根治不可なガン患者が鬼滅の刃を観た時に感じたこと

私は根治不可な悪性脳腫瘍「退形成性星細胞腫」のガン患者です。前回の検査で再発がわかった、抗ガン剤も効かないとてもやっかいなガンです。

そんな私の視点から「鬼滅の刃」を観た感想を記事にしました。大きなネタバレにならない程度に書こうかと思います。

主人公の炭治郎は様々な理不尽な目にあいます。親を殺され、妹を治すことが出来ないと言われている「鬼」にされました。

そんな炭治郎に対して周りは憐れんだり同情することはありません。厳しい言葉を放ち、自分で考えて行動することの大切さを説きました。それでも影では彼のことを慕い、敬い、試練を与えて彼の成長を手助けしました。

私はこの点にとても強く惹かれました。私が治らないガンだと告げると憐れんで悲しむ人や、どう接していいかわからずに連絡を絶つ人が数多くいたからです。

憐れみは決して優しさではないと私は思います。24時間テレビを見て可哀そうだけど頑張っている人たちを悲しんで募金活動するのはただの偽善行為です。

「人のために」と口では言ってはいるものの、単に承認欲求を満たす自分本位の行為でしかありません。

本当のやさしさは時には厳しく突き放しても、その厳しさには愛があります。それを履き違えている人が見れば、単に炭治郎が虐待されているようにしか映らないことでしょう。

そして炭治郎には仲間ができます。彼らは炭治郎に対して憐れみや同情をせず、対等に話をします。

それは簡単なようでいて難しいです。私に最後に残った友人たちは私を決して泣いて励ますことはありません。対等に一緒に病気と闘ってくれます。そんな友人をブログで紹介したりしました。

今「鬼滅の刃」が数多くの方の感情を動かしているのはこういった理由が含まれているのではないかと私なりに解釈しました。

私自身も自分の闘病体験を元に絵本を作成していますが、吾峠先生のように「時にはギャグシーンを入れて和ませる」などの魅せ方が出来ずに苦労しています。

現実のガンの闘病は苦しく辛いことが多いですが、できればエンターテイメントとしても楽しめるものに仕上げたいです。

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