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【演劇】【小劇場演劇製作改革 草の根PROJECTの検証結果発信_1.5期_No.1】日本プロサッカー界の成長の足跡から学び取れること_小劇場界も大いに成長可能!

(1) はじめに

◇昨年立ち上げました【稽古の仕方改革 草の根PROJECT】ですが、そのスコープに合わせて【小劇場演劇製作の在り方改革 草の根PROJECT】という名称に改めることにいたしました。

◇ふまえて2023/6より第1.5期PROJECTを開始し、小劇場改革につながる可能性のある事を分析・検証し、当PROJECTとしての検証結果を発信してまいります。それではさっそく、1つ目の検証結果をご一緒にたどってまいりましょう!

(2) 日本プロサッカー界の成長の足跡から学び取れること

◇日本人の誰もが、現在のJリーグは大人気のジャンルであると認めて疑いないかと思います。しかしながらつい30年ほど前まで、この「業界」はかなり小さい規模に過ぎず、観客動員も実に少ないと言える状況でした。

◇ここで思うわけです。『なぜ日本のプロサッカー界は、劇的なまでの成長を遂げられたのか?小劇場界・演劇界が吸収しうることはないのか?』と。さっそく、次の項目より分析・検証していきます。

◎Jリーグ発足前年(‘92)を原点に、Jリーグ初年度・15年目・27年目との比較をしてみました。まずはこの結果をよくご確認ください。

日本プロサッカー界 成長の足跡 (アマ最終年から2019年まで)
※クリック/タップで拡大表示できます

(3) 検証をすすめる前提として、お伝えしたいこと

◇前ページにまとめたJリーグの成長の足跡は成功事例と言って間違いなく、成長が求められる他の業界にとって多くの示唆を与えてくれる「教材」たりうると思っています。つまり、もちろん小劇場界・演劇界にとっての「教材」ともなると確信しています。終盤にて関連事項をまとめますが、大切なことは演劇界も変わりうるんだという意識を持つことと、「いや変えるなんて無理だよ」と漠然とした諦めの心境を持ったりしないことだと思います。そうすることで、様々な物事から気づきを得られるものと考えます。

◇ふまえて、前ページの表から客観的に認知できることを筆者なりの視点でまとめ、検証をすすめてみたいと思います。

(4) Jリーグ成長の足跡から見て取れること(客観的視点から)

◇目を見張るのはやはり、観客動員数の劇的増加です。

  • アマチュアリーグとしての最終年だった1991/92シーズンから、翌93年のJリーグになった時点ですでに、3.65倍もの観客動員数増を実現しています。

  • そしてこの表の最終段階である2019年と1991/92シーズンとの比較においては、11.74倍もの増加を果たしています。
    (なお、各年度の円の直径は、1991/92シーズンの観客動員数に比例させています。)

安定的な観客動員数増の要因として、チーム数の順調な増加があることは間違いないでしょう。1991/92シーズン時に12チームだったものが、翌年=Jリーグ創設年は戦略的思考からか10チームと2減だったものの、この表軸で観てもその後10 → 31 → 55と順調に増加しています。これは、業界自体が成長拡大していること、いわゆる「すそ野拡大」が実現していることを意味します。

(5) では、Jリーグの成功を小劇場界は参考にできないものでしょうか?

◇上記を検討するにあたり、まず注目いただきたいのが、1991/92シーズンの観客動員=885,400人という数字です。正確に比較する基準は持ち合わせていませんが、規模感として演劇界の総観客動員数に近しいものがある気がしませんか? つまり、スタート地点としては、観客動員数においては演劇界と似たような業界だったと言えると思っています。

◇筆者は大いに参考とするものがあると思っていまして、下記のような考察結果が得られる所です。

  • チーム数を増やしていった=業界全体を拡大していった効果の甚大さ。小劇場界(演劇界)という大きな目線に立って、業界全体を拡大しようとする行動が起きれば、その効果は当然業界全体に及ぶはず。

  • 業界全体の拡大のためにも、そもそも演劇界全体を視野に入れて行動することの意義深さ。

  • 小劇場界に不足していると言って間違いないと思うのが、全国規模を視野に入れた活動の展開かと。何も各団体が全国興行すべきと言っているのではなく、業界の「横の連携」をして、演劇活動を展開する事の意義深さ。

  • そもそもの部分として、小劇場界を一つの「産業」「業界」として維持・成長させてていく意識・目線の大切さ。

(6) 事の改善に取り組むための考え方・方法のガイド

◇労働や自動車運転を研究する分野においては、人間が物事に取り組むプロセスは、
『認知』 → 『判断』 → 『行動』の3つの要素で成立している
と言われます。このまとめは、様々な物事に応用可能な、有意義な整理であると筆者はかなり思っています。

◇【小劇場演劇製作の在り方改革 草の根プロジェクト】第1.5期の開始にあたり、今回のような物事の改善に取り組むプロセスを、自分なりのものですが、『認知』→『判断』→『行動』に分けて説明します。参考となりましたら幸いです。また各プロセスの障壁となる思考パターンを併記します。

【ガイド】改善を試みるプロセスを「認知」「判断」「行動」に分けて説明
※クリック/タップで拡大表示できます

(7) 当レポートのおわりに

◇冒頭にも書きました通り、当プロジェクトは2023/6より再開いたしました。小劇場界・演劇界をより良いものに、また成長拡大するものとなるよう、全く微力ではありますが、アイデアを提案してまいります。
なお、第1期プロジェクト時から一貫しているのですが、この活動はこれまでの小劇場製作の在り方を否定する活動ではありません。選択肢を増やす事をもくろんでいます。

◇方法を増やす事で小劇場界・演劇界のすそ野が拡大し、演劇人口増加~演劇界拡大に繋がれば最高だと思っています。

【小劇場演劇製作の在り方改革 草の根PROJECT】森 将和


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