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【50代の通信大学生活・前期を終えて】良かったことや気持ちの変化などを振り返ってみる

以前記事にも書きましたが、今年から通信大学で勉強中です。

色んな方が通信大学での学びの大変さを書かれてますが、いや、これほんと想像以上に大変です。

しかし、個人的には得るものの方が多かったので前期を振り返ってみようと思います。

【大学生活について】
大学:仏教大学通信教育課程 歴史学部 歴史文化学科 芸術文化コース
入学形態:学部本科・三年次編入(4月入学)
一日の勉強時間:3~4時間(出張や旅行の時は全然しないこともある)
休日は半日程度。
卒論テーマ:未定(タイの仏教美術)

大学のために転職

なるべく最短で卒業したいので、学習時間確保のために在宅勤務メインの仕事に転職。
通勤時間を勉強に充てられるようになったのは大きいです。

朝は始業前の1時間をテキストを読むのに充て、夜は20時にスマホのアラーム音から勉強スタート。
スマホはリビングに置いて、小さなタイマーを使い1時間勉強・休憩15分×2で毎日の勉強のリズムを定着させています。

勉強セット
無地ノートに黒ペンで一旦書き出して
赤ペンで重要部分のチェック
青ペンで疑問点を書き参考文献から追記
最後に罫線ノートにまとめます

卒論テーマをタイの仏教美術に関するものにしたいので、海外にいても仕事しながらフィールドワークや専門機関での公開講座に参加できるのはほんとありがたい。

意外とおもろいやん

必須取得科目は全然興味ないわーっていうのも中にはありますよね。

ところが勉強してみたら面白かった、っていう科目がほとんどでした。

先日は歌舞伎についてのオンライン授業がありました。
実はこの授業に先立ち、友達と松竹座7月公演を観に行ったのですが、正直、中村萬壽さんの演技が際立ちすぎて他の演目はよく覚えてない…(歌舞伎ファンの皆様ごめんなさい)

大人になってからは
初めての歌舞伎鑑賞

しかし、先生が元々歌舞伎に縁深いお家で育った方で授業以外の雑談が本当に面白かった。
特に芳澤あやめを始めとする女形の話が興味深く、先生におすすめしてもらった本を読んだりしています。

他には考古学のレポートを書く時に、阪神淡路大震災後の復興開発時に周知の埋蔵文化財包蔵地を一斉に調査したことを知っていたため、それを調べるために神戸市文化財埋蔵センターを訪れました。
発掘された遺物などを見学したあと、神戸周辺の発掘調査報告書を何冊か読んだのですが、災害考古学というジャンルがあることを知りました。

地層で年代を知るだけでなく、史書に残されなかった被害規模や二次災害の様子も分かるのスゲー!

見学後、学芸員さんから全国の災害痕跡を奈良文化財研究所がデータベース化していて、発生頻度の予見向上に考古学が貢献していることなど色々と教えて頂きました。ありがたい…!

考古博物館で販売していた冊子
これが500円以下なんだぜ…!

百聞は一見にしかず

元々博物館にはよく足を運ぶのですが、メジャーどころばかりでなく、中・小規模な博物館にも行くようになりました。

これはテキストを読んでいるだけではにっちもさっちも行かなくなってしまったということもありますが、愛読している「ちいさな美術館の学芸員」さんの記事を読んで「そうやん、そのために博物館はあるんやん!生涯学習最高!」と、なるべく実物を見に行く習慣をつけるようにしたのもあります。

朝鮮史のレポートを書く時に、象嵌青磁の実物を見たくて京都の高麗美術館に行きました。

中国・越州窯様式から青磁から白磁など独自の文化を展開した様子が良く分かる素晴らしい展示でした。
両班の部屋再現コーナーもあって、韓国ドラマで見たー!と興奮してしまいました。

韓国ドラマの歴史物が
好きな方にもオススメ

また、檀像についてのレポートの時には、香りによる非現実空間の演出が、仏教伝来時のマーケティングに使われたことは間違いないので、京都の薫習館へ行き白檀の原木に触れてきました。

甘くとろりとした香りと艶やかな木肌は、今まで見たこともない異国の妖艶な造形と相まって、当時の人達を虜にしただろうなと感じました。

お香の元になる色んな香りが体験できます

やはりテキストや図録だけで得られる情報は想像の域を超えず、実物を見て、それらが放つ造形の美しさや色合いなどを肌で感じると、今まで頭の中で散乱していた文字たちが一気に集束していきます。

小さい博物館は、平日に行くと割と空いてて、学芸員さんから直接説明してもらえることもあるのでめちゃくちゃ勉強になるからおすすめ!

視野が広がった

時々スクーリングで学友と顔を合わせると、うまく勉強時間が取れない、学習意欲が湧かない、といったお悩みを聞くことがあります。

多くが「●●について学びたい!」と意気揚々と入ってみたものの、さして興味がないものも単位習得のために学ばなければならないことを苦痛に感じていることが原因のようです。
分かる、分かるよー興味ないことに3200字も書けねぇわ!ですよね。

私は当初、タイの壁画に描かれている降魔成道図でキーパーソンとなっているプラ・メー・トラニー(地母神・ヴァスンダーラとも呼ばれます)について卒業論文を書こうと思っていました。
しかし、多くの仏堂内の壁画に描かれているだけでなく、タイ水道局のシンボルマークになっていたりと大人気の神様にも関わらず、彼女にフォーカスした文献や論文が少なすぎて悩んでいました。
(そもそも彼女がいつ頃仏教絵画に取り込まれたのかもはっきり分かってない)

ですが、歌舞伎の授業を受けて伝統芸能もいいね!と感じ、寺院や王室に奉納されるタイの伝統芸能のひとつ、影絵「ナンヤイ」の身体表現が仮面劇「コーン」にも影響を与えていることを、ある本を読んで知ったことで色んな論文を読んで調べています。
恐らく論文テーマはこれに決定だと思います。

この本

こんな風に出会い系サイトみたいに、会ってみたらめっちゃ良かったみたいなこともあったのでとりあえず首突っ込んでみたらいいと思います。(出会い系サイトやったことないから知らんけど)

意外とおもろいやん!

今のところ、全ての教科でA評価を頂いていますが(さすがにSはない考古学で念願のSを頂きました!わーい!)、嫌々取り組んだレポートには辛辣なコメントが付いています。バレとんねんな…

私の場合、民俗学が面白くなさすぎて仕方なかった。
なぜなら核家族で育った私にとって、主人の田舎での古いしきたりに馴染めなかった結婚当初の辛い思い出や、一人暮らしだった両親を孤独死させてしまった辛い記憶がよみがえってきたからです。

もうほんとぎりぎりまでレポートが書けなくて、どうしようかと思っていた時に、思い切って主人の実家にレポートのテーマについて聞き取り調査をしてみました。

「家族」という小さな単位ではめんどくせーと思っていたことも、「村」という大きな単位では相互協力体制が整っていて、あんだけ他所の家の陰口を言っていてもいざという時にはすごい力を発揮することが分かり「意外とおもろいやん!」と思わず言ってしまいました。

他の教科でも、もう分からーん!ってなったら現地に足を運んでみたり、学芸員さんたちの話を聞いてみると「意外とおもろいやん!」と感じることが多いです。

通信大学で頑張っていらっしゃる方も、辛くなったら、自分なりのパワーワードを見つけて、盛り上げてみてはどうでしょうか?

後期にむけて

私は3年次編入なので、後期から卒論の準備が始まります。
ワクワクもたくさんですが、ちゃんとできるんだろうか?という不安もいっぱい。
当然ながら、ぜんぜん筆が進まないレポートもあります。
何なら学芸員資格を取得したところでこの歳で学芸員になれる確率はほぼゼロに近い。

だけどたくさんの学友が全国にいると思ったら頑張れます。

テーマが決まったら、やってみたいことや、行ってみたい所もあるので後期も楽しみです!


#自分で選んでよかったこと

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