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頭がいいなーと尊敬できる人ほど頭を使う前に足を使っているという事実

この人にはかなわないなー、という人がいます。大先輩はもちろん、同世代にも、下の世代にも。
私は顔が広くないので、あくまで自分の業界内の話ですが、顔が広い人は他業種まで含めてそうしたすごい人に出会う機会があるでしょう。

すごいというのは、まぁ単純に実績のことだと思ってください。ひっくり返っても自分にはできないようなことを成し遂げている人を、みなさんもそれぞれの世界で思い浮かべることができるのではないでしょうか。

私は人間の生まれ持った能力って、基本的にそんなに差がないと思っています。人よりちょっと記憶力がいいとか、人よりちょっと発想が柔軟とか、まぁ多少の出っ張り引っ込みはあるでしょうが、みんな同じ人間なんですから言っても誤差の範囲内です。
それこそギフテッドと呼ばれるような超天才も稀に存在するのでしょうが、少なくとも私は出会ったことがないし、私がかなわないなーと思う人はおそらくそういった希少種の天才ではないと思います(いや、確かめたわけではないけど)。

じゃあ、何が結果を分けるかというと、結構単純に行動量なんじゃないか、とようやく分かってきました。
私の業界、学芸員&美術史研究者に限って言えば、たとえば「人よりも展覧会に足を運んでいる」。これだけの違いかもしれません。

いや、ほんとなんです。すごい人ほど展覧会にいつでもいます。
なんだそんなことか、と思いますよね。そうです、そんなことなんです。

とにかくちょっとでも興味がある展覧会は、多忙な合間を縫ってでも必ず見ています。どんな小さな美術館のマイナーな展覧会でもめざとく見つけて見に行きます。地方だって海外だって見なきゃいけないと思ったら、なんだかんだやりくりして見に行きます。

展覧会を見に行くことに才能は必要ありません(よね?)。それを誰よりもやっている。私がすごいなーと思う人ほど忙しさを理由にせず、人よりも足繁く美術館に通っている。ただそれだけの違いです。

いや、実際はそれだけじゃないのは分かっています。でもこのやろうと思えば誰でもできることを、誰よりもやっている。この一点ですでに叶わないんですから、そりゃ話にならないよなぁということです。

これは後ろ向きな話ではなくて、才能とか地頭が違うとか言い訳する前に、単純に行動量を人に負けないぐらい増やせばそれで頭一つ抜け出すことができるんだし、わりとイージーなゲームじゃないの?という話です。

量です量。ひたすら足を使って、頭は最後にちょっとだけ使えばいいのです。先に頭を使うと小さくまとまってしまいます。あなたの世界も同じじゃないですか。違うのかな、多分同じだと思うけどどうなんだろう。

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