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新・魔法のコンパス

新・魔法のコンパス 西野亮廣
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3年前に発売された「魔法のコンパス」をまるっと書き直した一冊です。
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●お金の問題
挑戦を続けるためには、お金の問題から逃げられません。日本では、お金について教えてもらえないどころか、お金について考え、議論することが下品で卑しい行為のように扱われます。
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お金の誤解のひとつに、他者に提供した労働の対価があります。でも、実際は他者に提供した価値の対価です。
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例えば、おむすびを握るとします。このおむすびを、お腹いっぱいの人に売るのと、お腹ぺこぺこな人に売るのとでは、提供した労働量は一緒なのにおむすび1個あたりの値段が変わってきます。
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お腹ぺこぺこな人は30円でも買ってくれないけど、ぺこぺこな人なら100円でも買ってくれる。この感覚だそうです。
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お金を稼ぐという行為は、誰かから富を奪うことではなく、みんなの富を増やす行為になります。友達から1万円で洋服を買った時、自分の手元には1万円の価値がある洋服が残り、友達の手元には1万円が残る。つまり、富が2万円に増えたことになります。
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つまり、下品なのはお金を稼ぐ行為ではなく人の問題です。
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●収入の増やし方
僕たちの収入を増やすためにはどうしたらよいでしょうか。それは「希少価値」を高めること。100人に1人の人材か、100万人に1人の人材かで収入は変わってきます。
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例えば吉本興業には、お笑いに1万時間を費やした100人に1人の人材ばかりが集まっている。しかし、その中の9割はアルバイトで食いつないでいる状況だそうです。つまり、1つの分野で戦い続ける専業という選択は、希少価値が上がりにくい争いに参加していることを意味します。1つの企業で働き続けるサラリーマンは希少価値が上がりにくいなと思いました。
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さて、1万時間を2つの分野(AとB)に投下すると、AとBを結ぶ線になります。この距離はなるべく離した方がよいです。その次に3つめCという分野に1万時間を投下すると、今度はAとBとCを結んだ面積になります。なので、距離が離れるほど面積は大きくなっていきます。そんなに簡単な話ではないけど、複業体質にしていかないとこの面積は広がっていきません。
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●本業について考える
多くの人は、「本業=メイン収入」「副業=サブ収入」と考えています。この考え方だと、この先結構厳しい戦いになってくるそうです。
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西野さんは累計発行部数が100万部を突破している売れっ子作家です。でも、その印税は全て広告費に使っていて、広く認知してもらうことでオンラインサロンに入ってもらうように導線を組んでいます。
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収入減をどこに置くかがとても重要になってきます。例えば、テレビに出ないと食っていけないタレントと、〇〇の宣伝になるなら1円もいりませんと言えるタレント、どちらが強いでしょうか。
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なので、職業をひとつに絞る専業家、メインの職業とサブの職業を持つ兼業家、複数の職業を掛け持つ複業家、どれになるべきでしょうか。西野さんは複業をオススメしています。
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●広告
SNSの現代は、お客さんが発信力を持っているので、情報を受け取った人の発信力を使うことがポイントです。
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ニュースを出すのではなく、ニュースにならないといけないわけです。
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とはいっても、イベントや作品の魅力、サービス、商品の機能を細かく伝えたいこともあります。でも、情報だらけの広告なんて誰も見てくれません。ではどうするか。
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例えば、お客さんに相談をしてしまう。そうすることで、相談にのっているお客さんは機能など詳細を知ります。つまり、「広告したいんだけど、どうやって広告すれば広告効果が出るかな?」という広告です。
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自分が必要とされて嬉しくない人間はいないという承認欲求を満たしてあげます。これがお客さんの巻き込み方だそうです。
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●人は確認作業でしか動かない
人間は既に知ってるものしか反応しません。
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例えば、旅行先を決めるとき、「20万円を払ってくれればとても素敵な場所に連れて行ってあげるよ」という誘いには誰も乗りません。テレビやネットなんかで一度見た場所を旅行先として選びます。
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当たるかハズレるかわからない場所には誰も足を運ばないのです。この理屈は、得するよりも損することを嫌うためだと思います。
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ネタバレから始まるので、ネタバレを恐れてはいけません。
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●リピーターの作り方
リピーターの作り方には計算式があります。
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「満足度」ー「期待度」=リピート度
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満足度とは行った後の実感値で、期待度は「行く前の期待値」のことです。つまり、期待度を満足度が上回らないといけないわけです。
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リピーターを作る要は期待値コントロールです。期待値を上回るような広告は出しちゃいけないし、かといって下げ過ぎてもいけなくて、満足度が上回るようなちょうど良いラインをデザインしないといけないとのことです。
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●物語を売れ
オンラインサロン業界だと、習得型や情報型のサロンは商品になりにくいそうです。
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例えば、習得型の場合、習得できないと辞めてしまうし、習得できても辞めてしまいます。これは構造上会員数が増えません。また、情報も別口から入るので難しいです。
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結局サロンオーナーがオンライン上で販売できるのは、サロンオーナーの「物語」くらいです。ただし、この物語は面白い物語でなければいけません。
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では面白い物語とは何でしょうか。西野さんのオンラインサロンで言うと、入会者数が増えるのは、挑戦している時だそうです。
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価値があって、負けがあって、リベンジがあって「物語」になるわけで、読者の感情曲線をキチンと上下に振ってあげないといけません。みんな負けを避けたがりますが、負けのない物語は売り物になりません。
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●物語の作り方
大前提として、人間の満足度(幸福度)は「ハイスコア」ではなく「伸び率」で決まります。テストで95点→96点よりも、0点→50点の方が嬉しいのと同じです。
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プロジェクトで考えると、1度もピンチを迎えずに計画通りにプロジェクトをゴールへ導いたとします。その仕事で1度もドラマを見せなかったプロジェクトに、一体どれだけのファンが生まれるでしょうか。ファンを生まずして成功と言えるのか、成功を定義した方がよいそうです。
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そんなわけで、ひたすら読みやすい文章で、なんだか勇気付けられた1冊でした。

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