童話

童話 

  今朝(2024/06/16)、いつもスケボーをする坂道で
  ふと気になる蔦(つた)をみつけた。
  その蔓(つる)の形状に心を寄せて一遍の詩をつく
  ってみました。


木になりたかった
でも木に
なれなかったわたしは
わたしの全身を使って
木を描いた
わたしの腕は枝だ
脚を閉じて
両腕をうんと伸ばすと
鳩がやってきた
わたしは鳩と語らった
木について
空について
野について
わたしの頭の上を電車が
ガタゴトと
走り抜け
鳩の羽の下を自動車が
排煙をあげて
走り去った
わたしの言葉は青葉だ
わたしは山のように言葉を吐き出し
緑を深くした
鳩たちは
わたしの腕の下で
萌黄(もえぎ)をついばんでいた
まるで
ほんとうの樹の下に
いるように
安心して

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