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バラエティMCは、「本音と建前を使い分ける達人」だ。

友人と話していて『水曜日のダウンタウン』の話になった。

ご存知の通り、人気芸人がプレゼンターとして「説」と称する企画を説明し、スタジオメンバーと共に検証VTRを観る番組だ。

友人は「番組で発表される説って、芸人さんが考えているんでしょ」と当然のように話す。「え、違うよ」と、僕はそれを聞いて驚いた。

あの説は、放送作家さんらが会議で案を出しているのがほとんどだ。彼らは企画を考えるだけでなく、プレゼンターとして誰が相応しいかを決め、説に関連する芸人さんをキャスティングしている(ウラは取ってないので僕の想像ですが、大きくは間違っていないはずです)。

プレゼンター役の芸人さんは台本を読むだけで企画構想には関与していない場合が多い。ただし、検証VTRで登場する芸人さんがそのままプレゼンターとして出演することはあります。

この「この企画は僕たちが考えましたというテイ」は、普段からバラエティ番組を観ていたり、お笑いに精通している人であれば周知の事実だろう。

一般の視聴者は、その背景を分かって番組を観ているとずっと思っていた。ピュアな目線で芸人さんが説を持って来ていると勘違いしている人が(きっと大勢)いることに驚いた。

こうして、自分の言葉と他人の言葉を使い分けられる人が第一線で残っていくのだ。


これと似た話を1つ思い出した。

TV番組でMCを務める人は台本を用意された通りに進めるのが仕事。ただ台本通りに進行した結果、現場が白けてしまうこともある。

そのとき、MCとしては「自分が面白くないことを言った」と視聴者に思われてしまう可能性がある。それは芸人として何とか避けたい。

そこで、有吉さんやマツコさんなどは、あえてカンペをたどたどしく読んだり、台本にツッコミを入れるというテクニックを見せる。

こうすることで、「このつまらない台本書いたのは、俺(アタシ)じゃねえからな」と視聴者に暗に訴えかけることができるからだ。こうして、セリフの中に自分の本音を上手く混ぜ込む。


…という話をダウンタウンの同級生で知られる放送作家の高須光聖さんと、『水曜日のダウンタウン』の演出プロデューサー藤井健太郎さんの対談記事で読みました。

こういう文献をさっと思い出すくらいには、お笑い通の自覚があります…



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