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予習していくともっと楽しめる!タイのお寺巡り【壁画編】

タイの寺院に行くと、仏像だけでなく鮮やかに、そして緻密に描かれた壁画に圧倒されます。

描かれているテーマで多いものは3パターンです。
壁画の元となっている物語を知っておくと、タイのお寺巡りが一層楽しくなります。

ラーマキエン(ラーマーヤナ)

ラーマキエンはタイの叙事詩で、タイの人なら誰でも知っている物語。
内容はインドの叙事詩ラーマーヤナとほとんど同じです。
ラーマーヤナはインドから東南アジアの様々な国へ伝播しています。

ラーマ王子の妻シータがランカ島の魔王・ラーヴァナに奪われてしまい、ラーマ王子が猿族ハヌマーンとその仲間と共にシータを助けに行くというあらすじです。

最近話題のインド映画【RRR】でも、スタジオジブリの名作【天空の城ラピュタ】でもラーマーヤナを参考にしたと思われるシーンやセリフがたくさんあります。
漫画【ONE PIECE】のルフィのアビリティがハヌマーンとよく似ていると話題にもなりました。

壁画の中にお猿さんがたくさんいたら、ラーマキエンについて描いてあるんだな、と分かります。

タイの寺院の壁画でよく見かけるもののひとつラーマキエン物語は猿がたくさん描かれています。
右手にラーマ王子がいます。
拡大するとお猿さんが
いっぱいいるのが
分かると思います。

本当のラーマーヤナはとっても長いのですが、レグルス文庫のラーマーヤナ物語上下巻がとても簡単で分かりやすいです。

降魔成道図(ごうまじょうどうず)と釈迦八相図

こちらも寺院の壁画によく描かれています。
両サイドにマーヤー夫人の脇に白い象さんが入ってから順番に、ブッダが入滅するところまで重要なシーンが書かれています。

降兜率・入胎・出胎・出家・降魔・成道・転法輪・入滅の釈迦八相図(しゃかはっそうず)と呼ばれています。

四門出遊の壁画の一部
修行僧と死者を目にして
出家する決意をする直前のシーンです。

合わせて天人がたくさん並んでいる壁画もあります。

タイの寺院の壁画でよく見かけるもののひとつに神のような存在の天人がたくさん描かれていることもあります。
天人がずらりと並んでいます。
タイに行くと後光の描き方が
炎のようで面白いなぁと思います。

そして、仏像の対面の壁によく描かれているのが降魔成道図(ごうまじょうどうず)です。
仏像の背面に描かれていることもあります。

降魔成道は釈迦八相の内のひとつで、日本ではあまり見られませんが、タイの寺院ではよく見られます。

瞑想中のブッダに向かって攻めてきた悪魔を、メートラニーが現れ、濡髪を絞って洪水を起こして撃退し、その後ブッダが悟りを開いたというシーンです。

髪を絞るメートラニー。
立ち姿だけでなく
座っている壁画もあります。

上の写真では、ブッダの真下でしなを作り、長い髪を絞っているのがメートラニーです。

本来は下の写真のように、ブッダが右手でちょんと地面を突くと洪水が起こって悪魔を追い払うという場面です。

あぐらをかいた姿で右手を膝の上に降ろし指先を地面に向けたブッダの仏像はタイのお寺でよく見られます。
降魔印の仏像

地面からメートラニーがゴゴゴゴ!と現れて大洪水を起こすシーンが加わっただけで、とたんにスペクタクルになりますね!

私はメートラニーが大好きで、お寺巡りで降魔成道の壁画を見つけたら、ちょっと興奮しちゃいます。
とてもセクシーで素敵な女性ですよね。
メートラニーはあちこちのお寺で見かけることができるので、自分なりの推しメートラニーを見つけてみて下さい。

三道宝海降下(さんどうほうかいこうげ)

悟りを開いた仏陀が、亡くなったマーヤー夫人に法を説くために3か月間忉利天(とうりてん)へ昇天したのち、人間界に降りて人々を救済しに行くシーン。
神々に見送られながら、ナーガ(蛇)の階段を降りていきます。

三道宝海降下の壁画。
きれいですねぇ。

ブッダの一生については、角川ソフィア文庫のこちらが読みやすいです。

タイは上座部仏教で仏教の原点に近い、非常に厳格なものです。

日本で主に広まっている、真言を唱えたら誰でも極楽に行けるよっていう大乗仏教とは異なるので、そういうことも知っておくとタイの人々の仏教観を少しは理解できるかもしれません。

博物館でプロから学ぼう

バンコク国立博物館では、このような説明を聞ける日本語ツアーがあります。

タイ・バンコクの王宮近くにはバンコク国立博物館があります。
バンコク国立博物館では
在タイ日本人ボランティアさんによる
ガイドツアーがあります。

しかも無料!
ほんとボランティアさんには頭の下がる思いです。
在タイの日本人の方から、駐在員の奥さままで色んな方々が、研修を受けて解説ボランティアをされています。

時代毎の仏像の違いや、建築の違い、タイの寺院に見られる様々な建造物や飾りについてとても分かりやすく教えて下さいます。

博物館にはスコータイ時代の古い仏像などが展示されています。
古い時代の仏像も
たくさん展示されています。
時代によって螺髪の形や
顔の造形が異なります。
タイ寺院本堂の扉の写真です。黒い漆塗りに貝殻から作った螺鈿細工でガルーダやシヴァ神などが描かれています。
寺院の本堂の扉などに
描かれている神々についても
事前知識があれば
楽しく見学できると思います。

初めてタイ・バンコクへ行かれる方は、日程の前半にこちらのガイドツアーを組み込むと、その後のお寺巡りがぐんと楽しくなること間違いなしです。

ガイドスケジュールはバンコク国立博物館ボランティアグループのFacebookからご覧ください。

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