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【演劇】【稽古の仕方改革 草の根プロジェクトの検証結果発信_No.2】当座の生活費収入減が演劇活動にもたらす影響について

(1)はじめに

◇当プロジェクトが先般発信しました『発信No.1』の、「模擬稽古日程組みによる、稽古の仕方改革の検討」では、『稽古期間約1.5か月・本番5日』を想定した模擬稽古スケジュールを組み、現在一般的に採られている昼夜連続稽古の状況を分析し、昼夜連続稽古の低減が可能か検討をしました。その結果、一定以上低減が可能と思われる成果が得られました。

◇再掲しますが、現在演劇の稽古に参加する際普通に必要とされる、集中稽古や本番期間中には長期にわたって(ほぼ)連続して生活費確保仕事のお休みが必要という状況には、下記の複数の面にわたるリスクがあると思われます。
▼必要な生活費が得られない:借金のリスク、心身の健康面のリスク
▼長期にわたるお休みによる、解雇のリスク、または長期就業できないリスク
▼(時給仕事かどうかに関わらず)長期就業によれば普通に得られるであろう「職能」を、延々得られないリスク

◇ここで、昼夜連続稽古(~本番)対応にともなう生活費の減少がどの程度のものになるか、改めて見える化してみたいと思います。

(2)収入減の試算(試算条件)

◇【試算の想定条件】
☆当プロジェクトの『発信No.1』でシミュレートした模擬稽古日程をベースに、生活費仕事の減収額を試算します。
☆『発信No.1』の模擬稽古日程は、昼夜連続稽古の低減を模索するのが目的でしたので、当試算においても昼夜稽古の「調整前」日程と「調整後」日程で比較します。
☆より具体的には、下記の日数のお休みが必要であるとして試算します。
▼昼夜稽古「調整前」日程・・・昼夜稽古開始から公演終了までの想定期間14日(①)と、その間のオフ想定日・夜公演のみ想定日を抜いた11日(②)で試算▼昼夜稽古「調整後」日程・・・昼稽古を数日低減した結果なので、上記①を10日、上記②を7日として試算

☆生活費仕事の時給(時間当たり単価)は様々ですので、3パターンで試算します(1000円・1250円・1500円)。また、労働時間は8時間と想定しました。
☆様々な時給に換算して見てもらえるよう、 『時給部分をx円』とした計算式も付記します。
☆上記をふまえた試算結果は、次のようになりました。

(3)収入減の試算(試算結果)

※クリック(タップ)で拡大してご覧いただけます。

(4)まとめ:収入減を自己管理の範疇とするのは厳しい

◇継続的に公演に参加されている方にとっては、生活費仕事の収入減の状況は自分事ですので、ここで書くまでもない部分と思います。もっとも、具体的にどれ程の減少になるのか、改めて金額を見える化したいと思い、表にまとめたものです。

◇すなわち、仮に昼夜連続稽古~公演までが14日で、その全てで生活費仕事を休んだ場合は約11万~16万の減収となり、11日であったとしても約8~13万の減収と試算されました。演劇人はこの減収の状況を、参加した公演分だけ耐えなくてはいけない事となります。
(無論ギャラが出る公演も多いかと思いますが、上記減収分をペイできる出演料が出る団体はプロ未然の座組においては正直少ないと思われます。)

◇長らく、この収入減は演劇人個々が自らの責任・範疇で切り盛りするものとされてきました。しかし、これだけの減収を個人の責任の範囲とするのは多分に厳しくはないでしょうか。他の発信で述べましたが、実力があるにも拘わらず演劇を辞めざるを得ない方もかなり多く出てしまい、演劇界全体にとって多大な損失を招きうる状況にもあると思います。

『発信No.1』に絡む部分ですが、昼夜連続稽古を仮に4日減らせると、生活費仕事の収入は約3~4万回復します。稽古に参加する演劇人の福利のため、また演劇界の維持・発展のため、「稽古参加イコール大幅な減収」が当たり前の状況の改善が待望されると強く思います。

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