2024大卒加入選手の紹介 ー吉尾 虹樹:そのプレーは、ファジアーノに新しい虹の橋を架けるかー

こんにちは。うにがしらです。

前回は、大卒加入選手の1人目として、川上選手を紹介しました。
今回は続きまして、吉尾 虹樹選手を紹介します。
よろしければお付き合いください。


1.基本情報

・名前:吉尾 虹樹(よしお こうじゅ)
・身長:167cm
・体重:61㎏
・利足:右
・ポジション:MF
 ※利足は、うにがしらが動画で判断。

・以下、ファジアーノ岡山ホームページより
 特長 : ボールコントロールのスキルが高く、運動量もあり、攻守のつなぎ役となれる。キックの精度も高く、ラストパスやセットプレーでチャンスを生み出す。

https://www.fagiano-okayama.com/news/202310261400/

その体格やポジション、またファジアーノのホームページで紹介されている特長から、田中雄大選手や仙波大志選手といったテクニシャンを想像されると思いますが、おそらくピッチ上で見られるプレーは、彼らとは全く違ったものになると思います。
吉尾選手を見ていて、うにがしらは「そっかー、テクニシャンと言っても色んな種類があるんだなー」とあらためて思いました。この点は、後述させてください。
以下の経歴を見ると、横浜FMユースが2019シーズンでプレミアリーグに昇格したときの主将であり、法政大学でも主将を務めたということで、特にリーダーシップを期待できそうです。また1年から出場機会を得ており、大学入学時から期待度が高かったことがうかがえますし、大学2年生から3年生に変わる時期のデンソーチャレンジカップでは、U-20全日本選抜として選ばれている点も目を引きます。

2.ど素人には、良さがわからねぇんだよorz ーその特異なプレースタイルー

さて、期待を高める話題を先に出したのですが、ファジアーノから加入内定の発表があって、簡単に経歴を調べた際に、うにがしらは「??!!」となりました。
吉尾選手が、試合を観たはずの2023のデンソーチャレンジカップの関東選抜Bの10番として出場していたにもかかわらず、全く記憶に残っていなかったからです。
前回の記事にも書いたとおり、この時の関東選抜Bには、太田龍之介選手が選ばれて出場していたので、彼を確認するために3試合ほど確かに観ました。(ちなみに川上選手については、「ナイスセーブ」という雑なメモを残してました。)
ぶっちゃけていうと、うにがしらは年齢もあって90分試合を集中して観るのは厳しくなっているのですが…とは言え、10番というチームの中心選手のプレーをなぜ見逃したのか?ここは自分でも訳が分からなかったのですが、確認できる法政大学でのプレーを観て合点がいきました。

吉尾選手は、ボールを持つ時間が極端に短いプレイヤーで、そのプレーはワンタッチ、ツータッチを基本にしています。
したがって、ど素人のうにがしらでも判断できる「対面の相手をドリブルで抜く」や「逆サイドの選手にミドルパスを展開する」といったわかりやすいプレーがほとんどありません。このことからデンチャレでも印象に残らなかったのだと思います。
田中選手と仙波選手を例に挙げると、彼らは足元でキープするプレーが基本です。しかし吉尾選手は、渡されたボールに変化をつける形ですぐに手放します。
うにがしらが実際に見てきた近年のファジアーノの選手の中には、おそらく似たタイプが存在しないと思います。
もしかしたらですが、タイプとしては桒田慎一朗選手が近しいのかもしれません。実際にプレーを観たことがなく、伝え聞く話からの想像になるので間違っているかもしれませんが。

3.幅広いプレー領域と献身性、そして高い技術力

さて吉尾選手は、MFと紹介されることが多いのですが、現在Youtubeで確認できる試合動画では、ほぼFWで出場しています。マリノスユース時代を知っている方のXのポストなどを見ると、「ポジションはトップ下やボランチ」と紹介されていることもありますが、法政大学は中盤の人材が豊富だったためかFW、特にSTで出場しています。このあたり、早稲田大学時代の田中雄大選手と、ちょっと似ているところがありますね。
そして前線からボールホルダーを1試合を通してチェイスするところや、フィジカルでは中々ボールを取りきる場面が見られないところも、よく似ています。さらっとdisりを入れましたが、1試合走り切れる走力がありそうな点は、2024のJ2リーグでも活きるでしょう。この基本を備えているところは、大きなアドバンテージだと思います。
また、出されたパスをワンタッチで危険なスペースに出したり、流れてきたボールをダイレクトでシュートをするといった、扱いが難しいプレーを迷わず行っている姿からは、技術力と判断力が高いことがうかがえます。また利足は右ですが、左も上手い印象です。

4.周りに活かされ、周りを活かす存在になれるか

ただ少し心配なのは、吉尾選手は孤立すると輝けない選手なのではないかということです。
前述のボールホルダーへのチェイスが目立ったのは、逆に言うと法政大学のリーグ戦の試合では、吉尾選手にほとんどボールが渡らない状態だったからです。言葉が悪いのですが、吉尾選手は「ほぼ空気」で特に攻撃において効果的な働きができているようには見えませんでした。チームメイトからボールが回ってこないため、吉尾選手自身が前線で働くことができていない様子は、観ていて厳しいものがありました。
法政大は、来シーズン降格して関東大学リーグ2部で戦うことになっていますが、2023シーズンの苦戦は、能力の高いチームメイトとのかみ合わせが上手くなかったことも要因だったのではないかと思います。

吉尾選手が、その能力を発揮するためには「勇気を持ってボールを入れること」と「吉尾選手が変化をつけたボールに反応すること」の2点が必要になります。
ワンタッチプレイヤーであることを考えると、吉尾選手はマークが厳しくても、チャージをされる前に変化をつけられるはずで、スペースがあまりない状態でも、吉尾選手にボールを入れることが、相手を欺く上でも重要なプレーになるはずです。
この点、2024のファジにはガブリエル シャビエル選手をはじめ、仙波選手、田中選手、田部井選手、藤田選手、竹内選手、高橋選手といった繊細なプレーができる選手たちがいるのは好材料でしょう。特に田部井選手は、法政大学で同時期にプレーをした「よく知っている間柄」でもあります。
またルカオ選手との相性は、個人的に見てみたいところ。
シャビエル選手は、もともと創造的なプレイヤーですし、ルカオ選手はヒールパスを多用するところがあるようにトリッキーなプレーが好きなタイプだと思うので、吉尾選手にとってブラジル人プレイヤー達はキーマンになるかもしれません。相性が良いことを期待したいです。

5.サッカーをよく知る人々の評価の高さ、そして勝負強さ

さて、ここまでど素人のうにがしらは「しんぱいだー、しんぱいだー」と喚いているわけですが、一方でサッカーをよく知る人々からの吉尾選手への評価はとても高いと言えます。
まず、最初の「1.基本情報」の項で掲載した大学時代の実績の表に立ち返ってみると…
・デンソーチャレンジカップでU-20全日本選抜として選ばれている
・デンソーチャレンジカップで関東選抜Bでは、10番を託されている
という点から、大学サッカー界で、その存在が高く認知されていることがうかがえます。
また、2023の法政大学の背番号は14番。近年では14番は「2人目の10番」と言える立ち位置の番号です。なお、法政大学の井上監督は、J内定者の会見において、吉尾選手を次のように評しています。

攻撃のセンスがあふれている。ラストパス、スルーパスのアイディアが豊富。意外性がある。おそらくこれからの方が彼の技術は生きると思う。

https://web.gekisaka.jp/news/university/detail/?397400-397400-fl

またFAGIGATEの記事の中で、服部GMは、吉尾選手に対してスタメン争いへの期待を述べていました。
ここまでサッカーをよく知る人々の評価を受けている選手が、期待できないわけがありません。

もう一つ面白いなと思うのが、リーグ戦では得点にかかわる数値として大学通算3ゴール0アシストであるのに対し、総理大臣杯やデンチャレといったスポット的な大会でゴールやアシストを決めているように見える点です。もしかすると、「思い切ったプレーをする必要がある場面」で、その真価が発揮される勝負強いプレイヤーなのかもしれません。

6.吉尾選手のプレーを確認したい!という人に

以下の2つの動画をおススメします。

2022 第96回関東大学サッカーリーグ戦《1部第8節》流通経済大学vs法政大学

吉尾選手は、背番号25。
吉尾選手がMF登録で、後半76分まで出場した試合です。比較的、吉尾選手にボールが渡るシーンが多いので、そのプレーの一端を感じられるのではないかと思います。
流経大と法政大の試合のキックオフは、動画の4時間6分ごろから。

2023年 東京都サッカートーナメント 準決勝 クリアソン新宿vs法政大学 ハイライト

吉尾選手は、背番号14。
5分程度の動画です。吉尾選手が1Gした試合。吉尾選手のプレーが結果に直結するとどうなるのかを感じられるかと。

7.おわりに

前回の川上選手と同様に、吉尾選手もまた1年目から厳しい競争にさらされます。
その特徴から、周りに活かされ、周りを活かす存在になることと、協力していく必要がある中盤のテクニシャンたちとの競争に勝つことを同時に進める必要があります。その必要性から、もしかするとファジアーノでは、ボールを足元でバリバリに保持するといったプレーが中心になり、この記事を目にした皆さんは「うにがしら、てめー何嘘ついとんじゃワレ」となるかもしれません。(多分、そういったプレーもできると思うんですよね。)
ただ、繰り返しになりますが、少ないタッチ数で変化をつけるそのプレーは、近年のファジアーノでは見られなかったものだと思います。
もし吉尾選手がポジションを勝ち取り、その特徴をチームとして最大限活かすことができれば、私たちは、今までのファジアーノでは見られなかったパスワークを目にするのではないか。私は、そんな期待を抱いています。
ファジアーノがもう一つ上のレベルに進むためのキーマンになるかもしれません。ピッチ上のプレーを観るのが、とても楽しみです。

今回の吉尾選手の紹介はここまで。
次回は、いよいよ太田龍之介選手の紹介です。
それでは、また!


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