2024大卒加入選手の紹介 ー太田 龍之介:その龍は、雉を高みに導けるかー

こんにちは。うにがしらです。
2024大卒加入選手の紹介も、いよいよ最後。満を持して太田 龍之介選手の登場です。
それでは、よろしくお願いします。


1.基本情報

・名前:太田 龍之介(おおた りゅうのすけ)
・身長:185cm
・体重:76㎏
・利足:右
・ポジション:FW
 ※利足は、うにがしらが動画で判断。

ファジサポの皆さんには、もはや説明不要ですが、岡山U-18の卒団生として、大学経由でトップチームに戻ってくる初めての選手となりました。
現段階では、一部からは大学No.1ストライカーという評価を受けるほどの選手であり、期待感は大きく膨らみます。

太田龍之介選手の大学時代の実績

後述しますが、2024シーズンのファジアーノFW陣の軸であることを求めてよい選手であり、その活躍がトップチーム躍進の鍵を握る存在です。
1年生から関東大学1部リーグの名門である明治大学で主力として試合に出場しており、全国の大学サッカー界での経歴では最上位の実績を持っていると言えるでしょう。
うにがしらが、ファジアーノの大卒加入選手を調べてきた中では、その実績は間違いなくNo.1です。

2.オールラウンドなプレーができるセンターフォワード

太田選手に関しては、すでに色々なメディアで取り上げられていますが、やはり「オールラウンダー」というキーワードが上げられるでしょう。
基本情報からは身長の高さが、すぐ目につくところですが、フィジカルのみでゴリ押しするプレイヤーではありません。
足元の技術がしっかりしており、前線の様々なところに顔を出してボールを収めることができますし、裏抜けを狙う場面も多く見られます。
端的に表現すると、「高い技術力を持った幅広いプレーができるというベースが先にあり、そこに高身長という特徴が付与されている」という評価が適切なプレイヤーでしょう。大学4年生後半の得点ペースはすさまじく、ここにさらに決定力が加わってきた…それが、現時点の評価になると思います。

3.過大評価は禁物…なのだが、想像以上にそのポテンシャルは大きいかもしれない

さて、基本情報を少し落ち着いて見ていきたいのですが、ここは比較対象として同じ大学のOBでもある藤本佳希選手に登場していただきたいと思います。以下、藤本佳希選手の大学時代の実績です。

藤本佳希選手の大学時代の実績

現在、藤本佳希選手は、今年も昇格で争う相手になるであろうモンテディオ山形でエースストライカーとして活躍されています。山形で契約を更新されましたので、ファジアーノの2024シーズンの壁として立ち塞がるでしょう。

さて、藤本選手の実績を見ていただいて、いかがでしょうか?
藤本選手もデンソーチャレンジカップに2回選ばれたり、1年生からインカレに出場したり、リーグ戦では得点を重ねたりで華々しい実績を持っています。昨日紹介した吉尾選手よりも、実績は上と言えるかもしれません。
2014年度の関東大学サッカーリーグのベストイレブンも受賞しており、2014-2015の大学サッカーを代表するストライカーでした。そして、現在はJ2を代表するストライカーの一人です。

その藤本選手と比較して、太田選手の大学の実績は、特に2つの点で優っています。
・大学通算得点
・通算出場試合数
うにがしらは、太田選手の実績をあらためてまとめていく中で、特に後者の1年生からの出場履歴で目が釘付けになりました。

まず出場試合数が多いのですが、その他のポイントとして以下を抑えておきたいです。
・1年生時の第1節で初出場し、2節目には初ゴールを記録している
・次に1月1日に配信されたFAGIGATEの木村正明氏のインタビューでは、木村正明氏は「春にU-18を卒業する生徒に初めて首都圏の大学から推薦のオファーがあった」と語ってる。
・さらに加えると、太田選手が1年生の2020年のコロナ対策の影響で、関東大学サッカーリーグは通常4月開幕が7月からにだった。
「お前は、ここまで条件を挙げて何を言いたいんじゃ?」と思われますよね。つまりこういうことです。

太田龍之介は、推薦ではない形(その他大勢の扱い)で名門サッカー部に入部し、3カ月でリーグ戦メンバー入りをする信頼を勝ち得た。2試合目でゴールを決めたことで、その信頼は強固になり、以降の明治大FW陣の主要メンバーとしてコンスタントに試合に出場するようになった。
裏を返せば、2020シーズンのリーグ戦が従来どおり4月スタートであれば、試される選手は2年生以上が優先となり、埋もれていた可能性がある。
そのように考えると、努力をしつつ、時流に乗ってチャンスを掴み取ったのではないか。
そもそも明治大学は、関東大学リーグの中でも優秀な選手が集まるチームの筆頭。その中で、1年生から他のFWとの競争に勝ったこと自体が凄まじい。

才能だけでもなく、努力だけでもなく、時流を掴んで厳しい競争を勝ち抜いてきた選手。
プロでのサクセスストーリーも期待したくなります。

4.怪我が最大の敵、そして起用の最適解を見つけられるか

ここまで散々期待を煽っておいてなんですが、うにがしらは、基本的に新人選手に期待しすぎてはダメで、選手はピッチ上の実績で評価されるべきと考えています。
それは期待された人たちが怪我で苦しんできた姿を何度も見てきたからです。
この点は、太田選手だけではなく、川上選手、吉尾選手も同様ですが、とにかくピッチに立つためには、怪我が最大の敵です。太田選手はCFWなので、特にフィジカルコンタクトが頻発するはずです。
ファジアーノはむしろ典型例と言えますが、近年J2ではCFWもCBも「身長185cm以上、体重80㎏以上」ぐらいないと「身体がデカい」とは言いづらい状況になっています。身長が高いからと言って、太田選手にミッチェル デューク選手のように「1人でなんとかしてくれ」というプレーを期待しすぎると、怪我のリスクも相まって、中々厳しくなると思われます。
うにがしらはファジアーノ時代の藤本選手のプレーを、2017第3節アウェイ町田ゼルビア戦で現地観戦したことがあるのみですが、ワントップでボールを収める役割を与えられ孤軍奮闘の状態で非常に苦労していた記憶があります。そのような状況を作らないようにチーム戦術を成り立たせることができるか。これは2024のポイントとなるでしょう。

5.2024のファジアーノ岡山のフォワード陣の軸となれるか

太田選手が孤軍奮闘をしないようにという点で、うにがしらは以前、Xで「相棒の存在が重要」というポストをしたことがあります。その時点では、同じくオールラウンダーで決定力が高く、左利の永井龍選手が最適とイメージしていました。
永井選手は、残念ながら満了となりましたが、現時点でもFW陣として、フィジカルが強く機動力のあるルカオ選手、ヘディングが上手くフィジカルも強いグレイソン選手、フィジカルが強くスピードのある齋藤選手、フィジカルが強く決定力がある岩渕選手がいる中で(フィジカルフィジカルうるさいな)、孤軍奮闘の可能性はかなり低くなっているでしょう。シャビエル選手をはじめとする中盤の人材も豊富なので、この点は尚更だと思います。
となると、あとは最適な組み合わせと役割分担でしょうか。他の選手との相乗効果を期待したいです。
大学での実績があり、ポテンシャルが期待できて、活躍できる条件も揃っている。この点から考えると、太田選手に関しては、期待の新人と持ち上げ過ぎる事なく計算できる1人の戦力として見ていくべきだと思います。
現時点の陣容で、FWが薄く見えているのは、チームは太田選手を戦力として計算しており、サポーターからは未知数という側面があるからでしょう。その中で、2024シーズンも「得点70」を目標とするならば太田選手にも、2桁得点レベルの結果を求めたいところです。(挙げたFW陣5人で40得点くらいは必要だと思うので。)

6.太田選手のプレーを確認したい!という人に

以下の試合をおススメします。

2023 関東大学サッカーリーグ戦《1部第17節》日本大学vs明治大学
太田選手は、背番号11で出場。
すでにご覧になった方も多いと思いますが、太田選手が3G1Aを記録した試合です。個人的には、特に前半38:30(動画の尺では44分50秒)ごろの1得点目に注目していただきたいです。DFを引き連れつつ、卓越したボディバランスでボールをコントロールし、ゴールに流し込むプレーを観たときは思わず声が出ました。
この試合、太田選手には多くのチャンスがあり、個人的にはダブルハットトリックが可能だったと思います。欲張り過ぎと言われるかもしれませんが、うにがしらは、そこを決められなかったところが太田選手の伸び代だと考えています。

7.おわりに

岡山U-18の出身ということもあり、2024の太田選手への期待は、非常に大きくなると思います。とはいえ、川上選手、吉尾選手と同様にチームメイトとの競争に勝ち、まずはピッチに立つ権利を勝ち取る必要がある点は同じ。
チーム的には、他の選手とともに太田選手が活躍するのがベスト、実力で太田選手がピッチに立てないのはむしろベターなシナリオとなるでしょう。
最悪なシナリオは、太田選手が孤軍奮闘しないといけないような状態になることでしょうか。その時はファジアーノは非常に厳しい局面を迎えていると思います。
いずれにしても、何とか実力を発揮して欲しいです。

当時の岡山U-18で進学実績が少なかったであろう関東1部(しかも名門)を進学先に選び、そこで1年生からポジションを勝ち取ったという点からは、未踏の地を切り拓くパイオニア気質を感じます。想像になりますが、セレッソU-15 から岡山U-18という進路を選択したところも、そのあたりの気質が関係しているのかもしれません。ゴールやアシストという数値は重要ですが、もしかしたらこの気質こそが太田選手の強みなのかもしれません。
この強みをもってファジアーノの途を切り拓く…そんな幸せなシナリオが見られるでしょうか。

8.…と言いつつ、余談を

少し余談ですが、FWの陣容が薄い件について。
記事を書いていて思ったのですが、現状、最前線に左利きの選手が不在でしょうか。A契約が埋まったと言われている中、マスト要件ではないと思いますが、「最前線でスピードのある左利きの人材」(いるのか?そんな人)を探している可能性はあるのかもしれません。

また今回、藤本選手と太田選手を比較する形にしましたが、そもそも3人交代制でプレーしてきた藤本選手と5人交代制+コロナ禍でプレーしてきた太田選手は、単純比較できる存在ではない、という事は申し添えておきたいと思います。
藤本選手の大学時代の実績を見直してみて、特に、藤本選手が出場したデンチャレのメンバーを見ていると面白かったです。全日本選抜で高橋選手がメンバーだったり、関東選抜Aで田上選手がキャプテンを務めていたり。
一つ思うのは、当時の大学選抜のメンバーを見ると、プレーしているカテゴリが様々で、おそらくプレーを辞めた選手もいるという事です。
大学の頂点まで届いても、その後の成功は簡単ではない事、逆にそこまで届かなくても逆転があり得る事が実感できるのです。

これで、2024の大卒加入選手の紹介は終了です。
本日は、背番号も発表されましたし、いよいよシーズンインですね。
昇格の壁は高いですが、今シーズンも楽しんでいきたいものです。

次回の記事ですが、昨年度も配信した、他のJ2チームの大卒加入選手の紹介を配信したいと考えています。
…他にも書いた方がいいよなーと思っているテーマもあるのですが、何とか書けるところから手を付けられればと思ってます。

それでは、また!


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