思い出の北陸でおいしいものだけ食べまくる旅① 2020/3/15
15日午前10時
3ヶ月ぶりの美容院に浮かれて髪の毛を10センチ短くする。カラーリング剤を塗りながら、美容師の男性が「今日はこのあとお出かけですか?」と当たり障りのない話題を振ってくれた。
「今日は大学時代の友人と、富山と石川に行くんです」
観光というよりは「思い出の地での再会」だ。
5年の大学生活を北陸で過ごし、特に仲良くなった学友が3人いる。去年大学を卒業してから、私ともう1人は上京し、2人は北陸に残った。
上京組はIT系企業の営業職、北陸組はサービス業のため休みが全く合わず、まるまる1年が過ぎようとしていた。
しかし、元々美味しいものとお酒に目がない4人、有給が取れるようになると「かほく市の、ネタが座布団くらいデカい寿司屋に行こうよ」の一声で北陸再集合が持ち上がった。
予定合わせとリスケを重ね、ようやくこの日がやってきたのだ。
午後13時
東京駅で集合。遅刻癖のある営業友人が10分後に到着。時々「またか」と思うこともあるが、髪の毛を綺麗に巻いてもらい機嫌の良かった私は、八重洲中央口でお昼ごはんのことを考えていた。
コンビニでお昼を買い、24分に出発。
いつもならハイボールとビールを1缶ずつ買い込んでアップを始めるのだが、今日は北陸の美味しいご飯とお酒に備えてサンドイッチで我慢した。
東京は快晴。高崎を過ぎて長野に入ると積雪が目立つようになり、上越妙高あたりで突然空が曇った。
就活で金沢から東京に通っていた頃は、どしゃぶりの曇り空からだんだん晴れてきて、大宮付近で快晴になることが嬉しかったのを思い出し、懐かしくなる。
車内ではずっと友人の話を聞いていたが、内容はほとんど覚えていない。仕事の愚痴か、家族との苦労話か、最近行った美味しい居酒屋。彼女の話題はだいたいその3つで、その日は他に就職活動を始めたという弟くんのESを一緒に添削したりした。顔も知らない姉の友達に覚えたてのガクチカを見られるのはちょっと酷な話だ。
16時
富山着。絵に書いたような北陸の空で、思わず撮る。
化粧を軽く直し、スタバのさくらラテを飲みながらこのあとの作戦会議をした。2軒回って、20時の高速バスで金沢へ移動、宿泊。
富山への滞在時間は4時間だ。
17時
1軒目「吟魚」
富山では言わずと知れた名店らしい。
富山出身の友人が「絶対に連れていきたいお店がある」と2年以上前から言い続けていたほどだ。
ちなみに私も一度違う友人と来たことがある。
駅から10分というアクセスの良さからは考えられないほど、新鮮な高級魚が手軽に食べられて感動した。
コスパの良い有名店、開店直後の店先には日曜の夜ながら行列ができていた。
「ふたり、入れますか?」と尋ねると、カウンター内で白い割烹着の店員さんが残念そうに告げた。
「ついさっきいっぱいになりました」
私達の一つ前に並んでいた二人組で満席になってしまったらしい。あちゃー、と肩を落とす私達に、店員さんが駆け寄ってきて名刺をくれた。
「実はすぐ近くに2号店がオープンしまして、そこなら入れます」
17:15
1軒目『吟チロリ』
名刺を握りしめながら、雨の中進む。
かなり分かりづらい路地にあったが、友人の「こっちじゃない?」という的確な方向感覚のおかげでスムーズに到着。
懐かしさの滲むデザインの引き戸を開けると、奥のカウンターへ通される前に、「当店イチオシの刺身盛りですが、準備しておきますか?」と聞かれた。富山の有名店に魚を食べに来ているのだ。ノーを言う人はどのくらいいるのだろうか。
席に通され、うんうん唸りながらメニューを決める。
一杯目の生ビール。
ばい貝のうま煮。
ヤリイカと菜の花の酢味噌和え。
ホタルイカの唐揚げ。
吟魚名物の魚のアラ煮。
快活で優しそうな店員さんに注文を伝える。
「本日のオススメは白子とズワイガニなんですが‥‥頼まれなくて本当にいいですか?」
手書きのメニューには、デカデカと「白子と生海苔のユッケ」と心躍る品目が記してある。
それも追加で注文し、「ハシゴ酒するのに頼み過ぎだよね」「あのお兄さん営業うまいね」と笑いあった。
余談だが、吟魚も吟チロリも店員さんの感じがとてもよい。どんなに忙しくてもにこやかで、良いタイミングで注文を取りに来てくれる。こんなに美味しいのに企業努力を怠らないなんてすごい。
ビールで乾杯していると、次々に料理がやってくる。どれも1000円以下のメニューとは到底思えないくらい鮮やかだ。
白子と生海苔のユッケ、白子の食感とたっぷりの生海苔が素晴らしくおいしかった。ありがとうお兄さん。
(飲み会については)守銭奴ではないが、この立派なアラ煮が100円なのは普通に頭がおかしい。
というかもはや身がしっかり入りすぎていてアラですらない。
この角が立った美しいお刺身を見てほしい。
中身もマグロ、ブリ(本場!)、タイ、アナゴ、タチウオ、ムツ(たぶん‥高級魚と言ってた)、カワハギ(肝付!!)と超豪華。
1人前700円。
採算取れてる??大丈夫??
追加で日本酒も2合飲んだ。
曙(600円)
羽根屋 煌火(750円)
ちなみに羽根屋は某航空会社のファーストクラスで振る舞われるお酒だと聞いたことがある。
(煌火なのかは謎)
ほんのり甘みがあって飲みやすい上、時々他地域でも見かけるので良かったらぜひ。
久しぶりの北陸の魚にひとしきり感激していると、時刻は19時前。
もう結構お腹は一杯なのだが、まだまだお酒は飲める!ということで二軒目に向かう。
19時。
路面電車で4駅ほど進むと、富山市の繁華街「総曲輪」に到着。
(読めるだろうか?「そうきょくりん」ではない)
2軒目『uzumaki』
友人の、東京で見つけた行きつけのマスターが教えてくれたらしい。アーケード沿いのビルの二階にある。日本酒Barと冠しているが、マスターがフレンドリーで料理も充実していた。
富山の地酒「林」
ラベル中央部に貼ってあるお米をそれぞれ使っている、とマスターが教えてくれた。
私はスッキリしつつもフルーティーな「五百万石」、友人はずっしりした辛口の「雄山錦」を気に入った。
お通しのお豆腐(水分を抜いていてチーズみたいな味だった)と豚とジャガイモのグリルもとても美味しかったのだが写真はない‥‥。
マスターがご厚意で少しくれた美山錦の林(写真中央)を片手に談笑していると、もう20時が近い。
富山に立ち寄ったらまた来よう、と決意して席を立つ。お代は1人1800円。‥‥お通しも料理2品も日本酒も頼んでるんだけど‥‥えっバー?
20:10
総曲輪(そうがわ)バス停より高速バスで金沢へ向かう。
富山⇔石川間は高速バスが便利だ。
鈍行と値段も時間もそこまで変わらず、
電源とWi-Fiが使えるし、近江町市場や兼六園付近で降ろしてもらえる。
21:00
近江町市場(武蔵ヶ辻)で下車
徒歩30秒でホテル着。
今回は新幹線とホテルのパックで来てたので、ホテル代は殆どタダみたいなものだったのだけど、
えっ良い‥‥めっちゃ綺麗‥‥。
ちなみに友人のお勧めホテルで、最上階には大浴場があります。朝食ビュッフェ付。
こちらです
→https://www.the-squarehotel.com/skz/
荷物を置いてそこそこに、どちらからともなく
「ねぇ、飲みたりなくない?」と言い出す。
21:30
3軒目「ヒネモス」
宿から徒歩20分。繁華街「香林坊」の裏に「新天地」という飲み屋街がある。
手頃なイタリアンから、和食、チェコ料理のお店や小さな屋台街(!)まで。学生時代はなけなしのバイト代でよく飲みに来た場所である。
「ヒネモス」も、そんなお店の一つだが、8席ほどの人気店なので1度しかお世話になっていない。
「今日は何軒目ですか?」と聞いてくれるマスターに3軒目だと答えると、軽めに色々盛りましょうか?と提案してくれた。
ここはワインと日本酒が豊富。
日本酒が続いたので赤ワインを注文した。
重ためでおいしい。
前菜、「軽めとは‥?」と禅問答するくらいの量だった。8品くらい。
サラダを中心に、パテやチョリソー、チーズなどワインに合いそうなものを盛っていただいた。
金柑の蜜漬けが良いアクセントで美味しい。
店の奥、テレビでは古い映像で知らない男性がJAZZを弾いていた。右隣のカップルが静かに席を立つと、左隣に座っていた女性二人組が「そろそろデザートにしよう」と盛り上がっていた。
甘いもの、食べたいなぁ。
酔っ払うとラーメンよりケーキを欲する私は、
シメにティラミスを注文した。
大きなガラスの器に作ったティラミスを、気取らずに取り分けてくれたような風貌で出てきた。こういうかたちのデザートってだいたい美味しいよね(伝わるかな‥‥)
満腹の24才に優しい甘さで最高でした。
11:00
コンビニでおつまみとお酒を買い、ホテルへ戻る。途中から雨が降り出して、冷えた身体を労るために速攻で大浴場へ。
その後は友人が最近ハマっているというSnow ManとSixTONESの動画を3時間くらい見ていた。
私はオタクなのだがジャニオタではないので顔と名前がほとんど一致しなかった。でも、ガチめの洋楽やキレキレのダンスが予想外でびっくりした。
お酒がなくなる2:30頃、二人とも布団に入った。「同じペースで飲める友達って貴重だよね」と言い合いながら。
さて、明日はいよいよ本命のお寿司屋さん。
6時間後にアラームをかけて、おやすみなさい。
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