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みんないってしまったのかい

みずいろと蔓草のはざまに
夜の酒瓶のかけらのように散って
反復する波のリズムを聴いていた
あまりにものんびり屋の
きみたち
ユキゾラホトトギス
ハグルマケボリ
リュウキュウアオイ
ニッポンオトメヒメゴコロ
ケッショウツノオリイレ
イチゴナツモモ
アデヤカイモ
サツマアサリ
テマリカノコ
テンニョノカムリ

電信柱が水平線の彼方までのびて
よこたわる仕切り線ごとに空は
色を失い
遠くでは雷雲がひしめいている
きみたちの結界は
もう
十分に荒らし尽くされた

一握の砂をにぎれば
テンシノツバサのかけらが
手のひらを噛む
みんないってしまったのかい?
小さな紅いしるしと
かすかな
痛みを残して

老婆が奏でる
一期一会の子守唄のように
風が吹いている
そのささやきに逆らうように
手づくりのマルオミナエシを
砂に埋める
何も知らないこどもたちがそれを見つけて
高笑いをあげる光景を
想像しながら


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