見出し画像

自己紹介と留学の経緯

2024年4月からドイツに留学している30代後半の整形外科医です。
せっかく留学する機会を頂いたので、noteに留学の記録を残そうと思います。

私は大学を卒業後、地元の整形外科の医局に入局し、昨年度まで臨床医として働いてきました。整形外科はいくつかの専門に分かれていますが、私が専門にするのは外傷です。外傷の中でも特に重傷外傷の治療にやりがいを感じています。前職場は救急病院であり、専門医取得後、同院で5年ほど経験を積ませて頂きました。長い期間同じ場所で働くのは初めてであり、その間に色々な事を考えるようになりました。多くの外科医にとって、一番重要なのは経験だと思います(もちろん待遇等も重要ですが)。こと重症外傷に関しては、いくつかの施設を除き、まとまった症例数を経験するのが難しいのが現状です。その理由として、ひとつに日本では重症外傷の発生が減っていることがあげられます。重症外傷の最多は交通事故ですが、日本は交通が整備され、飲酒運転が減り、バイク人口も減り、発生件数は減っています。また、日本は人口自体も減っており、今後も発生数は減っていくものと思われます(もちろん良いことです)。
ふたつに、日本は外傷を専門にしたセンターが非常に少なく、症例があちこちに分散してしまっている現状があります。
それでも重症な患者さんが0になることはありません。そういった患者さんの命や生活を救うには技術と経験が必要ですが、症例が少ないと技術を磨き、経験を積むのが困難です。
ある程度の期間、外傷診療に従事する中で、徐々にある種の閉塞感を感じるようになりました。そんな折、医局の先輩からドイツへの留学の話を頂きました。

日本では外傷は整形外科の中でもマイナーな分野ですが、ドイツでは多くの地域で整形外科とは別に外傷科が存在しており、外傷に従事する整形外科がたくさんいます。また、ドイツは国の主導で外傷センターを整備し、症例の集約化を行っています。留学の話を頂いた病院の教授は骨盤寛骨臼骨折治療の大家であり、私にとって、非常に魅力的なお話でした。
また、私は小学5年生の時、父親がカナダに留学したため、1年間をカナダで過ごしました。この時のことは原体験として自分の人生に強烈なインパクトを残しました。この経験があったため、自分もチャンスがあれば海外留学したいと思っていました。

私の医局では、留学を希望する場合、大学院生の期間中に行うことが通例となっています。大学院といえば、もちろん研究を行う場所です。恥ずかしながら、私は今までほとんど研究という研究を行ってきませんでした。私の医局では多くの医局員が専門医取得のタイミングで大学院へ進学しますが、私はとにかく手術をしたかったので、当然のように大学院へは進学しませんでした。今回のオファーは今まで、避けてきた研究にチャレンジする良いチャンスでもあると捉え、一念発起、大学院へ進学し、留学させていただく決断をしました。

留学への話を進めていく中で、どうせなら向こうで研究もしたらどうだと医局の先生に勧められました。今までまともに研究したことないのに、そんなこと可能なのか?思いながらも、向こうの先生に打診をしたところ、実績がなくてもウェルカムな返事を頂き、晴れて臨床+研究留学をさせて頂くことになりました。期間はかなりふわっとしており、向こうからはとりあえず1年滞在してみて、気に入ったら延長してみたらと言われています。

生活のセットアップに2か月近くかかりましたが、ようやく落ち着いてきましたので、今後は留学までの準備、渡航後の様々な手続き、医療の話、日々の生活の話などを緩く発信していこうと思いますので、よろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?