「最期の、夏だね。」と。 ちいさく笑うA子の声は舌に乗せたキャラメルに溶け混じり、ほろ甘…
サーチライトが、つまりサーチするライトが、深夜を照らす、私を捜す。 私は捜される。サーチ…
パレィドなら、真夜中が好いね。 歩調を揃えて、いちに、いちに。 光を避けて、サイレントな…
「北へ向かって。」と女が云う。 何故、とは問わずに前を見る。夜を見る。それは更ける。 つ…
そんな訳で世界は沈み、わたしはぷかりぷこりと浮いている。 世界、沈んで在る。 沈んで在る…
見知らぬ男が戸を叩き、郷土玩具を購えと乞う。 馬面の小芥子。青白い仔馬の耳飾り。馬の鬣で…
チケットを探して鞄を掻き回している、そんな彼女の前髪がふわりと踊っているのは、この街が落…
「逃げちゃ駄目だ」と「俺は駄目だ」が手を取り合って三段論法、つまり。 俺は逃げる。 何…
夜の底で、大きな鳥が啼いている。 と。想って瞬時に。 否。と。思い直す。 たとえば身体の小…
信号を待つ、その僅かな時間の隙間で迷子になって、私は足を踏み出せない。 何処へ、行こうと…
誤解を恐れずに云えば、と。 切り出した僕はそれでも矢張り誤解を恐れていてつまり言葉を。 続…
就職した事が無い。 出来る気がしない。 だが職に就きたい。 のり弁当(税込み三百円)を昼夜…
地球。日本。円生町。 駅裏の路地に梅雨色のビルがあって、その最上階に俺の事務所が在る。 …
□□□ 海の広さと深さ。 それが時々、彼の気持ちを滅入らせる。 「今、俺が、ビールを海に…
3時になっても、眠れない。 羊を数え、山羊を数え、砂漠の砂を夜空の星を数え続けて眠れない…
特定少数の皆様こんばんは、ウネリ本体です。時は2006年(鎌倉時代よりちょっと後です。)…