横田英博

京都市立北野中学校三年中退。 詩と批評に興味をもっています。

横田英博

京都市立北野中学校三年中退。 詩と批評に興味をもっています。

最近の記事

大人用おむつの中で

夜の間に散った落穂をかき集めて また夢をみる 空と地のあいだにあるニュートンの万有引力 それがどれほどのやすらぎを 与えてくれるかなど 誰が予測できたことだろう 扇風機の風が急に冷たくなったのは 空がむらさき色に光って この世に氷を降らせる前兆かも知れない 早々と猫の姿勢をとって 長く生きた男はこの世界を折り畳む 未来に向かってではなく 夢に向かって あ、 わたしをフォローしてくれたイーロンマスクが 6時間前にこうツィートした Civilization may end wi

    • 反日の愉悦

      H氏賞をとった辺見庸が多くの人たちの前で旧日本軍の残虐に ついて語っている。会場にはおごそかな雰囲気がただよって辺 見の鷹のような嘴がひらく。   中国の農民の母親とその息子を連れてきて   ですね......で、 行き場を失くしたように目を虚ろに細め、口を軽く開いて、 蝋のような汗を浮かべている辺見。   兵隊のド真ン中でですね、エー、お母さんと.....   その   お母さんと子どもにですね、セックスをやらせると..... 聴衆のほとんどは中年を過ぎた年配の人た

      • 葦原にて

        ホタルが光ることをあきらめたかつての葦原には 鋭い葉先をもつ堅草がおい茂っている もうだれも ことばを信じなくなった かつてオレは水になることができたし 泥鰌(どぜう)になることもできた 雲にも そのはるか彼方を飛ぶイヌワシにもなって空を飛んだ それが遠い昔のようにもついさいぜんのようにも感じる 流れ着いた葦原の岸辺に枕飯を添えて 箸を立て こうべを垂れる ここがどんつきだが 静かな川の流れと青空は むかしのままだ おそらく追放と私刑はこれからもつづくだろう 地の底に眠ってい

        • 再生

          童話

                  童話    今朝(2024/06/16)、いつもスケボーをする坂道で   ふと気になる蔦(つた)をみつけた。   その蔓(つる)の形状に心を寄せて一遍の詩をつく   ってみました。 木になりたかった でも木に なれなかったわたしは わたしの全身を使って 木を描いた わたしの腕は枝だ 脚を閉じて 両腕をうんと伸ばすと 鳩がやってきた わたしは鳩と語らった 木について 空について 野について わたしの頭の上を電車が ガタゴトと 走り抜け 鳩の羽の下を自動車が 排煙をあげて 走り去った わたしの言葉は青葉だ わたしは山のように言葉を吐き出し 緑を深くした 鳩たちは わたしの腕の下で 萌黄(もえぎ)をついばんでいた まるで ほんとうの樹の下に いるように 安心して

        大人用おむつの中で