私がフリーランスにならない理由

IT業界はフリーランスが当たり前のようになっており、技術的な事について検索すれば、必ずと言っていいほどフリーランスを推奨するようなスクールの記事が出てきます。
確かにPCがあるだけで、いつどこでも好きな時に仕事が出来るという魅力はあるでしょう。

しかし、私はそんなフリーランスになりたいとは思いません。
その理由を今回お話しようと思います。

全て自分の責任

フリーランスとは、いわば1人社長です。
保険の加入から案件の交渉まで、全て自分で行わなくてはなりません。

そして、案件も常にあるかどうかもわからない、さらには交渉が苦手だと安く買い叩かれてしまう恐れもあり…
悪い事ばかり考えているように思えますが、これらを解決していく能力も必要になります。

それらを全てやっていく能力は、私にはないと自覚しています。

納品すれば終わりにしたくはない

基本的には、契約通りの成果物を納品すれば、それで終わりな業界です。
保守の案件もあるかもしれませんが、フリーランスは基本、時間で縛る事は出来ませんので、いざという時の対応も不可能だと考えるべきです。

私の場合は、自分の作った物が、どのように使われるのか、その行方も知りたいのです。
その保守の案件も同時に受ければいいかもしれませんが、他の手続きや案件探しもやらなければ生活費を稼げるか不安ですし、そのうえ格安な報酬で保守まで関われる程の労力もありません。

なによりお客様が保守を依頼しなければ、当然保守を行う事も出来ず、次の改修や更新のためには、おそらくは他のフリーランスの方が選ばれるかもしれません。
しかし、プログラムやコードは、それを制作する人によって、その構造やクセも大きく変わってくるもの。
残念ながら、人が入れ替わりで保守されたそれは、もはや初期の自分が知っている物ではないでしょう。

年収も700万超えなどという、一見魅力的な生活を送るにも、案件ひとつひとつに愛着を持って取り組んでいては間に合わないでしょう。
より早くより多くの案件を獲得し、こなしていき、ガツガツ稼がない事には生活費さえままならない事もあり得ます。
そのような状況の中で、質の高い物を作り上げるのが、はたして可能なのかという疑問もあります。

自分だけのスキルアップには興味がない

私は自分だけがスキルアップをして、特別高い年収を得たいなどという願望は一切ありません。
こう言うと向上心がないと思われるかもしれませんが、私が理想とするのは、私が得意としない分野を得意とする人と力を合わせて物作りをしていきたいからです。

デザインは出来るけれど、コーディング等技術的な事はわからない。
そういう人を助けつつ、力を借りたいと思っています。

会社に勤務する事を、自由が無いとは思わない

私は会社に勤務する事を、自由を奪われる、会社に従属するなどとは考えておりません。
確かに一定時間の拘束が必要なのが労働ですが、だからこそ、いざという時に迅速に動けますし、会社の情報や権限を使用して、より速い調査や作業が行えます。

案件がなく暇な時もありますが、そのような時こそ勉強すればいいのでええす。
ただ、自分のスキルアップのために勉強をするのではなく、組織としてよりよい方向に進める方法を模索するという意味では、大きく違ってきますが。

フリーランスが当たり前になるべきではない

交渉など全てを自分で行わなくてはならない大変さ、いつ収入が途切れるかもわからない不安、納品してしまえば終わりのような、やり逃げになるのではないかという罪悪感など、私にはフリーランスは性に合わないものと考えております。

もちろん、世の中にはすごくいいフリーランスの人もいるとは思いますが、私としては、これらの不安点は拭えませんし、仕事というのは本来、会社に雇用され生活が安定した上で行うものと考えておりますので、フリーランスは私には合わないと考えています。

ただ、この業界は本当にフリーランスが当たり前のようになってきている気はします。
何か技術的な情報を調べると、どこぞのスクールの記事が出て、「あなたも高年収フリーランス!」みたいなのが必ず出てきます。

ハッキリ言いますが、フリーランスは誰にでもなれて、誰もが成功するものではないと思うのです。
なのにこんなにも安易にフリーランスはいいぞ!みたいな風潮をバラまいて、挫折する人を増やしているだけでは、IT人材の人手不足も解決しないでしょう。
成功している人もいるかもしれませんが、それでも人手不足を解消出来る規模なのでしょうか。

私自身もフリーランスは性に合いませんが、フリーランスを当たり前にしすぎた事も、この業界の問題点にも思えます。
PCさえあれば簡単に出来るプログラミングやコーディングではありますが、より信頼のできる高品質なシステムやWebサイトを作るために、そして安定した雇用で交渉力はないが技術のある人の受け皿としても、専門の企業の存在が不可欠でしょう。

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