め台詞を言う。これを5,6回繰り返す。途中、デュエット曲もあり。

コント内容に不意を突かれて、最初客席はザワザワしていたが、見方が分かってくると次第に千原兄弟の世界観に飲み込まれていきました。

短い映像(1~2分程)とはいえ、すごーくちゃんとしたドラマ。僕はこれを観て、「今回の単独ライブは、相当なお金と時間と人員がかけられてるなぁ」と思いました。

「天才外科医」

(タイトルには、実際は漢字フルネームの人名が入っていましたが、忘れてしまいました。)

千原ジュニア扮する凄腕の外科医が、成功率が限りなく0に近い、お腹に子供がいる妊婦の手術に1人で挑むと言うコント。始まりは暗転の中、音声のみでの状況説明。
立派な手術台やライトが用意される舞台上。大量のボタンが壁についており、ライトを付けようとするも他の装置が作動してしまい…。

天才外科医は「昨日ドイツ研修から帰ってきたばかりで、その病院で手術するのは初めて」というのがフリになっており、技術はあるのにボタンがわからずにアタフタする様子が滑稽で笑えました。僕は頭の片隅で、松本人志監督の映画「シンボル」を思い出しました。

コントの最後には、手術が終わるのを待っている父親(千原せいじ)の視点が描かれます。
たまに外科医がボタンを押しても何も反応しないことがあったのですが、実はそれが「手術中」の赤いライトのボタンになっていて、ON/OFFでランプが付いたり消えたりするので、それを見ていた父親が一喜一憂するというオチになっていました。

「昨日言ってたヤツ」

蚊を擬人化していて、2匹(千原兄弟)の蚊がVRゴーグルをつけて、蚊の目線を体験するというコント。
最後は殺虫剤の蓋の上に留まった所でプシューとされて、目の前が真っ暗になるというオチ。時間にして4分もない程の短いコントでした。
その殺虫剤の蓋が赤かったので、「赤いイス」にかけているっぽく見せる演出も面白かったです。

VRを漫才やコントのネタにする芸人さんが多い中で、それを人間が体験するのではなく、"蚊がVRを体験する"というジュニアさんの発想は他の芸人さんの遥か上のステージをいっているなぁと感嘆しました。

また、いきなり舞台上でコントが始まるのではなく、始めにスクリーンで前日のLINEのやり取りを見せることで、登場人物は人間だと思わせて蚊が出てきたときにお客さんに驚きと笑いをもたらしていました。見せ方が「さすがだなぁ」と思いました。

「僕たち2匹を拾ってください」

ジュニア・せいじが扮する老犬2匹が14年連れ添った家族から捨てられ、道端に放置されるコント。「こういうのは子犬やろ。こんな老犬、誰が拾うねん」というような不満を2匹がずっと言ってるコント。

それまでのコントはVTRを使ったり、スクリーンの画面ありきのコントが多かったですが、このコントは(一部で写真がスクリーンに映りはしますが)2人のやり取りがメインでした。

2人がわちゃわちゃと掛け合いをするコントがみたいと思っていた矢先のこのコントだったので、個人的には一番お気に入りのコントです。

他のコントよりも長尺でやっていて(15分くらい?)、2人のやり取りからアドリブがたくさん入っていることも分かって、すごく楽しめました。

◆全体の考察

ほとんど全てのコントでスクリーンを使っていたのが印象的でした。写真もあれば、このコントのために撮影された(であろう)映像がかなりの量ありました。

5分や10分超えのコントがある中で、途中にはショートネタ(あるシュチュエーションで、一言だけで終わるコントとか)の部分もありました。
ネタ作り担当のジュニアさんの頭の中を想像すると、忙しいテレビの仕事の合間を縫って、数多くのアイデアを出していたのでは?と思いました。

今回のライブは幕間の映像が一切なく、コントのタイトルがスクリーンに表示されるのみ。それでもあまり待たされた感はなかったので、衣装の着替えやセットチェンジなどがスムーズだったんだろうと思います。リハーサルにも入念な時間をかけたことが読み取れました。

その分、舞台裏ではかなり大変だっただろうなと思います。きっと舞台裏の様子もカメラを回しているのと思うので、DVD特典かどこかで観れる機会があれば観てみたいなぁと思ったりしてます。(公演の終盤は、せいじさんの体力がギリギリで舞台裏での衣装チェンジの間に弱音を漏らしていた、とジュニアさんがアフタートークで話していました。)

◆終演後の感想

最後のアフタートークを含めて、
公演時間は、1時間40分。チケット代、7,000円。

一緒に行った人曰く、「この値段だと、もう少し長く観たかった」とのこと。確かに2時間よりだいぶ早く終わりましたが、かなり内容が詰まっていたので僕的には大満足でした。

短いのも入れると合計で15本くらいのコントをしていたと記憶しています。
だいたい芸人さんの単独ライブでは、10分前後のネタが7,8本・幕間映像が何個か、というような構成だと思うので、今回のライブ構成には意外性を感じました。

あと、これはあんまり文字にしたくないので、観ていない方はDVDで確認して欲しいのですが、えげつない下ネタも何個かありましたね。
事前のインタビューで、こんなことを語っていたのを思い出しました。

ジュニア:「時代が変わってきた。このご時世、テレビでできないようなコントもできるのかなと思っています。結婚して子供ができたことによって、今までは生臭いと思われてた下ネタも逆にできる気がします。テレビで見られないコントをいっぱいやってやろうと思っています」
(出典:お笑いナタリー「千原兄弟が12年ぶり単独公演、バイク事故で頓挫したライブをタイトルに」)

千原兄弟の2人はもうテレビには出尽くしたので、視聴者に好かれるための言動をする次元を超越したのでしょうね。今後もお笑いの思考を爆発させる2人の姿が観たいなと思います。

ライブが終わり会場を出て、まず思ったのは、『「チハラトーク」を観に行きたいなぁ』ということでした。
この単独ライブに到るまでの裏話とか苦労を、ジュニアさんとせいじさんの口から聞きたいなと思いました。

にけつッ!!」でも話してくれるといいのですがねー。
でもやっぱり、2人の自然な長尺のトークが楽しめるのは、「チハラトーク」だけ。また機会があれば、観に行くつもりです。

以上、ライブレポでした。


●こぼれ話

ジュニアさんは2018年6月4日からインスタを始めています。

そこでのコンセプトは"全て左手を使って投稿する"と言うもの(ジュニアさんは右利き)。

絵を描くのも左手、字を書くのも左手、写真を撮るのも左手。

この単独ライブの後、ライブのエンドロールがインスタにアップされていたのですが、ハッシュタグに「#左手エンドロール」とあることから、これらの文字も全て左手で書いていたのだと分かりました。

コントのタイトルのいびつな文字もジュニアさんが左手で書いたものだったのですね。
あと、単独ライブのポスターのイスも。

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千原兄弟 単独ライブ「赤いイス」
(脚本・演出:千原ジュニア)

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