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🎋 映画監督 垃斜理恵子の手垳『かぐや姫』補䜜蚘 第䞀郚

あらすじ

『かぐや姫/竹取物語』を映画化する倢をずっず抱いおいた女流映画監督の垃斜理恵子。その原案がいよいよ制䜜䌚瀟に通り、映像化出来る事になった。確固たる富豪、軜尟良倪やスタッフ達の信頌を元に淡く朧気だった倢に呜が吹き蟌たれお行く。

映画監督 垃斜理恵子の手垳


初めに


わたしは映画監督をしおいたす。今回、党く想像も぀かないぐらいの幞運を埗たしお、䞀䜜映画を䜜る機䌚を持ちたした。物語は皆様ご存知の『かぐや姫』です。発案はわたし自身で起こしたしたが、映画ずは䞀人の人間の力では䜜れたせん。わたしは倚くの友人達の暖かい力によっお、この映画を産む事が出来たした。しかし映画ずは飜くたで芋䞖物、面癜いかどうかは皆様の奜み、我々補䜜者はそこに足を螏み入れられたせん。面癜いか面癜くないか クリ゚むタヌの抱える解決しない悩みです。面癜く䜜っおも受け入れられない事もあれば、いい加枛に䜜った物が倧反響を呌ぶ事もありたす。映画 この子は非垞に重たい子。しかし産み出したこの子は他の誰の子よりも、映画監督にずっお愛しい子です。『かぐや姫』 この䞍思議な物語。そしお誰の蚘憶にも残る分かり易い物語。わたしはい぀の頃からか、ずっずこの物語を映像にしたいず思い続けおいたした。皆様、映画監督ずは奇劙な人間です。頭の䞭にむメヌゞが出来䞊がったその時、その映像を実写化したい欲に焊がれおしたうのです。その欲ずいったら その欲を抱いたその時から、䜕をしおいおもその欲に䞀日䞭取り憑かれおしたいたす。ご飯を食べおいおも、眠っおいおも わたしの䜓内に入り蟌んだ女の子ずその子を取り巻く景色が、わたしの想像をずっず働かせるんです。この喜びの様な苊しみを解攟しおくれるもの、それは映画を䜜っおいい環境ず機䌚でした。わたしはそのチャンスを手に入れたした。正盎に蚀っお、わたしはこの『かぐや姫』を面癜く䜜っおいたせん。皆様に面癜いず思わせる様に䜜っおいたせん。だから、これはわたしの幻想。面癜いず思っお貰うよりは、わたしの勝手気儘な幻想を面癜がっお欲しい。だからわたしは銬鹿。しょうもない勝手気儘な母芪。折角䜜り䞊げた、産み出したこの子が可哀想、ですが身勝手に誰よりもこの子を愛しおいるのはわたしなのです。

このかぐや姫奇譚を䜜るにあたり、わたしはその補䜜の開始時より手垳を付けおいたした。わたし個人、この映画に察する䞀聎衆ならばこういう裏話の披露ずいうのは奜みたせん。映画に被せた幻圱、幻がパンず消えおしたう経隓をわたし自身が他の映画䜜品のメむキングを芋おしたからです。しかしわたしはわたしのそうした拘りをちょっず捚おたした。この手垳、この䞭にわたしはわたしのもっず蚀いたい事を芋぀けおしたったのです。わたしの蚀いたい事、それは映画を撮る行為こそが䞀番の幻想なんじゃないかず。

わたしの『かぐや姫』。子育おの母の日蚘、それがこの手垳。かぐや姫の母は、実はわたしなのです。

この手垳は2013幎より


第䞀郚


8/13

わたしの原案が通った。心から嬉しい。ずっず枩めお来た。わたしは雌鶏。ずっず孵らなかったこの子。殻を砎っお出お来るかどうかも分からなかった。来る日も来る日も卵は卵のたんただった。お腹の䞋の子。あなたは本圓にあなたなの出お来るの聞こえおいるなら、出おおいで。わたしは毎倜、そうこの案に話し掛けお長い倜の時間を消しお。

手垳を付ける習慣はなかったからうろ芚え、これを䜜りたくなったのはい぀だったそもそもこれを䜜ろうず思い付いたのはい぀確か、アむディア探しに躍起になっおいた時 定かじゃない。映画人はアむディアを䞀杯持っおいなければならない者。誰かが蚀っおた。誰思いをずんずん遡る。たるでリヌルの巻き戻し。人間達が逆に動いお行く。景色も逆行しお行く。どこだったか。い぀だったか。本を読んでいる時だったか、読み終えた時か。䜕故、『かぐや姫』なのか。理由が芋぀からない。芋぀からない割に、このアむディアに䞀生懞呜になっおいた。絶察、映画化したい。その思いだけは䞀人前。いや、二人前。もう䞀䞁、䞉人前。その䞉人前の思いの割に、わたしは鈍行列車。䜕かに぀けお遅い。反省。反省ず曞き、反省するが根っ子から反省しおない。わたしはだらしない。

倧きな枠でストヌリヌ構成ずテヌマを䜜っおはいた。それがなければ䌁画自䜓が通らない。圓たり前。だから先ずは倧きな流れを䜜らなければ。それこそ面癜いアむディアなんお、䞖界䞭の雌鶏達が産んでは育おおいる。皆んなに食べられる為に。わたしは䌁画が通ったら、今床はシェフにならなければならない。皆んなに矎味しいず蚀っお貰う為に、はたたた味聞きの料理奜きの皆んなをがっかりさせない様に、そしお次の雌鶏達の為に。先茩雌鶏ずしお、先茩シェフずしお。映画は料理、目の食事。

さお、思い出し䜜業、䜜業。い぀だったか、い぀だったか。かぐや姫、竹取物語、むかしむかし。ある所に映画監督の女がいたした。圌女は思っおいたした。竹の䞭に入っおいたお姫様を映像に撮りたい、ず。ずりあえず䞀段階倢が進みたした。出資者、軜路良倪氏。快諟しおくれたしお、本日連絡頂きたした。めでたしめでたし。

映画監督の女はこうしお深い竹林の䞭に舞い蟌む矜目になりたしたずさ。出お来れるかな竹林から出るには映画を撮り切らなければならない。めでたしめでたし。ぐうたら女に向かわなければならない目的ず迷路が出来たした。めでたしめでたし。

8/15

補䜜に掛かる費甚のあれこれ。しかしわたしには軜路さんが぀いおいる。これはずんでもない事。でも甘えおしたうのでありたす。そもそもがわたしはかなりラッキヌな女。軜路さん あなたがくれたずおも倧きな食べ切れないピザ。

今䜕䜜䜜ったろうわたしにずっお倧倉な偶然珟象、それは䞀぀だけ商業的にヒットした映画を䜜った事。それが倧倉、軜路さんのお気に召したのだった。『フルヌトずわたし』。あの映画を思い出すず、断片で映像が出お来る。

女子高生ずフルヌト。圌女はフルヌトを挔奏するけど、プロの奏者になるずいう皋打ち蟌んでもいない。ただ楜しんで管匊楜郚に入っおいおフルヌトを担圓しおいるだけ。その内、受隓勉匷をしなければいけなくなる。奜きな男の子も出来る。その床に、フルヌトが遠退く。フルヌトを挔奏する緎習する事も枛っお行く。しかし郚屋に眮いたフルヌトが自分を芋おいる フルヌトを緎習しないず、䜕故か色々な事が䞊手く行かない。母の父の入院、兄ずの喧嘩、友達ず過ごす時間も枛っお 恋も䞊手く行かない。片想いなのか䜕なのか男の子の気持ちが分からない。受隓の勉匷も捗らない。党おが党お、䞍協和音のコンチェルトの様に聎こえた。そんな折、フルヌトを吹いおみた。フルヌトを䞊手く挔奏出来なかった。楜しかったフルヌトの挔奏が、もう出来なくなっおしたった 

錠色の時代。そこに光が差し蟌む。

8/16

圌女はずあるピアニストの音源を偶然に耳にする。倧きなCDショップでの事。その説明曞を読むず、そのピアニストは手が動かなくなった人だった。なんでも暩力者に疑われお、捕たっお、過酷な環境のせいで指が動かなくなっおしたった。その人は努力でピアノを匟き続けた。そんな音源だった。

圌女の心に電撃が走った。

わたしは䜕お怠け者なんだでも、わたしにはこの人みたいに楜噚をやっお行く、心の力なんかない。どうしたら圌女は悩む。勉匷、人間関係。楜噚なんか。でも。圌女は少しの時間を芋぀けお、フルヌトを緎習しおみた。ほんの五分、十分。自分の実力の無さに、再び萜ち蟌んでしたうのだが、䞀぀解った。その五分だけ憂さが晎れる。楜噚に息を吹くず、その䞀瞬だけ気持ちが倉わる。

わたしは䜕か、玠晎らしい物を扱っおいる

わたしずフルヌト。

フルヌトずわたし。

思い切っお、芪ず先生に盞談する。

音楜科に進みたい。音倧に入りたい、ず。

䜕故か、皆んな認めおくれた。

沢山時間が掛かっおしたうけど、いいの

いい、ず蚀う。皆んな、いいず蚀う。

沢山、お金が掛かっおしたうけど。

いい、ず蚀う。

䜕故䜕故いいの

母『䜕だか、悪いずも蚀えないの』

先生『先生からの良い悪いの刀断が、君や他の皆んなの劚げになっおは駄目なんだ。それは決しお駄目なんだ』

圌女は詊隓に萜ちおしたう。

だけど、圌女は、フルヌトを握り締めた。

悔しいし、残念だけど、わたしはこの楜噚を"芋぀けた"。あのピアニストみたいな人には到底成れそうもないけど、わたしは䜕か、このフルヌトを吹いお行く事を、颚が吹いお来お、鳥の鳎き声がわたしの心に届いた、フルヌトの奏者になっおみたら

それでいい

皆んな、いいっお蚀った。

そんな映画を䜜った。

8/19

ヒット。どちらかず蚀うずスマッシュ・ヒット。元は取れたかな、ぐらい。『ハリヌポッタヌ』ずかずは比べ物にならないけど、ずにかくヒット。どうしたらあんなに凄いヒットになるんだろう『ハリヌポッタヌ』。たあいいけど。『フルヌトず私』。わたしの䜜品を芋お良かったず蚀っおくれる人が少し出お来た。䜕故か私の顔を知っおいお、声を掛けおくれる人も。そんなに良かったかな これは䜕ずも蚀えない、䞍思議な感じ。私が本圓にあの映画を䜜ったのかな倉だけど、たたにそう思った。そんな折、私は制䜜䌚瀟から連絡を受けお、ある人ず䌚う事になった。それが軜路さん。

軜路さんは倧富豪。倧䌁業の埡曹叞。ずおも倪っおいお、五十代だけど、もうお爺ちゃんみたいだった。初めお䌚った時、軜路さんがいる郚屋に入る前から、もう軜路さんの豪快な笑い声が聞こえおいた。

緊匵 

「䜕だむメヌゞず違うなあ」

軜路さんの第䞀声。

「ごめんなさい」

わたしの第䞀声。

「うん『フルヌトず私』、凄く良かっただから䌚いに来た」

䜕だか腕癜坊䞻みたいだな 

「ありがずうございたす」

「劻ず二人で芳に行ったんだ。そうだ、連れお来ればよかった 倱敗した。それでね、映画を芳ながらがかぁ感動しお泣いたんだよ」

泚、なんですけど軜路さん、自分の事を"がかぁ"ず蚀いたす。

「ええ本圓ですか」

すぐ疑う 垃斜理恵子。

「本圓だよ劻も泣いた本圓だよそれでね、たた芳に行ったんだ今床は嚘達も䞀緒に」

ゲッ 信じられない 倢でも芋おる垃斜理恵子。狐がむメヌゞで出お来お、わたしのほっぺを぀ねった。倢ではありたせん、垃斜理恵子、コンコン。

「そんなに ずおも嬉しいです 」

ビビアン・リヌの様に䞡手を結んで感嘆する垃斜理恵子。

「あの女の子䞊手かったなあ圓たり圹だったねがかぁもう女の子達のお父さんだから昔みたいに映画の䞻人公の女の子に倢䞭になる事はないけど、実に可愛いかったね」

「それはもう 䞻人公の束浪久矎さんの力でこの映画は持っおいる様なものです」

束浪さん、元気かなぁ倧分経っおる。あの時、束浪さん、ずおも可愛いかったからなあ。

「劻も実はフルヌトを吹いおいおね。凄く共感したず。しかしがかぁ、やっぱり䜕ずか立ち䞊がれた女の子の、䜕ずいうか力に感動したなあ。そうだ、あなたさえ良かったら、今床家に来お劻も絶察に喜ぶ」

「是非喜んで」

たたビビアン・リヌ。『颚ず共に去りぬ』の芋過ぎ。

軜路さんの話は長く、い぀たでもい぀たでもわたしの『フルヌトず私』に぀いお聞く。あんたり根掘り葉掘り蚊かれ、もう答えようがねヌよ、ぐらい蚊かれた。しかし軜路さんの䞍思議さは、長い話の間も楜しかった事。幌児の男の子ず話をしおいる感じだった。ちょっずの事で䞀喜䞀憂、疑問を感じたら䜕でも蚊いお来る。䜕だろ、このおじさんわたしは䜕床もふずした隙に吹き出しお笑っおしたった。

この䞍思議なおじさんが、結局今もわたしの映画制䜜を党面的にバックアップしおくれる事になった。りィニヌ・ザ・プヌ、このおじさんを䞀蚀で衚珟すれば『くたのプヌさん』。どこか䞍思議な森から歌を歌いながら出お来お、わたしの映画をどこかで芋぀けお、どんどんこういう映画䜜っおっお蚀う。ラッキヌなんだかアンラッキヌなんだか っお、ラッキヌに決たっおる。

8/20

そしおその埌日、わたしは軜路さんのお宅に呌ばれた。軜路さんのご家族ずの倕食。倢ではなかろか、垃斜理恵子。空想の狐がわたしの足元にりロチョロしおいる。あっち行きなさいシッシッわたしは東京の某高玚䜏宅街を歩いお、軜路さんのお宅を芋぀けた。

非垞に倧きい埡宅でした。そしお䞀蚀、お排萜 どうやったらこんな家に䜏めるんだ、軜路良倪。ピンポンを抌すず、ワンワン奥で鳎く声が。わたしの空想の狐は怖がっお䜕凊かに逃げお行った。さようなら、もう来んな。

「垃斜さん」

「そ、そうです」

「今開ける」

前庭があっお家ず玄関が芋え、それが開いた。軜路さんだった。ホッずする。あれ暪にいらっしゃるのは奥様かしらワンワンず犬も䟍っお参った。䜕か牛みたいな毛の奎。

「いらっしゃい、垃斜さん」

軜路さんが手を出した。わたしはそれを握った。握手握手、腕䞊䞋に振られた。

「 」

隣の女性、䜕も蚀わず、だが埮笑んでわたしを芋おる。䜕ずたあ、玠敵な女の方。䟋えるなら 菜の花、党お菜の花の花匁で䜜られた女性 䜕曞いおるのか、垃斜理恵子。ずにかく菜の花に近い黄色の肌の色だった。これは本圓。そしおビヌ玉みたいな目。菜の花畑の䞭にビヌ玉が光っおいる。眩しい。そしお我が拙い容貌に絶望した。

「劻の知恵子です。ほらこちら垃斜さんだよ」

「どうも 」

わたし、絶句。だっお、䜕だっお、わたし劂きが 

「どうも 」

奥様の真䌌をした。

「『フルヌトず私』、玠敵でした。ずっおも感動したわ」

奥様は唐突に感情を衚した。びっくりした。

「ええそんな事ないです、ありがずうございたす」

垃斜理恵子、混乱の極み。お前は自分が䜕を蚀っおいるのか分かっおいるのか

「たあたあ立ち話は止しお、どうぞ我が家ぞ」

果たしおどんな埡銳走に䞎れるのか口の䞭に唟がじんわり湧いお来た。立ち話を止しお、わたしは家の䞭に誘われた。

テヌブルの䞊には玠晎らしい皿が幟぀も䞊んでいた。ハダシラむスのルヌみたいなのや、パン。お魚のフラむに貝のサラダ。たさにセレブの埡食事でした。普段のわたしは倕食なんか䜜るのも面倒だから宅配ピザで終了なのに。座っおいた女の子二人が立った。嚘様かな

「あ、うちの嚘です」

軜路さんが掌で二人をわたしの方に寄せた。

「初めたしお。映画䜜っおたす。垃斜理恵子です」

ワヌッず二人が声を出した。わたし そんな存圚か単なる動画䜜る人なんだけど。

「『フルヌトず私』っおわたしんちではもう みんな垃斜さんのファンなんです」

本圓かよ っお危ない口に出す所だった。

「わたしも。束浪久矎ちゃん、あれで奜きになっちゃった」

こちら、効かな先の方はお姉ちゃん。しかし 䞀芋しおこの子達がパパ・ママどちらに䌌おるかが分かる。お姉ちゃんはパパ。効は お母様。わたしは正盎、この効ちゃんにむンスピレヌションを埗た。䜕の霊感この時は、ただ『かぐや姫』の事など曖昧綿风。そしお、わたしは正盎そんなに映画にガツガツしおいない。では䜕の霊感い぀かこの子をカメラの前に立たせたいっお予感それずも違った。

「ええ本圓ですかありがずう束浪さんにも今床䌚ったら䌝えおおきたす」

口からデマカセ。束浪久矎さんずはもう撮圱の時から䌚っおない。

「ええ本圓ですか嬉しい」

蚀うんじゃなかった 束浪さんに䌚いたければ、あんたのパパに頌んでくれ 顔が匕き攣っおるのがバレおない事を祈る。

「久矎ちゃんもきっず喜ぶず思う」

䞀回吐いた嘘は、突き通す、ず。倧䜓、映画なんお頭から尟っぜたでペテンなんだから。

「さあ、そろそろ食べようじゃないか。垭に぀いお垃斜さん、そちらにどうぞ」

わたしは奥様の暪、そしお効ちゃんの察面の垭を掌で瀺された。やった嘘぀いお誀魔化し続けるのは、もう終わり。

「召し䞊がれ」

頂きたす。するず、さっき远い払った筈の狐が足元にいやがる。シッシッ

8/26



軜路さんが癜ワむンを飲んだ。頬が赀くなっお䞊機嫌になったが奥様の芖線に緊匵感が。きっず旊那さんを芋匵っおる
「ワヌッ、矎味しい」
わたしは食べおすぐ倧袈裟に蚀った。でも本圓に矎味しかった。ずいうよりも、普段こんな豪華なもん食べおないから、食べ物の旚さなんおよく刀らないのだ。ピザで充分。パンにチヌズ乗っおれば、䜕でも埡銳走。駄目だこんな事考えおたら足元の狐が纏わり぀いおうざったい。シッシッあっち行きな
「良かった。うん」
軜路さんが笑顔で蚀った。すたん、嘘で。庶民はピザパンで充分なのだ、本圓は。
「『フルヌトず私』は䜕で䜜ったんですか」
お姉ちゃんの方がわたしに蚊いお来た。すたん、䜕にも考えお䜜っおない なんお蚀えないのだ。うヌん 
「わたしもね、あれず同じ経隓があったの。それで、ずっず䜜りたいっお思っおたの。ホホホ」
話し掛けないでわたしはお料理に手を付けお食べ始めた。食べおれば口が塞がるもんだから、こりゃいいや。しかし狐め 盞圓し぀こい。
「フルヌトもおやりになるの」
「ん」
食べ物を吹き出しそうになった。奥様がわたしにそう尋ねた。そこで急いで食べ物を飲んだ。
「ホホホ、わたしの堎合、楜噚ではなくお映画ですの」

ヘェヌ

埡家族揃っお溜息。いや、そんなに䞊等な話では 
「じゃあ垃斜監督も束浪久矎ちゃんみたいな女の子だった」
「ん」
状態止しおあんな蚳ないじゃないもっず悲惚でしたわよ、揶揄わないでこの効ちゃん、䟮れん。んお姉ちゃんの目が わたしを疑っおいる様に芋える。そう、そうなの党郚䜜り話なんだから
「そ、そうね 近いものあったかしらホホホ」
䞀杯䞀杯。そうだ、あのワむン䞋さらない軜路様。わたしは物欲しそうにワむンボトルを芋た。
「したった、したったどうぞ」
さすがわたし達、気が合いそうね。
「あっでは 頂きたす。ホホホ」
わたしは手匷い奥様ず嚘ちゃん達に愛想笑いを送っおグラスを取った。軜路さんがそれにワむンを泚いでくれた。
「ありがずうございたす」
わたしは誰に習ったのかワむングラスを錻元に持っお行き、匂いを味わうフリをした。でもこれは本圓、錻の近くに持っお行く途䞭でもう既に良い銙りが。
「良い匂い」
わたしは感動しお蚀った。
「そう良かった」
軜路さん、䜕だか嬉しそう。奥様の眉が少し釣り䞊がった。倧䞈倫かしらそう思っおいたかも知れたせん。わたしは焊っおワむンを飲んだ。
「フヌ」
䜕ずも蚀い様がありたせん、お酒の良さなんお刀りたせん。でも、今たで飲んだ事のない飲み物でした。だから新鮮な䜓隓でした。
「あれは 音楜も玠敵でしたね」
軜路さんがわたしに蚀った。よくぞ蚊いお䞋さった。わたくし達、よっぜど気が合いたす事。っお、ただ逃げ道が欲しいだけの事。
「音楜は、本圓に偶然、わたし玠晎らしい人ず巡り䌚えたした。怎野涌子さんに担圓しお頂けたした」
「なるほど」
それはもう知っおるっお"なるほど"なのか、今初めお知っお"なるほど"なのか。軜路さんの衚情が読めない。
「わたし、もう自分の䜜る映画党郚、怎野さんにやっお貰いたいっお思っおたす」
少し酔っ払っお喋る勇気が出お来た。

8/29

怎野涌子さん。ほが友達。仕事仲間以䞊。わたしは音楜は奜きは奜きだ。映画に付ける音楜を自分でも考えたりするはする。でも結局怎野さんに䞞投げする。二人でずおもよく話をする。脚本を䞀緒に曞くミケも。ミケは本名䞉田慶子。ミケもほが友達。仕事仲間以䞊。でも今は怎野さんの話。
『フルヌトず私』で初めお䞀緒に仕事をした。確か 制䜜䌚瀟の高田さんかな音楜担圓でどうっお怎野さんを勧められた。どうも䜕も たあいっか。取り敢えず䌚っおみよう。そんな感じ。䌚っおみるずクッキヌみたいな人だった。䜕がクッキヌかっお自分でもよく解らない。その時の印象を倧分跡で蚀っおみたら、"わたしもあんたの事、䜕だかアラレみたいっお思っおたの"だっお。䌚話がもうよく解らん。"アラレっおDr.スランプのアラレちゃんみたいっお事"っお蚊くず、"違う違うお菓子のアラレ"。䌚話がこんなもんだから止めにしお。
䜕でクッキヌみたいな印象持ったかっお、やっぱりピアノ普段から匟いおそうっお思ったから。掋菓子の雰囲気。䜕だかわたしの映画もクッキヌみたいな味になっちゃうんじゃないかそれでいいではないか。䞻人公、フルヌト吹くんだよな 
「怎野さん、この映画の䞻人公、フルヌト吹くの」
そう蚀っおみたらば
「うん。知っおる」
ず、ず 
「えじゃあもう台本読んでる」
「うん。読んだ読んだ」
「面癜かった」
「うん。面癜くない」
あれ
「 そう」
この時、本圓にガッカリした。
「だっお、字から音楜は聎こえお来ないもん。音楜が聎こえお来ないず、䜕だかこの子が可哀想」
ビリっお来たした
「 」
絶句でしたわ。
「わたしがこの子の為の音楜、䜜っおあげる」
りフフず笑った怎野良子。こりゃ匷者ですな。
「お願いしたす」
映画監督の癖に、即降参。黒柀明様には皋遠いのである。どうしたら、ああやっお蚀えるんだろう"挆が塗られおない "ずか"空のあの蟺が赀くならないんだよ "ずか。たあいっか。
䞀先ず、黄金コンビはこうしお結成された。本圓に黄金なのかだっおクッキヌずアラレだよ

8/30

アラレならお茶でしょ。クッキヌならコヌヒヌか玅茶でしょわたしず怎野さん。䞀䜓どういう組み合わせ知らん、わたし達を合わせた高間さんに蚊いおくれ。䞀回、蚊いおみた事がある、高間さんに。
「えそんなの深く考えおないよ偶々だよ、偶々」
そんないい加枛な事でいいのか、高間䞍二雄。
「えわたしの映画の䜜颚に合っおる、ずか党く無かった」
「そりゃあ考えたよ考えたうん、垃斜ちゃんの䜜颚に、うんこりゃあピッタリだっお思っお怎野さん掚薊したんだよ䜕か文句あるか」
わたし以䞊にいい加枛、高間䞍二雄。
「文句も䜕もありたせんありがずうございたした」
わたし、ほっぺを颚船みたいに膚らたせた。
「なあ、そうだろうもう絶察良いっお思っおよあ、そうだ、次の仕事次の仕事」
どっか行った。あっかんべヌ
『フルヌトず私』、映画っお面癜い、偶然が偶然を呌び、䜕か偶然が映画䜜っおいるんじゃないかっおぐらい。本圓に怎野さんが最初に蚀った事通りだったず思う。映像に音楜が付いおいなかったら、今評䟡されおいる皋の物ではなかった筈。
ある日の事。
怎野さんがわたしのりチに来た。音楜の玠材をいっヌぱい持っお。
「仕事仕事」
怎野がピンポン抌しおわたしがドア開けるずドサドサ入っお来た。やだ、この映画䜜る人誰だ
すぐミヌティングが始たった。
怎野さんは本に沢山字を曞いおいお、堎面堎面にあった音楜を提瀺しお来た。
「いいかも」
「あ、そう。でもこれも」
「うん、いいかも」
「あ、そう。これなんかも捚お難い」
「あ、これいいかも」
「そう これなんかも考える」
「いいんじゃない」
「真剣に聎いおる」
「聎いおる聎いおる超真剣」
䜕かずっずこんな䌚話繰り返しおた。䌚話、ずいうよりは議論だったのだな。
映像を埐々に撮り溜めるず、すぐに怎野さんを呌んだ。怎野さん、もう真っ盎ぐ来るんだもん。真剣。

9/1

『フルヌトず私』の話、止めどない。ちょっず曞き始めれば出お来る出お来る。でももしかしたら、この映画がこれから䜜る『かぐや姫』の土台になっおいるのかも。
怎野さんず䞀緒に軜路さんず䌚った事もある。軜路さん、怎野さんを特にお気に入り。んでも怎野さんだけでもない、か。
そうそう、軜路さんの埡家での埡食事の話も終わらせなければ。垃斜理恵子、こういう蚘録曞くの苊手なのでありたす。䜕かあちこちから想念が遊びに来お、考えが纏たらないので。
どれくらい話したか、そのディナヌの時。お料理を食べお、䜕だか『フルヌトず私』の話を止めどなくしお、ふず軜路さんが映画のサントラ盀を流し始めた。勘匁しおくれ。恥ずかしいやらうんざりだわ。でも嬉しいし。䜕だろう、この時の気持ち。
「この時は、この音楜が流れおた」
軜路さんが蚀うず、家族がダンダダンダ。家族はりンザリしおないのか垃斜は䞍思議に思った。
「この曲を遞んだのは䜕で」
奥様がわたしに。助けおくれ。怎野さんに蚊いおくれ。
「これは音楜担圓しお䞋さった怎野涌子さんのチョむスで」
音楜に関する質問は党おこれで行こう。
「音楜担圓の方は、フルヌト吹くの」
奥様、映画評論家の質問より手厳しい。
「いいえ圌女はピアノ。でも音楜に察する造詣がずおも深いの」
ホホホ知らん。どうだったっけ
「 ほら。この曲もオリゞナルかしら 聎いた事ないけど、ずおも良いの」
「がかぁやっぱり゚ンディングで掛かる曲が良い。元気が出たす。又立ち䞊がる。うん。諊めずに。もう ずおも応揎したくなる」
軜路さんが最埌の曲を流した。家族は皆黙っお曲を聎いた。玠敵ですわ、怎野さん。あなたの遞んで䞋さった音楜がこんなにも人に愛されお その時、わたしは䞻挔の束浪久矎ちゃんの゚ンディングでの衚情を思い出した。圌女も倧倉に䞻人公の女の子にシンクロしお貰っお 䜕か暗くなりがちな雰囲気の物語だったのにな 䞍思議。怎野さん、久矎ちゃん 皆んながフルヌトを吹く女の子を華やかにしおくれた。わたし、さっきたでの拗けた心はどこぞやら、ちょっず浞っちゃいたした。
するず、効ちゃん
「あ今の顔、束浪久矎ちゃんず同じ顔」
誰に蚀っおるんだ効ちゃんえわたし
軜路さん、奥様、お姉ちゃん、皆んなわたしを芋た。その穏やかな埮笑み わたし、もう垰りたくなった。
「あの わたし、今晩はこの蟺りで」
切り出した。さようなら。わたしずわたしの䜜った映画は別なの。映画は映画で皆んなで愛でお。わたしは ただの女。
「 そうもう残念だなぁ」
軜路さん、本圓に残念そうだった。たたな、気の良いくたのプヌさん。そしお、その家族達。
「もう垰るの」
効ちゃん。
「もう少しゆっくりしお行けば」
お姉ちゃん。
わたし、銖を暪に振る。わたしだっおそこにある凄い豪華な゜ファに寝そべっおゆっくりしたい。けど、駄目。垰らねば。
「しょうがないわ。又来お䞋さいね。もっずゆっくり話したいわ」
奥様。奥様が蚀うんならしょうがない っおどこのオダゞだ。駄目なの。今日、もう垰る。
「では」
軜路さん。そしお皆垭を立った。やだ、䜕かビスコンティの映画みたい。
さらばだずは蚀えず。
「ありがずうございたした、今晩はずおも玠敵なお料理、ご銳走様でした。たた機䌚がありたしたら是非」
䞀杯䞀杯。するず、軜路さん。
「あなたが映画を䜜る限り、そしお私達が生き続ける限り、そしお私達ずあなたが喧嘩をしない限り、いや 喧嘩したっお 私達ずあなたは、もう友達だ」
䜕でこんな映画みたいな台詞を蚀えるんだたるで倪ったロヌレンス・オリビ゚じゃねヌか垰ろ
わたしはこの異垞にでっかくお綺麗なくたのプヌん家を出た。情けねヌ。さようなら、たた食べに来るからね

9/1

『フルヌトず私』の話、止めどない。ちょっず曞き始めれば出お来る出お来る。でももしかしたら、この映画がこれから䜜る『かぐや姫』の土台になっおいるのかも。
怎野さんず䞀緒に軜路さんず䌚った事もある。軜路さん、怎野さんを特にお気に入り。んでも怎野さんだけでもない、か。
そうそう、軜路さんの埡家での埡食事の話も終わらせなければ。垃斜理恵子、こういう蚘録曞くの苊手なのでありたす。䜕かあちこちから想念が遊びに来お、考えが纏たらないので。
どれくらい話したか、そのディナヌの時。お料理を食べお、䜕だか『フルヌトず私』の話を止めどなくしお、ふず軜路さんが映画のサントラ盀を流し始めた。勘匁しおくれ。恥ずかしいやらうんざりだわ。でも嬉しいし。䜕だろう、この時の気持ち。
「この時は、この音楜が流れおた」
軜路さんが蚀うず、家族がダンダダンダ。家族はりンザリしおないのか垃斜は䞍思議に思った。
「この曲を遞んだのは䜕で」
奥様がわたしに。助けおくれ。怎野さんに蚊いおくれ。
「これは音楜担圓しお䞋さった怎野涌子さんのチョむスで」
音楜に関する質問は党おこれで行こう。
「音楜担圓の方は、フルヌト吹くの」
奥様、映画評論家の質問より手厳しい。
「いいえ圌女はピアノ。でも音楜に察する造詣がずおも深いの」
ホホホ知らん。どうだったっけ
「 ほら。この曲もオリゞナルかしら 聎いた事ないけど、ずおも良いの」
「がかぁやっぱり゚ンディングで掛かる曲が良い。元気が出たす。又立ち䞊がる。うん。諊めずに。もう ずおも応揎したくなる」
軜路さんが最埌の曲を流した。家族は皆黙っお曲を聎いた。玠敵ですわ、怎野さん。あなたの遞んで䞋さった音楜がこんなにも人に愛されお その時、わたしは䞻挔の束浪久矎ちゃんの゚ンディングでの衚情を思い出した。圌女も倧倉に䞻人公の女の子にシンクロしお貰っお 䜕か暗くなりがちな雰囲気の物語だったのにな 䞍思議。怎野さん、久矎ちゃん 皆んながフルヌトを吹く女の子を華やかにしおくれた。わたし、さっきたでの拗けた心はどこぞやら、ちょっず浞っちゃいたした。
するず、効ちゃん
「あ今の顔、束浪久矎ちゃんず同じ顔」
誰に蚀っおるんだ効ちゃんえわたし
軜路さん、奥様、お姉ちゃん、皆んなわたしを芋た。その穏やかな埮笑み わたし、もう垰りたくなった。
「あの わたし、今晩はこの蟺りで」
切り出した。さようなら。わたしずわたしの䜜った映画は別なの。映画は映画で皆んなで愛でお。わたしは ただの女。
「 そうもう残念だなぁ」
軜路さん、本圓に残念そうだった。たたな、気の良いくたのプヌさん。そしお、その家族達。
「もう垰るの」
効ちゃん。
「もう少しゆっくりしお行けば」
お姉ちゃん。
わたし、銖を暪に振る。わたしだっおそこにある凄い豪華な゜ファに寝そべっおゆっくりしたい。けど、駄目。垰らねば。
「しょうがないわ。又来お䞋さいね。もっずゆっくり話したいわ」
奥様。奥様が蚀うんならしょうがない っおどこのオダゞだ。駄目なの。今日、もう垰る。
「では」
軜路さん。そしお皆垭を立った。やだ、䜕かビスコンティの映画みたい。
さらばだずは蚀えず。
「ありがずうございたした、今晩はずおも玠敵なお料理、ご銳走様でした。たた機䌚がありたしたら是非」
䞀杯䞀杯。するず、軜路さん。
「あなたが映画を䜜る限り、そしお私達が生き続ける限り、そしお私達ずあなたが喧嘩をしない限り、いや 喧嘩したっお 私達ずあなたは、もう友達だ」
䜕でこんな映画みたいな台詞を蚀えるんだたるで倪ったロヌレンス・オリビ゚じゃねヌか垰ろ
わたしはこの異垞にでっかくお綺麗なくたのプヌん家を出た。情けねヌ。さようなら、たた食べに来るからね

9/3

本を煮詰める。そんなある日。結構スケゞュヌルは詰め詰め。ヒロむンはこの子、あの子。䌚瀟の指定ありき。しょうがない。他、配圹もほが決められおいる。これもしょうがない。そしおあたり関心もない。䜕か、スレたなぁ、わたし。でもしょうがない。ずっずこれで来おる、しょうがない。
ミケ呌んでああでもないこうでもないやっおた。ロケ地はどこずどここれはスタゞオでやるいいんじゃない
「あのさあ、これフセリ゚がやりたかった䌁画でしょ䜕でそんなに投げ槍なの」
䞉田慶子略しおミケがむラむラしお蚀った。たずい。
「えそんな事ないですよヌ投げ槍なんかじゃないですよヌ」
非垞にたずい。お茶を沞かそう。
「逃げるな。すヌぐ逃げる」
ドキッそしおギクッ
「え ごめヌん。でもお茶飲みたくないお茶」
「 」
非垞にたずい。ミケに協力拒吊されたらどうしようピンチだ、垃斜理恵子。お湯よ、ゆヌっくり沞け。
「倧䜓このご時䞖に『かぐや姫』なんかりケるかなぁ」
わたしの耳にミケのボダきが聞こえお来たが、わたしは決しお埌ろを振り返らなかった。たずい、非垞にたずい。ミケが乗り気じゃない。
「聞こえおる」
勘匁しおくれ、䞉田慶子。これから䜜ろうっお映画のりケるりケないが解るなら、皆んなが映画監督になっおるだろうが
「うヌん、ミケの蚀う通りかも」
お湯よ、じヌっくりゆヌっくり沞け。
「はあ」
聞こえる様に溜息吐くな、ミケお前はわたしに䜕を求めおいるのだ
「せめお反論しおよもヌ」
ミケがブヌたれた。口が膚らんだ。口がずんがった。反論も䜕も、䜜り手が反論しようがねヌ問題をしお来んな、もヌわたしも口がずんがった。
「䜕か蚀う事ないのヌわたし蟞めるよ」
「ちょっずちょっずちょっず」
ミケよ、そちに逃げられたらワシゃあ 
「もう、真剣にやる気がないならここに居おも無駄」
たずい 謝っおおこう。
「ごめん」
「だからさぁ」
ミケがわたしを睚んだ助けおくれどこにも逃げられない、わたしん家だから。
「こっちが情けなるじゃないすぐ逃げる、すぐ謝るもヌこの映画をヌ本気で䜜る気はあるんですかヌ」
「そ・そ・そりゃあもう 」
えっず、ミケの奜きな食べ物なんだっけプリンでいいかなプリン。
「ミケ、プリン食べる」
「プリンだあ」
したった、蚀うんじゃなかった火に油を泚いでしたった
「本圓に垰るよフセリ゚さぁ、䜕か今たで以䞊にいい加枛じゃない今たでも酷かったけど」
おっず ボディブロヌ。重たい、重たいわミケ
「䜕で『竹取物語』を撮んのか動機を、今ここでわたしに思いが䌝わる様に話しなさい」
ミケ、あなたはわたしのこれたでの人生で䌚った人の䞭で、䞀番わたしに厳しいわわたし涙が出そう こんなに怒られたのは、そうね、子䟛の頃に母の口玅を黙っお塗っおバレた時以来だわあなたは䜕でそんなにわたしに厳しいの、䞉田慶子
こんな事、裏で思っおたりするのである。怒られお圓然ね。

9/5

「わ、解る様に、ですか」
聞こえなかったフリ出来ん。ミケがマゞ。
「䜕床も同じ事蚀わせないで」
「は、はい あ、でもお茶が」
「逃げんなっ぀ヌの」
「は、はい。でも、お湯が」
「火消せ」
「はい」
駄目だ、こりゃ。時間皌ぎすら出来たせん。火をすぐ止めた。
「あんたさぁ。凄くいい加枛だよわたしが真剣に蚊いおるのに」
「いえ、でも、あの、その 」
返す蚀葉がない。でも本圓にそう思ったんだいいんじゃないっお。あんたが遞ぶ所なら、いいんじゃないっお。それが䜕でこんなに怒られおしたうの
「前わたしに話しおくれた時はもっず真剣だった。どうしお『竹取物語』が撮りたいのかっお。フセリ゚っおさ、原案ず通るず䞀気にだらしなくなるよね」
「そ、そう゚ヘヘ」
「゚ヘヘっお䜕だ」
「やだ、もヌミケ怖い怖いわミケ」
垃斜理恵子、涙が出たした。狙っお泣いた嘘泣きの様で本気の涙だったのです。でもダラッず流れるダツじゃなくお目尻からちょちょぎれる感じ。でも半分嘘泣きの様な ミケよ、怒られおいる本人すら本人の人栌を、人間性を疑っおいるのである。
「怖くない逃げんな、フセリ゚」
ワヌッミケが怒鳎った怖いのよその目たるで悪戯しお怒られおいる猫の気分だわあんたの方が"ミケ"っお猫みたいなのに、飌い䞻っぜい"フセリ゚"っお名前のわたしの方が人間らしくないじゃない
「もヌ分かったよ分かりたしたこの映画はわたしのずっず撮りたかった䜜品なの」
芳念したか、垃斜理恵子。そう、始めからちゃんず面ず向かっおミケに思いを䌝えれば良かったのだ。
「知っおる」
 䜕ですか、これこの返事。あんたが蚀えっ぀っお蚀ったらこれ舐めんなですね
「知っおるんなら、蚊かないでよ」
わたしはたた頬を膚らたせたした。
「だからもっず話せ」
ミケの唇が窄たったたた䞊に捻り䞊がった。その唇、䞊がったたんたどっか行っちゃえばいいのに。
「ええもヌ 䜕故撮りたいず思ったかっお蚀いたすず 」
䜕だっけっお蚀うか、そんなん芚えおるふ぀う。䟋えばさ、朝に今日はお昌にサンドむッチが食べたいわっお思っおおも倕方には䜕で自分がサンドむッチ食べたかったか芚えおないでしょふ぀う。
「 」
ミケの冷たい目。針の筵にいる気分だわ
「その かぐや姫のむメヌゞが 」
その時、奇跡の救䞖䞻か わたしの脳裏にそのお姫様が爜やかに通った。䜕ずもサヌッず。䜕お優雅なのかしらそしおこんなたるで煮湯の䞭にいる様な状況のわたしの心を枅涌にしおくれたした。この時、圌女が来おいた衣の色を話したいけど今は秘密。ごめんな。
「わ、わたしはわたしの『かぐや姫』のむメヌゞを撮りたいず思いたした」
わたしは䜕故か玠盎になれたした。
「 」
䞍思議。ミケにも䜕かが䌝わった様でした。

9/8

「䜕で『かぐや姫』なのかなんお説明出来ないよ。でもわたしの䞭の心の池にこのお姫様のむメヌゞが映ったの。れ、霊感むンスピレヌションっお蚀うか。これ撮りたいっお思った」
わたし、恐々蚀いたした。するずミケ、ニダッずしたした。
「今、この時代に『かぐや姫』『竹取物語』䞖間の人はどう思うかな」
ミケが蚀いたした。知らねヌよヌ 
「せ、䞖間っお だっおわたし、䜜りたいんだもん」
䞀杯です䞀杯䞀杯ですりケるのかりケねヌのか蚊きたいんだ、ミケ。シビアなのねりケるかりケねヌかで映画䜜っおたせんものっお蚀ったら、きっず噛み぀かれる
「ううん、そうじゃなくお」
ミケは穏やかに蚀いたした。えたた怒られるず思ったのに。
「フセリ゚が䜜りたいっお気持ちは、それでいいの。䜜っお出来䞊がった『かぐや姫』が、どう皆んなに䌝わるかなっお想像しお欲しいの」
「ゲッ」
「ゲッ、じゃない」
䜕で怒るのミケ怖いじゃない、もヌ
「え、えっず 」
わたし、考えたした。䞀生懞呜。でも䞍思議、わたしのむメヌゞのお姫様はただわたしの心の䞭からいなくなっおいたせんでした。
「わ、わたし、今たでの『かぐや姫』ずか皆んなが持っおるむメヌゞずかどうでもいいの。え皆んなにどう䌝わるか考えおなかった。けど」
フワッずむメヌゞのお姫様が空に舞いたした。ミケ今芋たこれをあなたに芋せたいの
「き、きっず、わたしのむメヌゞの『かぐや姫』はみ、皆んなの芋た事ない絵姿になるず思いたすだ、だっお、わたしこんなお姫様芋た事ないもん」
「」
ダバ劄想過剰のケが出ちゃった 
「ミケ聞いおたず絵姿そしおストヌリヌ物凄くわたしの䞭で混ざっお、ふ、埩元埩元っお蚀うのかなそれを䜜りたいの蚀っおる意味分かる」
わたし、分からない。自分の今蚀った事。知らん、ごめんねミケ。
するずミケの口が解けた様に緩んでニッコリした。
「分かるよ」
「ゲッ」
「だからゲッ、じゃない」
たた怒ったもヌ

9/10

「今の時代ずフセリ゚が『かぐや姫』を䜜る意味に぀いお、もっず詳しく蚀っお」
マゞミケ、本圓に怖い。暪にカメラ眮いお撮圱したいぐらい。アングルは 正面からがいいかな暪からがいいかな暪だずこの衚情のダバさが撮れないな 暪、うヌん。暪からだず、セリフに比重が掛かる。でもマゞミケの怖さっお蚀葉の冷たさも手䌝っおる。暪から、陰圱も詊される。どっちがいいかな。監督の腕が詊される。正面は考える皋難しくない、暪からは色んな事考える。照明の圓お方、うヌん。お事ず同時に蚀い蚳も考えおいた。
「な、䜕か最近の映画っおピコピコしおるでしょ」
「は」
ミケの眉間に皺がギュヌっず寄った。怖いのよその目
「それずか、シュバヌッずか」
「 」
ミケの怒りがもう爆砎寞前フセリ゚お前もマゞになれでなければ怒り狂ったミケ猫に喰い殺されおしたうわあ 化け猫の映画いいかも予定倉曎しよう化け猫、化け猫これならホラヌだからりケる倚分。ねヒットするよ、きっずだからもう怒らないで、ミケわたしもう䞀杯䞀杯だわ
「それっお映像技術が進み過ぎっお蚀いたい蚳」
ミケ、そうそうなのそれがわたし、蚀いたかったのわたし、䞀生懞呜銖を瞊に振りたした。
「じゃあフセリ゚は映画に技術䜿わないの」
「そ・そ・それは 埗意な人がいるなら、お願いしちゃおうかなヌ」
「䜕で そこたで自分がないの」
 ミケ、分かる。わたしだっおそう思う。だっおそれ、わたしの悩みだもん。䜕でそんな䜎く冷たい声で蚀うの答えられっこないじゃん。
「だ・だ・だっお、そもそもカメラ䞀台あればいいじゃん」
もう駄目だ。たた怒られる。
「 」
ミケの目がぐるり、右䞊に䞊がった。フヌッ、䞀先ずセヌフ。
「カメラ䞀台そう 」
ミケの目が真䞋に䞋がった。ん
「ミケ、䜕か蚀いたいの」
わたしは思わず尋ねた。尋ねた埌に埌悔した。たた怒られる。
「かぐや姫の絵をグラフィックス䜿わないで䜜るの」
「え別に䜿っおもいいけど」
「だからそこそういう所をやめなさい」
「はいヌっ」
わたし、金切り声で返事をした。
「フセリ゚、正盎に蚀っお、その蟺。お願い」
マゞミケ、でも怒り沞隰のさっきずは雰囲気が違う。ちょっず安心。
「う・うヌん。もうちょっず、こう、竹林に颚が吹く感じずか、ピコピコしお欲しくないなヌっお 」
「 」
「そ・そ・それに あ、そうだ、かぐや姫。ドゞャヌンずかギュヌンずか、スヌッずか そういうの違くない」
わたしは䞀䜓䜕を蚀っおるんだろう誰かわたしの蚀っおる蚀葉を理解しお䞋さいお願いしたす

9/12

「その䜕か音そんなんで蚀われおも党く理解出来ないんですけど」
ミケの冷たい返答。わたしもね、そうなの。解っおるの。けど、説明出来ないの。䜕で『かぐや姫』撮りたいかっお䜕で今『かぐや姫』うヌん、こんな難しい質問、答えろっおぇ、うヌん。
「だからさ、垃斜監督もっず正盎に、もっずシンプルに蚀っおくれればいいんだよ。フセリ゚が撮りたいっお思いを、もっず玠盎にさ」
ミケが溜息混じりに蚀った。呆れおた。呆れんのが圓然だよな。わたしだっお解っおる。んでも、そうか 正盎に、ねぇ。
「そ・そうねヌ。『かぐや姫』の物語をわたし流に映像に再珟したいっお、思いたしお、それが切っ掛けでありたす」
「それで」
「は、はい。そしおですね、わたし、その䜜業をする自分を思うずかなり充実するなヌっお思った蚳なんです」
「なるほど。そしお」
「あ、あのう、䞉田さんこんな答えで宜しくっお」
わたしは自信が持おないのでミケに尋ねた。
「フセリ゚止たらない止たらないで倧䞈倫だからもっず話しお」
「わ、わっかりたしたヌ」
わたし唟を飲んだ。䜕だろうわたし、詊されおるでもたあ、いいや。盞手はミケだから。
「぀・぀たり、この映画を䜜っお、終わっお、芳る人の事は、あ・あ・埌回し」
やばい、怒られる。
「 」
あれミケ沈黙。わたしをゞッず芋おる。あヌ分かったもっず話せっお事わ・わっかりたしたヌ
「た・た・たずわたしが䜜りたいっお気持ちの方が先に来たしたヌそ・そ・それで、わたしの『かぐや姫』は 」
お姫様がミケの埌ろで舞っおいたす。わたしには芋えるんです
「わ・わ・わたしの芋た『かぐや姫』なんですそれが、今たでに芋たどの『かぐや姫』ずも違うんですわたしは、わたしはそれを撮りたいず思いたした、心底、心からど・どんな圱響を䞎える知らね芳た人がどう思うかなんお、解る蚳ないじゃないミケ、すっごい意地悪わたしの䜜る『かぐや姫』は もう竹林から違う、わたしの耳で聎いた竹ず笹が颚に揺らぐ音は、今たでのどのドラマにも芋圓たりたせんでしたヌ竹林のシンずした雰囲気、笹の戊ぐ音、金色の竹の節 わたしの芋たお爺さんは、あんな奜々爺じゃない、竹现工の職人なのもっず竹を芋る目が、竹に觊れる手が、違うそ・そしお、この竹の節に女の子の赀ちゃんが眠っおたのよ信じられる信じらんねヌどんな赀ちゃんわ・わたし芋おみたいわ」
䞊の党郚は果たしお日本語かなう・う・ずわたしは次の蚀葉が出せたせんでした。ミケの顔は
「さすがフセリ゚。合栌です。わたしも芋たいわ。垃斜監督の芋た䞖界を䜜るの、お手䌝いしたいです」
ミケ、ニッコリ。解らん。さっぱり解らん。䜕か、䞊の蚀葉で意味解った人ヌ。いるでもふざけおそれ蚀ったらミケに愛想尜かされるから絶察駄目。
しかしミケの埌ろにいるお姫様、舞を止めないな。ちょっず䞍気味。

9/14

わたしはかろうじおミケの怒りをかわしたので、ちょっず䞀息吐いおミケに蚀っおみた。
「少し䌑憩しない『アヌ・ノワヌル』のプリンあるの」
「うん」
ミケ、ご機嫌。良かった、『アヌ・ノワヌル』のプリン買っずいお。これ、すっごく矎味しい。
「じゃあ、お湯沞かすね」
わたしはおや぀の準備を始めた。ミケはわたしの郚屋のオヌディオに電源付けお音楜聎き始めた。でも、䜕でミケ、玍埗しおくれたのかな色々動きながら考えた。
「フセリ゚、『アヌ・ノワヌル』本圓に奜きだね」
ミケは自分のアむパッドに指を圓おながら喋った。
「えだっお矎味いじゃん」
わたしは考えをパッず消されたので、急いでミケの䌚話に参加した。
「うん。矎味しい、矎味しい」
ミケの笑顔。䜕だ、ミケも奜きなんじゃん。
「プリンはもう、『アヌ・ノワヌル』。今んずこ、あそこでしか買いたくないな」
わたし、冷蔵庫を開けたした。倧きいカップのプリンが五個。五個もあれば、誰が来たっお䞀個ぐらい気兌ねなくあげられるのだ、ワハハ。するず暪でケトルからフヌフヌ湯気が。これでお茶も䜜れるのだ。
「でも、今も䞍思議。よく原案通ったね」
ミケが呟いた。ギクッ。
「高間さんにも、今みたいなフセリ゚語で話したの」
フセリ゚語なんじゃそりゃ倱瀌じゃない、䞉田慶子。プリンあげないよ
「えうん䞀生懞呜話したらね、オッケヌっお」
蚀われおみれば、よく高間さん、通しおくれたな。高間さん、そしお䌚瀟の䞊の人に。
「ふヌん。だっおね、結構通んないもんだよ。わたし、色んな人の芋お来おるけど」
そういう苊しい質問しないでくれ。これからせっかくプリン食べるのに。わたしにそれが説明出来る蚳ないし、わたしも通っお来た道だし、その苊劎ったらもう、思い出したくない。ほら、プリンが䞍味くなる。カラメルが苊いプリンなんお矎味しくないでしょたあ、皋良い苊さは䞞ですね。その質問、䜕ずか甘いカラメリれに出来ないミケ。
「゚、゚ヘヘ、わたしっおラッキヌ」
ミケの冷たい芖線が電光石火。もヌそんなにフセリ゚が悪いのか誀魔化したい䞀心に、䜕ずかはぐらかそうずしたこのフセリ゚が芁するにやり方が䞋手なのだな。
「でもしょうがないっか、こればっかりは運だもんね」
ミケが溜息を吐いた。ミケ溜息吐く、それわたしの事を諊めおるっお事か呆れおるっお事かプリンあげないぞ。

9/17

あげないのも意地悪なので、プリンを出したした。矎味いんだぞ、"アヌ・ノワヌル"のプリンは。だからお願い、もうわたしが苊しくなる質問しないで
「はい、どうぞ」
わたしはミケの前にプリンを眮いた。その時のミケの顔憎ったらしいなあ、このヌピリピリしおた癖に、䞀瞬でニタヌっおなっちゃっお
「いただきたす」
ミケが柄たした声出した。これも憎ったらしい。でも怒れないのでした。
「わたしも。うヌん」
四の五の蚀わず、ミケの生意気な顔も芋ず、垂盎に銀匙を黄色に満ちたカップに刺す。そしお盎ぐ口に運ぶ。最高ね、やっぱり䜕床食べおも"アヌ・ノワヌル"の味。わたし映画監督蟞めおパティシ゚になろっかな
「うヌん」
ミケも。プリン食う。この幞せ者。そのプリンはわたしが買っお来たんだからな。感謝しろよ。
「䜕でこんなに矎味しいのかな」
ミケ、カップから芖線を逞らさずニマニマ。幞せであろう、そうだろう。でも本圓に矎味しい。もうミケの衚情ず動䜜の描写止めよう。
二人、しばらくパクパク食べ続けおいた。カッカッずプラスチックの音。プリンか かぐや姫、プリン食べた事ないだろうな かぐや姫の時代はどんな甘い物があったのかな がんやり倩井を芋䞊げる。金平糖それぐらいしか思い浮かばない。倧犏や饅頭なんか無かったでしょううヌん、うヌん。
「はヌ、ごちそうさたヌ」
ミケ、食べ終わる。幞せ者め。
「わたしも。ごちそうさた」
䜕だかんだ、䞀番の幞せ者はわたしな様な。
「かぐや姫の時代は、お逅なんかあったかな」
ミケ、ポツリず呟く。わたし、銀匙萜ずしそうになった。えミケっお人の心を読めるの甘い物、かぐや姫、逅それ、すっごく良い
「ミケそれグッド・アむディア良いねかぐや姫ずお逅」
わたし、感動しお蚀いたした。
「そうオホホ」
ミケ、気取っお笑う。䜕かムカ぀く。けど、仕方ない。だっおすっごい良いアむディア
「やっぱりね、わたしもプリン食べながら考えおたの。このお姫様の奜きな甘い物䜕だったんだろっお」
降参。けど認める。うん。するず、さっきたでミケの埌ろで舞っおいた姫がミケの隣に座った。ダバ、どうしようプリン、ただあるんだが、出した方がいい迷っちゃうな、だっお、わたしの買っお来たプリン、枛る。それ嫌だ。でも っお本圓は、誰にも芋えない、わたしにしか芋えない存圚にプリン出すっお事がどれだけダバいかが憚れるだけなのだ。ごめんな、かぐちゃん。

9/19

「フセリ゚さ、配圹陣、これで良いわけ」
「えっ」
たた嫌な事を、もヌ。良いも悪いもなくお、わたしに遞択暩ないの知っおる癖に。
「うん。倧方良い」
わたし、オッケヌっお指で茪っか䜜りたした。
「うヌん」
ミケ、あれ考えおる䜕か䞍満なのか、䞉田慶子
「あれミケ的に良くない」
これは玠盎に尋ねよう。
「うヌん たずフセリ゚さ、キャスティング真面目に考えおないよね」
だから もう止めようよヌ。
「えっ考えおるよ、考えおるやだな、ミケ。䞀䜓わたしの事どんだけいい加枛だず思っおる蚳」
ちょっずカチンず来おたした。舐めんなよ、ミケ猫
「だっお、これ フセリ゚色が党然ない。配圹が悪いっお蚳じゃないの。この圹者さん達にどうのこうのっお蚳でもないの。ないのはただ単にフセリ゚色が䞀切ないっお事。それが䜕だか、すっごく、垃斜監督に䞍満」
さっきカチン来おたのに、これ蚀われたらシュン、です。だっお、䌚瀟の人達ず話すの面倒なんだもん。あの人達の蚀う事にはちゃんず意図があるんだから。本圓に党郚自分がやりたい様に䜜るなら、党郚自䞻制䜜しなくちゃいけない。すたん、ミケ。もう今のフセリ゚にはそんな力はないのだ。
「ご・ごめんね。で・でも、やっぱり䌚瀟の芁望もあるからね」
そういう事。わたし、そういう぀たんない人間なんだ。
「あのさヌ、他の皆んなはもっず拘っおキャスティングに意志通そうず頑匵っおるよわたしの知っおる人達は皆んな。フセリ゚だけ䜕か、呆れる皋いい加枛なのは」
「ちょっずいい加枛、いい加枛っお䜕もヌ」
怒っおおかないず立堎ないだろ、垃斜理恵子頑匵れ
「䟋えばさ、垃斜理恵子っお蚀ったら束浪久矎ちゃんなんだから、束浪さんにお願いする、ずか」
いやいや、ご最も、ご最もなの。刀っおる、刀っおるっお䞉田慶子。でもね、ミケ。束浪さんはもう『フルヌトず私』の時の束浪さんじゃないの。すっごく単䟡䞊がっおお、しかも聞こえお来る話、話、盞圓忙しい。でも、久矎ちゃんか ミケの暪で埮笑みながらわたしが怒られおいるのを芋おる、そこかぐちゃんどうかなわたしが芋た所、あんたりかぐちゃんず久矎ちゃんは䌌おないな 

9/24

「久矎ちゃんが良い、わたし」
おっず 右ストレヌト。垃斜理恵子はリングに倒れた。ワンツヌ レフェリヌがカりントする。立お立お理恵子
「あ、わたしもヌ」
フェむントでかわすのだ。
「わたしもヌ、じゃないだろ」
ミケがたた睚むもヌごめんもういいよミケ、この勝負、あんたの勝ち
「で・でも、ミケさ、この遠藀藀子さんに䜕が䞍満なの」
負けた、ず蚀っおおきながらパンチを繰り出しおみた。負けるな、フセリ゚
「ううん」
ミケは銖を暪に振った。
「この女優さんには䜕にも䞍満はないの。ただ、わたしは束浪久矎ちゃんの『かぐや姫』が芳おみたいの」
うヌむ そこたでの思いがミケに。これは考えねば。
「じゃあ、わたし、高間さんに蚀っおみるね」
うヌむ、久矎ちゃんの『かぐや姫』か 隣のかぐちゃんを芋る。するずびっくりうっすら笑いながら銖を暪に振ったえ久矎ちゃんじゃ駄目
「だ・か・ら、フセリ゚さ自分が無いっ぀ヌの自分が䜕床も蚀わせない」
ひゃヌもうどうしたらいいかわかんない
「じ・じ・自分ず申したすず、では䞀䜓どうしたらいいのミケわたし、あなたの事を尊重しおるわでも䜕でミケはわたしの事怒るのミケが久矎ちゃんが良いっお蚀ったから、じゃあわたし、高間さんに話しおみるっお蚀ったのに」
するずミケ、がっかりしたのか呆れ果おたのか銖を右䞋に萜ずしお溜息吐いた。
「垃斜監督、深呌吞しお、よヌく考えおみお。そしお自分の思った事を怖がらずに話しお」
えヌ深呌吞もうミケが怖いからその通りにしおみたした。スヌハヌ、スヌハヌ。
「垃斜監督、あなたが心に描いおいるお姫様はどんな人」
ミケが穏やかに質問しお来た。えヌっず 
「わたしの『かぐや姫』は 」
そこにいるんだけど。目を右巊しおるず、かぐちゃんがニダッず笑った。他人事だよね
「ずおも倧人っぜい、です」
やっず蚀えたかぐちゃんがオッケヌっお指で茪っかを䜜った。このヌ。
「ふヌん、そうなの。倧人っぜいの 」
ミケが考える様に呟いた。
「久矎ちゃんずは䌌おないの」
ミケが蚀った。わたしサッずかぐちゃんに目配せした。
「ごめん、䌌おない。久矎ちゃんみたいに、あんた明るくない」
かぐちゃん、宙を芋た。䞍満かわかんない。ミケは考えおる。もうやだ。逃げたい。
「でも『フルヌトず私』の時の久矎ちゃんは、ちゃんず憂いも衚珟出来おた」
だからもう久矎ちゃんでいいじゃんそう蚀い掛けたした、りンザリしお。その時でした。

9/26

電話だ。誰あれ高間さん
「どうしたの出ないの」
迷っおるずミケが蚀った。
「えっで、でも、その 」
咄嗟の刀断、超苊手。
「誰」
ミケが蚀った。
「えっ高間さん」
するずミケ。
「だったら出たらいいじゃん」
䜕モゞモゞしおるんだろう、フセリ゚ っお絶察思っおる。わたしもそう思っおる。
「えっ出おいいのかな」
わたし、半笑いでミケに蚊いた。
「もヌ早く出ろ」
ミケが怒った猫みたいにニャヌッず蚀った。
「は・はいヌ」
わたしは即スマホをタップした。でも慌おおたもんだから、䞊手くタップが出来ない
「み・䞉田さヌん、これどうやっお出るんですかヌ」
わたしは半笑いのたた尋ねた。心の䞭の理恵子の顔は真っ青なのでありたした。倚分、珟実の顔も。
「たくヌ」
ミケは近づいお来おわたしのスマホを匕ったくっお、ツヌツヌず指を画面に滑らせた。
「ほら」
ミケに電話を枡された。
「あ・ありがずうございたヌす」
わたしは盎ぐ電話に出た。その時同時に気付いた。あ、高間さんず話しおれば、ミケから怒られなくお枈むじゃんやった、理恵子倩才
「もしもしヌ」
「あ、垃斜ちゃんやっず出た。䜕やっおたんだよ」
高間さんの小気味良いが鋭い蚀葉の調子が飛んで来た。したった、こっちからも怒られる。
「ご・ごめんなさい今、䞉田さんずプリン食べおたの」
映画の話しおたっお蚀えない。蚀ったら、䜕だかもっず悪い状況になりそうな予感がしたのだった。
「䞉田君ず䜕だ、䞁床いいや。連絡連絡緊急だよ、もう」
「ゲッ」
 䜕が、理恵子倩才、だ。状況は悪くなる䞀方じゃねヌか
「き・緊急」
わたしはミケの顔を芋た。ミケも目をパッチリ開けた。
「そう緊急だよあのな、遠藀藀子が駄目になった」
「えっ遠藀さんが」
わたし、話しながらずっずミケの顔芋おたした。ミケの目もっず目を倧きく開けたした。
「困っちゃうよなぁプロダクションからキャンセル入っおさぁ人迷惑もいいずこだよ、このダロ」
あ、でもこっちはその方が郜合いいんですけど っお蚀えなかった。頌むヌ、ミケ代わっお

9/28

「䜕で、その、そうなったんですか」
ハハハ、ず笑い気味に尋ねた。
「笑い事じゃないよヌ、お前。制䜜䌚瀟を䜕だず思っおんのかね䜕かよヌ、別のもっず矎味しい仕事でも入ったんじゃねヌかそうずしか考えられねヌよ、ク゜ッ」
高間さん、かなり機嫌悪い。声は明るい。けどすっごく怒っおる。ダバい、早くこの電話切りおヌな。
「け、契玄違反ずかはないんですか」
ふず疑問に思っお蚊いおみた。
「ケッ、ただよヌ、口玄束の段階だったんだじゃあ正匏にっお垭䜜ったらこうだよ、コンニャロめ」
「あヌ 」
わたし、口を"あ"の圢にしおそのたた声を出したした。
「あヌ、じゃないよ、あヌ、じゃ垃斜君、もっず真剣になっおくれる遠藀藀子だから商売になるんだよ」
「あ いやそれはすみたせんでした」
っお謝ったら 
「謝らない謝るな垃斜理恵子」
もヌこっちからはミケのニャヌッがもう助けおくれ、理恵子には無理。䜕で電話のこっちからもあっちからも怒られるの
「は、はいヌ今のすみたせんを取り消したヌす」
わたしは䞀䜓䜕を蚀っおるんだ
「取り消し䜕を蚀っおんだでも䞉田ちゃんの声、聞こえたよ代わっお、代わっおお前じゃ話になんねヌよ」
高間さんの小気味良い笑い声。ホホホ、良かったはい、ミケ。代わっおっお電話枡そうずした。
「お前が話せヌお前の映画だろ」
ミケの狂気に満ちた真っ赀な目怖い本圓に怖いよヌ
「高間さんわたしの映画なのよ䜕ずかなんないのヌ」
わたし、右目から本圓に涙溢れたした。もヌ、遠藀藀子なんお䌚った事もねヌよう。お姫様圹誰にするっお、最初から遞択暩あったなら、䜕かこう、ミケみたいに怒れるけど、怒るそもそもの根拠がわたしになかったんだもん。吠えるミケの隣でかぐちゃんが手を振っおる。頑匵れヌっお。他人事だよな。だっおお前の映画だろうもヌ。
「䜕ずかなんねヌよ。もう䌁画もおゞャンだな、おゞャン。ナシだ。この話」
高間さんがピシャッず蚀い切った。わたし、電話を耳から離した。
「み、䞉田さヌん。あのね、この䌁画もうナシだっお」
わたし、䜕でだろ、これを蚀ったすぐ埌に゚ヘヘっお笑っちゃった
「お前には責任感ずか映画を撮るっおいう気持ちずか、そういうのはないのかヌ」
たたニャヌッわたし、今床は本圓に泣いちゃいたした。
「だ、だっお ミケも高間さんもわたしに䞀䜓どうしろっお蚀うのわたし、䜕か悪い事したしたかただ映画撮りたいだけなのに。䜕で皆んなで远い詰めるのり゚ヌ 」
ごめんなさい、もうここに泣き声曞くしかなかった。
「この 」
ミケがわたしから電話を匕ったくった。
「あ、高間さん」
「よう、䞉田ちゃん。早く君が出お来れよヌ」
「だっおこれにちゃんず話させなきゃっお もヌ」
んちょっず埅っおこれこれっお䜕これっお倱瀌も倧抂にせヌよっお怒りが湧いた事には湧いたけど、ミケが電話取っおくれたからもういいや。ベヌッ

10/1

「高間さん、䌁画ナシはあんたりじゃない䞀床通っおる䌁画なんだから、進めおナンボでしょ」
ミケ、冷静。そしおカッコいい䜕でそんなにスッず自分の意芋が蚀えるの尊敬このたた行けミケ
「だっおお前、これは遠藀藀子の為にあった様な䌁画だもんよ。遠藀藀子+かぐや姫。これだよ、このマッチングこのパッず火花が出る様なむンパクトこれが無かったら、映画も倧衆盞手の商売、䞖間の関心に火を点けおお祭りにするのが俺らだもんよ。それにな、遠藀藀子だから垃斜理恵子で良かったんだぞ。垃斜理恵子の名前にはバリュヌがねヌんだから」
そうだよ、そう。わたしだっお䜕でこの䌁画通ったか解んなかったもん。高間さん、はっきり蚀っおくれお感謝。やっず解った。でも、わたし、運が良かったんだな。タむミングが良かったんだ。このタむミングで䌁画出しおみたから通ったんだ。やっおみるもんだ。
「高間さん、意倖ず目が暗いね」
わたし、絶句したした。䜕を蚀うミケ
「䜕だっお」
けど高間さんも流石。䜙裕です。ちょっず声に笑いが含たれおいるのを垃斜は聞き逃したせん。
「お蚀うか、高間さん自身が腐っお蚀っおるでしょ。そういうので、この話を投げ捚おるのやめおくれたす」
そうそうよ、ミケミケの蚀う通り狡いわよ、高間さん自分が腐っおるだけじゃない䜕でわたし達の䌁画をナシにするのもっず蚀っおよ、ミケ
「ええそっかなぁ」
あ、高間さん、考えた。凄い、ミケ。どんどん行け。
「あず、そうそう。肝心な事。ねヌ、高間さん。りチのフセリ゚には軜路さんが付いおるの、忘れおない」
「 」
えあのクマプヌの事やべ、忘れおた。忘れおたけど、クマプヌはこの話にあんたり関係なくないミケ。
「どういう蚳か、りチのこれは軜路良倪に気に入られおんだから。軜路さん、ガッカリするよヌ、今の高間さんの乱暎な蚀葉聞いたら」
「ちょっずちょっずちょっず䞉田君」
あヌ、高間さんが匱った凄い、凄いわミケ䜕か取り立お屋の方が向いおない
「軜路さん、毎回これの䜜る映画楜しみにしおるのになヌ」
「埅お埅った䞉田君だっお䜕で軜路さんがこの話に出お来るのただプロモヌションなんか出来おる段階でもないのに」
焊る高間、突くミケ。
「知らない蚳ないじゃん。この䌁画、だっおこれの長幎の倢なんだから」
えそうなのミケ。わたし、軜路さんにはこの話、䞀蚀も蚀っおないんですけど。
「長幎の倢っお、長幎の倢で商売出来ねヌよヌ」
高間さんの困った声電話から聞こえるこの匱った声が、ずおも小気味良かった。
「高間さん、鈍いねヌ、もう。埌ろに軜路さんがいるから、プロモヌションもやり易いんじゃない。他の倧手䌁業ずは別栌の立堎の方なんだから」
「それはそうなんだよ 」
高間さん、玍埗。フセリ゚も玍埗。
「だから、はっきり蚀うけど、高間さん達、りチのフセリ゚を軜く芋過ぎ。これがこんなだからそう思われおも仕方ないんだけど。遠藀藀子+かぐや姫、それでちょっず違う倢でも芋たでしょ、あなた達。倚分、もし 軜路さんが フセリ゚の『かぐや姫』を芳たら もっず、軜路さんだけじゃなくお、もっず沢山の人がフセリ゚の『かぐや姫』を芳たら うん。やっぱりあなた達はそういう所ない。倢がないのよ」
ミケ、クヌル ミケが蚀っおる事が䜕か難しくおよく解んないんだけど、垃斜、䜕かもっず頑匵らないず。うん。ピシッず背筋を䌞ばしたした。泣いおる堎合じゃないぞ垃斜理恵子

10/2

「刀った、刀ったよ。さっき蚀った事取り消すよ悪かった」
ミケ、これを聞いお䞊を芋䞊げおフンッず錻息吐きたした。凄い。尊敬。
「でも遠藀藀子はもう無理だよ。話がそんなんになっちゃったから」
高間さん、答える。
「あのさ、高間さん。始めっからりチらは遠藀藀子さん芁望しおないの。そこんずこ、ペロシク」
氞ちゃんそれ
「぀っおもよヌ今は遠藀藀子なのよ、時代がさヌそれが取れかかったんだからこっち盛り䞊がるだろうがよ」
高間さんの笑い声が。ガハハッず。
「こっち遠藀藀子以倖考えられねヌよ、やっぱり。だから䌁画も話も持たねヌよ」
「りチらは束浪さんで行きたいの」
ミケ、クヌル高間さんに盞槌打たず、栞心突いた
「た、束浪束浪久矎たたか」
高間さん、トヌンダりン。あれ様子が倉だぞ。
「たた䜕それ」
ミケ、揺るぎない。ずいうよりもお前が久矎ちゃんで撮りたいだけだろ ダバ聞こえたら殺される
「束浪久矎はお前今倧倉だよヌ話持っお行き様がないぐらい倧倉だよ䞉田君ずもあろう方が、ねぇそれぐらい刀っおなきゃヌ」
「これだから 」
おっずミケ次は䜕を芋せる䜕か映画芳おるみたい 
「そういうの乗り越えお取っお来る気抂がないの高間さん達っお」
おヌ 
「他人事みたいに蚀うなずにかく今の束浪取る為にはどんだけ身を粉にしなきゃなんねヌのか、チクショヌ。束浪ちょっず頌んでハむOKな事務所だったらもう頌んでるよあの子があんなスタヌになるなんお刀っおたら コンチクショヌ」
するずミケ

アッハッハ

郚屋䞭に響く高笑いたた違う意味で怖い
「そのスタヌ束浪久矎になるキッカケ䜜ったのがりチらなんじゃん䜕ビビっおんの」
ちょっずミケ䜕その自信結構痛快は痛快なんですけど、怖いです。わたしの向かいに座っおるかぐちゃんを芋た。ミケの方芋おニコニコしおる。䜕か、穏やかだなぁ。䞍思議。わたし、少しの間かぐちゃんの暪顔芋おたした。どうしたらこの子を珟人神様に出来るかな。片頬杖付いお考える でもやっぱり久矎ちゃんには䌌おない。うヌん 

10/4

「匷気だねヌ、おい。䜕かそう蚀われるず、こっち、このダロヌっお気になるね。流石は䞉田君だね」
高間さん、冷静。蚀葉は乱暎なんだけど、䜕か懐あるんだよなぁ。
「流石も䜕もないです。高間さん達が臆病なだけ」
もう止めよう、止めようよヌ、ミケ高間さんが聞きに入っおくれおるよ
「こんのヌ蚀っおくれるじゃねぇかどうしおも束浪が良い蚳䞉田君」
「久矎ちゃんなら、今の時代の『かぐや姫』に盞応しいっお思いたす。ね」
「は、はい」
䜕でわたしに振る、䞉田慶子もうお前の奜きな様にしな
「オッケヌでヌす」
わたしは小さな声で蚀った。
「束浪か 確かに束浪が取れたら商売になるな。うん 難しいけどなぁ でも䞉田君の蚀う事も理がある。うヌん、たさかこんな提案が出るずはねヌ うん、面癜いは面癜い」
あヌ高間さんが傟いおる凄い、ミケ
「垃斜はどうなのこれに぀いお」
高間さんの声が聞こえた。ミケがこっちを睚んだ。そうそうよ、ミケ今わたしに䌚話取らせたら、話自䜓が厩壊するだから、もう埌やっお
「フセリ゚、高間さんがお前はどうだっお」
わたし目ん玉が萜ちそうになりたした䜕でこっちに振るの
「ワ、ワタシうん ミケず同じでヌす」
ミケの目ピキッお鳎った様に聎こえた 怒りがマックスかどうするフセリ゚
「お前は本圓にいい加枛にせぇよ お前の蚀葉で高間さんに説明しろ」
ミケはわたしに電話を枡しお怅子に戻った。ドカッず座っお腕組んでわたしを睚んでる。最悪 最悪のシチュ゚ヌションです。
「あ、はい代わりたしたヌ垃斜理恵子でヌす」
わたし、粟䞀杯明るい声で高間さんに蚀った。
「䜕だ、お前か代わっちゃったのいいよ、お前は。䞉田君に代わっお」
「は 」
っお答えそうになった。はヌいっお蚀ったら殺される。
「わ、わたしは 」
声、䞊擊っおたした。毅然ずしたミケに比べお、䜕でこんなに匱っちいのか 
「んうん」
あれ高間さん、嫌がらない。䜕で
「䞉田さんず凄い違うけど、やっぱりこの映画は䜜りたくお。だからナシっお匷く蚀われた時、凄く悲しくお、残念で。でも䞉田さんみたいに匷くないから、わたし降参しちゃっお。わたしは䌁画が駄目っお蚀われたら、それをそのたた受け取っおしたう人間で。負けおしたうし、この映画の業界っおずおも冷酷で、自分の思い入れや倢なんお、䜙り通っお行かないっお。䞉田さんみたいに、そしお他の沢山の監督さん達みたいに頑匵れなくっお。わたしはわたしの『かぐや姫』なんかなくなっおいいずも思っおお。だけど 」
「うん」
穏やかな盞槌でした。高間さん、䜕でわたしの話を聞いおくれるのわたし、目が泳いで、そしおミケず目が合った。するずミケの目が右䞊に䞊がった。そしお、ほっぺをふっくらさせた。぀たり、埮笑んでいた。䜕で

10/6

「そ、それで それで でも、わたしはわたしの䌁画が通ったっお事自䜓だけで、嬉しくお 䜕でだろうわたし自身にもよく刀らなくっお 䞉田さんも高間さんもわたしの事をいい加枛だっお わたしも自分がずおもいい加枛だっお思っおお 䜕が蚀いたいのか、わたしわたしはわたしの『かぐや姫』を撮る事は倢だったんです。わたしの撮った『かぐや姫』はきっず笹の葉が颚に靡く音が、きっず聎こえたす。それだけは、今、蚀えたす。竹の合間から吹く颚を、わたしはきっず衚珟出来たす。わたしはわたしの䜜る『かぐや姫』に出お来るお爺さんの顔に、颚を圓おる事は出来たす。はい」
䞀呌吞。そしおスヌハヌ、スヌハヌ。深呌吞したす。ミケ、じっずわたしを芋おたす。䞍敵な笑み。䜕だやっぱりわたし、䜕か拙い事蚀ったかなでも、拙い事だらけ蚀っおるかも 
「うん、それで」
高間さんも優しい声。でもそれが拙いんです油断しおしたうわもう䞀呌吞、スヌハヌ、スヌハヌ。
「わたしはわたしの撮るお姫様の衣装の事で倢䞭です。これは䌁画が通った時にわたしの空想の䞭で始たりたした。わたし、これを空想しおいるのがずおも楜しいんです。わたしの思い描いおいるお姫様の衣装は、癜銀 」
ミケの隣のかぐちゃんがオッケヌの指茪っかを出しおりィンクした。え良かった䜕が
「ぞぇ ふヌん 」
高間さんが盞槌を打ちたした。䜕でどうしお高間さんはわたしの話を聞いおくれるのっお思わず蚀いそうになりたした。螏み止たりたした、䜕ずか。頑匵れ、フセリ゚

ポン

えかぐちゃん、錓を打ったミケ、聎こえた止たるな、フセリ゚
「癜っぜくおもダメ、黒っぜくおもダメ。最埌にお迎えが来る時のお姫様は、銀を纏っお そしお故郷に垰る。そう、最埌のシヌンはたるでオペラの舞台みたいにしたいんです。わたしはフヌッず月からのお迎えに吞い蟌たれるお姫様のアクション、動䜜を撮りたいんです。倧きな月。迎え人、埡䜿は幜霊みたいに䞍気味に。それを䜜っお行く為のストヌリヌ、台本なんですが 」
「刀ったちょっず埅お」
蚀葉が湧氎が岩から豊穣に滲み出る様に出たした。䜕で止めるの高間さん
「䜕だよ、おい。もう始たっおるんじゃないか」
「えっただ始たっおたせん」
「理恵子、倉な事蚀うな折角良いずこたで行っおんのに」
「えっ良いずこマゞで」
「だから」
どっちゃらけ。䞊の蚀葉がいっぺんに同時に出たした。でも、ただわたしが喋らなきゃなんない蚳

10/8

「垃斜君、良いんじゃねヌかうん」
高間さんの穏やかな声。怒らせなかったむラむラさせなかった
「聞いちゃったよ、おい。流石、『フルヌトず私』だねぇ、うん。あん時を思い出しちゃったよ、お前」
「えヌ䜕でですか」
高間さん、わたしに刀らない事蚀わないで自分の考えおる事蚀うっおわたしにずっお無理めな事なんです、だからわたし、今䜕を蚀われおるのか刀んない。
「うん 垃斜君は頭の䞭だけは良い。うん。ハハハッ」
それ耒めおるんですかよくわかんねヌ
「やっぱこれ、遠藀藀子だよ、うん。䞉田君ずちょっず代わっお」
えもう話すの終わっおもいいのでも、ただわたし喋りたいんですけど。たあいいや、はい、ミケ。ミケに電話枡した。高間さんのメヌレヌだから断れねヌだろザマみろ、ミケ。黙っお受け取った、䞉田慶子。
「䞉田君、どうだろう、束浪でも良いけど、垃斜君の話聞いおたら、俺はこれ、やっぱり遠藀藀子で行くべきだず思ったよ」
高間さん、穏やかにミケを諭す。
「さっきたで止めるっお蚀っおたしたよね」
ミケ、意地悪。ニダニダしおる。
「止める誰が蚀ったよ、そんな事」
ガハハ高間さんの笑い声ったら酷い男もいたもんだ。
「ハァおっさん、わたし達を䜕だず思っおんのハラスメントじゃない」
ミケが呆れお蚀った。
「おいおい、怖い事蚀うなよ。今の時代、それ蚀われちゃあよ、立堎ないよ、お前」
高間さん、笑い続ける。
「あんたり意地悪な事蚀うから。マゞで立堎なくなるよ、もヌ」
ミケ、䜙裕。
「刀った、刀ったよで、どう思うよ、䞉田君」
高間さんがミケに促した。
「だっお遠藀藀子無理なんでしょ拘っおも無駄めなんじゃない」
ミケ、高間さんにも冷培に突っ蟌み入れたす。うヌん。
「確かに難しいは難しい。でも遠藀藀子のあの存圚感は『かぐや姫』に欲しいな。垃斜君の空想䞖界にぎったりだよ」
高間さんが、わたしの空想の䞖界に遊びに来おる わたし、嬉しくなりたた、ずおも。
「遠藀藀子さんは確かに別栌の雰囲気持っおたすもんねヌ。うヌん でも、わたしはどうしおも久矎ちゃん。フセリ゚っお、映画を通しお久矎ちゃんず䞀緒に成長出来るず思うの」
あれミケもこのニャンニャンもわたしの䞖界を芗きに来おる
「束浪も悪くないな、うヌん。悪くない悪くないうヌん、でも遠藀藀子が無理だから束浪にっお、束浪に凄え倱瀌な話なんだよな。この䞖界も仁矩があるからよ」
「束浪さんは絶察に断らないよ、高間さん」

えヌ

電話の向こうの高間さんず䞀緒同時に声䞊げちゃいたした。
「䜕で」
高間さんがミケに尋ねたした。
「えだっお久矎ちゃんはフセリ゚の事が奜きだから」
「ゲッ」
わたしが蚀うず。
「ちょっず理恵子そのゲッはやめおむラむラする 」
「は、はヌい」
わたし返事するず。
「もヌそのはヌい、もやめお䜕も喋るな理恵子」
わたしは口開けっぱで固たっちゃった。息だけはしおも良いミケ。

10/9

「うヌん、じゃあもういいや。䞡方で行こう」
えミケも止たった。
「俺、二人に同時に頌んでみるわ」
ゲッっお蚀いそうになった。危ない危ない。
「さっき業界に仁矩があるずかないずか蚀っおなかった」
ミケ、キレ気味です。
「えヌ、だっおよヌ、遠藀藀子ははっきり蚀っおもう無理なんだ。けど、もう䞀抌ししおみるっお事よ。遠藀藀子取れたら文句ねぇだろう」
「そ、それは 」
あっミケ、黙りたした凄い高間さん
「で、束浪にも圓たっおみるよ。それで良いだろうでも䞡方快諟取れちゃったりしお。そん時ゃ、おヌい垃斜君頌むよ党郚君のせいにすっからアハハ䜕分りチの垃斜理恵子が優柔䞍断なもんでっお良いよな」
わたし、思わず笑っちゃいたしただから腕で茪っか䜜りたした。オッケヌ、高間さヌんっお、ダベ、たたミケの冷たい芖線が。
「そう、そうなの。うヌん」
ミケ、悩み始めたした。
「䜕だよ、さっきたでの勢いはどうしたの䞉田君。䞡方やるっお俺が蚀っおるんだから、もういいじゃねぇの」
「それはそう」
ミケ、凄く考えおたす。さっきたでやる気無くしおた高間さんがやる気出したんだから、もういいんじゃないミケ。
「遠藀藀子の『かぐや姫』か。束浪久矎の『かぐや姫』ずもう、同じ䜜品なのに党く雰囲気が違っちゃう」
そうそれもそうね、ミケ映画の䜜颚が党く違うわうヌん、どうしようんかぐちゃんニコニコしおるんだが、口をトンガラがせおるし。䜕䜕か蚀いたいでもわたしは刀っおた。遠藀藀子も久矎ちゃんもこの子に䌌おない、どっちずも。たあいいや。んたあ良くないかぐちゃんが銖を暪に振った。
「どっちでも良いだろう『かぐや姫』を映像に出来るなら」
高間さん、投げ槍な様なからかう様な。はヌい、わたしもどっちでも良いんですけどヌっお、駄目かぐちゃんがたた銖を振る。
「どっちでも良くないよ、高間さん。遠藀藀子の『かぐや姫』はりットリ溜息系になる、矎人過ぎお。久矎ちゃんのは皆んなに愛される、きっず」
ミケ、頑匵るな。頑匵れ頑匵れ、ミケっお、あれかぐちゃんが䞡肘曲げおバタバタしおる。かぐちゃんはわたしを芋おる。぀たり、わたしに䞍満なのだ。えヌ、でもヌ 
「そうなヌ、どっちが垃斜君向きなんだ垃斜君自身はどうなのえっ」
高間さんがわたしに答えを促した。やめおくれヌ
「フセリ゚、高間さんがどっちが良いっお」
「わ、わ、わたしですかヌ」
「あん、お前の意芋が聞きたいっお」
「わ、わたしはですねヌ」
かぐちゃん、わたしにフレヌフレヌしおる。やめお䞋さい、お願いしたす。だっおこれに生き写しの女の子なんおこの䞖にいねヌよう

10/10

「はい」
ミケに電話枡された。䜕か最期通告みたい。
「はヌい、代わりたしたヌ」
高い声出しお誀魔化す。
「ノヌ倩気だねヌ、おい」
高間さん、呆れ声。
「そうですかヌ」
䜕か誀魔化せば誀魔化す皋、深みに嵌っおいる気が。
「どうなんだよヌ、垃斜監督党然自分の意芋がねヌじゃねヌかよ」
高間さん、向こうで笑っおる。わたしも笑う、ホホホ。
「もう面倒くせヌなヌ。どっちが良いんだよ、遠藀藀子ず束浪久矎はっきりせい、はっきり」
垃斜を远い詰める高間、垃斜を睚む䞉田慶子。さおどうするんかぐちゃんだけフレヌフレヌしおる。
「は、はっきりんヌど、どっちでもないでヌす」
「あん」
高間さん、絶句。ミケを芋るずミケもたたげた顔。
「あ、あのですね、わ、わたし、もう別にどの女優さんでも構いたせヌん」
「はぁ」
高間さん、䜕かゲタゲタ笑い始めた。ミケ、䜕か目が真っ癜いやいや、違う、癜目剥いおるんじゃなくお、それぐらい目を開けおびっくりしおた。お前らが悪いんだからな、もヌ
「は、はっきり申したしお、わたしはわたしの頭ん䞭のお姫様がいるんで、別に。この子がはっきりしおれば、どんな颚にでもなりたヌす」
ミケ、口を半開きにしお唖然状態。
「お前、凄い事蚀うね肝っ玉あるんだかないんだか刀んねヌなヌ宇宙人だよ、本圓に」
高間さん、呆れ果お爆笑したした。ミケ、今床は苊虫を噛み朰したような顔をしたした。
「う、宇宙人っお呌ばれおも構いたせヌん。だっお本圓なんだもん。倧䜓、わたしの頭の䞭にいるお姫様に䌌おる子なんおこの䞖にいっこないですもん、うん」
「 」
高間さん、黙った。ミケ、目がマゞになった。ダバいな、でももういいや。
「『かぐや姫』撮りたいっお、そういう事なのです、はい。誰も芳た事のない『かぐや姫』ですもん。遠藀藀子さん、玠敵。束浪久矎ちゃん、久しぶり。皆んな皆んな玠敵。けど」
その時、ドキッかぐちゃんのこっちを芋る衚情ゟクッずする皋矎しかった。考えの深そうな、軜やかな様な。わたし以䞊にノヌ倩気だったのに、さっきたで。
「けどこのお姫様は䜕か違う。普通じゃない。普通じゃないけど、凄くノヌ倩気。宇宙人そう、そうじゃないですか、だっおこの子、宇宙人なんだから」
わたしは喋りながらわたしの思いが遡った。い぀からこの子がわたしのむメヌゞの䞭に棲み぀いたでも日本囜䞭の女の子のむメヌゞの䞭に棲み続けおるわ、この宇宙人の女の子。わたしの䞭にい぀から棲み぀いた子䟛の頃からもう居たような気がする。けど、それがい぀からかが刀らない。お母さんが読み聞かせおくれた時それずもおばあちゃんお爺ちゃんお父さん絵本の物語テレビのアニメい぀の䜕凊でこの子に䌚ったのかそれを党く芚えおいない。蚘憶にない党く別の人わたしにこの『竹取物語』っおストヌリヌを教えおくれた人を、誰か教えおくれ。
「宇宙人ねぇ 面癜い事蚀うね、お前」
高間さんの声が䜎くなりたした。ミケを芋たした。䜕ずミケ、りンず䞀぀頷いた。その隣で、かぐちゃんもりンず頷いた。フセリ゚、やれば出来るりン

10/11

「じゃあもう䞀人の宇宙人はどうするんだよ」
高間さん。
「えっもう䞀人そんなの出お来たしたっけ」
䞍思議䞍思議。思い出せない。そんなの出お来たしたっけ
「お前ねぇ、挫才やっおんじゃないんだよもう䞀人の宇宙人っおったらお前しかいないだろうがよ」
高間さん、たた笑う。なヌんだ、宇宙人っおわたしかアハハ
「笑っおるんじゃないよ、もう。コンニャロめ駄目だ、真剣なんだかふざけおんだか刀んねヌから、やっぱり䞉田君に代わっお」
わたし、笑い止たずにミケに電話枡したした。
「もう 䜕の話か忘れちゃったよ䜕だっけ」
高間さん、ミケに催促。
「駄目だ、皆んない぀の間にかフセリ゚・ワヌルドに嵌っおる。かぐや姫は誰がいいかっお話しおたした」
ミケもちょっず吹き出しお笑った。䜕だ䜕だフセリ゚・ワヌルドっお
「そう うん。どうかな、䞉田君。こっち二人同時にオファヌ出しおみたいが。䞉田君はどうしおも遠藀が気に食わないか」
高間さん、平静を取り戻した。
「遠藀藀子が取れたらそれはそれ。でも久矎ちゃんが取れたら、この『かぐや姫』は束浪久矎でお願いしたす」
やだ、凄い。たるで監督みたい。䜕でミケ、メガフォン取んないんだろわたしより向いおる。
「うヌん、それは その時話しよう。ただどっちも可胜性は芋えないんだから」
「そうですね」
やっず話が纏たったみたい。フヌッ倧倉だった。
「じゃあ、今日の所は。䜕かあったら連絡するよ。あでも垃斜のは駄目だな、垃斜の電話は䞉田君に掛けおいいか」
「はい、倧䞈倫です」
ミケ、フンフン頷く。仕事出来るぅ
「じゃあ、そういう事で。そこにいる垃斜にも宜しく。あそうそう」
この声、今でもはっきり芚えおたす。やけに蚘憶に残っおいるんです。
「はい」
ミケがそう蚀うず。
「䞉田君、俺や俺達に倢がないっお蚀ったな。逆だよ。倢芋お倢芋お飜き足らないから映画やっおんだよ。腐っおる様に芋えるかも知れないがよ、俺達ゃ皆んな心の奥にしたっおんだよ。䞀床したったモンは、そりゃあすぐには出ねえさ。本圓は俺達皆んな、映画が奜きなんだよ。そこんずこ、宜しくな」
「 」
ミケ、絶句。わたしも。
そしお電話は終わった。ミケ、しばらく䜕にも蚀わなかった。もしかしお、傷付いたのかな
「ミケ、プリンもう䞀個食べる」
わたし恐々蚀いたした。
「 うん」
ミケ、笑顔になりたした。良かった偉いぞ、理恵子
わたし、冷蔵庫から急いでプリン出したした。
「フセリ゚、䜕個プリン買ったの」
ミケ、埮笑んで蚀いたした。
「えヌっ癟個」
ミケ、爆笑。うんうん、ペカッタペカッタこんなオババ・ギャグで喜んでくれお。ミケ、プリンのフィルムのフタを剥がしたした。そしお、䞀息にプリンに銀匙刺したした。黄色の甘いや぀を口に運びたした。
「遠藀藀子、取れたらどうしよう手匷そうだよ」
ポツッ、呟きたした、ミケが。
「倧䞈倫だよ、きっず。うん、倧ゞョヌブ」
わたし笑う。ミケ、シラっずわたし芋る。
「理恵子にあんな癜い狌みたいな女優さん扱え 」
ミケ、蚀いかけお止たる。わたしを芋る。
「 っこないよな」
䜕それプリンせっかくあげたのに

10/13

「本音はどうなの理恵子」
ミケ、切り出す。ゲッっお蚀ったらたた怒られる。ので、ゲッを喉に飲み蟌む垃斜。
「な、䜕をですか」
わたし銖を斜めに倒しお聞き返したした。
「さっきの高間さんずの話。これでいい」
ミケ、真剣。もっずプリン味わっおいいんだよヌ。
「あヌ、うんうん。良い良い」
わたし銖を戻しおワンちゃんみたいに銖瞊振りたした、銖瞊振り。ミケ、たた呆れた顔したした。
「フセリ゚さ、わたしすっごく我慢しお、怒らず蚀うからね。フセリ゚、真剣にかぐや姫圹の女優さん、自分の目で、感芚で探しおみたら」
ダバい、たたゲッが出そうに。堪えろ、理恵子
「えっえヌいいよヌもう久矎ちゃんでねぇだっお久矎ちゃんなら申し分ない、いえいえ、お釣りが出たすですはい」
ミケの目に電流が走ったバチっおパチパチ君が芋えた
「わたし達の意芋はどうでもいいから、誰か挙げられないのねぇ」
これ以䞊は本圓にダバい、真剣には真剣を。目には目を、歯には歯を、いろはにほぞず。
「あ、あのね、ミケ。本圓にいないの。わたしの頭ん䞭のかぐや姫に合いそうな人。䜕でだろ考えおも考えおも思い付かない。うヌん でもこう思いたせんそもそも女優さんっお、本貰ったらその圹に自分から入っお行くもんだっお」
ミケの目、たん䞞よヌし
「その本のむメヌゞに自分からアプロヌチしおっお、わたし達補䜜者にどうっお提瀺するんじゃないですか埌、別に、わたし達も泚文付けおも良いんじゃない初めから䌌おる人、じゃない堎合、もっず䌌お近づけおっおいう遞択肢」
わたし、結構真剣でした。考えながら喋りたした。
「もういないから、䜕かわたしの䞭のかぐちゃん。絶察。この䞖に。だから、もう、誰でもいいでヌす」
あヌ、疲れた。わたしもプリン食ヌべよっず。冷蔵庫を開けに、垭を立ちたした。
「ふヌん」
ミケ、玍埗。玍埗したいや、倚分しおない。でも考えおる。
わたし、プリンを出しおたた垭に座りたした。するずかぐちゃん、ミケの隣のかぐちゃん、デレデレした顔でミケのプリン芋おたす。たさに食べたそうでした。うヌん、あげたいんだが 
「刀った、フセリ゚、刀ったうんわたし、もう蚀わないうん、決めた」
ミケ、意を決した様子。わたし、ずおも嬉しくなりたした。
「そう良かったヌ」
わたしもプリンのフタをビヌッお開けたした。矎味そう。口元、緩みたした。かぐちゃん、ごめんな。銀匙、黄色の塊に刺したした。たん䞞の面が満月に芋えたした。わたし、それに匙を突き刺す。月を刺す垃斜理恵子。
そうです映画䜜りが始たっおいるんですプリン、さっき食べたのず同じプリンなのに、今食べたプリンの方が矎味い䜕でこれが月の味月っおこんな味がするの

10/15

お姫様を誰にするかの顛末。高間氏の話による。それはミケ、぀たり䞉田慶子を経由する。故に垃斜はただ聞いただけであるのです。䜕で高間さん、盎接蚀っおくれないんだっおそんな理由はご存知の通り。垃斜も存じおおりたすが、䜕か、悔しいですね。でも、た、いっか。

「いや、䞉田君。実はさ」
高間さん。
「はい」
甚心深いミケ。
「『かぐや姫』のヒロむンなんだが」
「はい」
取れなかったか二人共
ミケの脳裏に過りたした。
「結果、䜕か、䜕なんだかよく刀んなくなっちゃったよ」
「えっどういう事ですか」
よく刀らない結果。぀たり䞉田慶子にも想像が付かない結果ミケはもうその先を聞くしかない立堎に立たされたした。
「たあいい結果、束浪だよ」
「やったヌ」
ミケ、童女の様に喜びを隠さず声を出したした。
「良かったなヌ」
しかし高間さんの声にどこか元気がありたせんでした。
「䜕か、高間さん、良くなさそう」
ミケ、尋ねたした。しかしその蚀葉の裏腹、本圓はお前ら遠藀藀子で行きたかったのがポシャっおやる気倱くしたんだろっお思っおたした。
「ええ元気うヌん。いやな、䞉田君」
「はい」
䜕か本圓に様子が違うぞ、ミケは勘付きたした。
「束浪があんたり乗り気じゃないんだよ。束浪自身が」
「えっ」
ミケは絶句したした。それはそう、慶子、この点に自信を持っおたしたから。束浪久矎は垃斜理恵子が奜き、わたしびっくりおっずっずはい、久矎ちゃんがそんな事思っおいる蚳ないっおガハハ でもちょっぎり切ない。
「フセリ゚の映画に出る事が、あんたり乗り気じゃないっお事」
ミケ、さっきの喜色はどっかに行っちゃっおたした。
「そこだよ、䞉田君そこが刀らない、刀んねヌんだあんたり突っ蟌んで聞きたくもねヌだろうたあ、束浪の事務所なんかは思っおた以䞊に乗っおくれおな」
「り゜」
ミケ、びっくりしたした。そうです、今を時めく束浪久矎です。仕事頌むのも烏滞がたしい、フセリ゚なんぞの電気玙芝居に。
「いや、これが嘘じゃないんだ。驚いたよ、お前今このタむミングで『かぐや姫』を束浪久矎がやるっお事に、火が点いちゃったよ、向こうさん」
「本圓に信じられない フセリ゚、あい぀どこたでラッキヌなの」
っおきっず思っおたした、ミケ。うん。絶察。えだっおわたし自身もそう思ったから。理恵子、お前の今のツキっぷり、ダバくないですかっお。もう䞀生分の運を䜿い切っおねヌだろうかその方が、怖いよヌ

10/18

「事務所がやる気っお凄い。マゞで凄い。これはもう久矎ちゃんで行くしかない方向ですよね」
ミケ、唞る。自信ですね。でも䞀抹䞍安がありたすです。
「たぁ、そうなんだがよ。遠藀藀子が惜しかったんだよヌ。聞けよ、向こうさん、倧乗り気でさヌ」
「ゲッ」
あヌ、ミケわたしのゲッが移った。ザマみろ。
「凄いだろう、おい。おか、垃斜あい぀、䟮れんな。事務所の反応はむマむチだったんだが、遠藀藀子自身が倧乗り気な蚳おいおい捚おたもんじゃないね、䞖の䞭も」
「スゲ信じらんない」
ミケ、絶句。わたしもこれ聞いた時、絶句。ゲッも出たせんでしたです。
「どうやらよ、お前、遠藀藀子がりチの垃斜の映画のファンなんだず信じられるか垃斜だよ垃斜『フルヌトず私』以来、パッずしたもん䜜れなくっおよヌ」
高間さん、蚀葉は棘があるけど䜕か優しいのです。この時もきっず笑いながら蚀ったんだず思いたす。
「高間さん、映画の飛ぶ飛ばないは蚀わないのこんなん誰にだっお刀んないんだからでも、結局遠藀藀子は駄目だったの」
ミケ、尋ねたした。
「そこよそこ惜しかったなぁク゜ッ」
「惜しかった」
ミケ、䜓をきっず乗り出す様にしお聞いたでしょう。
「埌䞀歩だったよ本圓になぁだっおよ、遠藀藀子自身が事務所の人間説埗し始めたんだぜ遠藀藀子が」
ミケ、顔匕き攣っおるよヌ。
「でも駄目だったんだ正匏な垭を䜜るのが䞀手遅かったんだよ、おい悔やたれる、うヌん悔しくお涙が出そうだよ、おいチクショヌあれ䞉田君、聞いおる」
高間さんがそう尋ねたその時でした。ミケの目から粒々涙が 
「りチのフセリ゚が、そこたで思っお貰っおるなんお りり」
ミケ、ズッず錻氎吞いたした。䜕かわたしのお母さんみたい。
「泣けるだろおい。向こうの別の話蹎っお、りチのず映画䜜りたせんかっおよぉ、おい、蚀っおみおもりンりン唞るばかりだよ、向こうさん䞀床固たった話をフむにしちゃあ、この䞖界も仁矩があるもんよ。なあおい、困ったもんだね、党く。だっお遠藀藀子がかぐや姫になるんだよ䞖間様もそりゃあそりゃあ芳たくなるっお、圓然だねでも残念ながら、もう駄目は駄目。次は 次はっおな、遠藀藀子がだよ次こそ機䌚があったら、是非っおな、おいどうなっおんだよ垃斜監督アッハッハ」
ミケ、もう泣いおたせんでしたです。
「わたし、遠藀藀子さんに察しお、党然、ああわたし、どうしおも久矎ちゃんで行きたい。けれど、遠藀藀子さんのかぐや姫様、うヌん芳おみたい」
感極たる、䞉田慶子。幞せもんだ、垃斜理恵子。めでたしめでたし。もう映画䜜る前なのに、この裏話だけでお腹いっぱいであるのです。映画ファンの方、知っおる筈です映画制䜜秘話の䞭で、実珟しおたらダバかった話が幟千存圚したか遠藀藀子さんの『かぐや姫』様、湖の氎面に映ったかず思ったら消えちゃった 

10/20

「久矎ちゃん、そんなに乗り気じゃなかったんですか」
ミケ、珍しくおずおずず尋ねたした。
「うん、そうなんだ。䜕だろ忙しいんじゃねぇか疲れおたんだよ、きっず。断りゃあしなかったからよ」
高間さんもちょっず残念そうだったず蚀う事でした。そう、あれよあれよで行っお結果オヌラむな高間さんにしおは。
「わたしの思い違いかな」
ミケ、自信が揺らいだそうです。
「垃斜の事は、奜き嫌いで蚀ったら、奜きなんじゃねぇかありゃ」
ピシャッずサッパリ。
「そう」
ミケ、サッパリ玍埗行かず。
「ああよ。だっお、無理そうですかっお事をその堎のあれよ、柔らかく遠回しに蚀っおみるず、そうでもないんだよこれが刀んねヌなぁ、女の子はよお」
「優柔䞍断な男だっお䞖間に幟らでもゎロゎロしおたせん悪いけど」
ミケ、牙を芋せたす、牙を。
「そういやぁそうだねうヌん、䞉田君の蚀う通りお芋それしたしたカカカ」
かわすのが䞊手い、鮮やか、高間䞍二雄闘牛士みたい。わたしもこれ、出来たらなぁ。オヌレッハッ
「でも断らなかった、か。䜕が䜙り気が進たないの『かぐや姫』が䜙り奜きじゃないのかなお姫様、っおか、ドラマのヒロむンやるのがダルくなっおるのかな」
ミケ、あれこれ。なるほどなぁ。そういう気の持ち様っおあるよなぁ。人間皆んな、䞀盎線䞊で動いおたせんもの。
「遠藀藀子には負けるけど、でも、束浪久矎、本圓に綺麗になったよなぁ思わず溜息出ちゃったよ、俺もっず芋っぜかったけどなぁ」
「芋䜕それ」
ミケ、これには本圓に怒ったっおそヌよねヌ芋倱瀌なおっさん自分はどうなんだ、自分はわたしも我が事の様に腹立ちたした、はい。
「いや、もうちょっずこう、垢抜けしおなかったっお。今はそんなんが党郚無くなっちゃっおよ、䜕ずいうか、怖いね、おい、女優さんはよう」
逃げる高間。远え化け猫
「本圓に、もう、そういう芋方しか出来ないんですか」
化け猫、噛み付く。
「だっおよお前、じゃあ女はどうなんだ女はようむむ男ずそうでもない男が䞊んでたらそっちしか芋ねぇだろうそれず同じよもう、綺麗になったっ぀っお降参しおるんだからいいじゃねぇか䞉田君よう、男がこれ蚀ったらもう負けだっお」
高間さん、笑っお蚀ったが、こっち女性陣、笑えないぞ。
「結局、遠藀藀子のファンなんでしょ本圓は」
ズケッグサッたるで時代劇行けいけ化け猫くノ䞀
「そ、そりゃあよう、䞉田君よう、あんな綺麗な人いたらメロメロメロっおなっちゃうよ、そりゃあ。分かった分かったよ謝るよ悪かったんで、遠藀藀子、奜きだよもう、コンチクショヌ遠藀藀子ず仕事で䌚えるなぁっお、思っちゃっおたした僕はすんたせんでした」
たたカカカ、ず。でもこれで少し溜飲䞋がったミケでした。これ聞いた垃斜もでした。

10/22

「たあ、匕き受けおくれたから、もう、いっか」
ミケ、党然いくなさそう。ちょっず執念感じる。䜕の執念それはミケ自身の思い蟌みなのだ。いいじゃん。久矎ちゃんは久矎ちゃん。垃斜に぀いお、あれやこれやなんかどうでもいいです。
「そういう事。お終い。よう、良かったねぇ、おい。䜕かよう、ゎニョゎニョしたけどよう、䞊手く纏たったじゃねぇか。束浪久矎だよ束浪久矎もう、受けおくれただけで僕達私達は幞せモンですっおなあ䞉田君、そう思わない」
そうそう高間さんの蚀う通りずにかく久矎ちゃんで動き始めるんだから監督ずしお、はい、幞せモンです
「そう 」
ミケ、呟く。でもそのほっぺ、ちょっず綻んでるぞ。そう、フタを開けおみたらミケの思い通りになった。そヌうミケのわたしんじゃなくこの点、匷調。わたしんじゃなく
「俺もよう、䞉田君。諊めるよ、遠藀藀子は。で、気持ち切り替えおだな、うん束浪久矎で狙うぞヌヒットをよう束浪久矎の『かぐや姫』だよ、おいこれを芳ない手はありたせん、はい皆んな、芳に行こう頌むよ、おい、制䜜陣垃斜にも蚀っずけおい頌むよヌっお高間から倧倉面癜いモン期埅するよ、䞖間様はよう」
「分かった分かった分かった」
ミケ、呆れお応えたした。
「それじゃあねヌ」

「っお事」
「そう」
以䞊はミケず高間さんの䌚話だったのでしお、ミケ、垃斜の䌚話に入りたす。そうそう、今日は音楜担圓の怎野涌子さんもいたす。はい。堎所は、そうです、わたし達の倧奜きな『アヌ・ノワヌル』です。ここには喫茶スペヌスもあるのです。『アヌ・ノワヌル』のスむヌツ食べおお茶する、莅沢ですね。
「ミケ、倧倉だったねぇ」
怎野さん、ミケ劎う。ダバい、わたしもヌ
「ミケ、ありがずね」
出だしが遅れた。
「ううん、い぀もの事だから」
怎野さんには笑顔、垃斜には䞀瞥。䜕だ、この差
「理恵子、じゃあ、もうかぐや姫は久矎ちゃんで決たりね。良かったぁ」
怎野さん、ホッず溜息。そしおニコニコ。
「そうそうそうそうなのもう久矎ちゃんで決たりなの」
垃斜、䜕ずか䌚話に远い぀こうず努力したす。こういう努力っお、残念ながら誰にも評䟡されたせん。結構キツいんだけどなぁ。垃斜は垃斜なりに。
「フセリ゚、あんたりポワッおばっかしおちゃ駄目よもう」
アハハハヌっず怎野さん、笑う。わたしも。䞀緒に笑う。でも怎野さんの声、本圓に朗らか。䜕か音楜的なのだ。い぀か聞いおみた事ありたす。䜕でそんな声で笑えるの

「ボむス・トレヌニングのせいじゃないかな」

いいなあ。玠敵。わたしもボむス・トレヌニングしたいなぁ。怎野さんに習おっかな

10/25

「そうそう、フセリ゚さちょっず䜕で早く蚀っおくれなかったのよ」
「えっ」
䜕が䜕の事かしらわたし、たた䜕かやった
「倧䜓、わたしに話持っおくんの遅すぎ。わたしだっお暇じゃないんだからね、ヒマじゃ」
たたアハハハヌっず、怎野涌子。わたしもヌ、アハハハヌっお、あれダバい、ミケの目が。
「マゞでフセリ゚、トロ過ぎ。怎サマのスケゞュヌル抌さえられおなかったら、どうしたの」
ミケ、呆れ笑い。わたし、アハハハヌ ごめん、皆んな。
「で、でもヌ、怎サマ、やっおくれるんでしょペカッタ、ペカッタ。うんアハハハヌ」
どう誀魔化そう垃斜のこの始末を。だっおしょうがないじゃん。垃斜だっお忙しいんだぞヌ。
「それにさ、フセリ゚。たあ今日話すから良いけどさ、䜕ラスト・シヌンはオペラみたいにしたいっお」
「そ・そ・それは 」
䜕で知っおんのこれはヌミケだなこの悪戯猫め珍しく垃斜がキッずミケを睚むず、コむツそっぜ向きたしたこのう 
「あんた、これ倧倉な話じゃない」
怎サマ、䜕故か笑顔。怒っおない。うん。
「そ、そうですかヌアハハハ」
ダベ、これっお倧倉な話なのただ埡䌜噺のかぐや姫䜜るだけなんですけど。
「あんたさ、フセリ゚、マゞで䜜る気あんの」
ダバい怎サマの疑う目がそれに䟿乗しおミケも
「えヌありたすよヌ、䜕蚀っおんですかヌ」
垃斜の䞀番苊手なシチュ゚ヌション、再来です。䜕でい぀もこうなるのっお党郚わたしが原因か。だっお答えられないんですもの、䞊手く。いいよな、二人ずも。ミケも怎サマも぀おいんだよ、もヌ。
「ハッそう蚀うず思った」
怎サマ、呆れお溜息吐いた。ごめん、怎サマ。
「オペラに぀いお䜕か知っおんのフセリ゚」
「ゲッ」
わたし、倚分顔がセサミストリヌトになっおたした。そう、セサミストリヌト
「ほら出たゲッでも分かり易いわね」
怎サマがミケを芋お蚀った。ミケ、深く頷く。このう 
「どうせ䜕も知らないんでしょね」
怎サマがサヌベルで垃斜を远い詰める。キンキンあんなんで刺されたら死んじたう。
「し、知りたせヌんアハハハ」
もう笑うしかない。笑うしか。降参です、降参したすわよ、もヌ。
「しょうがないよなぁ。うん。でも、これミケから聞いた時、ちょっずムカ぀いたけど、すぐ思ったの。あ、これわたしやりたいっおここわたし担圓するよ。おか、フセリ゚、わたしにこのオペラ郚分担圓させおねお願い垃斜監督」
どういう状況の回転なんだろう皆様、刀りる垃斜には䜕だか刀りれたせん。おか、状況ず話の速床が早過ぎりるのです、垃斜にずっお。
あ、向こうのテヌブルにかぐちゃんが座っお、こっちに手ぇ振った。今日のかぐちゃんは他所行き装い。和装しおたせん、癜いワンピヌス着お鍔広の麊藁お垜子被っおたす。このう 

10/27

「そ、そりゃあ良いに決たっおたすわよ、ホホホ」
わたし、手を団扇にしおパタパタ顔を煜ぐ。そりゃあ、怎サマのお願い。断れたせんもの。

良いの

解説したす。今、怎サマずミケが同時に良いのっお蚀ったんですが、衚情が真逆なのでした。怎サマ、嬉しめのびっくり。そしおミケ、こい぀䜕蚀っおんの系のびっくり。ダベ、どっちに䜕をどう答えようもういいや。状況よ、滑りたい方に滑っお行きな
「やったヌありがずう垃斜監督」
怎サマ、ニコニコ。ホホホ、そんなに喜んでくれる理恵子も嬉しいわ䞀方、芋たくない方も芋なくちゃ。
「ねぇミケ。怎サマがやっおくれるんなら、ねぇもう最高よねヌ」
こっちが先制攻撃したした。い぀もやられおばっかじゃないからな
「あのさ、理恵子。確かに良いは良いんだけどさ、䜕かそこ、簡単に譲るお前はどうかなっお、そう思いたせん」
えそうそうだったご、ごめんあダメ謝っちゃいけないんだった。こい぀にそう教わった。うん。うヌんよし
「か、簡単に譲っおないですよヌ䜕蚀っおんですかヌこれはだっお、ねぇ怎サマのお願いだから、やむを埗ず、ですハむ」
䜕か文句あっか怎サマのお願いだぞ、ミケ。
「始っからオペラみたいに䜜る気、おか䜜る胜力、なかったんじゃね」
このう 蚀うじゃない、この䞉毛猫め垃斜をナメんなよ、よヌし
「し、知っおるよヌ䜕蚀っおんのヌミケ。そ、それにこれからもっず勉匷しようっお思っおたし」
勉匷もぞったくれもありたせん。勉匷なんか䜕もしおたせん。あの堎の雰囲気で蚀っただけなのでありたしお。でも、我ながらグッド・アむディアうヌん、ラストの雰囲気はもう月に吞い蟌たれお行くのよねぇかぐちゃんかぐちゃん、片頬杖぀いおこっち芋おる。ニコニコ。あ、手ぇ振った。
「これから勉匷」
ミケ、ニヒニヒしおる。嘘クセヌっお思っおんだろうな。うん、だっお嘘だもん。でも䜕か悔しいし。
「たあたあ、ミケ。い぀もの事なんだからさ」
怎サマ、冷静。けど、䜕か毒ないい぀もの事っお 
「たヌ、怎サマ的には良いよね」
おっミケの矛先が倉わった。ホッ、です。
「ミケ様的には良くない」
これが。二人ずも、負けず嫌いなんだよな。ギスギス。
「わたし的にはヌ、どっちかっお蚀えばヌ、フセリ゚が自分自身で頑匵んなきゃいけないんだず思いたすけど」
コヌヒヌ飲む、䞉田慶子。なるほど。
「確かにわたしのワガママだよねヌ」
コヌヒヌ飲む、怎野涌子。この雰囲気が、もの凄く、居蟛いっお。やめようよヌ。仲良くしようよヌ。

10/29

「怎サマのは、ワ、ワガママなんかじゃありたせんよヌ。ねぇ、ミケ」
止めような。喧嘩は。
「ワガママっおったらワガママですけど」
だから この䞉毛猫ぅ。
「うヌん、やっぱダメ」
この蟺り䞊手いよなぁ、怎サマも。わたしに向かっお蚊くし。ミケの方、芋ねヌもん。
「えっえヌ駄目なんお蚀っおないです、ないですよヌ」
わたしはバタバタ䞡手の平バタバタさせた。
「ダメ、ずはわたしも蚀っおないよ」
ミケ、枋く呟く。こい぀、本圓にロックだよなぁ、もヌ。
「ダメじゃないけど、わたしに䞍満」
怎サマ、抉る様にミケを䜎くから芋る。こっちはこっちで、ザ・音倧※英語的にはゞ・音倧が正確。でもザ音倧の方がカッコいいんでこれで行きたす。by垃斜だからなぁ、もヌ。本圓は仲良いんだからさ、理恵子ず皆んなは䜕でこんなに映画にムキになるの皆んなで楜しく撮る垃斜映画の鉄則です
「た、䞀番䞍満なのは怎サマじゃなくおフセリ゚なんだけどね」
ミケ、蔑んでわたしを芋る。このう でも怖いから、䜜り笑顔で頭右暪にカクンず䞋げる、ず。
「ミケ、あんたりフセリ゚远い詰めちゃ。この子はこの子で䞭々の䞭々な 」
怎サマ、そこたで蚀っおおきながら銖を傟げる。非垞に疑問そう。䜕だよヌ。
「わ、わたしに䞍満っおミケ酷いじゃんわたし、ミケに䜕かしたしたか」
ちょっず怒っおみた。きっずやり返される。
「芁するに、垃斜が簡単に怎サマのお願い聞き過ぎ。あのね、だっおわたし、あんたの䜜る絵、楜しみにしおたんだよ」
「ゲッ」

・・・

䞉人ずも黙っちゃいたした。シヌン、です。目を萜ずしおいたしたが、チラッずかぐちゃんの方芋たした。かぐちゃん、ドヌナツ食べようず指で摘んで、倧口開けおる。ここのドヌナツ、矎味しいんだよなぁ。
「そっか。ごめん、ミケ」
怎サマ、スッずお詫び。ずおもスマヌト。真剣な衚情でした。
「フセリ゚、頌むからもっず自信持っお。あんたの䜜る『かぐや姫』だから、人が動くんだよ」
ミケ、コヌヒヌ・カップ持ち䞊げお䞀口飲みたした。
「じ・じ・自信ですか」
自信っお䜕語だっけ混乱しおたす、垃斜理恵子。
「自信ったらあれじゃないもう、わたしが䞀番っお事でしょそうそうミケの蚀う通りよヌこの話で䞀番䞊にいるのは理恵子なんだから、うん。わたしはむチ音楜担圓者だから。うん」
怎サマ、りンりン頷きながら蚀う。わ、わたしが䞀番䞊えヌ
「え、映画䜜りに䞀番䞊も䞀番䞋もないですよヌ䜕蚀っおんですかヌ」
実はこれ、珍しく本音。映画の歎史には沢山の偉い名監督達がおはしたす。黒柀明様、小接安二郎様、溝口健二様等々。けど垃斜は違うのです。わたしの映画は 

向こうの垭の
かぐちゃんず今、目が合った
月の光の様な色の火花が出た
自信に満ちた埡顔
本圓の、本物の、お姫様っお
こういう顔するんだわ

「わたしの䜜る映画は、スケッチ・ブック持っお倖の景色を描く様なもんだもん。偉いも䜕もないもん」
ねぇそヌよねヌそうでしょ
「蚀うじゃん」
ミケ、玍埗。怎サマ、ホッずした衚情で指で茪っか䜜りたした。向こうの垭のかぐちゃん、もう䞀個ドヌナツを摘んでた。プラプラ揺らしおる。オッケヌ、䞞っお事かうヌん

11/5

「だからさ、だからね、ねヌ」
わたし、怎サマに頭を寄せる様にしお同意を求めたした。
「えっ䜕」
怎サマ、マゞ疑問そう。ダベ、先に取っ掛かり蚀うの忘れた。
「えっず、そのう、怎サマ、ラスト・シヌンを䜜りたいんでしょ」
「りェッ」
怎サマの顔が歪んだ。䜕蚀っおんだ、こい぀みたいな。
「わたし的には、うん、オッケヌ」
ミケ、半ギレ。怎サマ、顔に喜びが。
「フセリ゚さ、わたしの意芋 」
ず蚀い掛けたミケを遮った、垃斜理恵子
「だから皆んなで䜜ろうよヌね垃斜もミケも怎サマも、皆んなで䜜ろうよヌわたしも勉匷するからさミケも勉匷ね皆んなで䜜ろう、これうん」
あっちの垭、かぐちゃん、小さく音が出ない様に拍手しおたした。えっそっかなぁ良かった
「わ、わたしも」
あれミケ、珍しい。パニックっおる。䜕で
「そ、そうだよヌ、ミケミケもねぇ怎サマ」
「皆んなで䜜る、かヌ。本音は自分䞀人で党郚䜜りたいんですけど」
怎サマ、カップを䞊げお飲む、ず。この自信でも皆んな、刀りたすこれ、䞀応怎サマ流のゞョヌクなんですよ。冗談に聞こえない所がツボなんですね。わたし達、刀っおたすもんで、ミケず二人、笑いたした。
「じゃあさ、゚ンド・クレゞットで"監督 垃斜理恵子"っお入れられねヌじゃん」
ミケ、スむヌトポテトを摘む。ここのスむヌトポテト、矎味いんだよな。
「そうね。䞉人共同監督ね」
カップ䞋げた怎野涌子。カチャン、音が䜕だか音倧っぜい。
「いいねいいね䞉人共同監督わたし、䜕だかその方が萜ち着くヌ」
これ、垃斜の本音です。だっお映画、やっぱり劇堎映画、䞀人じゃ出来たせんもの。わたし、本音蚀えお嬉しくおニコニコ。でも、あっちのかぐちゃん芋るず、口をずんがらがせた。え䜕で次にミケを芋たした。含み笑顔しおた。でも目を萜ずしおた。怎サマ、どこ吹く颚な感じ。顔を斜め䞊に䞊げお。口元に笑みを含んで。
「じゃあ埌は、二階堂さんねそうでしょフセリ゚」
え䜕の話ですか二階堂さん二階堂恭子さんの事あっダバい忘れおた二階堂さん二階堂さん恭子さんの事忘れおたダバいよヌわたしがパクパクしおるず、冷たい蚀葉が。
「あヌあヌ、やっぱりね。二階堂さんにただ話しおねヌ」
怎サマ、右手で銖元扇ぐ。゚ぞぞ、ごめヌん。その通りですぅ。

11/7

「あ、怎サマ、それオッケヌ」
えミケ、怎サマを遮った。
「オッケヌ」
怎サマ、ゆったりず銖をミケの方に。
「あん。オッケヌ。わたし、もう電話しずいた」
ハヌン、ず怎サマが笑う様な頷く様な声を出したした。芋おいお䞍思議なのでした。
「フセリ゚、䜕か党郚ミケがやっおんじゃん。ダメだよヌ」
怎サマ、テヌブルの真ん䞭に眮かれたお皿からチョコチップのクッキヌをひず摘みしたした。
「あん。こい぀に任せおおいおもダメだから。あん」
ミケもクッキヌ摘みたした。モグモグ あの、わたしを芋る目がずおも冷たいんですけど。んで、沈黙すんごくすんごく痛いんですけど。
「あ、アハハハヌあ、そうだったのミケありがずヌ本圓にい぀もい぀も、ねわたし、グズだから。アハハハヌ」
もう自分で笑っおお痛いもん。『アヌ・ノワヌル』店内にわたしの虚しい笑い声が。
「じゃあさ、二階堂さんももうオッケヌっお事だから、いよいよ垃斜組始動ダッバヌ䜕かワクワクしお来た」
あ颚向きが倉わったラッキヌ䟿乗䟿乗
「そ、そうよねぇ映画䜜ろうねね皆んなでねね」
ミケに匷匕に同意求める。
「お前は あのさ、理恵子。ちゃんず自分で二階堂さんずお話しおお願いしような。わたしは䌚う玄束䜜っただけだからな。あん」
ミケ、クッキヌをもうひず摘み。
わたし、口開けっぱで固たっおしたいたした。ミケが100%正しい。蚀葉は冷たいし厳しいけど泚わたしにだけ、ありがずうっお心ん䞭で思っおたした。本圓本圓だっお
「䜕だ。じゃあただオッケヌじゃないじゃないですか」
ふふふず怎サマ、ほくそ笑み気味笑い。
「あ、それはダむゞョヌブ。あん。それはオッケヌ。芁するに、埌はこい぀がちゃんずお願いするだけ。お願いしたす、この仕事っお」
ミケ、自信たっぷり。うヌん、垃斜理恵子、お前は䜕だかずおも倧倉優秀なスタッフに囲たれおんじゃない゚ヘヘ。
「でも二階堂さんにもスケゞュヌルが」
怎サマ、蚀いかける。するず。
「あん。それは抑えた。確認取った。あん。ダむゞョヌブ」
ズズッずコヌヒヌ啜るミケ。や、やるな、お䞻。
「でもミケさ、フセリ゚だよ、フセリ゚。䜕しでかすか刀ったもんじゃないわアッハッハねぇ」
ザ・音倧、葉も実も萜ずすか、高笑い。うん、五䞃五に䞊手く嵌ったアヌッハッハッハねぇ䞊手いったっお思わない
「あ、そこもダむゞョヌブ。䜕぀ヌか、芖点こい぀を芋る䜍眮あたしらず同じですから、あの人も。あん」

アヌッハッハッハッハ

『アヌ・ノワヌル』店内にわたし達の笑い声が響きたした。アヌッハッハねぇかぐちゃヌん 
かぐちゃん、キッずわたしを睚みたした。わたし、パクッず笑い声を飲み蟌みたした。そしお肩を窄めおコヌヒヌカップ持ちたした。皆んな、ごめん、こんな監督で。

11/9

笑い声が響く䞭、わたし䞀぀気になった。あれでも䜕でかぐちゃんの所に食べ物ず飲み物、あるんだろうあほら、たた店員の男の子がかぐちゃんの所に行った。
「ねぇフセリ゚本圓にダメダメもっずしっかりしなくちゃねぇ」
「ダメだっお、怎サマ。こい぀はダメ。いっくら蚀ったっおダメだったんだから」
わたし、疑問が思い浮かんでから䞊の空。かぐちゃんの方芋ながら、銖をただりンりン瞊に振っおたした。
「フセリ゚聞いおるもヌ本圓にしっかりしなくちゃ段々むラむラしおくるわ䜕でもっず真面目に考えないのもヌ理恵子が撮りたいっお原案出した䜜品なんだから、理恵子自身がもっず動かなきゃミケにずっずおんぶしお貰っおたらダメほらもヌ、本は本曞いおる」
「あ、怎サマ。それもダむゞョヌブ。これはちょっず譲れないモンだけど、ほら、本の共同執筆でわたしもいるから。あん。ダむゞョヌブ」
「ミケ、ミケもさヌ、たあ共同執筆っおんならしょうがないけど、ミケもフセリ゚の面倒芋過ぎ。い぀たでもい぀たでも独立出来ないよお互い」
「ゲッ」
「ほらヌフセリ゚の悪いクセも移っおる。ダメだっおフセリ゚もさヌ、聞いおる」
わたし、かぐちゃんから目を離せたせんでした。ずいうのも、さっきからずっずかぐちゃんがわたしを芋おいるんです。わたし、固たっちゃった。普通の実圚の人だったら、怖いからすぐ芖線逞らしちゃうんですけど、えこの人、本圓の人間人間の女の人さっき店員さんず二蚀䞉蚀喋っおた。店員さん、テヌブルの䞊、片付けた。もう垰るのい぀もここに来るのだっお『アヌ・ノワヌル』がここにあるなんお、教えおないじゃないえ別の人でも最近わたしの空想に挂うかぐちゃんず芋間違える事ない、かぐちゃんなのに。え 

・・・

かぐちゃん、立っおこっち芋おピヌスした。今の芋たミケに怎野さんっお残念ながら、二人の背埌に立っおいるのだ。芋えないよ。かぐちゃん、スタスタず出口に行っちゃった。
「フセリ゚ヌマゞで聞いおる」
ハッダバい怎サマ、マゞ怒り寞前でも出お行ったかぐちゃんが マ、マゞですかあなたが本物の人間の女の人ならば、ねぇわたしの、いえいえわたし達の䜜る映画に出おみたせんかっお、ダメだそんなん久矎ちゃんにマゞ倱瀌久矎ちゃんの事務所に殺される。埌、高間さん達にも。殺される。埌、この人達にも。ダッバヌフセリ゚、ダバいぞ、マゞで理恵子よ、もうお前は地獄に萜ちたのだ。氞遠に血の池で足掻くがよいっお、閻魔様が蚀った。
「地獄でも良いわか、かぐちゃん」

「」

はおな、なミケず怎サマをほっぜっおかぐちゃんを远いかけたした
でも、いたせんでした 
煙みたい、霧みたい。本圓に実圚する蚳、ないんだから。うん、ないんだから。
「ちょっず、理恵子どうしたの」
ミケ、超心配そう。
「え」
ミケを芋たした。ミケ、わたしの腕を優しく撫でたした。
「ご、ごめんね理恵子わたし、蚀い過ぎた」
今床は怎サマが。超蒌ざめおる。えわたし䜕かしたしたか
「ごめんねわたし達、蚀い過ぎた、蚀い過ぎた」
ミケ。
「戻らない理恵子。ね」
怎サマ、蚀葉が優しい。わたし、心あらずに銖を瞊に振りたした。䞉人、元のテヌブルに戻り掛けたした。その時、店員さん、さっきかぐちゃんず話しおた店員の男の子、わたし䜕でだろ心ここに圚らず、䞊の空的に質問しちゃった。
「さっきあそこにいた女の人、よく来るの」
店員の男の子、答えたした。
「えっさあ 僕、ここに入ったばかりなんです」
「あ そう 」
残念。がっかり。でもがっかりでホッずした。やっぱり芋間違い。うん。そうなのだ。そう。がっかりでホッずしたけどやっぱり芋間違いのかぐちゃんなのっお思うず、もう䜕だか怖くお。怖い、怖いですよ、はい。
「フセリ゚、マゞでどうしたの」
流石にミケも蒌ざめおわたしに尋ねたした。わたし、ミケの目を真っ盎ぐ芋たした。そう かぐちゃんがさっきたでわたしの目を真っ盎ぐ芋おいた様に。
「ミケさっきあなた達の埌ろに座っおいた人、わたしのむメヌゞのかぐや姫にそっくりだったの」
ミケ、そしお怎サマ、絶句。『アヌ・ノワヌル』の暖色系のこげ茶の店内内装、蚭えの䞁床䞭倮に䞉人、火の点いおないロヌ゜クみたいにしばらく突っ立っおたした。

11/15

かぐちゃヌん

かぐちゃヌん

ある倜の事でした。
垃斜は倜の竹林の䞭で、かぐちゃんを探しおいたした。

かぐちゃヌん

かぐちゃヌん

『䜕でわたし、こんな所でかぐちゃん探しおるんだろ』
垃斜、ずおも䞍思議でした。かぐちゃんは、そう、ご存知の通り垃斜の劄想䞊のかぐちゃんでありたす。だから実圚しおいたせん。いもしない女の子を、倢の䞭で探しおいたのでありたす。
ずおも月が明るい晩でした。
その月明かりのお陰で、垃斜は竹林の䞭でもちゃんず歩いお探す事が出来おいたした。
どれだけ呌んだのか、かぐちゃんを。かぐちゃん、かぐちゃん、かぐちゃんやヌい。でもい぀からここでかぐちゃんを探しおいたのか刀りたせんでした。぀いさっきから探し始めた様な気もすれば、わたしがチビだった頃からこの歳になるたで、ずっずずっずこの竹林でかぐちゃんを探しおいる様な気もしたした。
『そうだ。お爺さんだ。竹取のお爺さんに䌚えば、かぐちゃんがどこにいるのか、教えおくれるかも』
垃斜、さすが。倢の䞭でも冎えおたす。気持ち、お爺さんを探す事にはしたしたが、お爺さヌんずは呌ぶ気はしたせんでした。だっおかぐちゃんずお爺さんの名前、亀互に呌んだら疲れおしたうでしょう

かぐちゃん

かぐちゃヌん

あっちこっち向いお、かぐちゃんを呌びたした。かぐちゃんの返事はありたせん。代わりに竹が倜颚に揺れお、サラサラ葉音を立おおいたした。
そうだ、そうそう。わたし、この音も探しおた。
竹の音。笹の葉の音。竹はぐうっず颚に煜られおたした。わたし、空を芋䞊げおそしお次に腕時蚈を芋たした。䜕時かな

それが、手銖を返しお腕時蚈を芋るず
時蚈の真ん䞞が
ちょうど月の明かりを反射しお
芋えなかった

わたし、時間を知りたい
早くかぐちゃんをみっけなきゃ

かぐちゃん
かぐちゃヌん
どこ
どこにいるのヌ

月眩し
かぐちゃん䞀䜓
どこにいる

するず人の気配が
でも、それ、ごめんなさい。わたし、ずっず気づいおいたした。
竹の間から、カメラが垃斜を撮っおいたす。撮圱班。俗に蚀う、垃斜組。でも皆んなの顔が芋えたせん。それがずっおも䞍気味でした。

皆んなわたしを撮らず
かぐちゃんを撮っお

わたし、お腹からいっぱいの声出したした。けど、皆んな䜕にも答えおくれたせんでした。

11/20

「皆んなヌかぐちゃん、どこにいるか知らなヌい」
垃斜組、皆んな黙っおたす。わたし、䜕だかたな板の䞊の魚みたい。わたしが魚だずするず、ダバッこれから捌かれる蚳ごめんだわ

ごめんだわ

わたしの声が竹林の隙間を通っお、颚に乗っお、笹を揺らしお。
わたし、思いっきり走りたした。でもそれがずっおも遅いのです。ただでさえ、のろたで運動音痎なのに。
その時、ブルトンの顔が䜕故か思い浮かびたした。䜕でブルトン、たさかかぐちゃんの行方、知っおるかなぁ

わたし、たな板の䞊の、魚
倢に溶けるブルトンの肖像
わたしは解けない
ただ、刃物で捌かれる

わたし、捌かれたら䜕の料理になっおしたうんだろう怖くなっお、もっず䞀生懞呜走りたした。

かぐちゃん

かぐちゃんやヌい

そしお垃斜は果たしお生きお垰れるのか
やだわたし、頭ん䞭がたるで台本みたいそうそう台本曞かなきゃ

ミケ

そうだった、今思い出したミケ、慶子、䞉田慶子慶子、あの撮圱隊の䞭にいないの

慶子いないの慶子
わたしを撮るの、止めおっお蚀っおヌ

慶子はいないみたいでした。諊める垃斜。

『駄目だ逃げなきゃ』

䜕故逃げる垃斜理恵子。
わたしは䜕が䜕だかもうよく刀りたせん。
ただ䞀生懞呜走りたした。

かぐちゃん
かぐちゃん

かぐちゃんを探しに来おるのか
映画にされるのが気持ち悪くお逃げおるのか
魚料理にされたくないから逃げおるのか
それずもこれは

アンドレ・ブルトンの䜜った仕掛け

人の倢の䞭に

だったずしたら、これは、この状況は、そしおわたしを冷酷にカメラで録画しおいるのは 

アンドレ・ブルトン

わたしは倢の䞭なので、その盎感を即座に事実だず信じたした。
信じる

信じる自分の粟神の内に存圚しない抂念を珟実ずしお捉え、理解し、実際に行動・蚀動する事。

ボルヘスが䜜ったみたい、倢の䞭の架空の蟞曞。
信じる
信じおもいいよ、でもこれ、あくたで垃斜の眠りの䞖界で生じた、䜕だろう䜕お蚀ったらいいのかな

そうだかぐちゃん
かぐちゃんの事、忘れおた

11/22

垃斜はどこたでも走っおいたした。
でもあっちこっちの竹の間から、カメラが芗いおいるんです。気持ちわりヌ垃斜なんか撮ったっお䜕にもなんないよヌ

䜕で垃斜を撮るのか垃斜理恵子

えわたしわたしに蚊いおるんですかわたしはですねヌ
垃斜、走りながら答えを考えたした。
芋぀からない、芋぀からない 
そりゃそうだっお、走りながら考えおるんだもん。半分台本になった垃斜の頭がバラバラめくれたした、走っおるから。

え、鉛筆、鉛筆

でもわたし、今曞く物持っおない。台本曞かなきゃマゞ、倧急ぎでミケが手䌝っおくれるけど、わたし、頑匵らなきゃ。倧忙しです、本圓に

䜕でお前はお前を撮っおるのか

え誰ですかわたしに䜕か、さっきから質問しお来るけど、あなた誰ですか

きっず、ブルトン様だ

そんな事、もうずっず前から知っおる。この倢を芋る前からずっずずっず。でも、䜕でブルトン様なのかが解らない。誰か、教えおくれたす理恵子のお願い、誰か

バッ

ラむトが圓たった。これが熱で痛い皋。眩しくお目にダメヌゞが。でも䜕で、䜕でアンドレ・ブルトン、垃斜に光を圓おるの

あ 

あっちの方、芋えた、怎サマ。ピアノを匟いおらっしゃる。やだ、凄い幻想的。すんごいロマンチックどうしおこんなシヌン思い付いたのどうやっおピアノをあんな竹の間に入れたのブルトン様

怎野涌子

䜕お矎しいのわたし、惚れ惚れ。䞀人の女性をこんなに矎しく撮るなんお。ずおも勉匷になりたすわたし、急いで台本になった頭に走り曞きをしようずしたしたが、ペンがない。

そうペンがないペンがないのよ
慶子

ミケを呌びたしたが、虚しく声は消えお行きたした。
でも、䜕おメランコリックなピアノ。誰の䜕おいう曲怎サマ、これ絶察䜿わせお

11/25

怎野涌子さんが、炊かれたスモヌクの䞭、ラむトを圓おられ、ピアノを挔奏しおいたした。

ずっおも幻想的
え倢の䞭
倢の䞭ならば、それはもう幻想な蚳ですから
䜕だっお蚱されたす

䜕だろうこの曲。
わたしなら、単玔にベヌトヌノェンの『月光』なんかいいんじゃないかなぁっお思いたすけど、このシヌンに合わせるなら。でも、これはブルトン様の映画ですもん。ブルトン様が䜕をどう撮ろうず、それはブルトン様の䞖界。垃斜などが、思った事など蚀うのも恐れ倚い。
やだ、これ怎サマのオリゞナルじゃない
だっお聎いた事ない曲だもん。

ダバい、ダバい怎サマに先越される

垃斜、ハッずしおたた走り始めたした。そうそうかぐちゃんだヌかぐちゃん、探さなきゃかぐちゃんかぐちゃんかぐちゃんやヌい
そう怎サマがどんどん仕事を進めおいるのだ䜕をモタモタする、垃斜理恵子お前がもっず先に行かなきゃダメ皆んなより、先に走っおなきゃダメでも、ヒェヌミケ、手䌝っおヌ
ずにかく、怎サマが芋えなくなるたで走らなきゃ怎サマの挔奏が聞こえない所たで走らなきゃ

かぐちゃん
かぐちゃん
かぐちゃんやヌい

サラサラサラず

笹の音。竹が笑っおいるみたい。
そう、そヌよヌだっおこんな運動オンチが芋苊しくも走っおいるんだから。䞍様ですね、きっず。絶察。あ、でも埌でブルトン様に撮った絵、芋せおもヌらおっず。倚分、笑える。皆んなで芋たいな、垃斜の䞍様な走る姿。ねミケ絶察笑えるよね

でも垃斜を撮る撮圱隊が党然笑う雰囲気ないんです

わたし、こヌいうの、絶察むダ
皆んなで楜しく撮る
垃斜組の鉄則だっお蚀ったのにヌ、もう

䞀生懞呜走っおたした。
そんな事考えながら。
皆さんはどう走っおいる時っお、䜕考えおたす
ちょっずでも系統だった事、考えられたす
そんなの無理ですよ、無理ですねね
だから垃斜は䞀生懞呜走りたした。
笑われたっおいいっお、思っおたした。
そしお埌で自分も笑いたいなっお思いたした。
でも、それっお凄くショックな事。
わたしだっお、カッコ良く走りたいのに。
運動神経良い人、むヌなあ。
わたし、幟ら努力したっおダメだもん。

わたし、幟ら努力したっお無駄だもん
なんお蚀っちゃダメ

あヌミケミケの声、やっず聞こえた

慶子どこ
どこにいるのヌ

必死になっお呌んでみたした、䞉田慶子を。
でも返事がありたせん、ありたせんでした。
しょがん、です。

12/4

やっず聎こえなくなった、怎サマのピアノが。ずにかく぀おい、怎野涌子。気が匷い、気が匷い。けど優しいです、垃斜に察しお。だからわたし、䞀方的に怎サマを友達だず思っおたす。ミケも。うんミケ

ねぇ、慶子
あれ、なぁに

あれ、わたし、目がおかしくなったそれはさっきのフラッシュのせい。目が痛い皋だった。

わたし
熱い癜光の䞋
たな板の䞊で
切り裂かれる

刺身、刺身刺身になるのなんおごめんだわ刺身はされるもんじゃなくっお食べるもんだっ぀ヌに
刺身になんかされたくない、だから、目がちょっずおかしくなっおおも、走れ、垃斜理恵子
でも、ゎシゎシゎシ、目を擊りたした。その時、実感がありたした。あ、わたし、寝ながら目ぇ擊っおるっお。倚分、絶察そうそうだっお

唞りながら
喚いおいるのか
䜕事かを
り・えこヌ朚霊す
笹の葉サララ

笹の音。もういい加枛、聞こえなくおいい。これはブルトン様の仕業、はい、100%。䜕っお意地悪倧䜓、垃斜を撮るの、もうやめおくれたせんこんな女撮っお䜕になりたすあ刀ったひたすら苛めお、困惑する姿を絵にしたいんだ

たるでキュヌブリック様みたい
ブルトン様聞いおる
やめおったらやめお

アヌッハッハッハ

これは高間さんの笑い声。䞀発です、もヌ䞀発で刀った、高間さヌん垃斜にはバレバレですよヌ䜕がそんなにおかしくっおわたし、もうダメかも。

もうダメかも

そこに蹲り、もう動きたくなくなった

理恵子頑匵れ

䞉田慶子、ありがず

よヌし、笑いたければ笑えば
よいしょ、よいしょ。
でも、やっぱり目がおかしんじゃね
あれはどう芋たっお。

確かめる為に
走る
走っお、そこたで行っおみる

垃斜、だっお䜓育䌚の女じゃありたせんもの。
そもそもそれが間違いの元。
人間、䜓が資本です。

監督匵っおたすもん
映画、映画、映画
䜓、匵っおたすもん

わたしは映画
そう
映画、わたし、芳たい
芳たい映画、わたし、䜜る

誰の
あなたの
わたしの

かぐちゃんの

そうだっお絶察そう
かぐちゃんだっお
でも目がおかしい。
やっばいなぁ。
ただ映画䜜りは始たったばっかなのに。

目がおかしい

そんな事なかった

信じられる
わたしが芋た物。
本圓
遠くから芋えた時、マゞですかっお思いたした。
でも本圓でした
䜕
垃斜の蚀い方がたどろっこしくおごめん、皆んな。

ピンクの竹が䞀本、あったんです
嘘
ブルトン様の挔出
わたし、ピンクの竹の根元でお腹抱えお笑いたした
䜕コレ超カワむヌ
アヌッハッハッハ

12/5

アヌッおかしヌ涙出るぐらい笑っおたした。お腹抱えお。アヌッハッハッハ蚀葉、曞きようがありたせん。本圓にずっず笑っおたした。だっおピンクの竹だよ信じらんねヌアヌッハッハッハ

わたし、頭を地に付けるほどにしお笑っおたんですが、わたしの頭のすぐそこでザザッず音がしたした。䜕わたし、顔を䞊げたした。

女の子がいたした。
たるで䞃五䞉みたいな栌奜の女の子。

えっあなたこんな所で䜕やっおるんですかあ垃斜もですけど。あなた、䜕やっおるんですか

どうしたの
垃斜、聞きたした。そしお、マむクがビョヌンず䌞びお来たした、向こうから。やだ、ブルトン監督様が芋おらっしゃるわ。真剣に挔じねヌず。え挔じるだっお垃斜は俳優じゃない悪い冗談、やめお䞋さるそれでも、た、いっか。セリフセリフあ今から蚀うセリフ、メモに取らなきゃでもペンがない。慶子けヌこヌ

女の子、ニコニコ。
お月様もニコニコ。
䞍思議でした。
ピンクの竹ず月ず少女。

やだあなた、もしかしおかぐちゃんじゃない
垃斜、思いをパッず蚀いたした。

月から火花
レモン色
思い乱れお

女の子の笑顔の䞊にお月様。
その時、発芋
ピンクの竹の葉に、あっちこっち短冊が結ばれおる事を。

赀だわ
青も
癜に黒
黄色も

沢山の人の思いが、きっず結び付けられおるんだ、絶察ね絶察

垃斜の脳裏。
『フルヌトずわたし』のラストシヌン。

久矎ちゃん、䞡手にフルヌトを握り締めお、勉匷机に蹲る

そう、願い事は、自分の力で䜜っお、そんで、頑匵る事なの

垃斜のお願い、それは、垃斜だけの思いなんだけど䜕か皆んなに届くんじゃないねミケ

でもカワむヌ䜕でこの竹に短冊沢山付いおんですか䜕か女の子が髪に沢山小ちゃなリボン付けおるみたいです。

ねカワむヌね

わたし、䌚話の順序も無茶苊茶に女の子の手を取りたした。そんで、䞊を芋䞊げたした。

カワむヌね
このピンクの竹
笹に短冊䞀杯ね

女の子、党然嫌がらず。
垃斜ず䞀緒に竹を芋䞊げおたした。

ねもうお友達
でも、ねヌ、あなた、
もしかしおかぐちゃん

女の子の返答は、無蚀の銖振り。違うっお。
そうなの残念ねヌ。
あのね、わたし、探しおいる人がいるの。
わたしず䞀緒に探しお
垃斜のお願い。

あ、短冊
短冊付けなきゃ
結ばなきゃ

でもペンも玙もない
垃斜の半分台本になった頭をバラバラめくりたした。

どっかに入っおない
わたしのペンず短冊
ねヌ慶子

12/8

女の子ず出䌚っおから、䜕か急ぐ気倱せたした、垃斜理恵子。そんないい加枛でいいのかいいよ、だっお垃斜の倢だもん。開き盎っお女の子ず䞀緒に䞊芋䞊げおたした。

向こうでブルトン監督様が
メガホン持っお
䜕か垃斜に蚀っおらっしゃる

え垃斜にじゃあありたせんでした。
するず照明が眩しい垃斜に照明圓おろっお事だったみたいです。するず今床はラむトダりン。みるみる蟺りが暗くなっお行きたした。
暗くなった。
女の子、垃斜の腰にしがみ付きたした。
ダバッわたしだっお怖いんですけどでも女の子、守らなきゃねダむゞョヌブ、ダむゞョヌブわたし、女の子の背䞭撫ぜたした。でもわたしも怖いよヌ䜕で消すの光を

するず颚が吹き

フワヌッお明るくなりたした。
䜕だ、雲が月を隠しおたんだ。
それにしおも明るい倜。
女の子、わたしの顔を芋䞊げおニコニコ。
垃斜もニコニコ。

怖かったね
うん、ず女の子。
ね、怖かったね。

しかしこのピンクの竹は䜕なのだ冷静になっお考えるず䞍思議。あれかぐや姫の物語でこんなピンクの竹、出お来たしたっけ確か、物語ではフツヌの竹の節が金色で、その䞭にかぐちゃんが 

そうだ
忘れおた
かぐちゃん

どうしよう女の子眮いお行く蚳にもいかねヌし。うヌん。

ピンクの笹
サラ、サララ

短冊には願い事曞くんだった
あれあれヌあれヌ
女の子、自分の懐から短冊ずペン出したした
垃斜が目ぇ真ん䞞にしおるず、短冊に䜕か曞き始めたした。

ねぇ、䜕曞いおんの
理恵子にも芋せお

女の子、そっぜ向きたした。
嫌だっお。
䜕でヌ意地悪じゃあ、わたしにも曞かせおねぇ女の子、うんっお頷きたした。いいっお
やったヌお願い事、䜕曞こっかな

12/22

女の子、わたしにペンず短冊くれたした。ありがずうございたす。䜕曞こっかなぁ。

この映画がヒットしたすように

嫌だなあ、倧人っお。こんな事しか曞かないもん。倢っおさあ、こんなんじゃなくないもっずさん、䜕぀ヌのディズニヌの映画みたいにさ、玠敵な王子様ずか䜕ずか、そういう颚に行かない䜕だか悲しい。けれど、わたしもだからこそ倧人なのかも。そう、倧人っお、そういうもん。倢は子䟛が芋るもん。悲しいそんな事ない。子䟛が倢芋たっ぀っお聞いたげおそれをフムフムすんのが倧人。嫌だそうそれもそれ。じゃあ垃斜は

この映画がヒットしたすように

これのどこが悪いお願い事なんですか倧人だっお芋おいい倢、ありたせんだっお、倧人だっお子䟛なんですから。ええ、わたし、そう思っおたすよヌ成長成長した倧人っお䜕なんですか垃斜にも刀る様に教えおええそんなの絶察誰にも教えられっこないんですねぇ

わたし、短冊曞いお䞀人満悊しおおりたすず、撮圱隊向こうから誰だかやっお来たした。

゜フトクリヌム、持っおたした

わヌい゜フトクリヌム゜フトクリヌム

女の子ず垃斜、倧喜びたず垃斜が受け取りたした。

はい、あなたのよ

そしお、わたし。よだれ出そう。゚ヘヘ。

じゃあ食べようね。ありがずう、蚀おうね。はい、ありがずう。

慶子

゜フトクリヌムを持っお来おくれたのは、慶子でした。

䜕で

さっきからいたんなら、䜕で出お来おくれなかったの䜕回も呌んだのに慶子。慶子

慶子
あなたはわたしの䞀番倧切な友達だったわ
本圓にありがずう

わたし、泣きたした。そうしおいるず、女の子がわたしの背䞭を撫ぜおくれたした。

ダむゞョヌブ

え
倧䞈倫倧䞈倫
だっおわたし、映画監督だもん。こんな事ではぞこたれたせんえヌそうです映画は今、始たったばかりですこんな事で、こんな事で。ええ、そうです。けれど、わたし、ミケがわたしに䜕も蚀わず行っおしたった事、ブルトン様の所に戻っおった。戻っおった。

良かったね、ミケ

わたし、本圓にそう思いたした。
ミケ、良かったね。そしお。
垃斜理恵子、そうわたし、『かぐや姫』頑匵るからね
゜フトクリヌム、ムシャクシャ食べたした。カップを霧る前に、食べきっおやる


12/12

そしおこの映画はい぀たで続くんだろう
いや、この撮圱
い぀たで続くんだろう

お前が止めろっお蚀えば終わるさ。

誰誰ですかあなたさっきから、ずっおも嫌。誰ですかそれずも本圓にブルトン様なんですかわたし、もうさっきからずっずずっず䞍満。皆んな皆んな刀らない人達ばっかりで。そしお皆んな自分が誰だか垃斜に教えおくれないんです。

ね

女の子に振る。女の子もほっぺ膚らたせたした。

ねぇ所であなたはどこの誰なの

女の子、゜フトクリヌムを食べる。わたしも自分のを食べる。もヌ。ねもヌ。

あれ
するず䞍思議な事が起こりたした。あれ女の子、どんどん倧っきくなっおない゜フトクリヌムの癜い山が枛る床、䜕か女の子の顔が倧人になっお行く。䜓も倧っきくなっお行く。あれやっぱ目の錯芚じゃないどんどん倧っきくなっおたすえ぀ヌ事は

垃斜、懐に䞞くお朱色の手鏡持っおたした。おか、䜕で玙ずペン持っおなかった癖に手鏡持っおる誰こんな蚭定にしたのあなたねぇ

竹向こう
アンドレ・ブルトン
そっぜ向き

このぅ偉い芞術家の癖に意地悪
しかしそんな事より、手鏡芋た垃斜、ああ残酷おか悲劇だわお婆さんになっおたした、垃斜理恵子。嗚呌、こんな将来芋たくなかった。わたし、お婆さんになったらこんな颚になるんだわ。皆んなより先に歳ずっちゃった。ミケ、怎野さぁん、わたしあなた達より先に歳取っちゃった。仕事は党く皆んなに远い぀いおないのに、歳だけ取っちゃった。嗚呌。
でもその時、垃斜、気付きたした。
そうだ、かぐちゃんには逊父のお爺さんに、そう、お婆さんもいたわ。そう、そヌよヌお婆さん、お婆さんわたし、䜕で今たで気付かなかったんだろう

竹取の翁
そしおその媌

台本に曞かなきゃわたし、掻きむしる様にしお台本になった頭のペヌゞを繰りたした。

けれど、ペンがない

泣くな、泣くなよ、垃斜理恵子
媌ずなった垃斜、䜕か若干匷くなっおいたした。泣きたせんでしたです、はい

歳取るばかり
嗚呌、嗚呌連呌
動ぜずに

歳取る事、悲しい事ばっかりじゃないんだわたし、䜕だか少し匷くなったみたい。心の方が。䜓は匱くなったみたいだけど、心の方が。それっお、ずおも倧切な事なんじゃない

ねぇ

倧っきくなった女の子。ほらやっぱり。

わたしがずっず探しおた、かぐちゃん。
かぐちゃん、めヌっけ

媌ずなったわたしは、愛おしくかぐや姫のほっぺを䞡手で觊れたした。

こうしお
ふせりえこかんずくは
はじめおかぐやのひめみこの
はだにふれたした

FIN

12/13

「わぁ」
寝汗でびっしょり遂に目芚めた垃斜理恵子。䜕だか『ゎゞラ』か䜕かの宣䌝文句みたい。でも、マゞ悪倢だった。疲れたヌ。スンゲヌ、疲れたした、はい。おか悪倢っお勘匁しおくんない䜕で寝おお疲れんのヌ寝る、っお疲れ取るためにあるんじゃないんですか䞀日、仕事で疲れお、ハむおやすみヌっお寝お起きたら䜕で疲れおんだこんなん毎日続いたら、ノむロヌれになりたせんなりたすよヌねぇ
たず濡れたパゞャマず䞋着を脱ぐ、ず。めんどくせヌなヌ、着替えんの。ダリヌし頭いおヌし。もヌ。ただ『アヌ・ノワヌル』のおや぀なかったっけ。理恵子の疲れ取っおくれんの、今は『アヌ・ノワヌル』のお菓子だけだよヌ、もヌ。
時間芋る。うヌむ、そうだ、オペラの勉匷しなきゃ。あ、そうだ、竹取物語ももっず読み蟌たなきゃ。頭に入れお、消化するの、ねぇそうしないずたた皆んなに怒られる。もヌ、誰ですこんな倧倉な仕事わたしに頌んだの
そうだ。倢の䞭のブルトン様。玠敵だったな。生きおお動いおんの芋たら、あんな感じだったのかな高そうな黒いロング・コヌトに䞞県鏡。あんな颚に珟堎仕切れたらなぁ。
そうそう、ブルトン様。どうしお垃斜の倢なんかにいらっしゃったの䞍思議です。だっお、垃斜ずあなたはアカの他人。でも懐かしいな。昔、シュヌルレアリスムのアヌト倧奜きで、根掘リン葉掘リンしたもんだ。シュヌル、シュヌル。うヌむ。
もしかしおブルトン様、垃斜の事が奜きダハハ、バッカヌ䜕でこんな事考えおんだろバカバカ。銬鹿だねヌ

りフフフフフ

コヌヒヌ飲もうっず。
うヌむ。シュヌル、シュヌル。うヌむ。シュヌル、シュヌル。うヌむ。

あ
おゆ
わいた

この倢、映画の玠材に䜿えるかなぁなヌんお、コヌヒヌの銙りず共にほんわり思い付きたした。そっかヌ、うヌむ。じゃあ、ミケに盞談しよ。うん。ミケミケ。でも、りフフです、りフフが止たらない。だっお玠敵なブルトン様。䜕おカッコいい りフフです、はい。あれでもミケ

おかしいなぁ、䜕か忘れおる。
忘れおる気がする。

お腹枛った、嗚呌、枛った。
『アヌ・ノワヌル』のおや぀、ないしょうがない。食パン食ヌべよ。焌くか。うヌむ、あれミケの顔、思い出すな、やけに。んミケた、いっか。トヌスト焌けんの埅぀のだ。

うヌむ、ミケ

「ダッバ今日恭子さんずこ行くんだった」

12/15

半泣きで電話掛けたした、垃斜。
「ミケごめヌん寝坊しちゃったの」
「あん。ただ家」
「そうなのただここなの急いで着替えるごめんねヌ」
「あん。い぀もん事だから」
ズンです ずおもショックでした。だっおわたしだっお、っお䜕も蚀い蚳にもなりたせん。党郚わたしが悪いんだもん 䜕で、どうしおわたしっおい぀もこうなんだろず、こう、電話持ちながらくよくよくよくよず。
「おヌい、りえこヌ」
「えっはい」
「いいから早く来い。お前が寝坊しお遅れる時間足しお埅ち合わせ時間にしおっけど、早く来ねヌずマゞ恭子さんにシツレヌだかんな」
ブツップヌップヌップヌッ。䜕この䌚話。サむテヌじゃありたせん䜕がサむテヌっお、ミケが党くわたしの事を圓おにしおないっお、そこ倱瀌しちゃうわんずにもヌっお、怒れた矩理がわたしに党くない。サむテヌ、そうサむテヌなのは垃斜理恵子、その人どうやっおこのポカを埋め合わせよっかたた『アヌ・ノワヌル』にしよ今床はンゲヌ高いケヌキ買っおっおあげなきゃ埅っおろよ、䞉田慶子
それからは芚えおたせん。倧車茪の様に回っおたした。わたしが回っおいた事しか蚘憶にないんです。掗濯機の䞭みたいにグルグルガタガタ回っお、倢ん䞭以䞊にブザマに駅たでダッシュダッシュっお曞いたらカッコいいけど、簡単に刀りるず思われりたす、運動神経れロの垃斜のダッシュがどれだけ酷いかっおさっきたで寝おお倢ん䞭で倉な竹林圷埚っお、ンゲヌ疲れ切っおお、もヌ生きるっおこんなに蟛いのねヌかぐちゃんあんたのせいあなたがたず倢ん䞭でもすぐ出お来おくれれば良かったのよそしたらわたし、走り回る事なかったじゃない䜕でもヌ、意地悪
目がグルグル。走るっおこんなに倧倉だったっけ気付いたらミケの前で䜓前屈みでれヌれヌ蚀っおたした。
「あん。合栌合栌」
ミケ、腕時蚈を芋お蚀いたした。
「えっ間に合った」
わたし、顔䞊げたした。
「間に合っおねヌけど、甚心でお前が遅れる時間倧幅に足しずいた、プラス、恭子さんに連絡しずいた、でOK。合栌。恭子さん、今日の埡機嫌たずたずだったから、良かったな」
どこたでもクヌル、っおいうか䞀蚀䞀蚀冷たくないでも垃斜が党郚いけないんです。フィヌン汗ず共に涙が。悔し泣きです。
12/17
ハァヌハァヌ蚀いながら、ミケず歩き始めたした。
「ダバっ恭子さんに届けるモン買っおかなきゃ」
気付いた偉いぞ、垃斜理恵子
「ああ、それもう買っおっから。あん。そヌだ、これお前持お」
ミケから枡された玙袋。なヌんだこれがそっかえヌ䜕々䞭身玙袋芋た。
柚子屋
「あヌやっぱり柚子屋ねうん、流石」
぀たり真盞があるんです。恭子さんはここのどら焌きが奜きなんです。
「あん、お前が遅れお出来た時間で買っずいた。あ、お金半分こだかんな。ペロシク」
「な、䜕蚀っおんのヌ、ミケわ、わたし、党郚払うよありがずう」
このプラむドが。わたしのプラむドが。ここたでグヌタラでだらしないわたしんだっお、プラむドっおもんがありたすからねヌありがずう、本圓に、ミケでも、そうはさせないわねお金ぐらい出させおね今床たた『アヌ・ノワヌル』ご銳走様するからっお、こう、ペラペラ蚀えたらなぁ。䞊の蚀葉だけで粟䞀杯。このプラむドが。いえ、今床はこの生意気猫に。このプラむドが。
「あそう」
䞉田慶子、こっちを芋ずにスタスタ。䜕か蚀え、このぅ。でも黙っお䞀緒に続く垃斜でした。
「ねぇミケ。恭子さん、元気そうだった」
話題転換、よヌしでも本圓に恭子さんず䌚うの久しぶりだな。うん。恭子さんに䌚える。うん。やった䜕か楜しみ
「あん。元気元気」
ミケ、スタスタ。䜕か取っ掛かれよヌ。
「も、もう仕事のお話はしおんのよねんで、もう刀っおんのよね」
アワアワ。ミケにももう䜕話したらいいか、わかんねヌ。
「あん。もうそれはオッケヌ。オッケヌなんだけどヌ」
ミケの"オッケヌなんだけどヌ"がやけに高い声でした。もんの凄く嫌な予感が。
「お、オッケヌなんだけど」
垃斜、アホみたいに繰り返したした。
「お前の頌み方次第。あん。頌み方次第」
ミケ、䞀人フムフムしながら歩き続けたした。
「わ、わたしの頌み方次第䜕ですか、それ」
えわたしの頌み方次第では、どうなるかわかんないの
「あん。恭子さんも人間だかんな。それに人間は人間だけど、特殊な方の人間だかんな」
こんな事蚀われお、䜕か答えられたす無理よねヌ無理無理。無理です。䜕だか急に垰りたくなっおきた。恭子さん、久しぶりヌっお蚀おうず思っおたのに。たず䞀発目に䜕蚀うか、考えたせんこんな事蚀われたら、フツヌ。もヌ、意地悪なんだか䜕なんだか。おか、意地悪じゃないっ぀ヌに。ミケは真剣にシビアにシレッず蚀ったたでです。誰の為にっお垃斜しかいねヌじゃねヌか
いや、違うもん。ミケは『かぐや姫』䜜りたいだけだもん。早く芳たいだけだもん。垃斜の為なんかじゃねヌもん。んで、かぐちゃん挔じる久矎ちゃんが芳おヌだけだもん。

あ、そうだ。かぐちゃん。

あれこれ芋苊しい蚀い逃れをあヌだこヌだしおたその時、倢で芋たかぐちゃんを思い出したした。この䞡手で頬に觊れた、かぐや姫。久矎ちゃんじゃなかった。久矎ちゃんじゃない。うヌん。
12/19
「おい」
ミケの声。
「えっはい、䜕ですか」
「どした理恵子」
ミケ、2,3歩前にいたした。䜕か驚いた衚情でした。
「えっどしたどヌもしおないです」
わたしの方が驚いちゃった。
「あんた、今自分が䜕か蚀った事、芚えおない」
「ゲッ」
えミケ、䜕の事わたし䜕かオハナシしおたしたダバいんですけど。ずうずうそこたで来たか垃斜理恵子⁉
「そのゲッは 」
考える䞉田慶子。そんなの考えなくおいヌよヌごめんケヌコもう垃斜っおオカシヌからさヌあんたり構わないでね
「かぐや姫ず䌚ったの」
「ゲッ」
これ珍しいです。ゲッの2連発は流石の垃斜でも珍しい事なのです。ダバい、もうゲッっお蚀わねヌよヌにしねヌず
「えっわたし、ンな事呟いおたマゞ、もうダバいよヌ」
もう泣くか泣いちゃったら埌は楜だが、悲惚過ぎる。んで、慶子に誀解される。あ、こい぀ノむロヌれだっお。心配させねヌぞ、よヌし泣くな理恵子するずミケ。
「あ、あん。そヌ聞こえた。でも、すっごく小さい声だった。もしかしお、こないだ『アヌ・ノワヌル』にいたっお人の事」
ちげヌけど、その方がツゎヌいい。けどそんな巧劙な嘘぀けねヌ。どヌしようでもミケの顔、マゞで匕き攣っおる。動揺しおるミケも珍しいんだよな、これが。
「ち、違うの。実はね、昚日の倜に『かぐや姫』の倢を芋たの」
その時でした。ミケの顔パヌっず晎れやかになりたしたえ䜕々垃斜、䜕か蚀いたした慶子がそんなに喜ぶなんお
「どんな倢だったの」
ミケ、ニコニコ。えヌどんな倢っおあんな倢だったです、はい。え䜕、今セツメヌしろっお流れでもミケの機嫌が盎ったこれはノッた方がいいです、絶察よねでも、パクパクしお䜕か䞊手く喋れる自信ねヌし。本圓自分で自分が嫌になる
「うん。かぐちゃんを探しおね、わたし、倜の竹林をずっずりロりロしおたの」
自信ねヌ、マゞ、自信ねヌ。わたしの蚀い方で慶子に䌝わっかなぁ。願掛けよ。
ブルトン様今、垃斜が苊しんでいる姿をお空から芋おいるならば、降りお来おわたしの代わりに慶子に説明しお䞋さらない
芋おねヌ。芋おねヌらしい。だっお降りおこねヌもん。ハァヌ。嫌だなぁ。わたし、ほっぺ膚らたせお目ぇ䌏せおるず。
「理恵子それ、恭子さんのいる時に聞くから今はやめよヌうんもう急がなきゃ」
フン、だっお錻息吐いた、䞉田慶子でもペカッタペカッタ慶子の怒りや苛立ちがどっか行っちゃった。もヌ、垃斜、ホッずしたした。よヌしじゃあ、恭子さんちたで急ごう、急ごう
あれでもさヌ。
恭子さんち着いたらさ、䜕⁈わたし、ゆんべの倢の䞭をセツメヌしなきゃなんない蚳
もう垰りおヌよヌミケ、䞀緒にわたしんちで『アヌ・ノワヌル』のケヌキ食べよヌよヌあんな出鱈目な倢、恭子さんに話したらマゞ殺されるんで、恭子さんにりケなかったら、りケなかったら ミケにも殺される。
そうだ新鮮なフセリ゚のお刺身
わたし切り刻たれお、綺麗な薄切りにされお、2人の魔女の倕食になっおしたう
䜕か、どっかで聞いた話だな
あそっか倢ん䞭でもお刺身にされ掛かったんだなヌんだ、起きおおも寝おおも、どっちにしろお刺身にされるんじゃねヌかアッハッハ、超りケるヌううん、違う違う。超泣けるヌフィヌン
12/21
そんなこんなで恭子さんちに着きたした。うヌん。緊匵です。着いおすぐ、迷わずミケがピンポン抌そうずしたした。
「ちょっず埅っおミケ」
慌おおミケを止める垃斜。
「あん」
ミケがわたしを蚝しんで芋たした。
「そ、そのう、あれじゃない恭子さんに䌚う前にさヌ、たず緎習しよヌよヌ」
䜕の緎習だわたし、わたし自身疑問な事を蚀いたした。
「あん緎習」
ミケの眉毛がこんがらがっおたす。圓たり前です、だっお垃斜自身蚳わかんねヌんだから、蚀っおる意味。
「そヌそヌ緎習だっおさ、恭子さんに䌚うんの久しぶりじゃんだ、だからさヌ、ね挚拶の緎習」
「䜕バカな事蚀っおんの」
ミケがわたしをもう無芖しおピンポン抌そうずしたした。わたし、その手を掎みたした、ガッっお
「なにヌもヌ」
ミケ、いよいよ半ギレです。圓たり前です。刀っおるよう、わたしにだっお
「ね緎習ねだっおさ、恭子さんにシツレヌのない様にしなきゃね」
「䜕が倱瀌っお、遅刻しお恭子さん埅たせおるお前はもう倱瀌じゃねヌか」
ミケ、ピンポンに指をだから埅っお埅っおよ、もヌするずガチャっおドアが開きたした。䜕たる鋭い目そうでヌす、こちらが二階堂恭子さんカメラ担圓しお貰うの はい、わたしずミケ、そのたたフリヌズしおしたいたした。
・・・
3人、しばらく䜕も蚀いたせんでした。
「恭子さん、お埅たせしおごめんなさい」
ミケ、パタンず䜓折り曲げお挚拶したした。ダバっわ、わたしもヌ
「恭子さんごめんなさい党郚わたしが悪いの遅れたの、わたしのせいですはい慶子の責任じゃありたせん」
わたしも䜓をパタンこしたした。
「倧䞈倫よ。理恵子に埅ち合わせに間に合うずか、そんなの䜕の期埅もしおないから」
恭子さん、腕組んで。こ、こえヌ
「ご、ごめんなさい本圓にごめんなさい」
するず恭子さん、溜息吐きたした。
「いいから入っお」
「は、はいヌ」
わたし、鶏みたいに鳎きたした。それを芋お、ミケ、垃斜を蔑む様に芋たした。䜕その目倱瀌しちゃう。
ミケず䞀緒に、二階堂さんち、っおかアトリ゚わたしたち入っおしたいたした。緊匵。あ、そうそう。そうだそうだ。二階堂さんち、壁にあちこち写真が貌られおたす。改めおここに来お、思い出したした。そうそう、そうだった。恭子さんち、こうなんだ。もちろん、党郚恭子さんの写真です。
歩いおるだけで䞍思議なひず時。䟋えるなら、写真展に入ったみたいな気分なんだけど、それがヒトサマのお宅なんです。䜕だかアヌトざたすこず。あ、そうそう䞀床蚀っおみた、勇気出しお、垃斜理恵子。でもナヌキっおか、ただ思った事ポンず口から萜ちただけだった。ダハハ。
「䜕だかアヌトねヌ」
するずこう返っお来た。
「アヌトなんお蚀わないで。わたしのは蚘録」
アヌトず蚘録、どう違うんだか刀りられない。それ以䞊蚊いたら殺されそうだからやめたした。はい、です。
ある䞀葉の写真に目が止たりたした。ワンちゃん。うん。ワンちゃん。モノクロでした、はい。あヌ、わたしもワンちゃん飌いたいなヌ。そしお溜め息を吐くず、ミケ、ある写真の前で止たっおたした。どれどれヌ理恵子にも芋せおヌ
ミケの頭の暪から顔を出しお芋おみたした。
田舎の颚景。
ワヌ、行っおみたヌい。ねミケ。行っおみたいねヌ。わたし、りフフっお笑いたした。ミケ、無芖です。ガン無芖。でも慶子の衚情をよく芋るず、垃斜がりザくお無芖しおたんじゃなくっお、䜕か写真をスヌッお芳おるっお感じでした。うヌむ、やっぱりアヌトじゃないかな、恭子さんの。
12/24
ミケずわたし、しばらく写真を芳おたした。ミケ、モドっお来たした、ダベっお衚情やヌい、ザマみろ。恭子さんのいる郚屋に向かおう向かおう。でもたた次の写真に足を止める垃斜ず䞉田。今床のは䜕か森。はっきり蚀っお、原生林぀ヌんですか䜕か、きったねヌ森でも䞍思議。䜕か、森かぁ。䜕か行っおみおヌな。うん、森。森なんか行っおなヌい、ここんずこ、ねヌ、ミケ。ミケも森の写真で止たっおたす。䞍思議ね、恭子さんの写真。ねミケ。するず、このダロヌ、ミケの肩から頭出すわたしの頭を手で払いたした。䜕だよヌこのニャンコろめんでも、そうそう、わたし、昚倜倜の竹林ん䞭圷埚っおたんだわっもう芳たくねヌやだやだ次の写真、次の写真あヌ、今床は工堎だヌピカピカ、ガビガビガチャンコガチャンコ音が聎こえるヌ。垃斜の頭ん䞭だけですかれヌッタむ違うこれは恭子さんの写真力の為せる技です。そヌ絶察そヌ
「あんたたちさ、䜕しに来た蚳」
黒いセヌタヌ来た恭子さんが腕組んでこっち芋おたす。恭子さんの方向いおフリヌズする垃斜ず䞉田。ホント間抜けですね。口開けたたんたフリヌズです。
「あごめんなさい」
モドっお来たミケが蚀いたした。ダベッわたしもわたしも
「ご、ごめんなさい恭子さんねミケ早く行かなきゃ」
早く行かなきゃ、なんお蚀わなきゃ良かった。ミケにンゲヌ睚たれたした。ごめヌん、ミケ。でも恭子さんに怒られおわたしもパニックだったのでも垃斜、ミケ远い越しお恭子さんちのお茶する郚屋に転がり蟌みたした。゚ヘ、偉いぞ
恭子さん、ハァヌず溜め息吐きたした。そしおながヌいながヌい髪の毛をたくし䞊げたした。ミケ、肩窄めおわたしの埌から入りたした。䜕かミケ、申し蚳なさそう。ごめんな、ミケ。党郚垃斜がいけないんだ。よヌし、これ以䞊ミケに恥かかせねヌゟヌうん
「き、恭子さんこれ」
玙袋を胞の前に出した垃斜理恵子。うんでも顔はきっずだらしなかった。だっおこれでこれ以䞊远及されんのをかわそうっ぀ヌ魂胆だったのだ。だけど、ここ
二階堂恭子、玙袋に䞀瞥
皲光の様に
そしお口元、右䞊に3ミリぐらい䞊がった
柚子屋、偉いわ柚子屋そうなんですねヌ、はい。恭子さんの倧奜きなもの、はヌい、柚子屋のどら焌きでヌす買っお来たしたよヌねペカッタペカッタでもわたしが買ったんじゃねヌけど。その点はごめんしおねはい、どヌぞ恭子様
二階堂恭子、袋ず垃斜を亀互に数床芋お
最埌に目たでちゃんず笑うず
猫でも摘み䞊げる様に
取りたした
やったヌやったね、ミケ恭子さん、埡満悊ヌ流石ミケね偉い偉い偉いぞヌ頭ナデナデしおあげたい。でも頭撫でたら倚分噛み付かれる。だから銖暪に倒しお笑顔、したした。ミケ、わたしの笑顔はシカト、けどプレれント受け取っおくれた恭子さんの笑顔にホッず胞を撫で䞋ろした様子、したした。ペカッタペカッタペカッタね
「ハァヌアお茶飲む」
恭子さんの倧きな錻、そっから䞭䜎音のお誘いの埡蚀葉がむェヌむいっただきたヌすやったヌきっず恭子さん、わたしたちにもどら焌きくれるのねミケ
12/26
わヌい、お茶お茶ねヌ、もうこれが䞀番ねヌね、ミケ。あ、でも倧切な事は蚀わなきゃ。はいです、垃斜理恵子、やる時やりたす。でもたずお茶。緑の熱い飲み物からホワッず癜い気が立ち䞊がりたした。
「ハァヌア、あんたたちさ、いい加枛にしおくれる」
えいきなり䜕だかダバい。恭子さん、もしかしおご機嫌斜め
「い・い・いい加枛、ですか」
わたし、蚊きたした。ダベ、早く謝んねヌず
「わたしんち来おさ、いっ぀も写真芳お止たるの、マゞりザい」
ゲッお蚀わねヌぞ、螏み堪えた垃斜理恵子。
「ご・ご・ごめんなさいでも、恭子さんの写真、凄くないですかねヌ、ミケ」
ミケ、顔がドダ顔です、ドダ。珍しいです、はい。わたしず䞀緒に怒られるミケ。やヌい、悔しい
「ハァヌ、フセリ゚、そこもマゞりザい」
ダベッ、わたしもドダ顔
「そそそ、そ・そ・それは、ねヌミケダベッごめんなさヌい、恭子さヌん蚱しおマゞで謝りたす、ごめんなさいもう恭子さんち来お写真んずこで止たりたせん絶察ねミケ」
垃斜、ちょこんちょこん繰り返しお頭䞋げたした。やべヌよヌ、恭子さん怒らせたら誰が絵ヌ撮っおくれるのヌ⁈
「フヌッだからそこがマゞりザいっおフセリ゚もういいわ、もヌ」
あれ恭子さん、ニダリ。そしお玙袋を もしかしお
「䜕でも、たあ倧䜓ミケから聞いおるけど」
わヌい、やっぱどら焌き出しおくれた恭子さん、だヌい奜きわたし、速攻で手ぇ䌞ばしたらミケに手ぇ匕っ叩かれたむテッ䜕すんだ、このヌ
「恭子さん、今日はちょっずマゞなんです、りチら。おい」
ミケ、わたしに促す。そヌうそうそうそうですねヌミケうヌんよヌし
「恭子さん、今床わたしたち、『かぐや姫』の映画、䜜る事に決たりたした。そこで、今回も、はい撮圱を恭子さんにお願いしたくっお、はい、お願いしに参りたしたお・お・お願いしたヌす」
わたし、たた頭䞋げたした。そしお少し遅れおミケも。どうかなぁ 
「たあ、これっおお䜓裁でも、うん。ハァヌ、建前は建前。正盎ね、今回わたし、迷ったの」
ゲッっお蚀わねヌぞでも、ダバいあんた乗り気じゃない二階堂恭子⁈
12/28
「た・た・迷った」
ダバい、これはダバいミケもパニックっおる頌りの綱のミケが
「ふふふ、うん。迷った。ショヌゞキ」
お茶飲む二階堂恭子。キマッおるぅカッコいい
「し・し・ショヌゞキ、ですか」
ミケ、本気でパニック起こしおる。それに察しお、少し冷静な垃斜。そっか、恭子さん駄目なら、次考えねヌず、なんお思っおたしたです、ショヌゞキ。
「実はね、わたし個展の話があったの」
こ・こおヌん⁉
ミケずわたし、びっくらしお声揃っおたしたダバいですえヌ恭子さんの個展、マゞ芳に行きおヌですはい
「すごヌい恭子さんい぀やるのヌ⁉」
わたし、胞元で小さく拍手しお蚀いたした。そんなわたしの蚀っおる事ガン無芖でミケが。
「じ・じゃあ撮圱は無理めですか」
詰め寄る様に蚀う、䞉田慶子。あヌ、そヌだったじゃあ『かぐや姫』の撮圱はどヌすんのね、ミケ。どヌすんのよヌ。

アヌッハッハッハ
アトリ゚兌恭子さんちに家䞻の高笑いが響きたした。ダバい、この高笑い怎サマずはたた違うんだよなぁ、もヌ。声䜎くお、䜕か怖いよヌ、笑い声
「個展の話ずほが同時、ミケからの電話」
ミケの目にお星様が飛び出たしたはヌい、マゞで出おたした出おたよヌ、ミケわたしは芋逃さなかったもん。
「うん、だから蹎っちゃった」
どっちをですか⁉
たた2人同時に。䜕かおかしなデコボココンビだなぁ、もう。
「うん、個展の方。だ・か・ら、オッケヌよ。『かぐや姫』」
恭子さん、その高い錻の䞊に指で茪っか䜜りたした。マゞ、あぶねヌ
「ホォりッ」
ミケ、聞こえるぐらいに倧きく安堵の溜息吐きたした。ペカッタね、ミケ
「恭子さん、マゞ心臓に悪過ぎ」
ミケ、ただ顔青かった。本圓に青かった。この自信ずプラむドの高嶺の心を持った、このオシャマな猫がでも逆にこい぀をここたで揺さぶる恭子さんがマゞツワモノです恭子さんには流石の䞉田慶子も叶わない、はい、そうですそうなんですだからわたし達、おっかなびっくりしお、ビクビクしお、ここたでの道のりを歩いお来たんです、はい
アヌッハッハッハ
ほら、たた高笑いが乱反響した。恭子さん、からかっおるのりチらの事でもからかわれおるからっお䜕にも蚀い返す床胞なんかこれっぜっちも心ん䞭に湧きたせん。だから、垃斜の十八番、恭子さんず䞀緒に远埓倧笑い。ねヌミケアッハッハペカッタねねヌ恭子さんも人が悪いわよねヌミケ、珍しくわたしに釣られお远埓笑い。顔がンゲヌ匕き攣っおる。ダバいなぁ。よし、ここはわたしが螏ん匵らないず。えヌず、䜕蚀おうあ恭子さん柚子屋のどら焌き手に取っおパクッず。そしおニダリ。き・き・キョヌレツ。この勝ち誇った笑顔、はい。
12/29
「で、でも、恭子さん。本圓に個展のお話はいいの」
わたしもどら焌きに手ぇ䌞ばしたした。そんでい぀もの様に䜕も埌先考えず思った事ポロッず蚀いたした。今床はミケはわたしの手ぇ匕っ叩きたせんでした。おか、その顔が泡食っおる、フセリ゚䜕蚀っおんだず恭子さんのそこんずこの思い聞きおヌっおのが混ざっおる、はい。いいや、ほっずこう。
「あ、いいいい」
りフフ、ず。どら焌き口ん䞭でモゎモゎしながら、䜙裕綜々で手を振る二階堂恭子。䜕だろこの䜙裕。もっず深掘りしたろ。
「えヌ⁈いいんですかヌわたし達的にはヌ、すっごいダバめな方向なんですけどヌ、あ、もし恭子さんが個展のお話取ったらです、はい。けどヌ、恭子さん的にヌ、勿䜓なくないですか」
これ、本圓にそう思いたした。わたし達ず仕事するより恭子さんのキャリア的に䞊めじゃないわたしだったら わたしが恭子さんだったら 断るかも。わたし、䞊の質問しながらミケの顔もチラチラ芋おたした。その時、ずおも小さく盎感したした。あミケもきっずわたしず同じ事思っおるっお
りフフ
䜕だ、この䞍敵な笑い䜕恭子さんの本音はドキドキしたした
「逆。逆だっお。フセリ゚」
ぎ、ぎゃくぅ䜕が䞀䜓、恭子さんの心ん䞭に枊巻いおんの
「ぎ、逆なんですか」
逆っお、元の方向はどっち向いおんだっけ完党にパニックっおたした。
「そ。色んな意味でね」
い、色んな意味ヌ十二色の色鉛筆の猶ケヌス開けたみたいな気が。恭子さんが䜕色の鉛筆遞ぶかなんお刀りたす
「い、色んな意味ですかヌ䜕色の意味なのかヌ、恭子さん的にヌ、蚀っおもダむゞョヌブだったらヌ、わたし達にヌ、教えお頂けたらヌ、ずっおも嬉しいなっおヌ。ね、ミケ」
っおミケに振る、ず。逃げ道䜜らなきゃ、ゎメン、ミケっお思い、蚀ったそのすぐ。
「䜕色っお、あなた、今床は『かぐや姫』なんでしょうだったら緑色じゃないあ、そうそう。やっぱり今床も音楜はシヌコ」
やった恭子さんに察しお䜕喋ったらいいんだか、しんどろもんどろしおるよっか、恭子さんのク゚スチョンに乗った方がいいのだ。
「そうそうなんですよヌ怎サマ、オッケヌっお。ねミケ」
わたし、銖をカタンず右暪に倒しお笑顔。ペカッタヌ怎サマに音楜頌んで。怎サマの話に話題が行けば、厳しい远及かわせるのだった、はい。
「どうせミケが頌んだんでしよう」
恭子さん、ハッず捚おる様に蚀った。そうでヌす、はい、ガックン。右に傟けた頭を真䞋に角床倉えたした。
「シヌコ、元気しばらく䌚っおないな」
りフフ、ず恭子さん。これはもしかしお、いえ絶察怎サマず恭子さんが䌚えるセッティングしなきゃねミケあヌ、たた仕事増えたヌ。
12/30
「シヌコもどうせ同じ口でしょう」
だから蚀う事に霧がかっおるんだっおもっず垃斜にも刀る様に話をしおミケは刀るだろヌけど。チラッずミケ芋る。ミケ、目が玠早くあちこち動いおる。これはこの子がちょっ早で頭を働かせおいる時なのです。これはこれで、はい、わたしに逃げ道がなくなったっお事。もう䜕話振ったっおミケからお助け入らねヌのよ、むヌ。
「えっそれっおどんな口の事なんですかヌ」
だっおこう聞くしかないじゃん。他に蚊き方あるんだろヌけど、垃斜理恵子には無理なのでした。
「決たっおるじゃない。こヌんな口」
恭子さん、倧口開ける。
ホホホホホ
埮劙な笑いの垃斜理恵子。しかしその笑い声の䞭に、䞉田慶子の声は聞こえたせんでした。ずいうのは、この子さっきからずっず考えおる怖い䜕でそんなに怖い顔しおるの、ミケ恭子さんの前なのよもっずニコニコしなきゃね
「おか、くだらない。フセリ゚さ、感性メむンで行くのはあなたの勝手だけど、笑えない事振られお答える方の身にもなっお䞋さいな。あのね、芁するに、あなた達の持っお来た話っおのは、個展にも勝るものがあるっお事。ハヌ、䜕か蚀葉解きほぐすの疲れる」
もう䜕か蚀うの止めた方がいい。アンテナビリビリ。空気もピリピリ。ミケは静電気でパチパチ。蚀葉を眮いお続ける二階堂恭子。
「埌なヌ、これは蚀うの恥ずかしいげになるけど、た、いヌかヌ。あなた、意倖ず䟡倀高いのよ」
「ゲッ」
すみたせんでした、恭子さん぀い出ちゃった
「たた出たヌ、もう。た、いヌかヌ。ねあなたあんたりそういう颚に自分を捉えないから。そう 」
髪を手で前から埌ろに梳く二階堂恭子さん。か、カッコいい。そう䞀蚀眮いお続ける、ず。
「今床、『かぐや姫』間違っおないよねわたし」

それはもう‌
フセミケ同時に叫びたした。
「うん。個展はキャリアのアップ。あなたずの仕事はわたし自身のスキル・アップ。それで 」
アトリ゚内の窓を芋遣る二階堂恭子。䜕かもう、恭子さん撮ったらそれだけで映画になるな、こりゃもう。
「わたしの思い圓たらない別の䞖界に行くチャンスをくれるから、あなた。ね、ミケ」
ミケ、金瞛り状態ですしっかりミケあ、でもわたしの専売特蚱取られた。ねミケっお。嗚呌、同じセリフでもわたしが蚀うず䜕かマヌケ。恭子さんが蚀うず、クヌルこの差っお䜕倩の䞊からこの光景芋おいらっしゃるであろうブルトン様教えおえ芋おないじゃ、仕方ないっか。ダハハ。
12/31
「だから、ある意味利害関係もあるのよ。個展、うヌん、やっおも良かったな。でも、タむミングが悪かったわね。ベルリンっお行った事ないから興味もあるけど」

アヌッハッハッハ‌
ベ・ベルリンですかヌ⁉
恭子さんのゎヌカむな高笑いず逆方向でフセミケの叫びがスッゲヌおか、セ・セ・セレブヌ⁉信じられないわたしが恭子さんだったらこんなタケノコのお姫様の電気玙芝居䜜るより、絶察ベルリンで個展開く絶察、絶察、れヌッタむ
「゜・゜・゜・゜・゜・そんなの断っちゃっお倧䞈倫めなんですかヌ⁉」
もう怖いも䜕もありたせん思った蚀葉ず思い付いた心ず垃斜の口がショヌトしおたした。
「もういいよ。断っちゃったから。アハハハ」
どら焌きもう䞀個取る、二階堂恭子。ミケ、ダバくないどら焌きもっず買っお来よっか
「だからさ、ねヌ、あんた達。仕事の話しようよ。ね」
お茶のポットを持ずうずする恭子さんの動きを察しお、りチのミケが先にポット持っお恭子さんのお茶を足す。偉い偉いよヌ、ミケわたし、だっお口が喋っおもないのにパクパク、そしおカタカタ。倧倉だヌ
「き、恭子さんがもうその気でしたならば、お、恐れオヌむヌ事です信じられないねミケお、お仕事の話っお、実はただ始たったばかりではい、ですゎメンなさヌい」
完党パニック状態です、フセミケ
「始たったばかりも䜕もないでしょうたどろっこしいね、あなた達。決たっおる事から話せばいいじゃない」
りフフ、ず笑いながらクヌルに切る
「き・き・決たっおるそ・そヌですねヌ えっずヌ、䞻挔の女優さんはヌ、束浪久矎ちゃんでヌす」
どこのお笑い芞人さんなんだろうわたし、䜕か、無意識に䞇歳しお久矎ちゃんの名前を蚀っおたした。
「久矎ちゃん束浪やだ、じゃあもう『フルヌト』の延長じゃない䜕か同窓䌚みたい」
ニダリっお口の圢が䞉日月みたいでした。怖ヌい
「ふヌん、久矎ちゃん、シヌコ、それでわたしか たあ、シヌコずわたしは殆どあなた達ず仕事しおるからいいけど、久矎ちゃんはもうホント久しぶりかも」
お茶腕䞊げる二階堂恭子。その目がキラッず茝いおたした。仕事モヌドです、はい、写真家二階堂恭子
「『かぐや姫』で撮るロケ地なんかはでも、どうせただ決たっおないんでしょう撮圱はい぀からでも、それもあなた達の顔みお倧䜓刀るな。フセリ゚さ、なるべく早く台本ねシヌンの構想なんか早く緎りたいし。でもさ、かぐや姫っお蚀ったら竹林でしょううヌん、幟぀かピックアップしずこうか、わたし。埌は、うヌん、たず䜕はずもあれ台本だけど、セットだっお幟぀も䜜るでしょう䌚瀟ずの話は倧䞈倫あ、でもそれはミケがいるか ねぇ、ミケ。倧䜓皆んない぀もの顔なんでしょうそこは䜙り口出さない぀もりだけど、ちゃんずした絵ぇ撮りたいからね」
「゜・゜゜゜それは、はい倧䜓その通りです」
ミケ、即答
「セットに付いおの構想はおか、ただ本がただか。わたしがハシっおも仕方ないっか。ねぇ、フセリ゚。い぀本が出来るの」
「゜・゜゜゜それはもうすぐにでもですはい」
ダバい蚀っちゃったもっずダラダラしたかったのに
「お願い。早く䜜っお。ミケにもお願いよ。早く本䜜っお。マゞで」
は、はヌい‌
果たしお本圓に倧䞈倫なのかフセミケ

2014 1/3

恭子さんずのお話は倧分続いたんですが、もうフセミケの方で降参状態でしたので、恭子さんずその埌どんな話したか芚えおおりりたせん。ミケなんか、もう目のお星様がギュンギュンクルクル、F-1の呚回状態めでありりたしたし。わたくしこずフセリ゚は、そヌねヌそヌねヌ、ねねを繰りり返すのみで、ダッベヌ早く本曞かなききゃっお䞀文が、どこかの曞道家が曞いた字みたいにノヌリに映っおたししたです、はい
はい
垃斜ずミケ、恭子さんちを出たした埌、すぐに垃斜んちに向かい本の䜜り䞊げを開始したした
「早く本曞かなきゃ、恭子さんに殺される」
「殺されゃあしないけど、うんマゞでもう䜜んなきゃ」
フセミケ、マゞになりたした、こうしおでも考えおみっず、恭子さんにマゞ感謝。結局こヌいうのっおダラダラ行っちゃう。わたしがだらしないっお事もあるんだけど。けど、䜕かこれ、ダラダラしちゃうモノなのです。たあ、わたしには慶子っおずおも良いスタッフ兌お友達がいるから助かっおるんですけど、それでも怠惰の柱みはし぀こく足を取りたす。
「台本、ただ」
恭子さんの目の光
これがあるだけでそうした障害、䜕かニンゲンの本性めいたサボり魔を撥ね付けられそうです
「でも、恭子さん、個展のお話、勿䜓なくね」
わたし、ポツッず。
「理恵子ダメ今それ考えちゃ」
パ゜コンに䜕か打ちたくり続けおたミケが蚀いたした。
「ハッそヌねそヌよねうんそうそう」
ええず、ええず
わたしもパ゜コン手前に眮いおたしたが、さっきミケに蚀われたした。
「理恵子はもう頭ずにかく働かせお曞き取りわたしやっから」
「はいヌ」
もう真剣なんです、慶子が
導入は
どこを山堎にするか
竹取の翁の登堎は
セットで行くか
ロケ地で䜜るか
登堎人物は党員で䜕人
恋の鞘圓おの堎面は
垝の圹は誰にするか
「急いでフセリ゚」
「は、はいヌ」
䞀生懞呜わたしずミケでF-1の銖䜍争いしおるみたいでも でも、たた恭子さんの蚀葉を思い出しちゃった。
「補䜜方の皆んなずも早く話したいな」
恭子さん。
「はいでも、倧䜓前の『アップルパむず圌氏』の時ず同じですその蟺り、はい高間さんず話進めおたす」
ミケ。
「あ、そう。タカマヌりフフ、ひっさしぶりヌ。タカマヌさん、元気」
「はい元気です」
アハハハ で、この映画の監督、誰なんだろ

「理恵子ダメダメモドっお来おそれは埌」
「は、はいヌ」
いけねいけね。頭働かせるずペケヌな事たで考えちゃうな。そろそろキュヌケヌしおヌな、ねぇ、ミケ。おや぀食べねっお蚀い掛けお、あ、あぶねヌそれ即飲み蟌みたした
「そうそう、恭子さんにもだけど䌚瀟にも持っおかなきゃダッバいな、わたしずした事が怠けおた」
慶子、独り蚀だけどンゲヌ聞こえるんですけど。だ、ダむゞョヌブだよヌ、ねっお蚀い掛け、たた飲み蟌み、ず。そうそう頭を高速回転させろ、垃斜理恵子あ、でもヌ、軜尟さん。軜尟さんの顔、ポワンず出お来た。
「ミケヌ、そう蚀えばヌ、軜尟さん 」
「えっ䜕軜尟さん軜尟さんの話なんか、今 っお、えっ」
「軜尟さんずもお話しないず」
「えっでもフセリ゚自分で話したでしょわたしもこないだお話したし。うヌん、けど、そっかヌ」
ミケ、パ゜コンから手ぇ離しお右手で口を芆いたした。
「埅っおおわたし電話しおくっから理恵子いいおや぀は駄目だかんなあん。ペロシク」
ミケ、ダメ出し䞉連発
「は、はいヌ了解したしたヌ」
垃斜、䞡手を膝に眮いおキンチョヌしお埅ちたした。

『アヌ・ノワヌル』行きおヌな

ダメダメ今はダメ我慢しなさい
クリヌム䞀杯のっおるのが良いな、わたし
ダメダメこれは煩悩ですはい今のわたしはボンノヌず戊わなきゃ
クリヌムか そういえば、倢の䞭に出お来たかぐちゃんず゜フトクリヌム䞀緒に食べたっけ。
゜フトクリヌム
恐怖の゜フトクリヌム
恭子はどら焌き
あの゜フトクリヌム食べたらバヌサンになったんだわ、わたし。
そしおピンク色の竹
これ映画に出せないかなぁ
おかしヌよなヌ、ピンク色の竹出お来たら。
お話では、金色の竹の節に赀ちゃんが入っおいたのよねぇ。
入っおいたのよねぇ
ねぇ、かぐちゃん。あなた䜕でそんなトコに入っおたんですか
倢の䞭で䞡手で觊れたかぐや姫の頬の感觊。
理恵子にだけ教えおねぇ、ダメ

わたし、雑念を振り払おうず慶子のパ゜コン芋んのに、立ちたした。ちょっず冷蔵庫目に入りたしたが、無芖頑匵っお無芖むェむザマみろ
でもミケのパ゜コンのパネル芋たら、あら䞍思議。かぐちゃんが映っおたした。

䜕コレ
もう限界か垃斜理恵子
ハヌむ
かぐちゃん、手ぇ振りたした。
「ハ、ハヌむ」
垃斜も手ぇ振りたした。䜕だコレむンタヌネットっおあっちの䞖界ずも繋がっおんですかだずしたら、カガクの進歩っおマゞダバくないですか
するず、䞋のカヌ゜ル。䜕か動いおる。䜕だ䜕だ䜕かメッセヌゞが出そうダッバねヌ、ミケヌこのコンピュヌタヌ、マゞダバいんですけどヌ

スレッドに文字が
䜕コレ、かなりホラヌな展開なんですけど。おっかしヌなヌ、倢からは目芚めおる筈、うん。そヌだ、あい぀呌がう。ほっぺツマミのキツネ君。ねヌちょっず理恵子のほっぺ぀ねっおい、むテテダむゞョヌブだ、倢じゃない。けど、倢じゃない方がダバくない
『ありがたし、理恵子殿』
䜕だ䜕だ字がそう曞かれおあるんです。ありがずうっお、䜕かしたっけそ、そうだわたしも打ずうそうそうそヌよねヌええっず 
『いいえ』
次は䜕が来んの
『埡金持ちの方の事、よくぞ埡気付きたもうた』
ゲッあれやったヌ今りルサむ䞉毛猫がいないんで、ゲッお気持ち良く蚀えたした。ゲッでも䜕で知っおんのこの事。どっかから垃斜達の事、芋おる っお聞いおみよう、うん。
『あなたはわたし達の事を䜕でも知っおいるんですか』
ちょっず違った。けど、いいや。
『あのお金持ちの方だけがわらわをあそこに入れられるのじゃ』
はいそんな話でしたそんな物語でしただっお軜尟さんは竹取物語に出お来ねヌもん。えヌわっかんなヌいそもそも軜尟さんはその時代に生きおねヌし。
『どうしお』
 䜕かサスペンスドラマの刑事圹になったみたい甚心深く蚊かなければ犯人は䜕を隠しおいるのかしら
『そなたず逢った竹林、そしお桃の竹、それは必ず映し撮りたもう。かぐやの願いず心埗たもれ』
ゲッんなの無理だっおピンク色の竹なんお物語に出お来ねヌもんっお、あれバむバむえもう終わりちょっず埅っおよヌ
かぐちゃん、パッず消えちゃった消えたず同時にミケが垰っお来た。バタンっおドアが閉たった。パッずバタンがほが同時でした。ミケが郚屋に垰っお来たのでそっちを芋お、たたパ゜コンに目を戻すず、はい
かぐやひめ
そのう぀しみ
けむずきえ
たした。䞍思議タむミングよくないおか、ミケが垰っお来るタむミングで消えたんでしょうそう、そうなんだ、いっ぀もわたしの前にだけ珟れる、この女の子。ハァヌ、わたしノむロヌれなのかな、マゞで。えなのかな、どころじゃないそうかも。ノむロヌれのど真ん䞭。空想っおいう板前に捌かれる。捌かれお、お刺身にされおしたう。そのお刺身は皆んなが食べる。オむシヌ垃斜の掻け䜜り。矎味い蚳ねヌ。そこで螏み止たっお、頑匵るのだ映画制䜜、甘くないぞうコンコン、぀たみ狐の銖回りをミケから芋えない角床で撫でおあげたした。
「理恵子軜尟さんずお話したから軜尟さんの埡予定、もう明日ダむゞョヌブだっおっから、明日行こヌもヌ、䜙裕かたしおらんねヌうん」
「えっえっそ、そヌねヌそうそうケヌコの蚀う通りうん明日、行きたすですはい」
もうこの子の運転するレヌシング・カヌに乗るしかないのだわええ、そうよ䜕をモタモタする、垃斜理恵子もっず飛ばすのよそう行け行け、フセミケけど、さっきのかぐちゃんの話、した方がいっかなぁ。迷いヌ。
「恭子さん、でもラストのオペラの話、盞圓ノッおたね」
ミケ、パ゜コンにたた頭突っ蟌む様にカタカタ始めたした。えダベヌ、芚えおねヌ。
「そ、そヌねヌ。゚ヘ、グッド・アむディアだったんですねヌ、わたし」
゚ヘヘ、偉いぞ、理恵子。皆んなが喜ぶアむディア、良くあのふん詰たりで出せたした。ねツマミ狐の銖をたたゎシゎシ。
「グッド・アむディアにはちげヌねヌけど、再珟すんの、倧倉だヌねぇ、理恵子。やっぱコレ怎サマに党郚投げちゃうお前の力じゃ、逆立ちしたっお無理だもん、これ」
「む、無理ですかヌ」
䜕蚀っおんのヌミケこのヌ
「無理っお䜕ヌ、それケヌコ、それすんごい癪なんですけど」
「癪も䜕もねヌ。お前が䜕にも考えねヌで蚀ったっお事ぐらいわかっおっから」
ミケ、カタカタカタを止めずに、そしおわたしの顔を芋ずに蚀った。
「か、考えおるよヌ䜕蚀っおんのヌ、ミケ。わたしだっおねヌ」
「わたしも䜕もねヌ。んで、お前の考える速床に合わせおたら、恭子さんに殺される」
「ゲッ」
「だから、お前、運がいいよな。怎サマ自ら提案しお来おくれるなんお。流石のアタシもオペラに関しおはれロの無知にちけヌ。ただでさえお前のお守りに四苊八苊しおんのに、これからオペラなんおベンキョヌしおるヒマなんかねヌ」
そのカタカタ音、ずっおも嫌なんですけど。んで、ひっどくありたせんもヌ
「䜕かミケ、嫌な感じヌ」
ブヌ、ちょっずおや぀にしよヌよヌ。もう。
「だから運がいいっおの、理恵子は。怎サマの音楜の知識ずやる気これやっぱ音楜家の人にずっおオペラっお特別なのよ怎サマず話しおるうちに、ゞョヌネツず意欲が日々燃え䞊がっおんのお前、怎サマず電話しおねヌだろ」
「えっえっっおいうかヌ、わたしも怎サマずお話したいんだけどヌ」
「いいよ、しなくお。お前はもう頭ん䞭のかぐや姫ずだけオハナシしおればいいの」
プッツンっお音したしたよヌはヌいわたしの頭ん䞭でっおなヌにヌミケそれっおあんたりじゃない䜕それヌわたしだっおねヌ
「ミケ䜕それヌわたしだっおねヌ」
「わたしだっおもねヌいい、理恵子。怎サマ、恭子さん、高間さん、もう皆んな動き出しおんの䞀番遅れおんのはりチらなのんで、りチらのやらなきゃいけない事は、そうよ本をずっずず䜜り䞊げる事ただ台本出来䞊がっおねヌっおンゲヌ恥ずかしいず思いたせん」
「は、恥ずかしいでヌす」
わたし小さくお手䞊げのポヌズ取りたした。ごめん、ミケ。ミケ、䞀生懞呜なのね。蚀葉はずおも乱暎だけど、それはわたしがむラむラさせおんのね。ホント、ごめんなさい。
「いい理恵子。あんたがこれだけの人達集められんのはね、その頭ん䞭なの。んで、あなたの心なの。あなたの蚀葉なの。あなたの頭ん䞭の映像が、あなたの心ん䞭の空気が、あなたの遞ぶ蚀葉が、皆んなの心を動かしおんの。急げヌ、理恵子ね」
マゞミケ、ンゲヌこえヌけど、わたしの事買い被り過ぎじゃないわたしはだっお単なる 
「あ、ピンク色の竹」
わたし、䜕蚀っおんだろ党然思っおもない事が口から挏れたした。ダベヌ、これもノむロヌれが原因かミケ、手を止めたした。やばい、ずうずうかもう病院行きいえいえいえ病院そんなトコ行っおられたせんです皆んなず䞀緒に頑匵るのだでも䜕でこんな事、今、呟いちゃったんだろ。
「今、䜕蚀ったの」
ミケ、お目目がたん䞞。ダバい、どうにか蚀い逃れしなきゃ
「ねぇミケわたしね倢倢芋たっお」
ミケ、今床は目が点いいや、知らねヌ、もう。
「ねぇミケ最初の導入、あるじゃん最初はね、竹取りのお爺さん。そしおお婆さん。ねお爺さんはね、竹现工の超すげヌ職人なの」
「 」
「だから高貎な人達にね、ケンゞョヌする竹现工䜜っおる人なのでねんで、その竹も自分で育おおんの」
「 」
あ、ミケの顔。そうなんだ、わたし、滅倚にねヌけど、マゞで喋っおっ時、皆んなこの顔する。皆んな、んでちょっず穏やかに埮笑むんです。理由なんか知らねヌのです。
「ねぇミケそれでね、倢芋たのわたし、お爺さんの竹林ん䞭倜圷埚っおんのんでね、わたし、かぐちゃんず逢った 小さい女の子のかぐちゃん。んでね、二人で゜フトクリヌム食べんだけど、そう、そのわたし達が出逢った堎所に、ピンク色の竹があったの䜕コレ䜕かの目印だったんですか赀ちゃんのかぐちゃんが入っおたのは金の節の竹ん䞭ですけどヌ、ねぇ、ミケピンク色の竹、出すっお無理めですかヌ」
わたし、䜕蚀っおんだか刀らなかった。でも、心ず思いに正盎な事蚀った。
「理恵子、じゃあ゜レ、やっおみよヌ。うん」
ミケ、満面の笑顔えヌりッ゜ヌ䜕で怒られなかったんだろ
「でもミケ、ピンク色の竹なんお、お話に出お来ないよヌ」
するずミケ、もっず笑顔になりたした。
「あん、いい、いい。あん。ピンクの竹、出そう出そう。あん。埌はわたしが䜕ずかする」
そんでミケ、パ゜コンにカタカタカタ こんなんでいいんですか
「でもミケ、お爺さんがピンク色の竹芋぀けんのやっぱりオカシヌよう」
わたしがこう蚀ったけど顔䞊げずにミケが。
「いい、いい。んなの。ピンクの竹の䞀節を金色にしよヌ。うん」
カタカタカタ 
「慶子」
わたし、ンゲヌ心配になっお来た。こんなの出鱈目だよヌ。
「理恵子新しいモン提瀺しなきゃ今の時代にないモン出さなきゃんで、今たでの『かぐや姫』にないモンを芋せなきゃりチらの『かぐや姫』はピンクの竹の䞭から出お来んのいいじゃん」
「は・はいヌ刀りたしたですヌ」
こんなんでマゞいいのかでももういいや。ミケ説埗すんのめんどくせヌ、もう。
「理恵子、かぐや姫に逢った倢、どんなんで終わったの」
ミケ、方頬杖぀いおあらぬ方を芋たした。空想しおんのね。えヌそう どうだったっけ。あそうだ
「ゆ、倢はねそう最埌にわたしがお婆さんになっちゃうの」
ミケ、目が星圢。目の黒いずこ。そしお䜕も蚀いたせん。
「んでね、わたしの事、遠くから撮圱しおる人がいたの」
ミケ、倢䞭ぐいっず䞊半身がわたしに近づきたした
「それがねブルトン様だったの」
「ブルトンブルトンっお、あの」
ミケの顔、䜕かマン・レむの写真みたいになった。あヌこの顔、恭子さん撮ったら玠敵恭子さん、ここにいたらなぁ。
「そうアンドレ・ブルトン様だったのダバくないですかブルトン様がもし『かぐや姫』撮ったら、どんなに玠敵な映画になるかなぁね、ミケきっずわたし達が撮るよりもっず玠敵ね」
「ち、違うっお理恵子あんた、思い過ごしが急行列車になっおるやっぱお前の頭ん䞭は凄いっお、マゞそれそれよヌ理恵子ブルトンが『竹取物語』撮ったら っおコンセプトで行こう」
ミケ、カタカタカタ 
「で、でもヌ、䞉田さヌん。ブルトン様が『竹取物語』マゞで撮ったら、意味刀んないモン䜜りそうじゃありたせんそれっおマズめじゃありたせんか」
ミケのマゞがちょっずコワかったんで、垃斜にしおは冷静な事蚀っおみたした。
「あんあに蚀っおんのボヌケンしなきゃ぀たんないじゃん」
カタカタカタ 䜕かダバくありたせんずっおもダバい方向にミケが急行列車状態。おか、急行列車なのはオメヌじゃねヌかよう
「が・が・がボヌケンですかヌそれ、ちょっずダバめじゃありたせん」
「うるせヌ。早く倢の続き話せ」
カタカタカタ もヌ、嫌キュヌケヌしよヌね蚀っおみよう。
「け、ケヌコさヌん。ちょっず䌑憩したせんねホホホ」
「あんあに甘ったれおんだ。あたし達にはもう䌑憩する時間なんおねヌ。ゞョヌキョヌ考えろ、ゞョヌキョヌ」
カタカタカタ ブヌ、もうわたし、䌑みたいのに。けど、ミケのカタカタカタ 䜕だろ䜕が出来䞊がっおんですか芋おみたいな。
「ねヌ、ミケ。どんだけ進んでんのわたしに芋せおヌ」
゚ヘヘ、芋おみたヌい
「あんうるせヌ。お前には埌で芋せおやっから。もヌ、惑わされねヌからな、わたし」
ゎクッ。鬌。鬌ですね、仕事の凄い本圓にわたしには勿䜓ないスタッフ、おかお友達。信じらんない。逆の方が良くないですかケヌコが監督でわたしが助監。あ、でもわたし、圹に立たねヌからすぐクビになっちゃうねおか フィヌンキュヌケヌしおヌよヌ
「ねヌ、理恵子。そんでどヌなったそこで終わり」
「えっ䜕がですか」
「倢だよ、倢。オメヌの芋た倢だ。早く話せ。けど、うん。段々圢らしくなっお来た。かぐや姫っおさ、始めの話から䞀気に最埌の昇倩たでしか殆ど蚘憶になさげじゃんか映画ずしおダマバ䜜んならさ、やっぱ五人の求婚者じゃね」
カタカタカタ た、たずい。䜕も考えおねヌ。五人の求婚者うヌんず えっず ああ、あったあった。あった気がしたす。はい思い出したしたでヌす。けど、嫌な予感。
「そヌね、ミケ。さっすがヌそうそう。そこよねヌ」
ホホホ、お湯沞ヌかそっず。
「逃げんな、理恵子。䜕も考えおねヌだろ。た、いヌや。ここはお客さん、匕っ匵んなきゃなヌ。綺麗な男の子達集めなきゃ高間さんだここ高間さんず早く話固めなきゃ」
カタカタカタ っお、ちょっず埅っおそこマゞダバい
「ちょ、ちょっずミケそれは埅っお」
「あん」
ミケの目、赀くお怖いよヌ。でもこれ、ここマゞでダバいんです
「あのヌ、綺麗な男の子達、ですかマゞで」
わたしの顔、匕き攣っおた事でしょう。そう、そヌなんです。わたし、むケメン、ンゲヌ苊手なんですいえ、男の人が嫌な蚳じゃなくっお。むケメンが苊手なんです、超だっお顔キレむな男の子に話し掛ける事出来たすわたし、無理めなんですけど。䞍可胜なんですキンチョヌしお党然䞊手くコミュニケ取れないんだよヌしかも五人五人もンヌなの揃えんのミケダメだよ、ダッバむよそれはナシにしよう。ねミケ
「そヌに決たっおんだろ」
ここは抵抗せよ、垃斜理恵子
「あ、あのさ、ミケ。ここね、わたしね。考えがあんだ」
フンっおハッタリかたしおみたした。恭子さんのマネ。はい、やっおみたした。
「あん考え」
ミケの顔。マゞで疑っおる。もヌ倧䜓、もうわたしのノヌミ゜の事なんかわたし自身以䞊にこの子のホヌが刀っおんだから蚀うのがマゞ、ツレヌようでもやるっきゃないやんなきゃ、むケメン地獄で絵ぇ撮んなきゃなんないそれは断じお回避ですはい
「わたし、ここ、ドリフみたいにしたいなぁっお。゚ヘヘ」
ちょっぎりベロ出したした。
「はあ⁉」
ミケの顔こい぀䜕ナメた事蚀っおんだっおっお顔。り゚、怖いよヌ。でも、むケメン地獄も嫌だよう。どヌしよ頑匵れる頑匵れる垃斜理恵子頑匵れはいですよヌし
「いかりやさんみたいな人、ブヌちゃんみたいな人、仲本さんみたいな人、カトちゃんみたいな人、んで最埌にケンちゃんみたいな人っお順番にトヌゞョヌしおね゚ヘヘ、お姫様にキュヌコンすんのんで、倱敗すんの面癜くない」
ミケ、わたしにガンくれおたんですが、あれちょっず考えたした。やった、ラッキヌ理恵子の眠にこの䞉毛猫匕っ掛かりたしたよヌよヌし
「ドリフ、かぁ」
ミケがたるでシャヌロック・ホヌムズみたい。じゃあ、わたしがワト゜ンダミダ、ワト゜ンさんのワの字にも圹に立たない助手でありたす、はい、自芚しおたすよヌ。でも慶子がンゲヌ考えおる。えっもしかしおグッド・アむディア
「そう、ドリフなの」
わたし、そっず蚀いたした。グルグル回っおたミケの目が䞀呚しお、最埌にわたしの目に焊点合わせたした。
「理恵子、考えおみっず、あんたこれシリアスで行きたいのそれずもコメディで行きたいの」
「ゲッ」
「やっぱ考えおねヌよなぁ。けど、あんたカテゎリヌ分割分割しお䜜んのも良くない。うん、良くない。面癜い所、笑えるずこ䜜ろうっお、たあ偶然だろヌけど、お前の魂胆は良いかも」
こ、コンタンだっおコンタンしっ぀瀌しちゃうもヌ䜕かわたしが悪い事䌁んでるみたいじゃんわたし、別に悪い事考えお蚀ったんじゃないよヌ
「でもさ、ケヌコヌ。『かぐや姫』なんだからさヌ、シリアスにすんのヌ、あんた良い方角めじゃなくありたせん」
慶子、考えおたす。うヌむ、っお唞り声聞こえそう。ここは黙っおた方がいいね、です。
「ここ、遠藀藀子だったなら、シリアスな『かぐや姫』で行けたな」
ミケの髪、モワヌッず浮きそう䜕かダバい劖気攟っおる
「で、でもヌ、ケヌコヌ。遠藀さんのお話はさ、無くなったんだからさ、ね」
䜜れ、笑顔を、垃斜理恵子。ミケの心を穏やかヌにするのじゃず、䜜り笑顔の裏腹、い぀ものわたしの曖昧な悩みが浮かびたした。久矎ちゃんじゃない、どうしおも久矎ちゃんじゃない。でも、もう止められない。皆んな、動き出しおるんだでも、やっぱり久矎ちゃんじゃない 
「理恵子さ、倢のお話さ、ブルトンが出お来たんでしょう遠藀藀子だったら、キマッたよ、これ。うん、絶察」
「えっぞヌでずが」
ダバいなぁ。䜕かダバいぞヌ
「久矎ちゃんの『かぐや姫』なら うん。五人の求婚者のトコ、ドリフでいいかも」
「ぞ、ぞヌでずね」
ダバい雰囲気モクモクだったけど、䜕か偶然りルトラCで着地した、みたい。ホヌヌヌ ペカッタヌ。
「うん。久矎ちゃんの『かぐや姫』なら、愛嬌出る。うん。そもそも、久矎ちゃんの『かぐや姫』なら老若男女にりケる。うん」
「そう、そヌねミケそうよ皆んなにりケるのよねヌロヌニャクナンニョにねヌうヌん流石ミケ」
ロヌニャクナンニョっお䜕じゃ蒟蒻みたいな蚀葉蚀いにくヌい蒟蒻の仲間めですかこ、蒟蒻かぐちゃんの時代にもあったのかなぁ、蒟蒻。それで五人の蒟蒻者が出お来るんでしょああヌ今気付いたやったヌ五人のむケメン蒟蒻者地獄を回避出来たのだ䜕だヌ、良かったじゃん、垃斜。ツむおるツむおる。
理恵子殿
出䌚いの顛末たで
蚀うおたもれ
ふずさっきのかぐちゃんの顔ずメッセがわたしのノヌリに浮かびたした。簡単に蚀っおくれるよなぁ、もヌ。慶子に物蚀うのっお倧倉なんだぞう。䜕か気に障っただけで、ミャヌッっお来るんだから、ミャヌッっおでも蚀わなきゃなぁ。ツラい、クスン。
「あ、あのう、䞉田さヌん」
恐々。でも悪倢の五人のむケメン地獄をアむディアで乗り切った、結構、匷気もない事もなさげ、である。り゜。やっぱこえヌもんはこえヌよう。
「あんドリフっぜい求婚者達か でも理恵子ヌ。ここむケメン達にドリフっぜくやっお貰ったら、いいんじゃね」
カタカタカタ 人の呌び掛け、党く聞いおたせんね、ミケ。んで ダバいちょっずちょっず䜕でシチュ゚ヌション、むケメン地獄に戻すのよヌ嫌だっおでも ここは䜜戊だよヌし。
「あのね、ミケ。わたしの芋た倢のね、最埌はね」
ピヌンず逆立ちたしたこの子の耳が
「あんんで、理恵子、倢ん䞭でどヌなったの」
わたしの足元でツマミ狐がハッハしおるコヌフンすんなわたし、今䞀生懞呜話そうずしおんだから
「゜フトクリヌムをね」
そこでギクッずした。その埌、わたしは慶子ずお別れをしたのだ。わたし、䜕か涙が出お来そうになりたした。
䜕で、慶子ずお別れしなきゃならないの
ねぇかぐちゃん
あなた䜕か知っおるんなら教えお
そしお倩囜のブルトン様䜕か知っおるんだったら、教えおくださらない
䜕も答えは返っお来たせん。圓たり前っかぁ。答えは自分で探しなさいっお事。うん。わたし、それ、スッゎくよく刀っおる぀もり。
「子䟛のかぐちゃんず䞀緒に食べたの。んでね、゜フトクリヌムを持っお来たのは ミケ」
ミケ、キョトン。あヌ、蚀っちゃったぁ。
「わたしも出おたんか、理恵子の倢に」
カタカタもやめたした、䞉田慶子。
「そうそうなの慶子も出お来たのよヌ」
んでも、わたし、はい、こんなわたしでも刀りたした、ミケずの悲しいお別れがあった事、これを蚀っおはならない事。だっお、これを蚀っおしたったら 䜕だか本圓のお別れみたいになっおしたわない嫌絶察嫌ですそんな事
ブルトン様あなたなんお酷い本を䜜るの
『倢の䜜甚に関しお結果ずはどうでもいいものだ』
かぐちゃんあなたは䜕か蚀う事ないのもう
『倢なんだから、あんたりドノコノ考えないの』
そうなんですかねヌ。うヌん。
「んで、理恵子の倢ん䞭のわたし、䜕か蚀っおた」
ミケ、興味接々。でもわたし、クヌルに。
「ううん、゜フクリヌムわたし達に持っお来お、どっか行っちゃった」
こうキメた。恭子さんばりに、です、はい。
「そう 」
ミケの声、䜕だか残念そう、けれど䜕か考えおそう。銖をゎロゎロ暪に振っお、たるで本圓に猫みたいでした。
それから、どれくらい時間が経ったか
二人殆ど䌑たず。ずっずミケのカタカタを聎き続け。わたしは䜕ずいうか、蚘憶蚘憶を掘り起こす様に話し続けおいたした。ミケはわたしのその倢蚘憶それを忍耐匷く聎き取りながら、それをずっず文曞にしたり、ちょっずした図の様な物を䜜ったり、を続けおいたした。
わたし、疲れた頭で
たるで癜衣を来た猫ちゃんに
カりンセリング受けおいる
錯芚空想
浮かんでいたした
これはこれで䜕かに䜿えそうだぞう、うヌん。ずか䜕ずか。わたし自身もぐうたらっ気を远っ払う様にしお頑匵っおたした。
ハタず、暪を芋るず、ツマミ狐がハッハッおゞャンプしたり。遊んで欲しヌんだな。でも、今はダメ理恵子もマゞなんです。はい、そうです。
「でもさ、理恵子。あんた、これ、本圓にずっず䜜りたかった映画なの」
「えうん」
珍しくゲッの出ない垃斜理恵子。぀たりくたびれ果おおいたんですね。でも䜕ずっず撮りたかった䜕を
「本圓」
ミケ、頭掻く。疑っおるな よし。
「うん。だっお曞き溜めおたシナリオあるもん」
次、想像を絶する事が。
「オメヌは䜕で今たでそれを出さなかったんだヌ‌」
バンっず䞡手でテヌブル叩いた䞉田慶子。垃斜理恵子、硬盎。䞀瞬で氷に。
「いヌ加枛にしろわたし達、恭子さんちから垰っお来お今たで䜕やっおたんだおか、わたしバカみたいお前はいヌよでも、わたしの時間ず劎力、返せヌ」
凍り付いたわたしの目からホロっお涙が。
「ご、ごめんね。ミケ」
涙がテヌブルにポタリ。
「いヌや違ったわたしずした事がそこんずこ考えずくの忘れおた」
ミケ、拳をグッず握りたした。
「ご、ごめん。本圓に」
するずミケ、髪を前から埌ろにズッずたくし䞊げるず。
「理恵子、それ゜ッコヌで持っお来お。゜ッコヌで」
スゎい、ミケ、䞀瞬で冷静になりたした䜕お匷い子なのわたし、口開けっぱなしで呆然ずしおたした。
「聞こえおる゜ッコヌで持っお来お」
「は」
わたし、急いで曞き溜めを仕舞っおある所にダッシュしたしたでも、聞いおミケ。ホントはね、芋せたくなかったの。これはこれで、材料っ぀ヌか䜙り材っ぀ヌか。蚀わなくっおもいっかっお思っおた。ミケや皆んなず䞀緒に䜜っお行ったほヌがいヌなヌ、みたいな。おか、どこだどこだないない捚おたマゞ勘匁キャヌッ出お来おっおツマミ狐が偎寄っお来たお前はいいの

1/12

「ああったヌ」
思わず声を䞊げたした。その声にびっくりしお、ツマミ狐、逃げお行きたした
「ねヌミケミケあったあったあったよヌ」
そのキッタねヌノヌトをミケのパ゜コンの暪に眮きたした。ドサッず眮くずモワヌッずワタボコがフワフワずその䞭の䞀぀がミケの錻の䞋にダバッ
「ックシュンええい」
ミケ、パッず手でワタボコ払うずわたしの事なんか䞀切芋ずにノヌトを開き始めたした。ホヌッ良かったヌ。怒らなかった。

しばらくミケはわたしの曞き溜めを読み続けおたした。

わたし、お腹は枛っおたけどミケに怒られそうだったので我慢しおたした。

どれくらいの時間が 

ん䜕か聞こえる。聞こえるな䜕よヌ、わたし今我慢しおんだから、お腹空いおるの。え䜕うるさいなヌ、もヌ。

「理恵子ヌ起きろヌ」
「えは、はヌい」
ダバッ、萜ちおた。たたしくじった
「うんうん。読んだ、党郚読んだ、゜ッコヌで。お前がマゞで考えおたっお分かったこれを持っお行けば、䜕だヌ恭子さんにあんな催促されなかったぞう、理恵子ヌもヌ」
ミケ、目の䞋にクマが。
「あ そう」
わたし、疲れもあったけど、䜕かこう、䜕ずも蚀えない気持ちでした。

わたしの原案、本圓の原案、初めお人に芋お貰った 

「どうかなぁ」
わたし、俯いお小さな声でミケに蚀いたした。
「どうかなも䜕もないよ理恵子、もうこれで行くしかないの良いも悪いも、今はもうないのけどね、うんやっずわたしにも芋えお来たぞう理恵子、䜕でわたしにもっず早く芋せおくれなかったの」
ミケ、髪がマリモみたい。フワフワでモシャモシャで。゚ヘヘ、䜕か倉。でも。
「あ、ありがずう。ミケ」
わたし、コテンず䜓折り畳みたした。涙もたたポロ。
「゚ヘヘ、うんでもさ、お前が蚀わねヌで隠し持っおたの、返っお良かったかも」
「えっ嘘」
䜕でミケ。
「お前の頭ん䞭でゆっくりずお姫様ず䞖界芳が倉化しおんのうん。だっおさ、お前のこのノヌトん䞭にはピンクの竹は出お来おないもん。だからさ熟成しおんの、きっずうん」
「じゅ、熟成ですか」
䜕か焌いおるりィンナヌの映像が浮かんだのはなぜテレビのCMかモクモク煙出お、ゞュヌゞュヌ焌けお。っおお腹枛ったヌ
「ミケ䜕か食べようお腹枛った」
わたしが珍しく叫んだ、半分怒っおあり埗ない、けどお腹枛ったするず。
「うんそうねピザ頌むかでも今䜕時」
二人、壁掛け時蚈芋るず、午前3時うヌんりィンナヌ、レヌゟヌコん䞭にあったっけ岩窟王のモンテ・クリスト䌯みたいにレヌゟヌコ開けるず、むェむありたしたヌ
「ミケこれ焌くよ」
「オッケヌ」
やっず噛み合っお来たぞフセミケ

1/14

わたし、キッチンに立ちたした。そいで、キャベツずにんじん切っお、そいでパンは 
「ミケ、パン焌いお」
「オッケヌ」
ミケ、パン焌く係、兌たたカタカタ始めた。垃斜はトントン野菜切る。うヌんお腹枛ったお野菜切るのに異垞に力が倚分、目も血走っおた。怖かったよ、倚分、そん時のわたし。

カチッ
バッ
ゞュヌゞュヌ
カッカッカッ

焌けろ、焌けろヌこのういい感じで焌けろヌ塩、パッ胡怒、ガリガリッえいえいえヌい
「出来たよヌミケ、パ゜コンやめ食べよう」
「あんパンはオッケヌだから」
ミケ、既にバタヌヌリヌリしおたした。䜕か涎垂らしそうなだらしない笑顔のミケ。なヌんだ、この子もお腹枛っおた蚳そうだよねうん
わたし、りィンナヌの炒めもん皿に分けお出したした。そしお箞。焌けたパン、ミケから貰った。ありがずヌ

ムシャムシャムシャ 

蚀葉、無かったです、はい。モクモクずモグモグっおたした。
「飲み物、䜕か出す」
「あんうん。氎かお茶がいい」
「オッケヌ」
わたしレヌゟヌコからお氎出しおグラスを出しお、んでミケのグラスに泚いであげたした。
「あんがず」
「ううん」
そしお食べ続けたした。
「あ、焌きそばにすれば良かった」
わたし、ふず。
「あん、いいよ、もう。あんがず。んヌ、ちょっず萜ち着いたヌ。ねヌ、理恵子。これ圢、䜕ずかしたら、んで、朝になったら食べに行こヌね」
ミケ、お氎飲む。
「そヌねヌ。うん、そうしよヌ」
わたしもお氎。でも、お氎じゃあちょっずなぁ。
「ミケ、コヌヒヌかお茶䜜るよ」
わたし、もう立っおたした。
「あんうヌん、あんがず」
「どっちがいい」
「コヌヒヌがいい」
ミケ、ニッコリ。うん、ペシ。わたしもコヌヒヌが良かったの。
ミケ、パ゜コンは匄りたせんでしたが、パネルから目を離したせん。うヌん、この執念
「ねヌ、理恵子」
「うヌん」
わたし、ケトルから目を離さずに返事したした。
「あのさヌ、わたし、これ預かっおさ、仮綎䜜っからさ、あんた、軜尟さんの所には人で行っお」
わたし、ちょっず考えたした。そしおミケを芋お蚀いたした。
「うん、そうねぇ。その方がいっか」
するずミケ、コクンず頷きたした。
「埌ね」
「なあに」
䜕だろな あ、お湯沞いた。コヌヒヌ、コヌヒヌ。

1/17

「うん、わたしその仮綎䜜っお高間さんんトコ持っお行く。ちょっず理恵子に芋せる時間、マゞねヌかも」
ミケ、少し俯きたした。
「ミケ、䜕そんなの党然ダむゞョヌブだよいいよ、ミケ、進めお」
わたし、笑っちゃいたした。
「だっお、理恵子の本なのに」
ミケ、口を窄める。䜕䜕䜕
「えヌ䜕蚀っおんのヌ、ミケ。んなの、わたしがサボりたくっおたのが党郚悪いんだし。ミケが䞀生懞呜取り戻そうずしおくれおるんだから、わたし、䜕も蚀う事ないよヌ」
゚ヘヘ、良い事蚀ったでもチョッピリ高間さんずかず話すの面倒くせヌ、ずも思っおたしたです。
「いいの」
「いヌよヌブむブむ」
サむンはブむです、ブむこないだ昔のドラマやっおお、それ受け売りたした。
「よヌし、わたし、責任重倧だヌ頑匵んなきゃ」
「頑匵っおミケわたしも頑匵るヌそうだな、軜尟さんに䌚ったら、怎サマや恭子さんずももっず話さなきゃ」

でも久矎ちゃんじゃない

サッずその䞍吉なワン・フレヌズが過りたした。䜕でこんな時にやっずフセミケのコンビが噛み合っお来たっお時なのに
「軜尟さんにはわたしが電話しずく」
ミケ、そう蚀いたしたが、わたし血盞倉わりたした。
「ダメダメミケ、それはわたし自分で電話するミケはミケの事にシュヌチュヌしお、集䞭」
あれ立堎逆転したた、いっか。
「倧䞈倫ちゃんず時間間違えずに軜尟さんトコ行ける」
なヌにヌこの子シッツレヌしちゃう
「えヌ行けるよヌ倧䞈倫だよヌ。それぐらい」
わたし、ちょっず怒っお蚀いたした。
「そんなんで恭子さんずの埅ち合わせ遅刻すっから怖いっおの、マゞで」
あ たたい぀ものフセミケに戻っちゃった。シュン。コヌヒヌ、ズズッず啜るミケ、クヌルです。そしお、たたアホみたいに口開けっぱの垃斜、マヌケです。でもぞこたれんな垃斜理恵子
「倧䞈倫倧䞈倫今床は絶察遅刻したせんからはい」
ミケ、サッず流し目したした。
「あん、刀った。埌、そヌだなヌ、なヌんか疲れドッず来ちゃったね。もうこの蟺でやめずこっか」
盞圓疲れおんのね、ミケ。疲れさせちゃっおごめんね。でも、わたしも盞圓キおた。食べ終わっお、䜕だか頭働かせたくなくなっちゃった、おか、できねヌ。疲れおんの、やっぱ、わたしも。
「わたし、始発で垰る」
ミケ、疲れおはいたしたが䜕か爜やかに蚀いたした。
「そうね。ありがずね」
わたし、心からそう蚀いたした。
「もうちょっず、理恵子のコレ」
ミケ、数冊の『かぐや姫』原案に手を乗せたした。
「読んでね、そんで」
ミケ、じっず原案を芋お䜕だか笑い含んだ顔しおたした。笑いっおより、嬉しさ刀りたせん。でも、わたしにもその思い、䌝わっお来たした。
「『かぐや姫』、始めよう。撮圱、始めよう」
わたし、ずおも嬉しくなりたした。
「うん。頑匵ろうね。ミケ」
わたしのかぐちゃん。倢の䞭でかぐちゃんの頬に觊った時の感觊がこの手に蘇っおいたした。

1/19

朝が来たした。ミケずお別れ。
「じゃあね、理恵子。軜尟さんずのお話、お願いね」
「うん任せお」
わたし、䞡手を合わせおお腹のトコにおいお䞁寧に蚀いたした。ミケ、プッず吹き出したした。
「あん。たた電話するね」
「うん。じゃあね。気を぀けおね、垰り道」
わたし、姿勢を綺麗にピンず身䜓を䌞ばしお蚀いたした。たたミケ、プッず吹き出したした。
「あん」
ミケ、ずうずう垰っちゃった。䜕か寂しいな。うん、でも次だ今日軜尟さんず䌚うのよ遅刻せずにでもその前にひず眠りしよ。ハァヌ、ねっむヌい。

マダム

はい

あらやだ、ブ、ブルトン様キャヌッ超ステキヌこんな超近接でわたしが寝っ転がっおるすぐ暪、枕元にブルトン様が䜕これシチュ゚ヌション、シンデレラなんですけどダッバこの歳になっおもシンデレラの倢芋るんですか女っおえヌ、そうです、そうですよヌ女の子は幟぀になったっおお姫様なんだぞう䜕か文句あっかっお、でも超近接ブルトン様、マゞダバい。カッコ良すぎ

時間は䜙りありたせんよ

えええ、そうですわね

゚ヘヘ こんな倢、滅倚に芋れねヌんだから䌚話匕き䌞ばすゟ

マダム時間がありたせんよ

えそうだったかしら。ホホ、そうねぇ、もう少し眠っおいおは駄目かしら

マダム、いいですか決しお他の誰にも蚀っおはなりたせんよ

ゲッじゃなくおえ䜕かございたしおムッシュヌ

この映画のプランセスずなる人は、真実のプランセスは、確実に存圚しおいるのですよ。マダム、その人はある呜がある人の内に宿った時に、マダム、あなたの元に来る事でしょう

えどういう事ですのムッシュヌ。

するず、䜕ずブルトン様、わたしの額にキッスしたしたキャヌッ思考回路厩壊状態䜕だか刀んねヌけど、倢から芚めたくなヌい

倢から芚めたくないよヌ

バッず起きた垃斜理恵子額に手を圓おる。え嘘おか倢本圓なんですかっお珟実じゃねヌ。シュン ぀たんないのヌ。ずずずダバい急がなきゃ時間はアハハハ、なヌんだ。ただ10時。でももう支床しなきゃ軜尟さんに䌚いに行くのだでも䜕だヌ、も少し倢芋おおたかったなヌ いけねいけねダメダメ、駄目だわたし、甘い倢の名残りを、頭を暪に匷く振っお振り払いたした。
軜尟さんに䌚っお、『かぐや姫』のお話するぞヌ

軜尟さんちのピンポンを抌したした。やっお来たしたです、はい。時間はええ倧䞈倫絶察遅れたりすっぜかしたりしたせんでしたよ
「りえちゃんお久しぶりよく来たね」
軜尟さん、自ら迎えに出お来おくれたした䞀䜓どんな身分なんだ、わたし。
「お昌は食べた」
「え ただ 」
狙った蚳じゃありたせんよ。お昌抜きで来たしたです。けど、頭のスミでチラッず思っおいた事は事実でヌす。軜尟さんちでお食事頂けるかもっお。゚ヘヘ、わヌい、やった。
「そうじゃあ食べ物も、うん。がかぁただなんだ。䞀緒に食べよう」
「あ、アリガトゎザむマヌス、ホホホ」
口の䞭、唟湧いお来た。超セレブのお宅のお食事。゚ヘヘ。あっずむケネ違う違うお食事に来たんじゃねヌんだから気を匕き締めろ垃斜理恵子

1/21

案内されお食卓に。盞倉わらずゎヌセヌだわヌ家に垰りたくなくなっちゃう。おっず違う違う意識を散らすなダメダメダメダメっお思いながら、でも豪華な蚭えにポケッずしおしたう。どヌしたらいいのあら奥様久しぶりでございたす頭、ピョコンず䞋げ。
「りえちゃん。久しぶりヌ」
奥様、手ヌ振る振り方がもうセレブ。鎖骚の蟺りでサラサラっお手ヌ振る。そんで、盞倉わらずお矎しく。最初もそうだったもん、りチ垰っおから鏡芋た時の敗北感。しばらく立ち䞊がれなかったな あヌダメダメたた違う事考えおる
「たあ座っお」
旊那様、奥様ほが同時に。オホホ、では倱瀌オホホ、ケッコヌな気分ザマス事っおダメだかんな、あんっおミケの声が。刀っおマスヌ頑匵るぞ
「あの、その、はい」
もうこっちから切り出すぞ
「ん」
軜尟さん、䞡腕立おおテヌブルに、んで重ねた䞡手に顎を乗せた。キマッおるぅ。顔がくたプヌみたいだから、笑顔もハチミツ味あヌ、お昌、ハニヌ・トヌストにしお䞋さらないオホホ。心ん䞭で。っお油断すんな。
「あの、ですね、はい。ワタクシこの床」
「結婚かな」
「ゲッ」
返しで斬られたグワッ
「ちちち違いたヌすやヌだヌ、軜尟さん゚ヘヘ」
ワタクシ、お口に手を圓おおオホホ。違いたすわよ、冗談キツいんだから、旊那様。オホホ っおぞこたれるな垃斜理恵子
「あなた、それ良くない冗談よ」
奥様、隣で。オホホ、助け舟出しお頂けお䜕だか嬉しいわ。ね足元のツマミ狐の銖を撫でる。撫でお自分の䞀杯䞀杯のココロを宥める。あヌ、䜕かコむツにも名前付けなきゃ。よく出お来るわねヌ、あんた。ツマミ・キツネかぁ。コンコン。思い付かない、いい名前。っおダメだたヌた倉な事考えおる
「そっかぁ、ごめんごめん、りえちゃん。気に障った」
「゜゜゜・そヌんな事あヌりたせんよヌオヌッホッホッホ」
やだ、ねえお前ねえ軜尟さんに䜕蚀われたっおねヌオヌホッホッホ
「それで」
軜尟さんの優しい目が。ハッはいです
「゜・そヌなんです、実はですね、はい。この床、ワタクシ、新䜜映画を䜜る事になりたしお、なんです」
よくぞ蚀った垃斜理恵子んで、こっからなの、うん。こっから。だっおはっきり蚀っおおねだりしに来たんだもん。嫌だなぁ、映画䜜るのっお。䜕か、ズルいよなぁ、わたし達。
「どんな映画」
軜尟さん、腕のピラミッド厩さずに垃斜に尋ねたした。あら、奥様も暪にチョコン。座った。足元のコむツ、ハッハッ始たった。お座りもうするず䜿甚人の方がお茶を持っお来おくれた。アリガトヌ。いっただきたヌす。ズズッ。っお、二人の目が。き、気たずい。ねえ、ミケ。このシヌン匕っ匵るすぐ繋いだ方がいいどっちめですかヌ
フィヌンミケにも来お貰えは良かった

「゜゜゜、それはですねヌ」
お茶碗持ち䞊げおあらぬ方を芋る。぀たり匕っ匵っおたす
「䜕だ、勿䜓ぶるなぁ、りえちゃん。早く教えおよ」
軜尟さん、お茶碗持぀。奥様、ずっずこっち芋おる。その䞍適な笑みが怖いのあれ䌌た様な笑みする人がいたなっお恭子さんだぁ 

フセリ゚さ、マゞ、トロ過ぎ

奥様の顔ず恭子さんの顔がダブったあ はいお茶碗眮く
「は、はいかぐや姫でヌす」

かぐや姫⁉

倫婊二人で声揃ったわヌい、びっくりしたヌね凄いでしょね芳たいでしょ
「わぁ、驚いたなぁ。かぐや姫りえちゃん、今床は埡䌜話に挑戊かぁ」
軜尟さん、奥様を芋お朗らかに。䜕か、シアワセヌ。うんらやたしヌ。奥様、軜尟さん芋おニコニコ。わヌい、奥様も嬉しそう。うんうん、いいぞう。
「はいですかぐや姫なんですそうです、はい。それで今、䌚瀟の方ずも打ち合わせ、沢山しおたすです」
「ああ、そう 䜕だ、もっず早く蚀っおくれたら良かったのに」
軜尟さんの笑顔は焌けたトヌストの様に䌞びやか。うんうん。いいぞう。
「そいで 」
ダベッ、普段蚀葉出ちゃったテヌネヌにテヌネヌに
「ん䜕でも、協力しおくれっお事だろううんうん。りえちゃん達のかぐや姫なら芳たいよ。がくに出来る事なら蚀っおね」
倩䜿が 皆さん、ほら、倩䜿が。このくたプヌの埌ろに埌光がホワヌッお。そいで、倩䜿達が わたしには芋えたしたはいわたし幞運過ぎお死にそうその暪の奥様、もうマドンナですね。もう。こんな䞖界あるんですか

それを切り取りなさい
絵にしなさい
マダム

䜕ですか今、ブルトン様の声が聞こえた。気のせいっお䞋芋たら、ツマミ狐がわたしを芋䞊げおる。お前が蚀った蚀ったのそんで、お前の口はブルトン様の口ず繋がっおんのそれずもお前こそが、わたしの䞖界ずブルトン様やかぐちゃんの䞖界を繋ぐ、䜿者䜿者なんですかだったらもっず倧事にしねヌず
「かぐや姫挔じるの誰なの」
軜尟さん。
「ははヌい久矎ちゃんでヌす」

頭ん䞭ピカピカ。もう倢の倢、そりゃあブルトン様にキッスもされるわ、ダハハ。
「久矎ちゃんいいね」
軜尟さん、もう久矎ちゃんの倧ファンだもの。嫌がる蚳ありたせんもんねヌねお前。コンコン、今床はお前のほっぺツネっおやろっか
「 」
あれ奥様、無蚀。埡機嫌悪くなっおしたったかしらダベヌのだでもうっすら笑っおたす、はい、ただセヌフですよヌねお前。
「䜕だ、ならもう『フルヌトず私』だね。でもりえちゃん、あんたり同じの䜜るのはいけないよ。ねえ、がかぁさ、やっぱり新しい物みたい。ねえ、りえちゃん。でもな、うヌん、かぐや姫か どんな颚に撮るの」
くたプヌ、デレッだらしない顔でもあれですね、その、䜕か空想のお話っお、童心にモドりたせんねえお前。そうそう。くたプヌの顔、だらしない、はテヌセヌしたす。男の子の顔にモドっおたの、ねえお前。
「どんな颚になるかは、はいお楜しみにヌでヌす」
どこのお笑い芞人だでもあんた倧差ないな。たあいいや。だっお楜しいんだもん。
するずお食事、運ばれお来たした。はい、セレブです、セレブんちです。運ばれお来たした、はい、食べ物が。でもその時です。䞀人の女の人が、お食事ず䞀緒に入っお来たした。

䌌おる少し䌌おる

軜尟さんちのお嬢様あれ随分䌚っおなかったねえ倧っきくなったねヌっおか、もう立掟なレディヌです、レディヌそしおくたプヌの方にそっくり。䜕か衚情が䌞びやかで、少しテレンずしおる。く・く・久矎ちゃんより、かぐちゃんのむメヌゞにピッタリヌダバッどうしようねえお前 っおハッハッが始たったダバいよヌもう久矎ちゃんで決たっおんだからヌ
「垃斜さん、お久しぶりです」
「真矎ちゃん、久しぶりねえ」
忘れおた、名前曞くの。軜尟真矎ちゃんでヌす
「䜕のお話」
ワクワクっお顔もう半分くらい知っおる癖にねえもう、お前。っおハッハッやめない。軜く頭叩いお鎮める、ず。
「りフフ、映画のね」
オホホ、ず口を手に圓お。ホホホ うヌん、かぐちゃんに近い真矎ちゃん、かぐちゃんやっおみないっおカルヌく蚀えたらなぁ。
「えヌ䜕の映画ですかヌ」
笑顔が玠敵。真矎ちゃんが玠敵っお蚳じゃありたせん、はい、䜕か笑顔っお玠敵。ねそうだわたし、この『かぐや姫』で皆んなを笑顔にするのよヌしやる気出お来たっお今たで無かったのかりルセヌ、ほっずけねえお前。コンコン。

「それはね。かぐや姫でヌす」
真矎ちゃんだず䜕かキンチョヌしない垃斜理恵子。䜕故なんだでも䜕かフツヌに話せたした。
「えヌかぐや姫ヌマゞヌ」
真矎ちゃん、胞元で小さく拍手。えヌそう芳たいねヌ、理恵子の䜜る『かぐや姫』、芳たい゚ヘヘ。
「䜜るの倧倉じゃないですかヌ垃斜さん、スゎヌむ」
ちょっずトゲが 䜜るの倧倉えヌ、倧倉ですよヌ映画䜜んの、ずっおも倧倉ですよヌずっおも倧倉、ずっおも倧倉 ミケの顔が出お来た。ああ、恭子さんの顔出お来た。ああ、怎サマも、ああ、高間さんも。ここから出たら、たた皆んなに远い詰められる。もヌこっから垰りたくないよヌ
「うヌんダむゞョヌブ今回もね、皆んなスンゎむやる気なんだから」
シツボヌさせない、はい、わたし監督ですもの。ここは頑匵る。はい
「さあさあ。食べよう」
軜尟さん、促す。おか自分がお腹空いおたんじゃねでも助かった、ふヌ、食べよう食べよう。

食べる、食べる
ニコニコ、モグモグ
結構なお味
ねえお前
でもお前にはあげなヌい
ザマみろ
あ、でもコむツの口は確か
ブルトン様ず繋がっおた
じゃなきゃ、あげないず 

ゆっくり食べたしょう

䜕かそんなフレヌズがナペナペ棚匕いおたした

開き盎っお、ゆっくりゆっくり

「うヌん、じゃあただただ始たりの段階なんだね」
軜尟さん、口をナフキンで拭き拭き蚀いたした。
「えっええ、実ははい、そうなんです」
わたしも口を拭き拭き、持っお来たハンカチで。オホホ、持っお来おお良かった。
「たずは久矎ちゃん。うん。芳たい。うヌん、たた䌚いたい」
軜尟さん、ニッコリ。
「えヌかぐや姫挔じんの、久矎ちゃん束浪久矎ちゃんえヌチョヌスゎヌむ」
興奮する真矎お嬢様。えヌそう久矎ちゃんでそんなに嬉しいやっぱ久矎ちゃんに力、凄い。改めお。たあ、このくたプヌんちの皆んなが久矎ちゃんのファンっお事もあるけど。ミケの県力に脱ボヌ。はい、あの闇に光るギラギラお目々、はい、怖いです、けどミケ、ナむス・チョむスのグッゞョブです
「でも真矎ちゃん、䜕か、この時代の衣装、着おみたくない」
䜕を思ったのか垃斜理恵子䜕蚀っおんのヌバカバカバカわたし、ふず蚀った事、゜ッコヌで削陀したかったけど既に時遅しゲンゞツはスマホのタップでポンッず削陀出来ねヌのだ

「えヌ䜕゜レヌわたしも映画に出しお貰えるっお事嘘でしょう冗談でしょう」
真矎ちゃん興奮
「それはそれはりえちゃんダメだっお」
軜尟さん。
「りフフフフ」
奥様、お口に手を圓おお。どっちなんだろ真矎ちゃん、映画に出おみる軜尟さんず奥様はオッケヌ
「゚キストラりフフ」
奥様、笑い続ける。満曎じゃあありたせんねねやったヌ蚀っおみるもんだっお自分で意思持っお蚀った蚳でねヌけど。真矎ちゃんがちょっず偎に、スクリヌンのちょっず䜕凊かに映っおるだけでも違うかも。

違う

え誰ですか
ブルトン様

違うっお男性の声で聎こえたした。勿論、わたしにだけ。

えそれっお真矎ちゃんで『かぐや姫』行けっお事ですかちょっずテヌブル䞋の狐を芋たした。するず、アむツ、もういたせんでした。

いたせんでした

そしお、サヌッず颚が。そう、倢で芋た竹林で感じた颚が。頬を。

違う䜕が違うの

わたしの觊ったかぐや姫は
真矎ちゃんでもありたせん

解答

䜕お冷酷な䜕かわたし、ンゲヌ詊緎に立たされおる

じゃあ正解は

久矎ちゃんでもありたせん

では

軜尟さん達の笑顔がたるで映画のスクリヌンに映っおいるみたいに冷たい。

わたしがここにいない

䜕故

"真理ずは自動的に珟れる。故に、こちらから探そうずしおも芋぀からないのだ"

わっびっくりした耳元でブルトン様のお声おかわたしの背䞭に狐が捕たっおたす。ダバいダバい振り解けない狐、隠す為に背をピヌンず匵りたした

「軜尟さんが駄目っおったら駄目ですけど」
わたし、真矎ちゃんを芋たした。ずおも含みのある目で。䜕これわたし、わたしを制埡しおないです、はい。ただ肩に捕たっおる狐を隠すだけで粟䞀杯するず真矎ちゃん、俯いおしたいたした。でもね、顔が笑っおるんです、ええ芋逃したせんよヌ、垃斜理恵子は
「駄目も䜕もなぁ。だっおりえちゃん、真矎はこれから留孊するんだよ」

ドッシャヌン
昔っぜく蚀うず 

ガビヌン

 ゚モいはい、珍しく、激レアな垃斜理恵子のやる気先走りモヌドが゚モくも、いえいえ脆くも厩れ去っお行きたした、䞀瞬で。くたプヌの䞀蚀で。気を取り盎しお行こヌねブルトン様

真矎ちゃんただ俯いおたすが、ニダけおたす。出おみたいうんそうでもリュヌガクじゃあねヌ、しょヌがないもんねヌ。それは垃斜にも䜕ずもしおあげられたせんもの。
「りフフ、良かったねヌ、マミ。お誘いだけでもねヌ」
奥様、カップにスプヌン立おたしおクルッず䞀回し。䞀番満曎じゃなかったもしかしお
「うん」
真矎ちゃんも䞀぀コクッず頷きたした。そっかヌ、残念だなヌ、垃斜理恵子監督は。ねヌ、無理撮圱の時だけ垰っお来ればいヌじゃんねでも、いっかヌ。しょヌがない。もうやめた。いヌじゃん、やっぱ久矎ちゃんで 

駄目だ

りルセヌなヌもうお前、もう背䞭から離れおよう理恵子のお願いねあ、でもダベッ声のヌシ、ブルトン様だったんだ嫌われちゃうそれは絶察ダメですよう理恵子を嫌いにならないで
「たあ うん。そんな話も、うん。でも、ただただ始たったばかりなんでしょう、りえちゃん。なるべくがくらぁ、聞かない様にしたいな。出来䞊がった物芳る楜しみはずっお眮きたいよ。なぁ」
くたプヌが奥様に促し、奥様は無蚀の笑顔で同意。真矎ちゃんも。あ、ちょっず真矎ちゃんず目が合った。したら、この子ベロ出した。しゃヌない、しゃヌない。しゃヌないダンケ。゚ヘヘ。
「は・はヌい」
お返事だけは䞀人前。
「たたね、『フルヌト』みたいな物をさ、うん」
「は・はヌい」
今床はちょっずガッカリめでお返事。これがチッず蟛い。ずっずずっずずっずわたしっおこれ蚀われおんの。『フルヌトず私』みたいな物、期埅しおたすっお。んでその埌に䜜ったや぀、悉くヒョヌカされないの。これがムショヌに悲しい。だっおどれも䞀生懞呜䜜ったんだよけど、皆んなザンコク。えヌ、ずっおも。はい。愚痎です。けど、ずっずずっずずっず久矎ちゃんずフルヌトがわたしの回りで垞に螊っおるの。それはそれは楜しそうに。けど。けど。そしお、軜尟さんも、い぀もそう。二蚀目にフルヌト、フルヌト。でもそん時、『フルヌトず私』の話をする軜尟さんの顔はずっおも華やぐ。いっ぀もいっ぀も、い぀たでもい぀たでも、『フルヌトず私』の話をする、したがる。ずっおもずっおも愛されお、幞せな映画だけど、けど、わたし、ああ、この映画を憎んでんのかなわたしが、ううん、わたし達が撮ったのに。そしお、わたし達の手から離れた、わたし達の映画がわたし達から離れたその時、そう、そうなの䜜品っお手から離れた時の実感おあるの信じられるあったの少なくずも、わたしにはあったそしお補䜜者から䜜品が離れた時、それはもう悲しさ、切なさ、そしお応揎 応揎
たた、ただ、くたプヌが『フルヌトず私』の話しおる。ケッコヌ奥様も真矎ちゃんも飜き飜きしおる。そんなの構わず話すくた。刀っおお話し続けおんのかなわたし、それをずっず盞槌打ったり埮笑んだりしお聞いおあげおたした。

えお母さんみたい

映画䜜品のお母さんではあるかも知れたせんけど、このくたプヌのお母さんになる぀もりはモヌトヌありたせんでしたですよけど、軜尟さんに限らず、皆んなそうなの。わたしの『フルヌトず私』を愛しおくれた皆様は、いっ぀もワタクシ垃斜理恵子を捕たえお、い぀たでもい぀たでも映画の話をするの。わたしはその床に、その人達のお母さんみたいになっお聞いおあげるの。

今床はかぐちゃんのお母さんになるの

くたプヌの話を右から巊に流しながら、決意を新たにしたしたですぞヌ

1/25

「理恵子」
「は、はヌい」
ミケ電でしたです、はい。䜕だよヌ、今床は䜕の事で怒られるんだろ
「今からそっち行くかんなあん」
「は、はヌいお埅ちしおおりたヌす」
拒吊も䜕もあったもんじゃありたせんでしたです、はいダッバいな、ミケ、ンゲヌ燃えおる。ダバいよ、絶察怒られるでもねヌ、こっちにも良い話があるんだヌねコンコン狐たずヌ、軜尟さんの党面協力オッケヌ貰ったのヌむェむこれが目に入らぬかっおねぇ、もう軜尟さんのカオ、チラ぀かせれば高間さん達皆んな黙っちゃうんだからねぇお前。はヌい、ラッキヌですよヌ垃斜理恵子んでね、も䞀いっ個。
軜尟さんちから垰っお来たわたし、゜ッコヌでパ゜コンに向かいたしたのです、はい、マゞで。そんで、ラストシヌンのオペラ仕立おの構想を進めおたのどんなんなるかはただ曞きたせヌん゚ヘヘ。そん時に恭子さんから電話来た。ダッベ超怖いんですけど
『フセリ゚さぁ、『かぐや姫』の竹林のロケ地、䜕か候補地あるの』
『えっコヌホチですかヌただでヌす』
恭子さん、溜息。
『あのさぁ、ワタシ探しおみたんだけれど、ずっおも栌匏のある、歎史も叀い竹林芋぀けたの。それでね、ワタシ、アポ取ったらさぁ、オッケヌ出お。どうフセリ゚的に』
『フセリ゚的にも䜕もありたせヌんオッケヌでヌす』
もうバカですね、バカ。垃斜理恵子。シュン。
『あらそうじゃあさ、芋に行っおみない䞀緒に。奈良にあるの、そこ。あずそうそう竹林、党郚セットで撮るっお蚳じゃないよね』
『はいはいはヌい党郚セットじゃないでヌす』
䜕も考えおなかった。いえいえいえ䜕も考えおなかった事もありたせんでしたですだっお最埌のシヌンは党郚セットじゃねヌず出来ねヌもんです。
『良かったヌ。うん、じゃあ䞀緒に行こうね。ミケも来るかなぁ』
䜕か楜しそう、二階堂恭子さん。゚ヘ、わたしも䜕だか楜しくなっお来たわヌい旅行よ、リョコヌむェヌむ
『あ、じゃあミケ、誘っおみたすです、はい』
『そう先にあなたに電話したからさ。埌でミケも誘っおみようっお思っおたんだけど。じゃあ、お願いね。あ、シヌコも来るかなぁ聞いおみよ。いいよね』
『はヌいオッケヌでヌす』
『りフフ、うんじゃあね』
『はヌい』
プツッ
恭電、終了。ダッタヌ皆んなで旅行するのむェヌむ

1/26
ピンポヌン
あヌ ピンポンの音たで燃えおたす、䞉田慶子。ハァヌ、怒られなきゃいいけど。䜕かここんずこずっずミケに怒られおる気がする。もヌ、あんたり怒られおっず、ちょっずミケに䌚いたくないなぁ。ねぇお前。コンコン。ハァヌ。玄関たで憂鬱。
「開いおるよヌ」
そう蚀ったけど、わたし、玄関開けたした。ああ、倚分わたし、疲れおんだ。だからミケに䌚いたくない、なんお意地悪な気持ちになっおんだ。ごめんね、ミケ。よヌし、明るく行こう
「理恵子」
やだ、わたしがドアノブ觊っお開こうずしたのず同時にミケの顔、ドアップワヌッテンション䞊がっおるヌ
「は、はいです」
顔突き出したミケず顔匕く垃斜理恵子。
「スケゞュヌル、スケゞュヌル高間さんず倧枠のスケゞュヌル組んで来たから」
ミケ、゜ッコヌで靎脱ぐ。っおダバい恭子さんからのリョコヌのお誘いが 
「ス、スス、スケゞュヌルですかヌ」
銖を暪にカックンこ。ダバいなぁ。ダバいけど、奮い立お垃斜理恵子だっお恭子さんずリョコヌだよ行きたくないミケ
「あんスケゞュヌルスケゞュヌルもう組んで来たかんな猛スピヌドだよヌ、理恵子」
ダバい。ヒゞョヌにダバい。
「ももも、猛スピヌドですかあの、わたし、えっずヌ、わたし的にはヌ、スピヌドっおヌ、安心出来る速床の方がヌ、嬉しめなんですけどヌ。゚ヘヘ」
゚ヘヘ、はいらなかった ああ、たた怒られるよう。
「理恵子もうンな事蚀っおらんないっお、マゞでスケゞュヌルの話したら、すぐ垰っかんなんで、カンセヌ本䜜んなきゃカンセヌ本」
「ゲッ」
「ゲッも䜕もねヌ。もうダッバいんだかンなあん」
怖いよヌ。でもさヌ、ミケ、ちょっず埅っおよ
「あ、あのヌ、ケヌコ。カンセヌ本さヌ、䜕ミケが党郚やる蚳」
えヌそうですよヌ䜕か、映画監督のコケンに関わりたすからね、コケンにえヌそうですはい
「あん。党郚わたしがやる」
うお気が぀おいんだよなヌ、もヌ。チッキショヌ
「わ、わたしもやるヌダメだよヌ、ミケ自分だけ背負い蟌んじゃ」
「もうそんな事蚀っおる段階じゃねヌ。倧䞈倫。党郚曞き䞊げたらお前にはちゃんず芋せっから。んで、気に入らねヌトコは党郚わたしがテヌセヌすっから。あん。そこんずこは絶察倧䞈倫だから。あん」
決め蟌たれたした。ハァヌ。もヌいいや。そんなに蚀うんなら党郚やっおっお腐ったかず思いそうでしょうそこが垃斜の、はヌい、垃斜理恵子のセヌカク、はい、ミケよく、よヌく刀っおたした。぀たり、わヌい、やったヌ、あずお願いねっお思っおたした。はヌい、サむテヌですねヌ

1/28
「理恵子これスケゞュヌル」
クリアファむルにいっヌぱいの玙がコ゚ヌよう。芋んの嫌だよう。でも芋なきゃ。おか、どヌやっお旅行のお話切り出そう。したった恭子さんにお願いすれば良かったんだ
『ねぇ、ミケ。竹林で良い感じの芋぀けたんだけど、どうかな』
『えっ⁈マゞですかしたったヌたた恭子さんに先行かれおる行きたす行きたす是非理恵子も連れお行きたすから』
っおなったに決たっおる。もヌしたったヌ恭子さんがわたしより先にミケに電話しおくれればよかったのようもヌ。っお人のせいにしたくる垃斜理恵子、サむテヌ街道真っしぐら猫真っしぐらお前も真っしぐらするコンコン。えっむダだ䜕、もヌっおか、もう逃げんのやめやめよう。いい加枛過ぎ、わたし。
「ねぇミケスケゞュヌルも倧事だけど、最初にわたしの話から聞いお」
わたし䞡手を握り締めおグヌにしお胞の蟺りに持っお行きたした。
「あんあん。聞く聞く。なヌに」
ミケ、䞍思議そうな顔した。よし、勢いに乗るんだヌ
「たずね。軜尟さんね」
「あんあん」
マゞミケ。聞く耳逆立っおるヌ
「オッケヌ応揎しおくれるっおヌ゚ヘヘわたし、超ラッキヌ」
゚ヘヘ、マゞで笑えお来た。だっお嬉しいもん。人に応揎されるのっお
「あん。ホヌッずしたヌ。あん。ペカッタペカッタ」
ミケ、ニコッい぀もニコニコしおおくれればいいのに。もヌ。
「んでね、軜尟さんずこのね、マミちゃん」
「あん」
䜕で軜尟さんの嚘さんの話が出お来んだっお顔しおたした。ダバい蚀わなきゃよかった
「『かぐや姫』に出おみないっお誘っおみたのヌ」
これはマゞで蚀わなくおよかった蚀いながら同時に埌悔でも、もヌダメだヌ
「あん『かぐや姫』のどこに出すの」
ミケのお目々がグルグル状態。こういうん時、ミケっおマゞ猫みたい。ダバダバ、次々
「えヌ゚キストラかなヌ。んヌ、でもね、本圓は䞻人公がいいかもめかなっお、でもそれっお久矎ちゃんにマゞシツレヌめでありたすゆえに、どヌしたもんかなヌっおヌ」
ミケ、口半開き。そしお 
「理恵子、お前、マゞ、自分が䜕蚀っおんのか刀っおる」
呆れ超特急のミケ。ご、ごめんでもね
「わ、刀っおたすです、はい。ただね、わたしのむメヌゞのかぐちゃんに近い 」
"近い"、ず蚀い掛けお考えおしたいたした。"近い"、あくたでも"近い"。そこんずこ埮劙。
「かぐちゃんに近い」
ミケのお目々から土星やら火星やらが芋えおたヌす。もヌダバいけど頑匵るぞ
「うん、でも断られちゃった」
゚ヘペロッ舌出しちゃった
1/30
「理恵子ヌ」
ミケの目がロヌアングル。ダバいな、逃げおヌ。でもミケ、小接安二郎様奜きなんだよヌ。
「ん」
わたし、可愛くブリブリぶりっ子の挔技。えそヌいうんの嫌われるよ知っおたヌすでもだっお怒られるの嫌なんだもん
「たヌ、いヌや。軜尟さんの嚘さんのお話は無かった事になったんだべ」
本っ圓こい぀、クヌルねいっ぀もいっ぀も怒る蚳じゃないから困んの。ねヌお前。コンコン。
「無かった事になっおもないけど」
はぐらかしおやろ぀うのは 
『束浪久矎ではない』
ほヌら、ブルトン様の声。すヌぐ聞こえお来るんです。そしお段々頻床が䞊がっおいる。やべヌよう、疲れおんのかないや倧分。ええ、盞圓に倧分。぀たりは"かぐちゃん"にちょっずでも近いのがマミちゃんな蚳で。そんで、マミちゃんがどうにかしおマゞでやっおくれたら、このブルトン様の声の幻聎から解攟されそう。早くわたしをカむホヌしおくでヌ
「あん䜕それ」
たた始たった、理恵子のワンダヌランドが っお顔しおたすよ、ミケ猫。でも、ダベ、どう行こう
「でもさヌ、恭子さんから電話あったの」
匷匕に逃げるず。
「あん恭子さんず話したの」
やった気が逞れた
「うん。恭子さんね、すっごく玠敵な竹林芋぀けおくれたんだヌ」
゚シシシ。早くリョコヌ行きおヌな
「あん玠敵な竹林䜕゜レ」
ミケの髭が逆立ったっお、これもモヌ゜ヌです、モヌ゜ヌ。そんぐらいミケの関心があっちゃに行きたしたんですよヌ、はい。
「うん、だからね、恭子さん、䞀緒に芳に行こヌ、だっお」
゚シシシ、ミケも行く行くよね
「䞀緒に芳に行くあん䜕じゃあお前、䞀緒に芳に行くの」
ミケ、䞍思議そヌ。おか軜く軜ヌくパニック起こしおおりたすねぇ、゚シシシ。
「ミケも䞀緒に行こヌよヌ。ね旅行よ、旅行。奈良だっお゚ヘヘ」
奈良、䜕がおいしヌかにゃ゚シシシ。マゞ楜しそヌ怎サマも䞀緒に行くのねぇお前コンコン
「奈良っお理恵子 ダベッちょっず埅っおわたしはノセられねヌよ」
ミケ、邪念を振り払う様に頭を振りたしたのですえヌ⁈ミケ、行かないのヌ
「理恵子マゞダバいっおほらスケゞュヌルこれダバいお前のペヌスに巻き蟌たれんずこだったダメだっお理恵子」
ずか䜕ずか蚀いながら ゚ヘヘぞわたしには芋えちゃっおんのだ、お前も行きおヌっおココロが。はいです絶察ケヌコさヌん、皆んなで䞀緒に行こうヌ、奈良
「駄目っお、ケヌコヌ。だっおこれ倧切なロケ地決めなのよしかも恭子さんのオススメ。これ、断っちゃうの、軜くダバめじゃないですかヌ」
゚シシシ、このこの
「ロケ地決めっお理恵子 でも そっかヌ 」
グルグルです、ミケの脳ミ゜むェヌむダッタヌ皆んなで行くのよヌ奈良ぞ
「高間さんに蚀っおみっか」
ミケ、ストンッず萜ちたわヌい
「考えおみっず、ただそこにすら考える地点行っおなかった このう 怎サマ、恭子さん、皆んなにおんぶされおるわたし達っお 」
䞡手をテヌブルに぀いお頭を萜ずす助監督䞉田慶子。䜕かドラマ っおそんなにガックリする事もないんじゃねねぇお前。コンコン。
「ミ、ミケヌ、そんな颚に思う事ないよヌ。ねきっず楜しヌよヌんでね、皆んなで枩泉に行くのね」
楜しもヌよヌ、ねぇミケ。
「あん枩泉」
ダバッ蚀わなきゃよかった
「いい理恵子遊びに行くんじゃねヌかんなあんでも、マゞ竹林のロケ地、みっけなきゃ」
ダバいです。ミケの頭ん䞭、色んなもんのミックスゞュヌス、おかゞュヌスっおよりも野菜のガシャガシャ擊り朰し状態。゚ヘヘぞ、いヌじゃヌん。
「じゃあミケも行くよね恭子さんに電話するヌ」
わたしケヌタむ手に取りたした。゚ヘヘ、皆んなで行くのよヌ
「したったヌんで、どヌしよスケゞュヌルが 」
ミケ、スケゞュヌルの玙芋盎し始めた。゚ヘヘ、ザマみろ

「あ、恭子さんあのね、ミケも行くっおヌむェヌむ」
「あらそううんうん。あ、こっちもね、シヌコ誘っおみたら行くっお。䜕リ゚コ、ミケもそこにいる蚳」
「はヌい慶子もいたヌす替わる」
「うん、替わっお」
「ミケヌ、恭子」
わたし電話枡したしたです、はい。
「ミケあのさ、もう竹林の候補地ずかっおある蚳タカマヌずかず」
「いえいえいえ、実はただめだったんです」
「ほらヌ、やっぱりね。盎感圓たったし。おか、わたしがマゞめで行っおみたいっおのがあったのよ、この竹林。だからさ、郜合いいんじゃない皆んな」
「それはもう」
ミケ、電話持っお固たっおたす、はい。
「早く行っずかないず。ねぇ今のうち。それに、そこがフセリ゚的にオッケヌかどうか刀らないし。理恵子だけじゃなくっお、ミケにも」
「ぞ、ぞれは 」
「い぀行ける急だけど、来週末はわたしは今週末でもいいんだけど、ヒマだから。アヌッハッハッハ」
ダバい、笑い声がわたしたで聞こえるしかもミケが断れねヌ雰囲気、䜜りたくっおるミケより䞀枚も二枚も䞊手、二階堂恭子
「シヌコ、来週末ならオッケヌみたい。あんた達は」
ここ、ややぶりっ子的にキメる蟺り、もう流石ですコ゚ヌ、党郚ケヌサンされおる。
「ららら、来週末ですかちょっず 」
理恵子、倧䞈倫
オッケヌでヌす
「ははは、はい。オッケヌめです」
「ハハハそうじゃあオッケヌねうんじゃあ、たた連絡するわ。理恵子にペロシクもうあれず話すのりザいから。じゃあねヌ」
プツッっおダッタヌ決たったよヌわたし達、皆んなで奈良に行くのよヌっお、最埌の䞀蚀、䜕ですか恭子さん
急展開。はい。そしお緊匵。東京駅に集合です。遅刻したせんでした、その蚳はモチロンミケのリヌドに寄るものでしたんですね詳しくは曞きたせんよだっお、もう、同じなんですね、はい。ぐうたらフセリ゚ずテキパキ䞉毛猫、そうなんですから、はい。
「ミケヌ、でもそのゞヌパン、むむね。いヌなぁ」
ミケ、青々ずしたデニム、キマッおるぅ。䞊は癜いマシュマロみたいなダりン。んでピンクのリュック。でも、䜕か結構ニャンコっぜい ダベッ今のは冗談ですよぉ、冗談
「あん」
耒めおあげたので、わたしを睚む目もチョッピ嬉しそう。ですが、垃斜に䜕か蚀われんのに譊戒しおんのです、はい。もヌ。
「お前、それ、もちっず頑匵れなかった」
ニダッず笑った、このニャンコロめえでも䜕どういう事
「えっ䜕が」
ミケ、わたしを䞊から䞋にゞロゞロ芋たした。䜕よヌ。
「あんた、それ、カッコヌが『䞍思議発芋』だよ」
「ゲッ」
ふ、ふふふ、䞍思議発芋⁈
ええず、簡単に蚀いたすず、䜕か冒険する時にかぶる垜子ずヌ、カヌキ系の迷圩のチョッピ長めのポンチョみたいなゞャケットずずヌ、あ、そっか、双県鏡も銖から䞋げおんだ。パンツはチノパンです。動き易いんです、うん。んで、ハむキングっぜい、おにぎり型のベヌゞュのリュック。
「ゞャングルでも行くんか」
ず蚀っお、プッお吹き出しやがりたしたヌこのヌだっお動き易いんだもん
「そ、そそそ、それっお酷くないミケ」
わたし、チョッピ怒っおたした。いヌじゃん。わたしがどんなカッコヌしたっおさ
「぀ヌか、歩いおおさヌ、䜕だあの二人っお皆んなに思われおんぞヌ」
ミケ、笑いが匟ける寞前でも埅っお䜕で笑うのヌそ、そそそ、そんなにオカシヌかなぁ 
「えヌ、マゞヌダベ、もっず考えお服遞んだ方がいい流れ気味だったもしかしお」
ダベダベダベ、家垰っお着替えしお来おヌ
「もういいんじゃない䜕か、お笑いの人ず䞀緒にいるっお、こっち、そヌ思っおっから、あん」
そう蚀ったのち、ミケ爆笑ちょ、ちょ、ちょっずヌダバいよヌ恭子さんや怎サマにも、これっお笑われる笑われるねヌダバくない
䜕かそんな事やっおっず
向こうから颯爜ずやっお来たした二階堂恭子
りネリの効いたロングヘアヌ、挆黒のサングラスが光っおたすゞャケットは、もう『トップガン』そうそう『トップガン』みたいなミリタリヌ・ゞャケットチョヌカッコいいし足、長っ黒いレザパンにンゲヌスマヌトだけどややむカ぀めのブヌツ
「ハァヌむ埅った」
フセミケ、あんぐりらでした。カッコ良すぎお声も出たせんでしたよヌ。
「䜕聞こえおるハァヌむ」
わたし達の目の䜍眮で手ぇ振る恭子さん。

ハ、ハ、ハハハ
フセミケ、ハァヌむっお蚀えたせんでした
「もヌ。䜕をカチコチしおんだか。シヌコはただ」
「た、た、ただめでヌす」
わたし、やっずの事で答えたした暪芋っず、ただミケ痺れ痺れでヒゲがピンピンに逆立っおたすけど、あ、圓然ミケにヒゲはありたせんから。垃斜の空想でヌす。
「ただめそっかヌ。でもただ早いもんね」
髪をサッず掻き䞊げお埮笑みたした、恭子さん。ほ、ほほほ、惚れそヌ
「あ」
ミケ、声を䞊げたした。
「怎サマヌ」
ミケ、元気䞀杯に手ヌ振りたした。えああヌ怎サマ、こず怎野涌子さんっお ガラガラ、旅行トランク匕いお急ぎ足しおたんですが、これがもうノィトンのガラガラなんですね、ノィトンのガラガラんで、膝隠れめぐらいのベヌゞュのコヌトが高玚感を挔出、おかコヌキュヌなんだよ、絶察。䞀蚀めで蚀えば、ノァカンスにお出でになるお嬢様。髪も埌ろで䞀本に瞛っお、䞊も前もピンで止めお敎列キチンもっずもっず瞮めお䞀蚀めで蚀えば、もう、䞀蚀でロミヌ・シュナむダヌみたい この埡登堎にも圧倒されたしたです、アットヌ。あ、ロミヌ・シュナむダヌっお昔の映画の女優さんです。昔、シシヌの圹挔じたのよあ、シシヌっお゚リヌザベヌトの事です。ンゲヌ、矎人なんです。んで、ある王子様の憧れのヒトなんですね。ある王子様えっずヌ。
「シヌコヌ」
恭子さんにしおは高い声で、䞡手のひら開けお怎サマに。
「恭子さん久しぶりね」
パチッ
良い音したしたねヌ、はい。フセミケもそれ芋お貰い笑顔。でも客芳的に芋っず、トップガンずビスコンティ映画の、映画ず映画が䞀぀の画面に収たっおる、みたいな、䜕かンゲヌコヌキュヌっおか、ゎヌゞャスっおか、䜕だこりゃずにかく絵的には超ダバめでしたですよヌ
「本圓元気しおた」
恭子さん。
「元気元気超元気ヌ」
怎サマ、ニコニコ
「うんたあめちゃ元気じゃなかったら猛スピヌドでここ来おないっか」
恭子さん、銖傟けお。
「ごめんごめんわたし、䞀番最埌めだった」
「最埌めだけど、時間は党然」
ミケ。
「そっかヌ。䜕フセリ゚に負けた」
えヌ䜕それヌでも䞉人、爆笑。
「し、ししし、怎サマヌ、すっごい玠敵なお、おおお、お召し物」
䜕蚀っおんだわたし。
「っおかフセリ゚、ンゲヌ栌奜しおんねヌ。䜕かサファリパヌクに行っお来たヌす、みたい」
たた䞉人爆笑ねヌ、なヌにヌそれヌ
「サ、サササ、サファリパヌク」
「そうそうホントそれ」
䞉人、爆笑の連続。ブヌ。
「っおいうか、カワむむ、フセリ゚。ちょっず埅っお 」
恭子さん、カメラ構えおパチリ、パチリ、パチリ。
「アハハハ、うん。オッケヌ」
カメラを離しおニッコリ、んでオッケヌ・サむン。あのヌ、どういった点がオッケヌなんですか
「そ、それじゃあさ、み、皆んなで撮りたせん写真」
わたし、䜕を思ったのか提案。
「そうじゃあ。あず、新幹線ず䞀緒に、埌で撮ろっか」
恭子さん、構える。しかし
「き、ききき、恭子さヌん。み、みみみ、皆んなで撮りたせんわたしこれ持っお来た」
ケヌタむ先に付ける棒をリュックから出したのだった。そしお。
「ほらこれヌ」
わたし、ケヌタむ付けお皆んなに芋せるず、䜕故かたた爆笑がえヌ⁈䜕でヌ⁈
「フセミケ、そのカッコヌでやるずダバすぎシャヌロック・ホヌムズみたい」
怎サマが、んな事蚀った。ホ、ホホホ、ホヌムズ怎サマ、恭子さんミケ、皆んな腹抱えお笑っおたす。
「ダバい。マゞ、フセリ゚面癜すぎ」
恭子さん、曎にシャッタヌをパチリ、パチリ、パチリ。
「き、ききき、恭子さヌん、皆んなで撮ろうよヌ」
もうわたし、困り果おお蚊の鳎くよヌな声で蚀いたした。
「えあ、そうね。わかったわかった。ほら、皆んなで撮ろうフセリ゚んずこ集たっお」
ワヌ䞉人わたしの顔の呚りに顔集めたよ、よよよ、よヌしピポッ
「それじゃあ、出発ねフセリ゚䜕かキメお」
恭子さんが朗らかに蚀ったんだけど、キ、キキキ、キメるっお䜕を
「ほらヌ」
ミケが、笑いたくっおた䜙韻の残るミケが。
「日立 」
ミケ、パス出しお来た。あヌ刀ったヌ
「䞍思議発芋」
わたし、右腕を䞊に䞊げたした
オヌッ‌
皆んなも腕䞊げたした。もヌどヌでもいヌや出発よヌ
そうしお四人、新幹線に乗り蟌みたしたですよヌ京郜たで䞀気にゎヌ䞀応、二泊䞉日。ゆっくり出来たすです。ンマいもん食べるの絶察んで、枩泉に入んのやったヌ郜䌚の疲れを萜ずすのよヌむェむ。新幹線ん䞭、超四人で盛り䞊がり時間、あっずいう間でした。぀ヌか、恭子さんず怎サマの話、マゞ面癜すぎ。んで、時々映画の話。っおか、映画の話時々どころじゃなかった、したった沢山沢山、映画の話かぐや姫の話。これ曞くず、はい、こん時のゞョヌキョヌ曞くず、そんだけで倧倉な事になっおしたうの。んで、しかもンゲヌ楜しかったの䜕かさ、映画䜜んのどうでもよくないっおなりそうな。刀っお貰えたらなぁ。䟋えるなら、倏䌑みの宿題、皆んなお友達で集たっおやっおみるでしょうでも、絶察䞊手く行かない絶察、䜕かお勉匷に集䞭出来なくっお、結局遊んじゃうでしょうそれそれ、それ状態。恭子さん、怎サマ、ミケ、皆んなはどう思っおたかなでもきっず、皆んなわたしず同じ気持ちだったず思う。カメラピアノ台本そしお、竹林䜕が目的だったっけ
っお、そんな時間、あったっおいいず思う。わたし、ふず䌚話のちょっずした隙間隙間にかぐちゃんの事を思った。
でも、かぐちゃんっお、䞀人がっちで育ったんだよなぁ。寂しい思い、沢山沢山しおたんじゃないかなぁ。寂しくお寂しくお 
え䜕たた理恵子ポケッずしおるヌっお。アハハハ、ごめんごめん
寂しくお、寂しくお、それで
ブルトン様、聎こえおたすよ。はい、です。わたし、考えおたすよヌはい
京郜から曎に奈良ぞ。むェヌむ、皆んなで移動。っおか流石のワタクシこず垃斜理恵子にも客芳的に思いたした、䜕だこの四人っお。トップガンなおねヌ様にノィトンのガラガラ匕いた埡什嬢にフツヌの女子カンコヌなミケ、そしお䞍思議発芋な ふ、䞍思議発芋そうなのかなぁ、たあいいや、垃斜理恵子な蚳でありたしお、はい。奈良に着いたらたずホテルに行きたしたヌ
「ハァヌ、結構な長さだったわねヌ」
トップガンが。
「りフフ、こんなもんじゃない」
怎サマ。
恭子さん、チェックむンを枈たせる。
「皆んな、郚屋ここだから。行っおお」
恭子さん、䞉人芋回しおわたしに鍵枡す。
「はいですヌ」
そんで䞉人、郚屋に向かいたした。
「あヌ、ここかヌ」
郚屋、みヌっけ。んで皆んなで入りたした。
ハァヌ 
ケッコヌおっきな、いや、倧分おっきな郚屋。皆んな荷物は埌、゜ファにドッスンこあヌ、おや぀あるヌ。頂きたヌす。
「ダッバいね。空気いヌし」
怎サマ、窓を芋お。グリヌンず青が芋えたしお、はい、䜕だかやっお来たした遠くからっお感じ。あれミケ、ニコニコしおるヌ。珍しいよねヌっお蚀わなくお良い事蚀わない。ミケの暪顔芋おわたしもニコニコ。ミケ、い぀もこヌだったらなヌ。
「あヌメンドヌだったヌ」
䞻人公が垰っお来たしたです、はい。
「お疲れヌ。恭子さヌん、ありがずヌ」
皆んな、それぞれバラバラに恭子さんにありがず、を蚀う。
「ハァヌ」
恭子さん、空いおる゜ファにドッスンこ
「うん、ちょっず䌑憩。うん、良い感じ」
恭子さん、郚屋を䞀望、そしお窓の方芋お。絵になるヌ。あ、怎サマも。絵になるヌ。ミケもヌ。䜕か、こっから映画撮りたい垃斜理恵子でした。
「今日はゆっくりしお。明日、アポ取っおるからね」
恭子さん、サングラス越しに指瀺。
はヌい
皆んな、修孊旅行の女子状態。
「矎味いかなぁここのお倕食」
恭子さん、サングラススマむル。カッコいいけど怖い。
「そヌね。楜しみヌ」
怎サマ。
「四人盞郚屋だけど、いいでしょう」
恭子さん。
「もヌ、党然」
フセ。
「䜕かさ、枩泉もリッチみたいだから楜しみねヌ」
恭子さん、もう立ち䞊がっお荷物を匄り出す。こ、行動が 早い。旅慣れ感、半端ないですよヌ。
あれミケ、ずっずニタニタしおる。楜しんでるなヌ、こい぀ヌ。䜕か旅行ツアヌのパンフの衚玙の猫みたい。゚ヘヘ、わたしもしあわせヌ。
そんなこんなしお、もう空気は枩泉ムヌド。もう空気でしたよヌ、皆んなで枩泉ゎヌしたした。
楜しかったよヌ景色感サむコヌで。んで、広々。ンヌ、広々。もヌ、自分の郚屋垰っおシャワヌなんか济びたくねヌっお感じ。ここ䜏みおヌでしたですよヌ、はい。济堎もそんなに人いなかったし、貞し切り状態で、济堎にわたし達の笑い声が゚コヌしたくっおたした。
い、い、湯、だ、な、
ハハハン
なヌんお。歌っおもミケに怒られたせんでしたよヌねミケ
皆んなホカホカ、郚屋に垰るずもう結構時間が。倕方になっお行くんですねヌ、はい。䜕か雰囲気がマゞ奈良䜕か焌き芋の真ん䞭みたいな空、倧仏様のヒゲみたいな山の森。なヌんか、時間が時間がなくなっちゃっおたせんしんあわせヌあ、たたお菓子食べるフセ。
「理恵子ヌ、撮圱、ここで決たったらたた来れるね」
ミケ、ニマニマ。
「りヌンそヌねヌ」
おや぀の矎味しさずハッピヌなミケの声。こんな音楜ないですよヌ、もう。映画やっおお良かった
「䜕今んずこ、ここでいい感じ」
たた济衣もクヌルに着こなす二階堂恭子。䜕やっおもカッコいいのは䜕でなんだろヌ
「オッケヌでヌす」
あんたり幞せ過ぎお、軜く眠い、垃斜理恵子。
「明日の竹林、楜しみヌ」
ミケ。
「デントヌあるっおね」
怎サマ。
「そうなの。䜕でも日本最叀の竹っお觊れ蟌み。あ、さっき蚀った」
恭子さん、高笑い。
「どんなんだかねぇ、ミケ」
わたし。ミケ、ニマニマ、無蚀でりンりン。
「倚分ね、撮圱はオッケヌなの。倚分ね」
恭子さん。でもちょっず匕っ掛かり。倚分
「たあフセリ゚の頌み方次第だけど。倚分オッケヌ」
恭子さんも饅頭摘む。
「ピアノ、結構避けたいんだヌ」
怎サマ、突劂え䜕
「やっぱさ、和楜䜿いたいよねヌ」
手拭いでお顔フキフキ。
「ピアノでもいいですよヌ」
わたし、䜕も考えずに。
「そう」
怎サマ、銖傟げ。
「和楜、難しいんですよねヌ。映画に䜿うの」
ミケも銖傟げ。
「そう」
怎サマ、ミケの方を向く。
「そヌなんですよヌ。んでですね、和楜取り入れっず、映画に栌匏が入っお、やや重ためになるんです」
ミケ、い぀ものミケに戻った。真剣ヌ。
「軜い方がいいのミケ的に」
恭子さん。
「いえ、わたしの奜みどヌこヌじゃなくっお。重たいずお客さん、逃げちゃうんです」
ミケもおや぀摘む。
「そこ、わたしの腕前の芋せ所ねヌ」
怎サマ、゜ファで背え䌞ばす。
「重い軜いのそこ、メンドヌねヌ」
恭子さん、少し考える。䜕か思っおる事ありそヌ。
そんでご飯、出お来たしたですよヌやったヌ
皆んな、映画の事忘れおハッピヌお料理の写真、恭子さん、撮りたくり。んで、わたし達の写真も撮りたくり。䜕でこんなに楜しいんだろ出お来る、お料理のギミックギミックに皆んなでいちいち反応それでたた楜しいお喋り
食べ終わっお、䜕だか疲れちゃいたした。
本圓に幞せ疲れでしたですよヌ。
んで、皆んなお寝む。はヌい。静かにねヌ。電気消したすよヌ。スマホ犁止ですからねヌ。はい。おやすみなさい。

2/6

倢を芋たせんでした、垃斜理恵子。ここんずこずっず芋おいた䞍安を惹起する倢を。そんだけでも、リラックス出来たしたですよヌ、ホントにヌ。
朝は、もう皆んなナチュレルにほが同時に起きたしお。はい。
「あヌ、お腹空いたヌ。早く食べに行こヌ」
えヌ怎サマ昚日あんなに食べたのにでも、あれわたしも䜕だかそっち方面。幟らでも食べられそヌ。うヌん 朝食の出るビュッフェぞいざ䞍思議発芋
ビュッフェぞ皆んなでゎヌ。パンずか䜕ずか、いヌっぱいむェヌむ䜕食べおもいいのねヌわたし、クロワッサヌンあずコヌン・スヌプヌ
「さあ、今日はちょっずマゞね」
恭子さん、仕事モヌド、朝っぱらから心の切り替え早過ぎ
「はい」
ミケ、元気にお返事あ、わ、わたしもヌ
「はい」
゚ヘヘ、でもこのスヌプ。おいし。
「昚日はかぐちゃんの倢芋れた」
「ゲッ」
恭子さん、トヌトツだよヌスプヌン萜ずしそヌになっちゃった。んで、皆んな爆笑。たたやっちゃったヌ。
「かぐちゃん、昚日は出お来たせんでしたヌ」
でもちょっず残念。かぐちゃんの出お来る倢、芋おも良かったヌ。
「䜕本圓は久矎ちゃんが嫌なんだっお」
恭子さヌん、たたゲッっお蚀いそうになっちゃったよヌ。
「嫌じゃないです嫌じゃないです本圓に」

"束浪久矎ではない"

ほらたた始たった、ブルトン様の呌び掛けが。疲れんのよヌ、もヌ。
「た、いいけど。そこんずこはフセリ゚の領域だから」
サバサバッず。
「恭子さん、どうしおこの奈良の竹林遞んで、わたし達誘っおくれたの」
ミケ。偉いぞよ、䞉田慶子さん。話が逞れた。ブヌルのパン、カゞカゞしながら恭子さんに質問するミケなのでした。
「えっそうねヌ。前から気にはなっおたの。ここの竹林。有名ではないんだけど、叀いは叀いっお。それで 『かぐや姫』でしょう今回。なら、これ、タむミングだっお。ここに来るタむミング、あんた達が運んで来おくれたのよありがずカワいいミツバチちゃん達」

アヌッハッハッハ

高笑い
ならそらかき消す
霜柱

りえこ

「あヌ、もう早く行こう」
怎サマ、肘をフリフリ座っおるのも朝メシ食べおるのも堪らないペヌス。ワヌ、行動的。぀か、恭子さんも怎サマも高速回転過ぎじゃありたせんわたし、なんか、もっずビュッフェでパンずかスヌプずかモシャモシャしおたいんですけど。

ズズズズッず
スヌプ啜る
寒がり者

りえこ

2/7

朝メシ、もっずダラダラ食べおたかったヌ。でも、もう特に怎サマ、パッパず食べんの終わらせちゃっお。最埌たでグズグズ、パンずスヌプずデザヌトず戯れおんのは垃斜だけずなりたしお。はい。
「うん。そろそろ行こっか」
恭子さんの掛け声で皆んな郚屋に戻りたした。あ、あヌ、パンずかスヌプずか コヌヒヌも 

皆んな着替えも早いしコスメもパッパわたしだけ、ズルズルヌっお。
「フセリ゚ヌ。遅いよヌ。もう行くよヌ」
怎サマ、いきり立っお。ご、ごごご、ごめんですもうわたしっおグズだあヌもうお化粧終わらせおっず。はヌい、今行きたヌす。

皆んなでタクシヌに乗っお珟地たでゎヌ。䜕だ、近。ホテルからすぐでしたよヌ。
「あヌ、ここだヌ」
恭子さん、日差しに手ぇ翳しお。

本圓だヌ
竹が芋える 

その時、垃斜の胞、䞀瞬ドキッこれはもう、盎感でしたんですわ、はいヌ。あ、ここなんだ、ここなんだなっお。ただ倖芳しか目に入っおなかったんですけど、あヌ、かぐちゃんの、赀ちゃんかぐちゃんがいた所はここなんだなヌっお するずたたドキッ垃斜、䜕だか突然五感がハむテク機械みたいになっちゃいたしたんです。

颚
サラサラサラ
倧和の日差し
郜䌚ず違う
どうしおかしら

垃斜も日差しに手ぇ翳したした
眩しい
眩しいわ

そしおわたしの頭の䞭で幻想が
幻想
いえ、『かぐや姫』の物語が
最初の 

竹取翁

翁、日の眩く
手翳す

お爺さんは竹现工の名工であり
竹を育おおいた

叀来、竹は貎重で
この島囜には原生しおいなかった

故、怍生させおいた者は
よっぜどの人品であった

貎重である
぀たりは倧陞からの
そしおそれを愛でる事は
最先端の嗜み、嗜奜
竹を育おる者には
圓然、倧陞ずの繋がりが密で
いや、倧陞の䞀等玚の物を埗られた者で
それをそれ盞圓の手緎に怍生させおいた

りえちゃん、協力するよ
困った事があったら盞談しおね

その貎人が軜尟良倪の面圱ず重なった

翁は歩く、歩く
己が生業の竹の林の呚回、穿鑿

けふのたけはどうじゃろな

垃斜は翁の垰りを埅぀媌

しかし今は翁ず倉化しお
竹の緑を、笹を、黄金の朝日が鈎露

理恵子

「えっはい」
「ダむゞョヌブ」
ミケ心配顔マックス
「えっはいはいダむゞョヌブでヌす」
あぶねヌ。戻っお来れたっお、えっ恭子さん、こっち芋お笑っおる䜕だかずっおも晎れやかな笑顔。わたし、たた盎感恭子さんには、わたしが"あっち"行っおた事バレおたみたい。でも、それ、吊定せず。

理恵子、たた空想の䞭に入っおたのね

「さ埡䞻人の所に行こ」
恭子さん、ゞェスチャヌでわたし達を匕っ匵った。
䜕か、こうたで絵になる人、映画ん䞭に出せねヌかなヌ。

2/9

恭子さんを先頭に竹林の庵たで、っ぀ヌんですかズンズン入っおっお、二階堂恭子䞀行。䜕だか玠敵、ここ。䜕぀ヌんですかね、䞀蚀、カワむむ。䜕か、ずおも现かく敎えられおんの。ズブの玠人の垃斜皋床にもそれが刀るんでありたすのよヌ、はい。䜕でっお育おおる人がンゲヌからですね。ねかぐちゃん。あ、かぐちゃん、今笑った気のせい笹の葉、サラサラ、颚に泳いでる。
前を行く怎サマ&ミケ、腕組んでワヌずかハァヌずか、感嘆しお歩いおたす。ホント、そんぐらいンゲヌんですよヌここ

理恵子

「えっ」
気付いたらたた皆んなず距離がいけねいけねでもさっきの恭子さんず同じ。呌んでくれた怎サマも笑顔。ダベダベ、急がなきゃ。

竹林に
サザンカ䞀぀
ひっそりず

䜕お玠敵なお家倧きくはないんですよ、でも䜕぀ヌんですか日本家屋っ぀ヌんですかザ・日本家屋

ワンワン

あヌ、柎犬出お来たヌ、っお䜕かこれ、映画みたいじゃありたせん䜕かンゲヌ埡䌜噺ん䞭入っお来ちゃったこれっお恭子さん 狙っおたわたし、恭子さんの背䞭芋おた。ワンコが恭子さんの足元にするず。

いらっしゃい

「ゲッ」
わたし、思わずゲッが出ちゃいたしたヌはいンゲヌむケメン いえいえずっおも玠敵な男の方が玺絣矜織っお、暖かそうなゆったりずしたドテラみたいな墚色の䞊着 えっずヌ、四十代ぐらいの方かなぁ。スラヌっず背ぇ高くっおぇ、物静かな感じでヌ、あ昔『りルトラマン・タロり』の䞻人公やっおた圹者さんみたい䌌おる䌌おるねミケっお蚀おうず思ったら。




あ、ダバいです、ミケ。お目々がピンクのハヌトになっおたしたです。はいヌ。そっずしずこ。じゃ、怎サマ。ねヌ、怎サマヌ。っお蚀おうず思ったら。
「初めたしおヌ」
垃斜が話し掛ける間もなく、スッず男の方の偎にんたヌ積極的あもヌ自己玹介しおんのは、早い早い䜕でヌ䜕でそんなにズむズむ前に行けんのヌ
わたし口アングリラしおたら

サラサラサラ

あ、ブルトン様
今、そこにいらっしゃいたせんでした
いいえ、そんな気がしただけ。
ブルトン様が竹のあの蟺で、䜕か竹を芋䞊げおる、竹に手ぇ圓おおその䞊を芋䞊げお。

わたし、やっお来たしたよ
ブルトン様
あでも、わたし浮気はしおたせんから
絶察
あなた䞀筋、あなたしか芋えないんですヌ
信じおね

理恵子ヌ

ダベッ、たたあっち行っおた。恭子さんの呌び声はいはいはいヌ、今わたしも

2/11

「理恵子、ほら」
サングラス掛けた恭子さん、垃斜を促す。は、は、はいヌ
「あ、あの、はい、この床は、です」
ダベヌ、わたし䜕蚀っおんだろヌ。男の方も䞍思議そうな顔。あ、皆んなもでしたです、はい。
「」
もヌ、嫌なのこの雰囲気いえ竹ずお家ず男の方の雰囲気はンゲヌ良いのけど、垃斜の醞し出すヘンテコなこの雰囲気が嫌ずっおも嫌垰りたくなっお来たでも頑匵れ垃斜理恵子
「わ、わ、わたし、映画撮っおたす、垃斜理恵子ず蚀いたす」
やったヌ、自分が䜕モンなのか蚀えた
「はい」
ハァヌ 惚れ惚れするわヌ。䜕ず優しい声色 ダベッダメダメわたしは浮気したせんからねヌブルトン様
「こ、こ、この床は、です。はい、あのう、わたし達は」
ず頑匵っおたら。
「今日はお時間取っお貰っお」
恭子さんが暪から。
「いえいえ」
朗らかヌ。優しヌ。
「䞭ぞ、どないでっか散らかっおいたすが」
お家ぞ招いお頂けるのワヌむ、やったヌお邪魔するミケ。っおミケ、ずっずポヌっ。いいなヌ、䜕か矚たしいよヌ、ミケが。
「お邪魔させお貰っお宜しいかしら」
ず、恭子さん。
「どうぞ」
ご䞻人が庵の方に向かっお歩き始めたした。あヌ、ワンコ偉ヌい、ご䞻人様に付き埓っおお利口さヌんんで、二階堂恭子䞀行、こちらの方のお家たで進みたしたヌ。
ご䞻人が匕戞を開けお、お家の䞭ぞ。玠敵な玄関黒っぜい朚の柱が倪くはないんでしたけどフヌカクが。あ、䜕か畳の銙り。なヌんか懐かしいなぁ。䜕でだろわたし達、靎脱ぎたしお、いざ、お邪魔お邪魔。
「狭いんやが、こちらで埡寛ぎ䞋さい」
ちょっずした居間に。お座垃団が甚意されたした。ワヌ、これからお茶のおケヌコでも始たりそうなような。わたし、お家ん䞭グルグル芋回したした。んで、衚芋たした。あヌ、䜕かここ、本圓に奈良䜕か、旅雑誌や旅番組で芋る奈良ず党然っ違ヌう玠っ敵ヌわたしもここに䜏みおヌな。
「お口に合えば」
ご䞻人様がお盆を手に戻っお参りたした。葛逅ワヌむ、やったヌ矎味しそヌねミケっおわたし達っおどんな身分なのよいいのヌこんなん、こんなむケメンにしお貰っおヌ䞀぀ず぀、ご䞻人様がわたし達䞀人䞀人に。ワヌ、もヌ、泣きそヌ
「お茶やそうそうすぐお持ちしたっから。ハッハッハ」
笑い声の䜕ず爜やかな。玠敵過ぎおダバさMAXな恭子䞀行、だけんど恭子さんだけ䜙裕。
「そんな埡気遣い、いいんですよ」
受け答えが䜕か豪快か぀䞁寧ペカッタ、このお姉さんの家来やっおお。ねミケ。
少し、五分、ご䞻人様、戻られたしたた。そしおさっきず同じ、党く同じ所圚で䞀぀䞀぀、わたし達にお茶を。玠敵ヌ、もヌ、惚れそヌ。
恭子䞀行、サむコロの四の様に䞊んで、えヌもちろん恭子さんが先頭。んで、その四点の前にご䞻人が座りたした。たた、座り方䜕ず䞁寧な。
「本日は」
恭子さん、蚀い掛けたした。
「いいえ」
ご䞻人、やんわりず爜やかに。
「いいえ、たずはきちんず。私が埡連絡差し䞊げたした二階堂で埡座いたす」
「ええ、ええ」
はにかんだ笑顔。綺麗。玠敵。笑顔の皺たで䜕か折目正しいの
「こちらが、先皋倱瀌差し䞊げたした、今回の映画制䜜の監督を務めたす垃斜、ず申したす」
ワむルドな颚貌の恭子さんの口から、䜕ずきちんずした蚀葉が出るこずか。そのギャップずいうか䜕ずいうか、やっぱ恭子さんっお玠敵ヌ。っお顔しおたら。

パシッ

あダベッ埌ろのミケにお尻叩かれちゃった

2/13

「は、ははは、はいです。ねヌもうオヌッホッホッホ」
ザマス、ザマス蚀葉䜿わなきゃどヌやっお䜿うんだっけミケ垃斜の笑いだけこだたする、奈良の空 っお俳句捏ねおる堎合じゃねヌですよ
「ねヌ本圓に玠敵な竹林ですね。オヌッホッホッホ」
するずご䞻人、垃斜ず䞀緒に笑っおくれたしたヌやったヌやっぱ笑いよ、ねヌミケ笑う門には䜕ずやら。䜕だっけ忘れた。
「どうでしょう。先ずは私事なのですけれど、写真など撮っおも宜しくっお」
恭子さん、もう垃斜の事は諊めたらしヌ。うん、そヌしお、お姉さた。
「そらもう」
ご䞻人、頭を掻く。はにかんでるヌ。カワむむ。
「理恵子、あなたも」
恭子さんからの䞀蚀。っ぀ヌかダバい目がマゞだヌこ、殺される
「はいですじ、じ、実はですね、そのわたし達、映画撮る人達なんですねんで、じゃなかったそれでヌ、それはヌ、『かぐや姫』の物語なんですけどヌ」
「かぐや姫でっか」
この人、若い頃、絶察女がほっずかなかっただろヌなぁ。えはい聞いおたす聞いおたす
「さ、さいで埡座いたす事よ。オヌッホッホッホ、ねヌ、慶子」
ミケに振っおみる、ず。っおダベッ恭子さんの目がダバかったんだマゞでやんなきゃ話さなきゃ
「そそそ、それでヌ。わたくし達の映画にヌ、協力しお䞋さっおいた、頂ければこれ幞いなんでヌ、ね慶子。んで、じゃなかった、そそそそそれでヌ、わたくし達、玠敵な竹林を探しおいたのでしおね、ねヌ、もう慶子。そんなこんなで埡座いたした所、こちら二階堂恭子様からのお誘いがありたしおヌ、オホホ。それで今日お邪魔させお頂きたした。あ、あヌ、あのう。ど、どどど、どんな目、じゃなかった、劂䜕かしら」
日本語が 䜕か生たれ盎しお日本人も䞀回やり盎したい。
「うヌん」
綺麗な正座姿勢で腕を袖に入れお組むご䞻人。か、カッコいい。そしお衚を芋遣りたした。陜気に察しお目を现めたした、ご䞻人。
「僕のここは、あんたり人で賑わっお欲しくないんや」

ガヌン‌

ガビヌンの方が゚モかったけど、わたし、ダベッどヌしよお願いの仕方、悪かったどヌしよヌミケヌミケの顔芋たら、同じガヌンガビヌンどっちでもいいうんそヌね怎サマヌ、っお怎サマの顔こっちはザ・音倧だからピアノをガゞャヌンッおやったよヌな顔しおたおか、ダバいピンチですよヌ二階堂恭子軍団

2/16

「そ、そそそそそれはヌ、映画に撮っちゃ駄目っお事かしら」
䜕か偶然、むザベル・アゞャヌニの顔、思い出した。えっずヌ、あれは『可愛いだけじゃ駄目かしら』だった。むザベル様ずは月ずスッポンですけれど、倚分垃斜もあんな顔しおたしたよ、きっずヌ。
「そや。でもなぁ。僕はその、匕っ蟌み思案な者やから。人がぎょうさんおる所が奜きじゃないんや。けれど、それが僕のあかん所ですねん」
関西匁のむントネっお柔らかヌい。䜕か寝萜ちしそヌ。い、いけねダメダメ居眠りしおちゃ駄目かしらっおダメに決たっおんだかんなヌもう
「そ、そそそそそれは、そうじゃないかしらオヌッホッホッホだっおわたくしも駄目ですものオヌッホッホッホねヌ、ミケダベッじゃなかった、慶子ヌねヌ」
駄目だ、ミケ固たっおるし。よし、わたしの力だけで乗り越えんぞヌ
「そうなんでっか」
ご䞻人様。
「そうです事よヌねヌ慶子。たあ、でもあれですこず、埡宅様がお嫌ずあれば、無理にずは ねヌ、ミ、慶子ヌ。し、ししし、しょうがありたせんわ。他を探したすわ。で、ででで、でもヌ、今日は折角お䌚い出来たのでしたかしらからヌ、歀方の竹、芋お楜しむのは宜しくっお」
日本語っおこんなんだったっけでも、そん時でした。恭子さんの顔、偶々、芋たら目ん玉芋開いおたおっきヌンゲヌおっきヌお目目えおか、たたわたし、䜕か倉な事蚀った

アヌッハッハッハ

ワヌ、びっくりご䞻人、哄笑
「したったなぁ。䜕か、そう蚀われるず。匱いなぁ、僕は。でもなぁ、この静かな竹林の雰囲気はずっず守っお行きたいんや。うヌん。困った。困ったなぁ。正盎ですよ、僕だっお関心ない蚳やあらぞん」
䞞い語尟。自然ヌ。あっ、衚で鳥が鳎いた。

かぐちゃんあれかぐちゃん

あそこで拳䞊げおる。行け行けっお事
「ひ、ひひひ、人が来るっお事は、そんなにお嫌かしら」
行け行け、アゞャヌニ可愛いだけじゃないぞヌっおかむザベル・アゞャヌニは可愛いだけで行けっけど。あ、でも、もう昔ですねヌ。昔の話、昔の映画。
「『かぐや姫』、あそこから出お来そうなんですよヌ。ねヌ、ミケわたし、もう倖芳でそんな空想がね、湧いおしたったの。あなたの玠敵な竹林から、『かぐや姫』が生たれるの。だから、あなたの竹林はお母さん。そしおあなたはお父さん。嚘っお、ずおも面倒掛かるものなのよヌ。ねヌ、ミケ」
おか、䞀人で宣い続ける垃斜に察しお䞀同絶句。これはマゞでダバい。垰ったら殺される。
「嚘、でっか」
語尟が柔らかく䞊に䞊がる関西匁。優し。
「そうです事よ。だからわたくし達はコりノトリ。四矜のコりノトリ。嚘様を運んで来たしたの」

アヌッハッハッハ

これは恭子さん。ンゲヌ高笑い聞いた事ねヌっおぐらい笑い出したしたよヌ、お姉様

ハハハハ

ご䞻人様、笑う。
「そうでっか。嚘、でっか。こらぁえろう断れたぞんな」
やったヌやったねミケっお蚀う前にミケの顔を芋たら。目ん玉飛び出しおたした。はいヌ。垃斜、勝ちたした、勝ちたしたよヌ。ね怎サマ。ロッキヌのテヌマ、ピアノで匟いおお願いよう。チャンピオンよチャンピオンなのわたし

2/18

「そ、そそそそそう良くっお良いのそそそそそれは、オヌッホッホッホあらそうなのねヌ、ミケ。良いっお」
お前も䜕か蚀え垃斜䞀人フントヌしおんだぞもヌ
「しかし、えろう明るい方でんな。䜕か僕、こういう颚に笑うの、久しぶりや」
ご䞻人様、頭ボリボリ。えヌ⁈それっお耒めお䞋さっおるの⁈やだ䜕だかずっおも嬉しいわだっお だっおわたし 
「あらヌそうオホホ。そうなのでも、でもね、ワタクシも、そんな颚に蚀っお貰った事ないわねヌ、ミケ。オホホ。䜕、その、゚ヘヘ、ねヌ、怎サマ じゃなかった、怎野さんあ、あヌそヌだ、わ、ワワワ忘れおたしたこちらね、怎野涌子さん」
わたし、ギクシャクカクカク手を怎サマに向けお。
「䜜品の音楜をタントヌしお頂きたすの今回、玠敵な竹林があるず䌺いたしお、では、ず、ね怎サマじゃなかった、シヌノさん」
その時の怎サマの目ギロッ口もずんがらせおあヌ倱敗そりゃそヌだ、わたしなんかにショヌカむされたっお、コトノホカ人ずのコミュニケぶきっちょでぎこちないわたしからショヌカむされたっお䜕も面癜くもないもん。んでしかも、さっき自分で自己玹介めな事蚀っおたし。でもさ、たたにはいヌじゃん。䜕か知らねヌけど、この方からの奜感、垃斜が䞀番いヌぞヌむェむむェむ぀いおる぀いおる゚シシシ。けど、怎サマ、プラむドがお高いんだよな。埌で制裁の埡小蚀頂くの。ハァヌ。
「あ、先皋少しお話ししたしたわ」
ご䞻人様、怎サマにスマむル送った。このちょっずはにかんだスマむルが玠敵チラッず怎サマ芋る。あヌ゚シシシっお顔しおるよヌむェむむェむテンション爆䞊がりヌ
「音楜、どんな物やらはるんでっか」
優しヌ。
「えヌそれはヌ、ピアノなどがメむンですけれどヌ、党般的にヌ、゚ヘヘ」
「党般的やおそらぁえろう 玠敵やなぁ」
玠敵、ですっお玠敵生たれおこの方男の方から"玠敵"なんお蚀葉、聞ヌた事ないよヌ䜕だこれ韓流ドラマみたいな展開、じゃねミケ。あヌ、ミケ、顔がもう焌き芋みたい。真っ赀ですよヌ。あ、隣のシヌコちゃんも。䜕かいいなぁ、二人ずも。

「玠敵だなんおオヌッホッホッホ」
右手でお口を隠しおニコニコしおるヌ、怎野涌子さん。芋た事ないんですけど、こんな怎サマの顔。
「僕も音楜は奜きやさかい」
目を䌏せながらも埮笑む優男。圌氏も絵になるなぁ。䜕かに䜿えないミケヌ。
「䜕をお聎きになるの」
怎サマ、ズむッ
「そやな。ラフマニノフ。奜きやな」
銖を斜め䞊に䞊げお答える優男。
「えヌやだヌラフマニ奜きなんですかヌ⁈それじゃあ、かなりの通でらっしゃるのね」
怎サマ、仰倩ちょっずおばさんっぜい。おか、女っお実は皆んなおばさんっぜい。んで、どんな子もい぀かおばさんになる。䜕か自分カむホヌすっず、女は皆んなおばさんっぜくなる。故に、今怎サマは自分カむホヌしちゃっおいるのであヌる、マル。ねヌ、ミケ。そヌだよね
「぀、通やなんおそらぁ、買い被りもええずこやアハハハ。通ぶっお気障な事蚀う、僕のあかんずこや。すんたぞん」

謝らないで

っお垃斜、ミケ、、䞉人ぜっおヌそう思っおたしたです、はい。぀ヌか、恭子お姉様以倖、ほが韓流ドラマめな状況満喫しおるおばさん状態だった、そヌよねヌミケ。䜕か雰囲気がそヌだったもん。
「䜕か僕、アハハハ。埡宅様方の䜜ったもん、芋させお頂きたくなりたしたわ。『かぐや姫』でっか」
しめしめ。゚シシシ。掛かった掛かりたしたヌおっきな鯛がシシシ、こうやっおお客さん䞀人䞀人ゲットしお行くんですよヌ。えろうすんたぞん。
「そヌですわ」
怎サマに枡さないぞヌ垃斜が䌚話取っちゃったヌ
「アハハハ。あんさんの䜜ったもんなら、きっず芳ながらでもこんなに笑えるんずちゃいたっか䜕でやろ僕、ほんたこんなに笑う人間やあらぞんねん。今日は䞍思議や。人生で䞀番笑うた日ずちゃうかアハハハ」
あれご䞻人様、わたしの顔芋たず同時に笑っおたせんンヌ䜕かンゲヌ倱瀌じゃありたせんおか、でもわたし、この皆んなにも高間さん達䌚瀟の人達にも軜尟さん宅でも、䜕かいっ぀も笑われおたせん⁈それっおダバくない⁈そんな面癜い顔しおんのかにゃねヌミケヌあ、そヌだ。
「そうそうご䞻人様ヌ」
垃斜、思いっきり䞍自然なコンピュヌタみたいな声で。
「そのご䞻人様はやめおほしいわ。僕、そんなんちゃいたんねん。自己玹介すんの遅れおたわ。須川修䜜、蚀いたすねん。宜しゅう」

宜しゅう 

女、䞀人陀いお、鈎の鳎る様な声でお応えしたした事よ。オホホ。陀かれた䞀人、あヌ、皆んな芋おニカニカしおたしたです、恭子お姉様。いい具合にむケメン・オヌラに炙り焌かれたスルメ女子達芋お、楜しんでたすよヌ。ある意味、頌もし。

「もう䞀人、玹介したいの。ホホホ。このね」
わたし、背を暪にずらす。
「これがりチのミケ、いやちゃいたんねんわたしの倧切なスタッフの䞉田慶子ちゃんでヌす宜しくです」
わたし、滝川クリステルさんのおもおなしヌみたいに手ぇ暪にしおりチのミケ、玹介したした。゚ヘヘ、偉いよヌ、フセリ゚ねミケ。
「アそのはいわ、ワワワワタクシ、垃斜の助監督を担圓しおいたす䞉田ず申したすこの床は本圓に倧切なお時間を頂いおき、恐瞮です」
ミケパニックっおるヌんで、䞉぀指぀いおペコリしたわわヌい、ザマみろヌ゚ヘヘ。でも、やっぱこい぀ゞョヌシキあるなぁ。いいなぁ、䜕か矚たしヌなヌ。䜕でわたし、こヌいうんの、出来ないんだろうシュン。
「アハハハそらぁ、宜しゅう。でも䜕や、垃斜さん。䜕かペシモトの芞人さんみたいやな。アハハハ。䜕か自由やなぁ、あんさん。しかし、助監督さんでっか、䞉田はん。䜕かしっかりした方やなぁ。察照的や、垃斜さんず」
「そそそそそれは、そのう、え、えええわたし⁈それは、そこたででもないので、えええヌ」
ミケのお目々が土星やらUFOやらがグルグル回っおたす、高速で。䜕かこんなミケ芋んの初めおだヌ。䜕かカワむむ。
「それでは、撮圱は蚱可頂けお宜しい」
突劂、お姉様䜕か切り蟌みが鋭い飛行機がビュンッっお感じヌ。流石、トップガンな出立ちのお姉様。
「そやな。もう僕の負けや。ほんた、こんなに楜しいお姉はん方に頌たれたら、僕も男やもん、かないたぞんわ。アハハハ。あ、たた笑うおしもた。おかしいなぁ。僕、ほんたに普段笑わんねん」
頭ポリポリ。えヌ、そうやっぱり楜しいお姉はん方゚シシシ、こん時぀くづく女に生たれおペカッタ思た。
「それは圓方も嬉しい次第です。有難う埡座いたす」
恭子お姉様、深々ず䞉぀指぀いおお蟞儀。䜕たる玠敵なお姉様栌奜はトップガンなのに、正座の姿勢の綺麗な事、んでお蟞儀のたた柔らかく流れる様に、そ、育ちっ぀ヌんでっかりチず党然ちゃいたんがな。あ、その埌ろ、怎サマも。深々お蟞儀䜕かこの瞊列、玠敵ヌ。こっちもお嬢様だかんなヌ。サマになっおたんねん。あ、次、りチのミケも。䜕か小さく小さく畏たっお。ちょっず䜓震えおる。あヌ、須川サマ、完璧にりチのミケのハヌト、捕たえちゃったのねヌ。ミケヌ、須川サマ奜きなのヌ゚シシシ。あダベッりチもペコッお願いしたヌす
「やめおやかなわんわお願いやから、頭䞊げお䞋さいもうええですよええですから頌むさかい、もう楜にしお」
バタバタたるで蝶々みたい゚シシシ、䜕か慌おふためくむケメンっおカワむむホント、今回の旅、ぎょうさんええもん芋させおもらいたしたわ、゚シシシのシ。

少しただ皆んなでお話ししおいたしたが。
「早速ですが、竹の方、芋させお貰っお宜しい」
勿論、恭子お姉様の提案でしたんです。
「はい。ええですよ。なら、衚行きたひょ」
須川サマず二階堂恭子軍団、衚に出たした。
「たあ、僕にずっおは庭やから、特別面癜い事あらぞん。自由にしずっお䞋さい」
須川サマの足元に忠実なワンコが。名前、なん぀ヌんやろ
フリヌパスの蚱可が出たしたんで、自由にさせお貰いたんねん、っお思おたら、お姉様、ニット垜被っお䞀県レフ持っお思いのたたに竹の䞭ぞ。䜕か、写真家さんの埌ろ姿っお玠敵ヌ。んで、䜕か恭子さんも䞀気に少女になっちゃったみたい。䜕か良いアングル探す恭子さん、シャッタヌ切る恭子さん、ちょっずした瞬間の笑顔や䜕かを発芋した衚情の恭子さん。䜕かもうドラマじゃありたせんでも、本圓に玠敵な竹ヌ。小道もね、ずおも綺麗に舗装されおお。ミケはたた腕組んで繋がっお歩いおるヌ。あっちに指差したり、ケヌタむで撮っおるヌ。楜しい゚ヘヘ。䜕かヌ、フセリ゚的にヌ、ンゲヌ幞せ。゚ヘ。
「垃斜さん」
えヌ䜕ですかヌっお須川サマは、はいですな、䜕かありたしお
「䜕か、今、話しおもええですか」
「そそそそそれはもヌうオッケヌでヌす」
䜕藪から棒に困りたすわわたくし、アンドレ様っお玠敵な、あなたより玠敵な連れ合いがいたすの困りたすっお䜕勘違いしおんだろヌ。゚シシシ、偶にはええやん。ねヌミケ。
「アハハハ。ほんた たあええわ。そのう、もうオッケヌ出しおしもうたから、そしお、䜕か垃斜さんやから、アハハハ。䌚ったばかりねんにな、僕、ほんた今日おかしいわ。でも、䜕かもう話したい心持ちになっおしもうたわ。是非、聞いお䞋さい」
りチの目ん玉が目玉焌きみたいんになりたしたねん、びっくり仰倩やあ、びっくりポン蚀うた方が゚モい
「僕がこの竹林を受け継いだ、ほんた劙な話や。だから僕も、ある意味垃斜さん達ず近いモンなんねん」
垃斜達ず近いどういうこっちゃ
「そそそそそれは、はヌい、聞きたすよヌ」
興味接々ヌ。あヌ、皆んな竹林ん䞭に吞い蟌たれおっおんねん、タむミングよく。゚シシシ、ええやん。
「僕、ほんたはえろうぐうたらなんねん」
えヌ⁈それだったら、わたしも同じヌ。぀ヌか、ぐうたらっぷりだったら人に負けたぞん。ねヌ、ミケ。
「そんでな、ある時だったんや」
ゲッ、䜕かストヌリヌがちょっずダヌクめな方に流れたせんやだ、䜕か怖いヌ。ねヌミケヌ戻っお来おヌ須川サマが䜕か蚀いたい事あるっおヌ

2/20

須川修䜜サマの竹林の物語

「僕、その時はえらいぐうたらやったんや。ほんた。党うに働いおもいなかったんや。䜕でかっお、僕もそらぁ働いおた事は働いおたんやが、䜕か嫌になっおしもうお。働きたくない働きたくない、思おネットずかでそんな僕でも楜に暮らせるなんがあらぞんかなぁっお探しおたんや。そしたら、倉な募集広告芋぀けおな。たあ、それがこの竹林なんやけど。芁するにこの竹林を管理する人間を募集しおたんや。䜕かえろう胡散臭いなぁ、思たよ、僕も最初は。けどな、元々ぐうたらやから、これがほんたん話やったらおいしいなぁ思お。そんで受けおみたんや。䜕日の䜕時に、っお話぀けお。先ずは元の方ずの面接やった。面接官、蚀うんかなぁ。たあ、䌚うたのは六十ぐらいやったかなぁけったいなおっさんで。たるで氎朚しげるや癜土䞉平の挫画に出おきそうなおっさんやった。それで色々聞いおみたんねん。絊料はなんがかっお、䜕や、生掻に困らんぐらい、いや寧ろ家庭持っお子䟛逊っお行くのに充分なもんなんや。おかしいなぁなんがなんがでも話がうた過ぎや。䜕か眠、いうか隙されおガッカリするもんが埌に埅っおんやろお疑おうお。ただなぁ。おっさんはおっさんでえろう口が䞋手なんねん。䞋手蚀うか、口が重たいねん。ああ、僕ず同じやなぁ思お。䞍思議や。そん時、僕、䜕かおっさんずシンクロしおしもうお。それに僕、䞖間的な責任みたいなもん、䜕も背負っおなかったんねんで、そん時な。せやから、ああ、ええかこんな僕やもん。今から衚出おっお党うな瀟䌚生掻送り盎す気もさらさらあらぞんし。自分の将来なんお、もう考えるのも嫌やったんや。幎柄幎䞭ボダッずしおたかった、せやさかい、䜕や、おっさんの話、今の僕にぎったりやお最終的に思お。しかしけったいなおっさん、いうか話やった。建前的な、業務的な話が䞀切ないねん。ほんで最埌にな、決めるか決めないかは最埌、僕が竹林を芋おその時に決める蚀うんや。ほんたけったいなおっさんやな、思お。けど、僕は僕でけったいな生き方遞んでもうおたから、ああ、同じや、思お。それで、埌日に、そう、この竹林に来たんや。そしたらな。

垃斜、その時、ビリビリっおしおたした 

䜕かスピリチュアルやな。でもほんたそうやったんや。感じたんや。この綺麗な竹林を、そう、今垃斜さん達が入っお来た所から芋お、盎感蚀うか 匷いもん感じたんや。ずおも䞍思議な感芚やった。僕、これはほんたやけど、あんた幜霊ずかそういうん奜きじゃないねん。信じおもあらぞんで。り゜クサ思お。でも䞍思議や。そんな僕やのに。たるで竹林の方から"ようこそ"みたいな声ぇ、みたいなもんが 垃斜さん、こういう話、どんなやろ嫌やったら蚀うおな。

垃斜、銖暪に振りたした。マゞ、真剣に聞き入っお。

党くのスピリチュアルや信じられぞん。ただ僕はもうここに呌ばれおたんや、お盎感したんや。それで、䞍思議、ほんた䞍思議、ああ、僕はもうここをこれから管理しお行くんやっお自然に思たんや。蚳が刀らんねん。運呜いうのこういうこっちゃねんかおっさんに付いお竹林の林間をそぞろ歩き、そう、今日の垃斜さん達ず同じ様に、あの庵に入っおおっさんず改めお話したんや。しかし、たたけったいなんや、これが。




おっさんが蚀うには、合栌や、ず。合栌合栌っおなんやねんっお思た、けどすぐに僕は僕に嘘吐いおん事自芚したねん。もう党く䞍思議やおっさんが合栌蚀うた、぀たり僕がこの竹林に感銘した、そしお竹林の方から䜕事か受け取った事をおっさんはもう悟っずんねん。このおっさん、仙人はんかなんかかなぁ思たわ。あんたり䞍思議やもん。僕、合栌蚀われお䜕したず思いたす垃斜さん達がさっき僕にした様に深く、おっさんに察しお頭䞋げたしおん。䞍思議やった。たるで操り人圢みたいやった。竹林のここに入っおから、たるで僕が僕であらぞんみたいやった。僕はこの竹林に捕もうおしもた。いや それも嘘や。僕はどうやらこの竹林の管理をする様にこの䞖に生たれお来たんやっお。だから僕、スピリチュアルやろえろう申し蚳ないな。嫌やったらほんた蚀うおな

やっぱり垃斜は銖を暪に振りたした。もっず聞きたい。

2/23

 けったいなおっさんの話が埌少しあるんや。たあ、぀たりは僕を竹林の埌継者ぁ芋蟌んだ。そしお僕は僕でお願いしたす、蚀うお。おっさん、にっこり笑うたは。僕、䜕回も蚀うおたすさかい、し぀こくお堪忍な。滅倚に笑わぞんねん。僕、枋ヌい顔しおおっさん芋ずったわ。䜕か、おっさんに疑念蚀うか、心にぞばり぀いお取れぞんねん。でも流石に僕も、おっさんに、おっさんの心に歩み寄らねばならん思お。枋ヌい顔ォ無理しおな、は、埮笑んでみたんや。おっさん、次にな、蚀うたねん。

あんさん、笑はらなかったら
殺しずる所やった

 䜕や、物隒な。僕、ドッキリしたよ、ほんた。ホラヌ映画みたいや。でも、僕も若かったんやろな、返し蚀葉に蚀うたんや。

お宅に簡単に殺される皋、ダワやない」

垃斜、もう背筋冷たヌい。でもスリルが た、たたんない。

「したらな、おっさん今床はニダヌッ笑うんねん。しょうみけったいやなぁ、お。骚もあんねんな、お。たあ僕、こんななりやからよく匱っちく思われんねん。ほんたんずこそうやけどな。けど、プラむドぐらいあるで。䜕や、よう乱暎に殺すだのなんだの、口からポロポロ出たすねんな。軜蔑するで、ほんた。そう思お黙っずったんねん。せや、実の所、こんなよう蚀われたら竹林も楜な仕事もどうでもよくなりたしおん。䜕や、僕かおそこたで黒い䞖界は真っ平や。次圓たりたすわ、蚀おうず思お。するず、おっさん今床は頭䞋げんねん。䜕や、次から次ぞず。もう嫌や。殺す、の次は䜕宣うんねん

君こそ盞応しい

䜕がやアホ。もう僕は嫌だで。

わしも君ん時ぐらいはそうやった。

だから䜕がやねん。回りっくどい蚀い方するから腹立぀ねん。

わしもここ、䞍思議な瞁で受け継いだんや

䞍思議そう、そらぁ䞍思議や。僕も。考えたら考える皋、奇劙なんや。そしお、ほんたは満曎嫌でもないねん。おっさん、あんたが乱暎な事蚀うからおかしくなったんや。

わしの、前の管理人もな、えろうけったいな爺さんやった

おう、そうか。あんたもな。そんで、僕も。

君ずは経歎の方はややちゃったけどな。わしはようけ働いずった。倧工やっおたんや。

そらそうか。ご苊劎さん。

ある日、プッツンキおしもうたんやな。でもそれは今思うず、䞍思議なタむミングやった。竹林の方から呌んだんやな。ここには魂があるさかい。

魂たたけったいな事を。けど僕、䜕か薄々感じおたんや。

あ、僕ず同じや

垃斜さん、ここここなんや。信じられるかお、信じお貰わなくおもええ。おっさん、僕が心に今の蚀葉、思たず同時に喋りおったんねん党く同じ蚀葉を」

シ、シシシ、シャむニングじゃないかしらそれは。
し、知っおるこの映画

2/25

「読心術、蚀うや぀や。けったいもほんたけったいなおっさんだったで。もうおっさんおらんようなっお十幎は経぀かな」

ご䞻人、いえ須川さん、奈良の空を芋䞊げお思い銳せ、けったいなおっさんの事を。

「びっくりしたわ、ほんた。僕があんぐりしずるずな、おっさんニャヌッ笑うんねん。でも僕、もう䜕も蚀う気もおきんかったわ。䜕やこう、えろう䞍気味に感じおな、おっさんの事。こら、逆らわん方がええわ思お」

垃斜でもそこにいたら、そうだったず思いたす

「たるで昔読んだ、芥川韍之介のあの物語やったよ、ほんた。それでおっさん、蚀うんや。

わしは旅に出る、お。

旅でっか、そら、ご勝手に。しかしその歳で旅でっか結構な埡身分でらっしゃいたんな。いや、そんな事ぁ蚀いたぞんでしたで。でもそう思おたわ。でも、旅でっかずは聞きたしおん。

ああ、䞀蚀蚀う。

䜕凊ぞお尋ねたしおん。

䜕凊そう 

わし、䜕か出来そうなんや

出来そう䜕のこっちゃ

わしにしかでけん事あるさかい

ほう

僕、もう、ほんた䜕か蚀うの止めたしたわ。もうこの人の䞭、入っおっおはあかん。それに、少し矚たしかったんねん。䜕や、矚たしいな、自分のやる事めっけたんでっか、僕には䜕もあらぞんさかい。

䜕もあらぞん

たたや。おっさんの読心術や。頌むさかい、それ䞍気味だからやめお欲しいわ、蚀うお。したらおっさん、たた笑いけ぀かる。倱瀌やなぁ、このおっさん、ほんた。

わしも䜕もあらぞんかった
けどな、やっず芋぀けたねん
それが先ず、あんさんをめっける事ず

この竹林を出る事ず

䞖の䞭に星屑ず散らばるわしず同じ人間ず䌚いたいんや

そらぁ結構、結構ですわ。止めたぞんで。いや寧ろ、矚たしい。僕もあんさんず同じぐらいんなったら

なったら

僕にもそんな心持ち、持おたすかいなぁ

䜕か倕焌けが魚焌く炭火みたいやった
脂萜ちんねん、それで
脂が炭に焌け煙立おんねん
ええ銙りや
腹枛っおしたいたしたわ

䜕やか、そんな気になりたしたわ

それから䞀月の埌、おっさんからこの竹林

この竹林 」

須川さんの顔。䜕、えヌがみたいや

2/27

「この竹林、譲り受けたんねん。おっさんずはそれっきり。そっから僕のこの䞀人っきりの生掻、始たりたしたんですわ」
「あら 」
フセ、聞き入っおたしたよ。けど、話半分、䜕か殆どお前の䜜り話なんじゃねっおショヌゞキ、思っちゃっおおん。ごめんな、須川はん。
「党郚話しおしもた。ハハハ、聞いおくれお、ありがずう。ほんた嬉しいわ」
ハハハ、ず朗らかに、須川はん。わたしも良かったわ、あんさんのお話聞けお。あれミケ達はいないですやん。たあえっかヌ。そこで、ふず。
「䞍思議でしたわね。䜕だか、映画みたい」
ホホホ、ほんたそう思いたしおん。
「映画 せやな」
須川はん、たたハハハ。
「そう、須川さんは映画、お奜き」
わたし、尋ねる。
「映画なぁ。そこたででもあらぞん。『スタヌ・りォヌズ』のナンボ目かのんが最埌やったかなぁ」
あら、本圓に興味がないのね。䜕かすぐ刀りたした。
「図々しいんですけど、是非わたし達の䜜った映画、芳お䞋りたせん」
わたし 䜕蚀っおんだろでも自然ず蚀いたした。
「垃斜さん達の映画そらぁ、せやな。芳んずあかんなぁ」
たた朗らかな。結構人の矚む時間倧満喫のフセ。゚シシシ。
「はい。是非」
わたし、必殺の銖カタン暪に。゚シシシ、眠に掛かれヌ
「おススメは䜕でっしゃろ」
「そうですわねぇ 

やっぱ、あれや

あれがよろし」

「あれ」
やばばば、今人ず話しおんだった戻れ垃斜理恵子
「そう、『フルヌトず私』っお映画が、䞀番ヒットしたしたの」
りフフのフセ、宣䌝宣䌝。でも本圓の所、宣䌝宣䌝っお気持ちより、あ、䜕だかこの人に芳お貰いたヌいっお、本圓ですよそう思いたしたんです。
「ぞぇ、フルヌトでっか。䜕か、そらぁ、ええですやん」
ただ芳おねヌ内から良いっお蚀うなヌでも芳おねヌ
「今日ここに来た皆んなで䜜ったんですよヌ。䞻挔の女優さんは束浪久矎さん」
刀るかなぁ、久矎ちゃんの事。今をトキメク女優さんだぞヌ

2/29

「束浪久矎やお⁈そら、僕でも知っおたすわ」
ほヌら、やったぜ、シシシ。久矎ちゃんパワヌ、恐れ入ったかねヌ、もヌ、ミケヌ。
「ならば是非是非です。芳お䞋さい」
しかし、ここたで孀高に暮らしおいる人にも久矎ちゃんの可愛さ、届いおいるんだ。すごヌい。䜕なんだろ人間っお。可愛いさっお、䜕だかずっおも特別な事なのねヌ。人の心を明るくするのねヌ。䞍思議ヌ。
「はいな、是非是非芳たす」
朗らかMAX。これもダバ。匱いわヌ。
「えヌほんたヌじゃヌ、是非是非りチからも、はいヌDVD、お送りしたすわヌ」
嬉しいやん。んで、カワむヌやん、圌氏。
「いえいえそらぁ䜕だか悪いなぁ。ええですよ僕、自分で買いたすわ。気を䜿わせおしもお堪忍な」
「堪忍なんおそんなオヌッホッホッホヌ」
垃斜、チョヌチョヌシこいおるヌ゚シッシッシ、普段ミケに怒られおばっかだきゃら、䜕かえヌなヌ、この優越感えろうすんたぞんなヌ。
「そや、しもた。し぀こいかもしれぞんけど、オチたでただ蚀っおないねん。話させおもらっおよろしいか」
頭ポリポリ。うヌむ、むケメンっおズルめじゃありたせん䜕やっおもさヌ。もヌ。
「それ、りチも聞きたい。話しお」
「では 

ほんたもほんた、最埌の別れ際、おっさんの蚀葉、忘れられたぞん。

ボンさん

䜕や、銎れ銎れしい。僕の事、藪から棒に“ボンさん”呌びねんねんで。厚かたし。

䜕やねん

ほんたりザった。䜕蚀いたいねん。たた殺す、蚀うんか。アホらし

ボンさん、わしもな、そしお、わしにここ蚗した男もな、その男が教えおくれたんやが、皆んな同じ様にしおここを受け継いでいるらしいんや

それ ほんたでっか

僕、思わず王蟲返しに聞きたしおん。䜕や、信じられるかっお。でも、反発心よかほんた、玠盎な疑問ので方が口䌝わっお出おしもうたんや。玠盎な 玠盎な心で聞いたら、おばあちゃんから語り聞かされる埡䌜話みたいやから」

人の話は玠盎に聞く。うヌん、そうですよヌ、ねミケ。ねヌ

3/3

「ほんたや。ボンさん。䞍思議、䞍思議の鎖や。わしかお䞍思議思おな、そこがボンさんずは違うな、わしは聞いおみたんや

䜕をでっか

おっさん、腕組みたしおん。んで、䜕か感慚深げにゆっくり蚀い出したしおん。䜕や、偉そうに。

この時間の鎖がい぀の時から始たったんか、わしの先代も知りよらぞんかったねん

ああ、そらぁ、たぁ、っお、えっえっ僕、頭ん䞭でコケたしたわ。えっえっんで、僕が次、これ繋いで行くんかそ、そらぁ。

この庵もな

おっさん、僕の埌ろにある庵芋お続けんねん。

頌みもしないのに、改修工が来んねん。ほんた最初はわしも䞍気味やった。たぁ、慣れたけどな。初めに蚀うおしたうが、庵ん䞭に蚘録らしい物は党くあらぞん。やから、ただ䜏むだけや。ただ、竹な。これも䞍思議なんやが、誰に習うでもなく自然に竹の面倒みずる自分を芋぀けんねん。そらぁ、のんびり宜しくやっおお宜し。たあ、よくよく考えればそれも䞍思議なんやけど。自然、竹育ずんねん。自分で。手探りで。それで宜し、いう事ねぁやけんが、䞍安は䞍安。けど、束瞛いう束瞛があらぞんねん。䞍思議やわ。それで、僕、ようこんな生枩い生掻続けんねんなっお自分を自分で疑いたすねん。アハハハ、アホやさかい、続くんかもしれぞんけどな」

アホ、やなんお。結構、わたしず皮類が ダベヌ傟いおる傟いおるヌ

「ほんた、おっさんの最埌の捚お台詞、な。

わしにもほんた実の所䜕も刀らぞん。ここでの生掻が珟実だったのか䜕だったのか、皆目刀らぞん。そしお 




この竹、䜕や、遥か遠い昔から生えおんねゃ。誰が怍えたずも知れず。でも、そうやぁ、こっから芋える山もわしら子䟛ん時から近くに生えずった朚々も、誰が怍えたずも知れず、たあ䞭には誰がい぀こういう理由で怍えたしたっおのはあるけど、人が匄らんずも生えお、ずっず、わしら、それからわしらの次の䞖代たでずっず圚り続けんにゃな。わし、おさらばすんねんけど、䜕か色んな事、教えお貰ったわ。遥か叀代から、この人知れず、な癖に由緒のある竹林、さいなら。そんでボン、あんたが次のランナヌや

 僕でっか

そう。“僕”や

おっさんずはそれでほんたのさいなら。
僕は、そっからこの竹林の䞻、ずいうか管理人かそんなもんになりたしたわ」

䞍思議ですわ

「そうそう、垃斜はんな」
䜕や、えろう神劙に。䜕でっしゃろ

3/5

「実はな、これ、秘密やで。耳 」
なになになにヌ⁈キャッ須川サマ、右手で筒䜜りたしたんで、なになになにヌ⁈わたしに䜕かこっそり蚀いたげたげたげなんですけどヌヒヌッドキドキけど、なヌにおせヌおヌわたしも耳の暪に手ぇ付けお広げたしたんです、はいヌ
「この竹林の管理の964きゅヌりょヌの出元なんやが、くな 」

ゲッ

そこたで聞いお刀ったヌっお同時に、い぀の間にか戻っお来おた二階堂恭子軍団垃斜抜きの面々がダッバダッバマゞでダッバ恭子さんは、うヌん、ニコニコしおお。䜕かわたしの事からかう感じの笑顔。げどぉ ミケC二人の殺意に満ちた目がダバいよぉ垰ったら殺される、間違いあらぞんで、ほんた。゚ラむやっちゃでも䜕でヌいっ぀も二぀極端な事がどヌじに起こんのよヌもう

皆んなシヌン 

須川サマも話すのやめちゃった。・・・なこの空気恐ろしいわ次、誰が䜕蚀い出すのかしら
「ハ ハハハ」
須川サマ、頭掻き掻き笑う、ず。よヌし、わたしもヌ
「ホホホ」
銖暪に倒しおベロちょっず出す。ダベ、こヌいうんの嫌われんねん、ぶりっ子やぁ蚀うお。でも、えっか。もうダメなんやもん。゚ヘヘ。もう䞀回、笑う、ず。
「䜕䜕の話わたし達にナむショの話」
ここは豪快、二階堂恭子。ワッず突颚の様に、そしお爜やかに。けど倚分、沈黙が嫌なんです、この姉様。
「そ、そらぁ 内緒やねんなぁ垃斜さん」
むケメン、これをたた爜やかに切り返す、ず。䞊手いなぁ、っおでも垃斜に話振るのズルくありたせんダベ、どヌしよどヌしよあ、よヌし思い付いた
「ええオホホ」
さっき耳に添えた手を今床は口に持っお来たしお、笑っおゎマかす、ず。もう煮るなり焌くなり奜きにどヌぞ。
「ぞぇヌえ」
二階堂恭子、奈良の青空に高く呆れた声䜕かそのたんた鷹にでも倉化しお飛び立っお行きそう。䜕せ、出立がトップガンですからね、トップガン
「それはご銳走様。ねえ、フセリ゚。あなたは竹、芋なくおもいいの」
ダベ、ぞヌだっだわずれでだ
「あなたの䜜る映画でしょう胡麻擊っおたら駄目じゃない」
「は、はいです」
「今床はあなたの番。ほら、芋おきな」
「は、はいヌ行っおきたヌす」
わたし、バタフタ竹林に行くのよヌでもそん時のミケCの顔ザマヌミロっお、もうそう蚀っおたの顔がもヌ

3/8

ダベ、今床は勉匷勉匷ここから䜕か探し出すのよヌえヌがに圹に立たそヌな䜕か探さなきゃ

かぐちゃヌん
かぐちゃんやヌい

あれ䜕か䌌たような経隓。

ゲッぞヌだ
こないだ倢に芋たシチュ゚ヌション、ゟッグリなんでずげど正倢これでもほんた同じやねん、14+94ゞョヌキョヌがそう あの時も、䜕か目的が刀んないたた、竹林りロりロしおお。え目的

かぐちゃん 

そう、かぐちゃんを探しおた。かぐちゃん、かぐちゃん。今はうん、今も探しおる。あの時、倢では少女のかぐちゃんに出䌚った。そうそう、Cサマの匟くピアノの流れる倜䞭の竹林で。あれもっずダバい䜕か、忘れおる 

そういえば、ブルトン様に撮圱されおた

垃斜、蟺りを芋回したした。勿論、ブルトン様率いる撮圱隊はいたせん。いたせんでしたよ。けど。

『ほんた、けったいなおっさんだったで』

さっきの須川サマのやや『シャむニング』めで監督はキュヌブリック様々よりはどっちかっ぀ヌずデ・パルマ倧倧先茩めなお話に出お来た、

けったいなおっさん 

そう、そうですよヌ。シヌッ䞍思議な劖気を感じたすねヌ、はい垃斜の髪、䞀本だけビュンっお立ちたしたより゜、今のわたし、はい、鬌倪郎状態なんです、はい。でも、ゞョヌクはあっちえヌい投げおっず、けったいなおっさんの手も、ええ、これは嘘ではありたせんよヌ、けったいなおっさんも手を入れた竹なんですからねヌはい須川サマのお話が本圓ならば、ですけど。ですけどヌ 

竹取翁

䜕か、けったいなおっさん、ちょヌど良くありたせん䜕かええな、ねぇ、垃斜はん。゚シシシ、冎えおたんな、ほんた。でも、どんなおっさんだったんだろ

それにしおも、玠敵な林。䜕かセヌケツですよヌ。ねぇ、ミケあ、ミケいねヌんだった。前進、前進。

ああ、ここなんか良くありたせんねぇ䞍思議。䜕かここがいヌぞヌ。盎感、はい、盎感でしたです。

あ、そうだ、ピンクの竹

ダバいなぁ。䞀本だけヌ、竹をピンクで塗りためなんですけどヌ。須川サマに聞かなきゃ、埌で。でもさ。

『くな 』

っおダバめじゃありたせん⁈んなトコの竹、ピンクで塗っおいヌのかよヌ⁈埌でミケずそヌだんだ、そヌだんダバいっお別にピンクじゃなくおもいヌよヌ。

空想のお友達や䞍思議珟象ずお話しながら進む垃斜でありたしたが、ほらいた

やっず芋぀けた

かぐちゃん、埅ったヌ

ここの竹林でオッケヌめ

かぐちゃん、オッケヌ、指で茪っか

かぐちゃん、じゃあいよいよ、撮圱に入るからね

かぐちゃん、銖を暪に振る

ゲッだんでもう党郚決たりめなんでずけど、䜕かむダなの

うんうん、銖瞊、ポックンポックン

 ”マダム”

あらブルトン様ヌいやヌだヌオヌッホッホッホ垃斜は浮気しおたせん事よヌオヌッホッホッホかなり際どかったげど。

”いいから進めなさい。映画を進めなさい。そうすれば刀りたすから”

䜕が䜕が刀るの

”結局、人生ずは自動筆蚘なのだ”

䜕ですのそれは

”䟋えば ”

あ、嘘。わたしの頭に䞀匹、蜻蛉が止たった。

3/12

スモヌクが。これは嘘なんかわたし、自分でもこれ、嘘曞いおんだか本圓曞いおんだか刀んなくなっお来たしたよヌいよいよ、末期症状⁈頑匵れヌフセリ゚ただ1秒分の絵も撮っおないぞヌ

さよなら、ブルトン様
お昌3時
やや西日めな角床
ブルトン様率いる撮圱隊は
匕き䞊げ始め

䜕かこれヌ、ミレヌの絵みたい
ミレヌず竹林かヌ
ねヌ、ミケヌ
ミレヌめな絵でかぐや姫っお
どヌ

そうだ
倢の䞭では
ミケはブルトン様のスタッフだった
皆んなで䞀緒に宿に垰っお
きっずお倕食食べるんだわ

でも、そこに垃斜理恵子はいないのだ

ミレヌの倕暮れ
玠敵でしょ
皆んなでお祈りするの
今日も䞀日ご苊劎様
お疲れ様、有難う埡座いたす
ね
仕事が䞀日終わったの

”わしに出来る事、みっけたねん”

あヌこの方がけったいなおっさん
ねヌ須川サマヌ
呌びに行きおヌんだけど、ただ戻っちゃダミだ

あのう、りチもりチに出来る事、みっけたいねん

”この竹林はな、あんさんに撮られる為に代々受け継がれお来たんや、思いなはれ”

ぞ、ぞんなごど思えたせんよヌ、絶察垃斜的に究極無理めでずぅヌ

”そう思え、いうだけの話や
それにな、かぐちゃん達が䜕や、えろうむラむラしおんのはな、もう出来䞊がっおんもん、い぀たでい぀たでもな、匄っお芋返しおな、むラむラしおんねん。早よ、䜜れや”

は、ははは、はいですヌ

”たあ、わしらみたいなもんは䜕でも刀っおしたうねんで、ダキモキすんねや、結果がわこずるさかい”

ゲ、ゲッガがでずがそれっおダバくありたせんおか垃斜達の『かぐや姫』、どヌなるこっちゃかおせヌおぇな

”少なくずもな あ、ほらな。今、呜が宿ったわ”

え䜕のこっちゃ

”もう、もどたら宜し。䜕や、もう呜が宿ったさかい、あんさん方がどうのこうの、もうあらぞん。14+94が勝手にそっちに向かうがな”

そうでっか

”そうや。もう逃げるも䜕もあらぞん。14+94が19+94や”

そうなんでっかほな、りチ、これで

”はい。さいなら”

さいなら

かぐちゃん そヌなのおっさんが今蚀った事、本圓なの

するず、かぐちゃんわたしんずこに駆けお来お、耳元で蚀いたした

”みヌ぀けたっ‌”

なになになにヌ⁈パニック起こしたしたよ、んヌずにもヌ

かぐちゃん、走っお行っちゃった笑いながら。んヌずにもヌ

䞀人、竹林ん䞭に突っ立぀垃斜理恵子。そうだ、持っお来た小さな芗き包。䞍思議発芋、䞍思議発芋。颚の音、聞こえたすよヌ。はい。䜕だろ匂い。この匂いは 

「理恵子」
「あ 」
慶子。んどしたの
「もういい」
「えっ」
 あれ⁈これ本物の慶子⁈ニコニコしおる。
「入っちゃっおた」
慶子、ンゲヌ穏やかな笑顔で。䜕々ヌ
「流石にさ、もういいんじゃない」
「も、ももも、もうえっダバッわたし 」
ミケ、ニマニマ。
「うん。入っちゃっおた。そろそろ皆んな、倧分埅っちゃっおるから」
「うんうんうんごめヌん」
わたし手ぇ合わせお仏様に拝むよヌに謝った。
「いヌよ、あん。それが理恵子のシゎトだから行こ」
は、はいヌ戻るのよヌ恭子お姉様、Cサマ、ごめんねヌ垃斜、今戻りたすから

3/14

皆んなの所にダヌッシュハヌハヌ、ですぅ、ハヌハヌ。でも戻っお来たぜい。
「理恵子、䜕か掎んだ」
お姉様。
「えっそ、そそそ、それはもうオヌッホッホッホ」
ハヌハヌ、ダベ、結構疲れた。
「䜕や、皆さん、今倜良かったらうちで埡銳走するで」
須川サマ。えヌ、そらぁえろうすんたぞんなぁ。
「須川さん、お気になさらず」
断るトップガン。えヌ䜕でヌ⁈
「お気になさらず、はお姉さん方やろ。えろう気にせんず。飛鳥鍋ず煮麺ぐらい、僕でも出来たすがな」
飛鳥鍋ずニュヌメヌン⁈䜕や、ものごっ぀う矎味そヌやお姉様、䜕で断らはりはるのもヌ
「いえ、それは」
お姉様、断固拒吊。䜕でヌブゥッ
「たあ、あんた無理には。残念やな。けど、せやな。うん」
須川サマ、玍埗。
「本日はどうも、本圓に有り難う埡座いたした。たた連絡をお差し䞊げしたすので、件の方、お願い臎したす」
お姉様、䜓を折る、ず。あ、怎サマも。あ、ミケも。あ、ダベダベ、わたしもヌ。
「たたややめおヌなほんた堪らんな倧䞈倫やさかいええ映画䜜っお䞋さい早よ、頭䞊げおヌな」
䜕かトドメっお感じ。恐るべし、二階堂恭子。仕事は仕事、キチッず刺しお〆る、ず。カッコむむなぁ。鍋ずニュヌメンに涎湧いおお腹の空癜ハンノヌしおたわたしず倧違いです。クヌッ
「ハむでは」
そしお恭子お姉様、皆んなに目で。

”ほら、挚拶しな”

「ありがずヌございたしたヌ」
フセミケC、同時に埡挚拶。
「ハむハむハむたた来おや。垃斜さんの映画も芳ずくさかい」
「えヌ本圓ですかヌ」
これはマゞで嬉しかったなほんた。芳ずっおねヌバむバむ

恐怖の垰り道

「フセリ゚、意倖ずやるじゃん」
䜕がですぅお姉様 
「え 」
「ねヌ」

ねヌっ‌

ミケC、ず。もう勘匁しおヌな 
「しかしあの人も、あんな感じで䞭々やるわね」
フフン、ずお姉様。
「ねヌ」

ねヌっ‌

あの、䞭々やるっお䜕の話なんですか
「女にも䞖間䜓にも、䜕も興味あらぞんっお感じで、さヌねヌ」

ねヌっ‌

「ね、ねヌ」
付いおこ、わたしも。っお付いお行こヌずしたら、ミケCに冷たい目で芋られた。寒いよぅ、蟛いよぅ。
「ああいう男の方が返っおギトギトしおるのかもね手匷いわヌアハハハねヌ」

ねヌっ‌

頑匵れ、わたしよヌし
「で、でもヌ、恭子さん的に須川サマ、タむプじゃなかっためなんですかヌ」
「えっああ、悪くもなかったけど、わたし、あんたり现いのは奜きじゃないかなうん」
恭子さん、マゞ考えめ。やった、少し苊しみから逃れられそう。
「た、フセリ゚、かなりくっ぀いおたからねヌ。良かったねヌねヌ」

ねヌっ‌

ミケCの“ねヌっ‌”のトヌンが䜎いよ。やっぱ、墓穎掘っちゃった。

3/15

そんなこんな、散々嬲られモンにされお垰っお来たしたよヌあヌ、お腹枛ったヌすぐにご飯ねミケ
皆んなも同じ同じ。女四人、お腹枛っおたしたよヌ怖いぞ、お腹枛った二階堂恭子軍団
お倕食はなんず飛鳥鍋でしたンゲヌホカホカヌ皆んなでナベナベ、フヌフヌでしたよヌ
「結局、フセリ゚的にここの竹でいいの」
お姉様。
「はヌいオッケヌでヌす」
わたし、竹の事よりお鍋ん䞭の具遞びで殆どたずもに答えおたせんでしたヌ。
「アツ、アツオむシヌ。぀ヌか、決たりでしょここで」
ミケ、アツアツ蚀いながらムシャムシャ。あれ猫っお猫舌なんじゃなかった
「あ、ミケもオッケヌじゃあ決たりね」
恭子さん、ニコニコ。
「須川サマも奜感觊」
Cもニコニコ。鍋味わっおんだか、むケメンずの邂逅味わっおんだか。゚シシシ、垃斜もオむシヌ思いしたしたよヌ
「やっぱり和楜沢山䜿わなきゃ」
C、ふずポロ。そしおお鍋に手ぇ䌞ばす。
「そヌねヌ。ホホホ」
ンヌずにオむシヌ。こんな鍋、食べた事ないし。
「怎サマ的にむンスピレヌション、バリバリめ」
ミケ。
「バリバリよヌもヌ」
皆んな爆笑
「だっおさあのお方ラフマニノフ奜きっお信じらんない結構音楜知っおるよヌあのお方」
あヌ、怎サマお目々がハヌトヌダッバヌい
「そういうずこ抌さえるんだっおシヌコあの手の男は」
ガハハハッず恭子お姉様。
「えヌ⁈䜕でそんな事蚀うんですかヌもヌたるでわたしが䜕か圌の虜になっおるみたいな蚀い方、やめお頂ける」
ホホホホホ ずっずホホホが続く怎サマ。䜕か春の鳥みたい。
「いヌなぁ、怎サマは。音楜家っおそれ歊噚ですもん。わたしなんかさ。ずっずこい぀の面倒芋係でさ」
ぶヌ、ずミケ。っおちょっず埅お。
「なヌにヌ⁈ミケそれ䜕だかわたしに超シツレヌめじゃありたせん」
鍋食っお䜕か元気あるぞ、垃斜理恵子蚀い返すぞ、ブヌブヌ
「それ、そういうんじゃないっお、ミケ」
あれお姉様。
「そういうんじゃない、んですかヌ」
ミケ、ブヌブヌ。
「ああいうのはねぇ、女喜ばせる事蚀うのが息吐く様に蚀えるんだから、心の内は 分からないし、圌に気があるんなら手匷いよん。ぞぞぞ」
あれ䜕かボヌむッシュに笑うお姉様。でもそれが䜕かクヌルにキたる。
「恭子さん、マゞで冷静だったもんねヌ。スゎヌむ」
怎サマ。
「スゎくないよ。奜みじゃないものは奜みじゃないんだから」
照れ笑い。恭子の。
「じゃあどんなのがお奜みなのヌ」
ミケ。
「もう ブラピっお事にしずいお面倒くせ」
䞀同爆笑したしたヌですはい

3/17

楜しい楜しい鍋鍋フヌフヌの時間、終わりたしたよヌもうひずっ颚呂入りに行く恭子お姉様。
「あヌ、わたしもヌ」
ミケ、手ぇ䞊げお付いお行きたした。えわたし面倒くせ。お颚呂は䞀回でいいのだ。あれ暪芋るずC。怎サマヌ、行かないのヌ
「フセリ゚さ」
はい䜕ですかっお目で合図。
「『かぐや姫』のテヌマの音楜、䜕にするかもう考えおる」
「ゲッ」
「考えおない、か うヌん」
ご、ごめヌん、怎サマ。マゞで考えおなかった。
「でもね、この映画、わたし、よくブルトン様の倢芋るの」
たヌたわたし蚳分からん事を 
「ブルトン」
「そうなの。アンドレ・ブルトン様。シュヌルレアリスムの。よく倢に芋るのよ」
「シュヌル、か 」
怎サマ、考えおる 真剣な顔、マゞキレヌ いいなぁ、矎人は。矚たし。
「そうなの。シュヌルなの」
「そう シュヌルの時代に゚リック・サティっお音楜家がいるんだけど 」
ほんほん、それで
「竹っお䜕かピアノみたいじゃない鍵盀が」
そヌかな蚀われおみるずそヌかも、だけど、そヌかな
「ピアノは䜿いたいけど、和楜、琎月琎 月だもんねぇ、『かぐや姫』ったらさぁ」
月琎䜕じゃろ、それ。
「どうフセリ゚」
「あ、いヌ。うん。いヌず思いたヌす。はい」
知らねヌから盞槌りンりン。
「知らねヌだろ。もヌ」
りフフっず怎サマ。
「うん」
テヘペロ。
「うん。垰ったら玠材持っお行くよ。シュヌルレアリスムに月琎、゚リック・サティ。お月様の楜噚。竹の音」
ここでポヌンっお鹿おどし聎こえたら、かっくいヌ。でもそれない、残念。
「あの方、月琎出来るかしら」
えっ⁈䜕の話⁈
「あの方、絵に入る気、ないかなヌ」
あ、あのヌ、怎野さん、この映画、むチオヌわたしが監督めなんですけどヌ 

3/19

「ねぇ、フセリ゚あの方、登堎させられないダッバわたし冎えおなくありたせんね音は被せでいいからさどう」
そ、そそそ、それはいいんじゃないかしらホホホ でも満曎でもないきゃなあの方、敎えたら映える、きっず。うん、映える。
「それはヌ、かなりいいめな方角だずヌ、感じたすけどヌ」
でも、どうきゃな結構、繊现な方だし。
「䜕やっぱダメでもケッコヌいくない」
ん䜕きゃオカシヌど。怎サマ、䜕かグむグむしおるヌ。ダッバ、やっず気付いたど
「あ、あああ、あのヌ、怎サマヌ、もしかしおヌ、ただあの方ず仲むクなるチャンスがヌ、欲しめな系統ですかヌ」
怎サマ、びっくり目がパヌルみたいんで、すぐにバレたかっお顔ちょっずだけ芋せお、すぐしらばっくれくれくれ。フフン、だっおずるヌいズルいずこ、芋ちゃいたしたよヌわたし、笑っちゃった
「え䜕蚀っおんのフセリ゚。わたしはただヌ、少しでもヌ、良かれず思っおヌ、はい、映画にずっおのですけどヌ」
怎サマ、もヌ笑っおんもんね。このう。
「じゃあヌ、わたしがヌ、もしダメっお蚀ったらヌ」
そしたら怎サマ、乗り出しおわたしの銖絞めお来たもう二人で爆笑䜕やっおんだろわたしたち。
「でもさ、フセリ゚やっぱさ、こういうのっおさ、倧事めじゃありたせんやっぱさ、䜕぀ヌか、そのう、トキメキキャヌッ」
わたしもキャヌッ、蚀いたしたよヌ
「だっおさ、䟋えばラブ・゜ング䜜んのもさ、やっぱ、奜きな人の事思っお䜜るもんじゃありたせんねぇ」
「はいですぅ」
デヘヘ。
「䜕か䜜品䜜る時には、トキメく人にトキメいお䜜るず、それはリュンリュンの䜜品が出来䞊がるじゃありたせんだからヌほら、良いラブ・゜ングっお䜜った人の゚ピ゜ヌドたで聞こえお来るよねね」
「はいヌ。その通りですぅ」
ダッバ、怎サマのリュンリュンが䌝染しおたすよヌ。でも楜し。
「ダッバわたし今回、䜕かンゲヌ良い曲䜜れそヌよヌ」
「ダッタヌ」
わたし、バンザヌむしたしたバンザヌむ偉いぞ、竹の管理人あんたぱラむホンマ、嬉しいわヌ。怎サマをトキメかせおダル気MAXにしちゃいたしたよヌフセは䜕にもやっおねヌのに、皆んなどんどんダル気になりたすよヌ
「䜕倧隒ぎしおんの」
あら、ホカホカのお姉様登堎。手拭いでお顔拭き拭き。隣のミケも、お顔拭き拭き。ミケの顔、ホカホカお逅みたいになっおたしたよヌ。ニコニコMAXですね。ペカッタね、ミケ。
「えっそれは仕事の話よ。ねヌ、理恵子」
「はいですぅ。ずっおも玠敵な時間を過ごしおおりたしたよヌ」
「玠敵な時間」
わ、ダベ、お姉様の衚情がワルヌ。薄ら笑っお。䜕か蚀われるよヌ。
「たあ、いいわ。楜しかったんなら。フセリ゚、もうここの竹でいいっおんなら、垰ったら速攻で写真送るから。あなたの本出来䞊がったら合わせお、ロケで䜜る絵ぇ、考えないずね」
ドカッず゜ファヌに座るお姉様。
「えっは、はいヌ」
ダベ、あんた仕事の話、よしたせん
「あ、恭子さヌん。こい぀、もう曞き溜めおた原皿隠しおた事発芚したから、本は倧䞈倫。あん」
ミケ、玠に戻る、ず。䜕か雲行き、怪しめだぞヌどうする垃斜理恵子

3/22

「隠し持っおた」
りワッお姉様のギラギラした奜奇心溢れる目こ、怖いですぅ
「あん。隠し持っおた。あん」
ミケ、手拭いで顔を拭き拭きしながら蚀う。でも、埅っおよヌ隠し持っおた蚳じゃないよヌ
「そ、それはヌ、ミケヌ、隠し持っおたっお蚀い方、わたしに察しおシツレヌめじゃありたせん」
䞀杯䞀杯だヌだっお隠し持っおたんだもん。
「぀たり、フセリ゚、本は䜜っおたんでしょそれ、さっさずわたし達に芋せなかったからそう蚀われるんじゃん。もヌ」
やったお姉様、柔らかめヌ。
「ご、ゎゎゎ、ごめんなさヌい」
わたし、頭䞋げる。
「ほらヌやめようよ」
怎サマ、助け船ありがずヌ
「せっかく旅に来おんだから謝ったりなんだりナシナシ」
ずずっずお茶を啜る怎野涌子。
「そうね」
お姉様、ニコッ。
「あん。あたしも蚀い方意地悪だった。ごめんな」
ミケ、クヌルにただ汗を拭き拭き。
「いヌよヌだっおわたしが党郚悪いんだもん」
ミケ、マゞごめんね。
「ほらほらほらやめようっおねもう、明日で終わりなのよこの旅」
怎サマがそう蚀うず、䞍思議、皆んなちょっずしんみり。ずおも淋しいな、こんな楜しい旅行がもう終わっちゃうなんお。
「そうね。あ、そうだ」
お姉様、䜕か気付いた぀ヌか、沈黙が嫌だったの。絶察。
「UNOやろうよ。ねほら」
お姉様、リュックの䞭からカヌド出したしたヌひっさしぶりヌUNO

むェヌむ‌

皆んなでテヌブル囲みたしたよヌ䜕か、さっきの切ない颚、どっか行っちゃった

その晩、皆んなでずっずUNOやりたした。そんで䞭々誰も止めようっお蚀い出さなかったの。恭子お姉様さえも。䜕かずっずUNOやっおたかった。朝日が昇っおも。でも、自然、誰が蚀い出すずもせずに皆んなベッドに入りたした。
疲れたなぁ、䜕だか。でも䜕だか心地よい疲れ。䜕か色んな事あったなぁ。
沢山写真撮ったわ。
お姉様の撮った写真、楜しみね。ねミケ。ファヌ、眠い。
これからこの『かぐや姫』、どうなっお行くんだろう楜しみねねミケ。んで、垰っおから、頑匵ろヌね次はキャストず顔合わせ、スケゞュヌルのチェック、舞台構想もゞツブツ化しお、んでんでヌ ムニャムニャ 

“ハヌむ”

ゲッかぐちゃん䜕かあった⁈目の前にあなたいるの怖いんですけど

3/25

「な、䜕か」
匕き攣るわたし。

ニコニコ 

かぐちゃん、ニコニコ。
「な、䜕か」
そのニコニコがコ゚ヌんだっおマゞでそんで、かぐちゃん、䜕も答えないんですよヌもヌするず。かぐちゃん、ピンクの竹の筒、出したした。䜕それヌ⁈

かぐちゃん、ニコニコ。んで、ピンクの竹を耳圓おたした。

“もしもしヌ”

ゲッ、電話かよヌ、それんな機皮芋た事ないよヌんで、もしもし蚀いたいのはこっちやんもヌ、お眠り䞭のわたし起こしおんのに、いきなり他の人ず電話するっお、マゞシツレヌもヌ眠いんだからだっお 楜しい楜しい旅行だったのよヌ明日で終わっちゃう はぁあ。シュヌン。もう、勝手に電話しおおよヌ。わたし、寝る、もヌ。

“うん、うん、うん
それでね、お母様”

んお母様かぐちゃん、もしかしおお母さんず電話぀ヌかそりゃいるわよにゃ、かぐちゃんにもお母さん。でも䜕でわたしの倢の䞭でお母さんず電話すんのよヌもヌ

“やっず芋぀けお貰ったの”

芋぀けお貰った䜕がじゃダベ、興味的関心の耳がピヌンず反応蚀う事が䞍思議+かぐちゃんのお母さん䜕なんじゃ知りたヌい

“そうそう。うん。うん。
だから垰れる準備がヌ”

かぐちゃん、指でオッケヌ䜜る。垰れる準備えかぐちゃん、垰っちゃうのかぐちゃんが垰る所っお 

倧きな満月
それを真䞊に指立おお瀺す
ブルトン様

わヌ、玠敵玠敵な満月ですねブルトン様あ、そうそうわたしは浮気しおたせんからねヌ絶察の絶察でも䜕じゃこの堎面展開

“うん。うん。そう
それでね、わたし、もうすぐ
本圓のわたしに芋぀けお貰えるの”

本圓のわたしっお䜕じゃ本圓のかぐちゃん本圓のかぐちゃんはだっおあなたじゃない぀ヌかお母さんず䜕の話しおんのじゃもヌワケわかんなヌい

“うん。うん。うん。
じゃあねヌ”

えこれで終わりちょっずわたしにもおせヌおよヌ䜕のお話しおたのヌ

・・・

かぐちゃん、電話のピンクの竹を今床はボヌ゚ンキョヌみたいにしおわたしを芋たしただから䜕なのよヌ怖いよあなたそしお、次に顔を暪にずらしおわたしを芋たの。

ゆめはたる
そらくろきくも
きくいずみ
こいしきかかさた
かぐわしあたはら

だから、んな謎ん䞭の謎な短歌詠たれたっおメヌワク以倖の䜕物もないんですけどヌワオ、たた笑った

3/29

“最終的にだが”

今床は真倜䞭の線路沿いをブルトン様ず䞀緒に歩く垃斜。なになに〜⁈このシチュ゚ヌションは、かなり垃斜的に嬉しめなんですけど

“この線路が続く先にたで歩く蚳だ”

はい 付いお参りたす 盞圓、ロマンチックだぞ゚シシシ。楜し。

“線路が昚日、ようやく繋がったようだね”

はい そうです事ね。ホホホ。っお䜕のこっちゃでもいいわぁ。ブルトン様ずこうしおご䞀緒しおるだけで、わたし、胞䞀杯ですの。ホホホ。

“我らの運動が果たしお歎史䞊に劂䜕なる意味があったのか私は時に自問する。そしお、激しい自らによる叱責を受ける。それは蟛い事だ。我らは䜕を為したのか”

するずブルトン様、線路の向こうに浮かんでいる倧きなお月様を指差したした。カックいヌ‌ええそうなのそうですのでも、わたし、貎方様の為した事の線路䞊に立っおたす。ええ、わたしなんかで恥ずかしいですけど、でも本圓。アンドレ様、貎方の䜜った芞術が、貎方の育お䞊げた芞術家の方々が、今も沢山の人々の心を満たしおいたす事よ。それは本圓。そうです、そうですよ。

“マダム”

ドキッはい

“線路ずは䞍思議な物だ。これはあらゆる物象を象城する事が可胜だ。䟋えば、人生。䟋えば、氞遠。䟋えば、想像”

そうですわそうです事ね玠晎らしいわ

“マダム、しっかり気を持っお”

䜕䜕䜕〜‌ギャヌッ‌ブルトン様に䞡手で手ぇ握られちゃったぞヌ、垃斜理恵子もうこのたんた倢ん䞭でブルトン様ず結婚しお珟䞖に垰りたくありたせんよヌもう

“あの倜空にプランセスを垰しおあげられるのは、あなたなんですからそしお、私はそれを芳たい”

その時でした ブルトン様が須川様に早倉わり぀ヌか、わたし 節操ねヌ事甚だし。けど、た、いっか。倢ん䞭だもヌん。゚シシシ。けど、どヌいう事わたしがかぐちゃんを垰しおあげる

わたしがかぐちゃんをお月様に垰しおあげるの

䜕か埌ろから音がするよ䜕だろゲッSL

シュッシュッシュッ

ゆヌっくりSLがわたし達の暪に来お、止たりたした。

“マダムではたた”

えヌっ⁈ブルトン様、行っちゃうのヌダヌむダむダもヌちっずだけわたしず䞀緒に居お貰えたせんんな事聞く蚳もなく、SLに飛び乗るブルトン様。か、カカカ、カックむヌ 惚れ惚れしたすわ けど、むダむダもっずわたしず居おくれなきゃむダ

“マダム早く東京にお戻りなさい時間ですよそしお、時間を産みなさい”

埅っおヌ埅っおヌダダヌSLが走り出したわ埅っおヌ埅っおヌブルトン様行っちゃむダヌ

埅っおヌ埅っおヌ

「理恵子、倧䞈倫」
あれお姉様んで、ミケの顔も䜕じゃ今床の展開は倢ん䞭でお姉様ずミケずお話
「埅っおヌねヌ理恵子を眮いお行かないでヌ」
わたし、モヌロヌずバタバタする。
「恭子さん、理恵子、倚分倢芋おだんだよ」
ミケ、恭子さんを芋お。
「た、そうだろうけど。でも激しいわね䜕か フセリ゚の芋ちゃいけないずこ芋ちゃったかも」
呆れ顔のお姉様。
「恭子さん、それ違う。あん。10歳未満の女の子が倢芋おたよヌなモンだから。あん。ダむゞョヌブ」
あれ䜕かゲンセヌっぜい぀ヌか珟䞖ダッバわたし、䜕か蚀っおたしたヌ⁈寝蚀で
「フセリ゚ヌ、おはよヌ」
恭子さん、小さく手ぇ振る。
「えっえっおはよヌございたすヌ」
ブルトン様の幻圱を振り払うよヌにバタバタするわたし。
「理恵子ヌ、もヌ起きねヌずダメだよヌ」
ミケ。あれおかもう皆んな支床枈たせおたせん
「ゲッもしかしおわたし寝坊め」
焊る
「ん倧䞈倫倧䞈倫。ただ時間はあっから。あん。でもお前があんた声出しおっから心配になっただけ」
ご、ごめんなさい、恭子&ミケ。ダベ、怎サマは 
「怎サマは」
ミケに聞く。
「あん怎サマお腹枛ったヌっお、ビュッフェ行っちゃった」
お腹枛ったお腹

お月様 たんたるおおきなお぀きさた 

「理恵子、マゞ倧䞈倫」
恭子さん、ンゲヌ心配そヌな顔にダバい
「だ、倧䞈倫でヌすオッケヌでヌす倉な倢芋おただけでヌす」
倉でもないんだけどな。゚ヘヘ、良い倢だったの。
「倉な倢うヌん、じゃあ埌でその内容聞くから。わたし達も食べに行こ」
恭子さん、笑顔になったヌホヌッ

「はいヌ」

フセミケ、䞀緒にお返事したたよはいヌ

4/3

ビュッフェに行くず、䞀人モグモグしおるのが。そうもちろんりチのCでしたです。人で囲む様に怎サマの呚り座ったんです、はい。
「うん。おはよヌ」
モグモグしながらシヌコお嬢様。ちょっずこんなお䞋品なお嬢様、あんたし芋た事なさげでした。

おはよヌ 

䜕かテンション䜎いわたし達。
「フセリ゚、倧䞈倫だった䜕か叫んでたよ埅っおヌ埅っおヌっお」
モグモグしながら呆気カランず。そのマむペヌスさが残酷なのよねヌ、もう。
「フヌ」
恭子お姉様、溜め息吐きながらも、埮笑みアリな顔で垭を立ちたした。あヌそうそうわたし達もモグモグするんだヌ忘れた
お姉様はポタヌゞュ・スヌプずプチパン、ミケは焌き色玠敵なトヌストず苺ゞャムず玅茶。えっずヌ、わたしはわたしはヌ、ペヌグルトずヌ、ドヌナッツずヌ、ココアにしよ。むェむ。
人、シヌコさんのずこに戻っお来たしたでヌす。はい、朝ごはん食べたすよヌいっただきたヌす
「フヌ」
あれたたお姉様、溜め息。そしおスプヌンでスヌプを掬っお䞀口。ダバ、さっきのわたしの寝蚀絶叫でご機嫌斜めどヌしよ ごめんなさい、恭子さん。マゞで謝りおヌ。けど蚀い出す勇気なくおもじもじ。キュヌッ
「䜕かあっずいう間」
恭子さん、窓を芋お。あらぁ、朝の陜射しに目ぇ现めお。玠敵。絵になるなる。ミケ芋るず、パンをホゞホゞしお匄んでる。ちょっずバタヌ付けたり、ゞャム付けたり。んで、恭子さんの蚀葉に、䜕かしんみりしおる。
「そ、そうですねヌ」
わたし、䜕かポツリず远埓。
「最埌はフセリ゚のダバい堎面芋ちゃったし」

アハハハ

皆んな笑う、ず。わたしもヌ。アハハハ。
「垰ったら、マゞで皆んな、仕事モヌドだね」
恭子お姉様。皆んな、キッず匕き締たる。
「党郚終わったら 今床は北海道でも行こうか」

皆んな、目ん玉目玉焌き

ワヌむ‌

このテヌアンにはテンション䞊がりたしたよヌ流石はお姉様だわ皆んなを匕っ匵るパワヌが違うの、パワヌが
「シヌコ、これからたた暫く䌚わなくなるね」
お姉様、怎サマに。
「ううん、ううん」
怎サマ、頭暪に振る。
「今回は撮圱珟堎にもなるべく行こうっお思っおる。これはマゞなの。䜕か、もっず皆んなの゚ナゞヌ、身䜓で吞収したいよ。それを 音楜にするの」
恭子さんを真っ盎ぐ芋る怎サマの、䜕ず䜇たいの良さ。溜め息、ホヘェ 
「そう」
ンフフ、ず意味ありげに笑うお姉様。ちょっず2人の芖線のちょうど真ん䞭蟺り、バチバチっお火花が。こ、怖い。けど、カックむヌ。はヌい 
「䜕せ、『かぐや姫』なんですからねフセリ゚ミケ日本党囜、皆んな知っおる玠敵な埡䌜噺、匵り切っちゃうわヌ」
腕で筋肉䜜る、ザ・音倧ここで皆んな笑いたしたよ。ね本圓に 
「わたしもヌ」
ミケも筋肉えヌ慶子がヌいっ぀もクヌルな慶子がオドロキヌするずお姉様、2人をカメラでパチリパチリ。カメラ持っおたんかい流石、もう、プロ。
でも、わたし、ちょっず思いは別の所に。奈良のお倩気、超快晎。んで、ずっおもあったかい。ブルトン様はSLに乗っおどっか行っちゃった。わたし、それを远いかけた。远いかけた。远いかけた 

「理恵子ヌ」
恭子さんの呌び声。
「はい」
すぐにモドるわたし。

“理恵子も筋肉しないの”

お姉様の目はそう蚀っおたしたが、すぐにお姉様の目からの蚀葉が倉わりたした。

“きっず物語、緎っおるんだね”

するずニカッ恭子スマむル爆発そしおわたしは、䜕お優しい人ずお友達になれたんだろっお、もヌわたしも筋肉ヌえい頑匵るぞヌ

ビュッフェにたた䞀音、パチリ。あずアハハハヌもでした、はい

垰りの新幹線の䞭、皆んなひっそりでした。静かでした。䜕を話すでもなく。でも䜕かそんな颚が今のわたし達にぎったりだったの。沈黙嫌いの恭子さんも特に話題䜜るでもなく。窓際に座っお動く景色を芋お。怎サマ、スマホを芋お。でも䜕かがんやり。ただこの空いた時間を埋める為だけに匄っおる感じ。ミケ、寝おる。目ぇ閉じお。スダスダ。わたしはそうですねぇ、こうやっお皆んなのスケッチ曞き取れるぐらいだから、皆んなを芳察しおたのかも。でも、そんなに䞀生懞呜では。
わたし達はお土産を買う時ぐらいしか喋りたせんでした。でも、䜕かお土産も、䜕か刹那的ずいうか。楜しかったここたで来た過皋ず奈良、そしお竹林、そしお須川様ずの䞍思議な邂逅 それの方がお土産なんかよりも遥かにお土産になっおお。䜕かお土産袋さえも切なげ。
わたし、ちょっずポテトチップ食べおた時でした。
「フセリ゚」
恭子さんでした。
「はい」
ポリポリを止めたした。
「あなた、どうしお映画監督になったの」
恭子さん、静かな口調で。
普段のわたしなら、ここで“ゲッ”。けど䜕か違った、い぀ものわたしず違っお。
「うヌん、説明するのがずおも倧倉かも、です。テオ・アンゲロプロスっお映画監督、いるんですけど」
わたし、頭ん䞭こんがらがった糞を解す様に考えながら。今、自分の蚀った事、嘘じゃないんだけど、本圓でもなくっお。ずいうのは、䜕か、映画䞀぀の䜜品に䜕かを感じお゚ヌガ遞んだ蚳じゃなくっお。
「 ごめん。知らない」
恭子さん、静かに笑った。
「あそうですかっおのは、その人の䜜品芳お、その時、ラストシヌンでね、お客さんの䞭に䞀人女の人がいおね、その人だけが拍手したの。元気な拍手じゃなくっお、ゆっくりず手を打っおた」
わたし、糞を解すのが次第に蚘憶の糞匕っ匵りめな感じに。
「䜕おいう映画」
恭子さん。
「はい。『゚レニの旅』、です。でも恭子さん、これンゲヌ長いから。気を぀けお。アハハハ」
わたし、恭子さんの映画的䜓力気遣う。
「そう そっかぁ」
恭子さん、少し䞊を向く。
「楜しい悲しい」
䜜品のトヌンが、ですかうヌん、蚀いたくね。
「ずおも悲しい映画です」
わたし、俯いちゃった。
「悲しい、かぁ」
䜕か、窓の倖の猛スピヌドの景色移動ず恭子さんの暪顔のほヌが、映画みたいでした。
「䜕おいうのかなフセリ゚、それが、キッカケ っおいうの䜕か蚀い方思い付かないんだけど、でも、フセリ゚が䜕を蚀いたいのか分かるんだけどね」
お姉様の穏やかな声色。わたし、コクッず頷く。
「映画の䜜品じゃないかもめです、わたしが映画遞んだの。䜕かわたし、『フルヌト〜』でも、久矎ちゃんの䜇たいに、䜕か今蚀った様な、䟋えばアンゲロプロスの映画芳に行った時のリアルな客垭のワンシヌン、被せちゃっおる気がしたす」
説明っお難しいなヌ。もっず䞊手く喋りお、もヌ。
「うん」
恭子さん、笑顔。
「ありがずう、フセリ゚。䜕か、こういう時間、たた䜜りたいね」
「いえいえ」
恭子さんは䜕で写真家になったの聞こうず思った。でも、やめた。それは、いずれ、でいいず思った。わたしが今、䜕で゚ヌガ遞んだのか、恭子さんに教えおあげた。恭子さん、満足。それだけでいいず思った。もしかしたらずっず教えお貰えないかも知れないけど、でもいいの。そんな機䌚、もし もしい぀かそんな機䌚があるずしたら っおそれを楜しみに取っおおくの。ねミケ 寝おる。寝顔がマゞで眠猫。

パシャッ

あ、たた恭子さん、シャッタヌを。
「フセリ゚、今、ずっおも良い顔しおたわ」
そう゚ヘヘ。奈良県様、ありがずうございたした凄く良い旅出来たしたよヌ

着きたしたヌ、東京です。䜕だかあっずいう間に着きたした。それがずおも切ないんです。
「 楜しかったね」
恭子お姉様。
「うん」
怎サマ。ミケも隣で䜕か膚れおるよヌな、楜しかったなヌ、みたいな。わたしそヌねヌ 
「恭子さんたた行きたい今床はホッカむドヌむェヌむ」
䜕か元気出す垃斜理恵子。だっお䜕だかさ、セツセツすんのもむダじゃねなヌんお、でヌすはいヌ空気読めない力だったら、ここにいる䞭で䞀番なんですからねヌむェむ
「ホッカむドヌ」
恭子お姉様、蚝しむ目でわたしを芋お、んで、プッお吹き出したした。
「はいヌだっお恭子さん、連れおっおくれるめですもんねヌわたし、さっき聞いちゃっおたすもヌん」
次だ、次だ、やいのやいの。次次぀ぎヌむェむ次の旅行、楜しみだぞヌ二階堂恭子お姉様
「そヌね」
あれ怎サマ、䟿乗
「わたし達、これから䞀緒に仕事するけど、皆んなで力合わせおさ」
あらたあ、流石は涌子お嬢様。䜕お蚀うのか、節目䜕か纏めんなぁ。䜕かノヌテンキな事蚀ったわたし、銬鹿みたい。けど、銬鹿でいっかねミケ
「理恵子、遊びに行ったんじゃないかんな、あん。『かぐや姫』のロケ地遞考で行ったんだかんな」
ミケ、わたしに釘刺す。むテテ、でもミケの蚀う通りただ単に楜しかったヌっお高間さんに蚀ったら殺される、はい、マゞ。
「な、䜕蚀っおんのヌミケ。分かっおるよヌ、それぐらい」
あれ、䜕だかい぀ものフセミケに戻っお来たしたよヌ。
「りフフ、たあいいわ。別に。たた近い内に䌚いたしょう」
バヌむ、ず手ぇ振り、去る二階堂恭子。絵になるヌ。さよなら、お姉様たた䌚いたしょうね
「じゃあ、わたしも。理恵子、慶子楜しかったねたた行こうね」
ガラガラガラ、ノィトンのガラガラ匕いお去る涌子お嬢様。
「理恵子ヌ、わたしももう垰るわ。あん」
「そう」
䞀緒に垰らないのでも、それもいいよねいっ぀も䞀緒じゃなくおも、ねヌわたし、りィンクした。垃斜理恵子、枟身の䞀撃だぞヌ
「 プッ」
ミケ、ニコ。でも䜕だか切なげ。䜕でううん、そんな事知っおる。垰りたくないよねわたしもホントはそう。ううん、きっず恭子さんも涌子さんも同じ。でも垰らなきゃね。うん、そう。わたし達、オトナだもんね。けどね、やっぱさぁ 
「理恵子、たたね」
ミケ、背を向ける。うん 倧人だけどさヌ、やっぱ、寂しいもんは寂しいよね。だからわたし達っお、映画䜜ったり、写真撮ったり、音楜䜜ったりするんだよ、きっず。

“フセリ゚は䜕で映画監督になったの”

そ、そそそ、それは、そヌですねヌ 所で わたしの䜜った映画、芳たくないね

郚屋に垰っお来たした、わたし。お土産、ドサッ。そしお倧きな倧きな溜息、フヌッ楜しかったなヌ、UNOやったりヌ、お鍋食べたりヌ。垰っお来た、あヌ、぀たんねヌのヌ。
Pad開いお、テキトヌに゚ヌゟヌ芳る。䜕か小腹枛った。シヌチキンの猶詰猶詰。シヌチキン箞で摘みながら゚ヌゟヌ芳る。぀たんなヌい。䜕もオモシロ映像出お来ないぞヌ。芖聎者は、勝手なのだい。
ハヌッ、明日はもう高間さんず䌚わなきゃいけない。楜しかった旅行のダむショヌはおっきヌ。ハヌッ、働きたくねヌ。倧䜓、䜕で映画䜜る事思い付いたんだろ映画䜜るの思い付かなかったら、ただ皆んなで奈良行っお楜しかっただけなのにヌ、もう。

ず だらしなモヌドももヌOFFにしお 

わたし、Pad暪に眮いおノヌト開いおみた。

『垃斜理恵子の手垳』

わたし、『かぐや姫』のモヌ゜ヌをちょっず働かせた。でも嘘みたいでしょわたしから自分でモヌ゜ヌの䞭に入ったのだ。偉い、偉いぞよ、垃斜理恵子。

『垃斜理恵子の手垳』

䜕ずこの䞭には公開するずダバめな事ばっか曞いおあっおミケにも芋せおねヌの。うん。䜕がダバめえヌそりはナむショですこずよ、ナむショ。オホホ。

かぐちゃん、どんな着物が奜き
かぐちゃんならヌ、やっぱヌ、赀のさヌ、ねヌ金魚みたいな。鯉じゃダメ、䜕かヌ、ヒラヒラしおおヌ。

そんな事䞀人で喋っおアブなノヌトの䜙癜にむラストサララ。

サラサラ 

サラサラサラ 

それは竹林の颚に靡く笹の音になりたした。

アニメヌション孊科行けば良かったなヌ、ハァヌ。

倜の竹林なの。

わたしの鉛筆からサラサラサラサラず絵が動く。

いえ、別にわたし、絵ぇ動かしおる蚳ではありたせヌん。あくたでもモヌ゜ヌです事よ。

ほら、たん䞞お月様。玠敵でしょ。

ダバい、色塗りお。どヌっしょっきゃなヌ。

サラサラサラサラ 

その音が止みたせん。でもいいのだ。だっお今はここにわたししかいねヌんだから。

“今はここにわたししかいねヌんだから ”

ブワッ䞍吉な颚が吹き付けたしたよヌコワヌむそうそうそう、ここでね、皆んなを怖がらせるのねミケかぐちゃんがね、出お来る時はね、絶察䞍気味にするの䜕で䜕でっおそれは 

ねヌ、かぐちゃん。䜕であなた、竹の䞭にヌ、入っおたんですかヌ理恵子にはおせヌおよう。

ピンクの竹
これはわたし達だけの突飛なアむディア
こんなカワむヌ竹からカワむヌ赀ちゃんのかぐちゃんが出お来るのだ。

月から来たのでおじゃる

「えっ⁈」
完党モヌ゜ヌ爆進状態だったわたしの向かいに䞍思議なぞヌアンキョヌっぜい“おじゃる”がいたした、“おじゃる”が。䜕だりょ、この圌氏぀ヌか、モヌ゜ヌの爆進が ずうずうわたし、限界

4/8

「おじゃるっお、あなた、誰なのヌ」
おじゃるに聞いおみたした。
「もうお目芚めにならなければのう、ホホホ」
「ホホホ」
わたしも䞀緒にホホホ。おかほっずいおヌな。今、゚ヌガ䜜りで忙しいんや。
「お䜜りにならねばのう、ホホホ」
そう蚀うず、おじゃるは袖から䜕か出したした。䜕だろがんたん风黄色のたん䞞。箱揺すっお手に転がしお食べたしたね。䜕だろ、それ、わたしにも頂けないでおじゃるか
「そうです事。ホホホ。ずころでわらわも䜕か食べたいでぞなもし」
こんな喋り方だったっけ忘れた。でもたあいヌや。盞手はワケわかんないおじゃるだし。

ホホホ 

蚀っおみるもんですねヌおじゃるが箱を前に差し出しおくれたした。わたし、䞡手でお怀䜜りたしたヌやった

コロコロ 

やった、わたしセヌカむこりはがんたん风やったヌ頂きたヌす。
「かぐやは埅ち遠しくお埅ち遠しくおいっらいっらしおるでおじゃぁる」
ほっぺゎロゎロさせる、おじゃる。ゲッ。刀っおたす、はい、刀っおたすよヌ、垃斜も。でもそのあの、奈良に行きたかったのヌ。ごめんねヌ、かぐちゃん。
「そ、そりはそのう 儚い事で」
䜕を蚀っおるんでおじゃるかわたし。でもほが倖囜の人ず喋っおるみたいなの。ねぇもしタむムマシンがあっお昔の人ずお話したら、きっず今の垃斜ず同じになるず思いたすよヌ同じ日本語なのに違和感ハンパないのヌもヌミケヌ助けに来おヌ
「はよ目芚めなさいな。理恵君」
りえぎみ初めお呌ばれた。䜕でおじゃるかのう、いず儚し。
「たぁろはかぐやをはよ、連れお行きたいでおじゃある」
これを聞いお、トロいわたしにも盎感電撃刀ったこのおじゃる、月からのお䜿いの方めでヌすきっずヌダベ、シツレヌのないよヌにしねヌず
「それは、ホホ、しばしのずきを」
ここで扇があったら顔半分隠すの。あ、挔出で䜿おっず。
「はよお目芚め、理恵君」
そんなはよはよ急かされおも困りたすわ。だっおわたし 

うさぎはね
おなかはたるよ
こがねもち
ひめみこのめの
せんりょうたんりょう

たた おじゃるもかなり謎めな短歌。やめおヌな、垃斜のノヌミ゜には無理めなんですからぁ。でも やっぱこの時代のお姫様やおじゃるっお䌚話するみたいに歌を歌っお、自然にヌ、んでコミュニケ取っおたんですかねヌ 䜕か、ベンキョヌになりはりたすわ、ありがずさん。
おかヌ 歌詠たれたら、それ解釈しお返さなきゃいけなめでしたっけもヌ疲れる考えなきゃ

えっずヌ えっずヌ 

ん䜕きゃ聞こえるな。でも返歌考えなきゃ。えっずヌ えっずヌ 

䜕きゃ聞こえるなヌりルサむ、もヌこっちは今それどころじゃないんでおじゃるよヌもヌんでもやけに迫っお来る音だにゃ。䜕でおじゃるかんん⁈

電話だ電話しもた寝おしもヌおた
「はははは、はいヌ垃斜理恵子、ただいた戻りたしたよヌ」
誰から䜕も衚瀺芋おなかったけど、ミケかにゃ
「垃斜ヌやっず出たよもしもし俺俺」
俺俺これはもしかしおサギめの奎ですかねヌ 声は高間さんに䌌おるけどヌ。
「俺っおヌ、誰めなんですかヌ」
サギには匷く出たすぞはいヌ蚱さないぞオレオレ詐欺
「䜕を 高間だよヌタ・カ・マ寝がけおんじゃないよヌタッハッハ」
たたやっちたった。シュン。
「し、シツレヌしたしたごめんなさヌいこちら垃斜理恵子でヌすどヌぞ」
ややパニックめ。ごめんなさい、高間さん。
「どヌぞ、っお無線やっおんじゃないよ党く頭ん䞭遊園地なんだからようあトロトロやっおる堎合じゃねぇんだもう知っおるか」
ん䜕かダバめ。
「し、ししし、知っおる」
「だよなぁ。お前じゃあそうだよなぁケヘヘ、ただニュヌス知らねぇか」
「に、ににに、ニュヌスですかヌ」
䜕のニュヌスだ䜕かダバそう
「ああネットでもテレビでも倧倉だよヌお前束浪久矎が結婚だ」
「ケ、ケケケ、けっこヌん⁈」
「そうなんだよぅできちゃった婚だずにかく䞉田君がそっち迎えに行っおっからこれから倧倉だよヌ党くよヌじゃあなケヘヘ」

ガチャ

っおケヘヘずガチャで終わらせないでくれる⁈ダバい、ダバいよヌ垃斜組、最倧のピンチの予感ですよヌ

4/9

「理恵子ヌ理恵子ヌ」
ピンポンピンポヌンミケ登堎
「は、は、はいヌただいた」
ドア開けにダッシュはい開けたしたヌ
「ダッバむよ理恵子ヌ」
ミケ×パニック×叫び。
「りンりンりンりン」
ワンちゃんみたいに銖瞊に振る。
「もう聞いた」
「りンりンりンりン」
どこのワンちゃんなんじゃおかボケおるバダむじゃない
「誰から」
「りンりンりンりン」
「りンりンじゃなくっお」
「キャヌッ高間さん高間さんですよヌ」
「じゃ、聞いおる」
「えっ䜕を」
「あんこれから久矎ちゃんず䌚瀟で䌚うのあん」
「フェヌッ」
「ちょっず理恵子しっかりしおダッバむんだからどヌしよう⁈これから」
するずわたし、あら䞍思議。お腹にキュッず力が入りたしたのでおじゃる。
「慶子、じゃあちょっず支床するから埅っおお」
「し、支床だヌ」
あ、たたミケのお目々がお星様になった。ホホホ、そうでおじゃる。萜ち着いおたもれ。
「ホホホ、久矎ちゃん、結婚ホホホ」
わたし、着替えに行く。ミケ、ボヌ然で突っ立っお。久矎ちゃん、結婚そう。

はヌい、着替え枈みたしたヌ。
「お埅たせ」
着替えっ぀っおもフツヌにカヌキのパンツず苺ゞャム色のベスト着ただけですけど。
「あ あん」
ミケ、わたしの人栌マゞ疑っおる。けど、気にしなヌい
「ミケ、䜕で来たの」
「えっそ、それは 」
「タクシヌで行こ、タクシヌで」
わたしVサむンする。
「そ、それは、任せるけどヌ」
ミケ、頭ん䞭掗濯機だぞヌ。グルグル。萜ち着きなさいでおじゃる。
わたし、ケヌタむでピッポッパ、タクシヌ呌ぶ。タクシヌ、すぐ来る。フセミケ、それに乗る。タクシヌ、動く。行き先䌚瀟。高間さんがいる所ヌ。颯爜ず走る車。むェむ、久矎ちゃん、どんな顔しお来るかにゃ車、すぐ䌚瀟に着く。道、スキスキ。だからあっずいう間。むェむ、楜チン楜チン。車降りるフセミケ。䌚瀟の入り口、受付のオネヌサン、い぀もの子。むェヌむ、ピヌスピヌス。あヌお土産忘れたヌごめヌん
「理恵子んな事話しおるバダむじゃない」
ミケのヒゲがビリビリしおたヌす。あ、ホントは無いよ、ヒゲなんお。だっおミケ、人間の女の子だもん。受付の広川さん、宮本さん、さいならヌでおじゃる。たたねヌ。あヌ、ずうずう着いたヌ。ここにボスがいるの。たた䜕やらかんやら蚀われるの。でもいいの。はいヌ。だっお愛情感じるもん。あ、アむゞョヌっお恋愛めなや぀ではありたせんからねヌネンタメ。ノックノック。ポンポンポン
「おヌい」
おじさんの声だ。
「垃斜、只今到着したしたヌ」
っお蚀っおドア開けた。
「来たよ、この人間遊園地」
「に、人間遊園地ヌ䜕ですかヌそれヌ」
「頭ん䞭が遊園地なんだよケヘヘ、いいや遅いよヌ党くよう」
「ご、ごめんなさヌい」
フフン、知ぃらないっず。
「䞉田君から聞いたか」
「はいヌ」
わたし、ミケの方向いお銖傟ける。ありがず、ミケ
「っお わたし、あんた詳しくは 」
ミケ、パニパニパニック。やヌい、ザマヌでもさ、埌でパニヌニ食べに行こっかね食べたくないパニヌニ

4/11

「聞いたんだろうもう少ししたら来るからよう、束浪達が」
腕組んで貧乏ゆすりする高間䞍二雄。でもこのおじさんも䜕かペナヌめじゃありたせん䟮れんダツじゃ。
「はヌい」
わたし、高間さんの暪に座る。その反察隣にミケも座る。
「しかしなぁこんな事になるんだったら、やっぱ遠藀藀子で行くべきだったんだよヌ。ったくよヌ。ケヘヘ」
するずミケ。
「ゲッもしかしお高間さん、もう䞀床遠藀藀子ずお話しでも、した」

ゲッ

出たした、出たしたよヌゲッの連鎖が。぀ヌかわたしのゲッが本家、むダむダむダ、違うの遠藀藀子さんだず困りめフルスロットルなゲッなのそれは、はいヌ困りたすよヌ
「えヌんなのしおる蚳ねぇじゃねヌかぞぞぞ」
高間䞍二雄、ペナヌ。
「で、でもヌ、高間さん、滅茶苊茶䜙裕じゃありたせん」
ミケ、ペナヌのセヌ反察。䜙裕のセヌ反察っお䜕お蚀うんでおじゃるか
「えヌだっおよだっおよもうおしたいじゃねヌかぞぞぞ、おしたいだよヌ、バカダロ」
こ、これは正に開き盎りの䜙裕だったんですねアッハッハおっかしヌでもミケ、党っ然おかしくなさそヌ
「おしたいっおヌ、じゃありチらの『かぐや姫』は 」
ミケの目に涙が ちょっずヌおじさんりチのミケ、虐めないでくれるヌ
「おしたいっおヌ、どっちめのヌ、おしたいなんですかヌ」
垃斜理恵子、遂に口を開く。タカミケ、こっちを芋る。
「どっちもこっちもねぇよう。だっおこれ、もう無理だもんよ」
あれ、結構高間さんマゞ。このおじん〜あったた来た
「おしたいになんかさせたせんから」

・・・・・

タカミケ、黙っちゃった。
「あんた、人の事バカにしないで。おか、高間さん、諊めんの䜕でそんな早いの」
高間䞍二雄、ちょっず俯く。
「わたし、これでも、゚ヌガずっず䜜っお来おんだから挫けそうになった事なんかいっくらでもあるんだからでも、そん床に頑匵っお 」

『フルヌトず私』

䜕だろやっぱ、あれ、わたしの映画だったんだ 
あの映画そのもののシヌン、やっちゃいたした。
するず、高間さん。
「 するっおぇず、秘策アリか」
こん時の高間さんのズルそうな顔ケヌベツもんでしたね、ケヌベツもんはいヌでも憎めない。そうよ、そうそう。゚シシシ。わたし、自信満々、指で茪っか䜜りたした。
タカミケ、二人同時に“おっ⁈”ず蚀ったのでした 

4/14

「おいおいおい聞きたいねぇ打開策あるんですか教えお頂けたせんかね垃斜監督」
乗り出す高間䞍二雄。゚シシシ、聞きたいふヌん、そう。聞きたいのフフフヌン、あ、そうおじんを芋䞋し䜙裕の垃斜理恵子。
「この 随分じゃねぇのこれだから女はようこういう時、ほんっず焊らしおくるよなぁ」
たたおじんその蚀葉遣い、気ぃ぀けな
「ねぇその、女っお、随分な蚀い草じゃありたせんねぇミケ」
ポッポッポヌ怒りのダカン、沞隰したしたよヌねぇミケ。っおミケ芋たら目が点だった。䜕ようミケ、応揎しおよヌ女が銬鹿にされおんのよヌ女がこれだから女はよう軜はずみな口の利き方、ええ絶察蚱したせん
「わ、刀った謝るごめんよ俺は軜はずみでした面目次第もありたせんこの通り」
ぞぞえっず平謝り。たあ、むケシャアシャアず。でも憎めないな。䜕だろ。さっぱりした人。蚱そっかなぁ。蚱さないかなぁ。どうしようかにゃあず嬲りモンにしおたら

トントントン

人ギクッこ、こりはもしかしお おかそり以倖䜕もないのでおじゃる。ずうずう 

「はいヌ」
䜎い声の高間䞍二雄。䜕もっず爜やかな声で蚀えないもヌ。

「倱瀌したす 」

「久矎ちゃん」

わたし、䜕だろそう蚀っおすぐ立っおた。䜕でだろう束浪久矎ちゃんずそのマネヌゞャヌが入っお来たのず同時でした。わたしがそう呌び掛けるず、久矎ちゃん、固たっちゃいたした。やだ やめおよ。そんな久矎ちゃんの顔、芋たくない。

「この床は誠に申し蚳ありたせん」

久矎ちゃんの䌚瀟の人が開口䞀番、郚屋䞭に響く倧きな声で謝りたした。えっえっやだ。䜕で謝るのっおか、やだ。こんなのすっごいむダ
「申し蚳も䜕もよう」
ず高間さん、意地悪に蚀った時。

「久矎ちゃんお嫁さんになるのねヌ‌」
わたし、速攻で久矎ちゃんの偎に行っお、久矎ちゃんの肩、撫ぜた。
「やったやったおめでずうねミケわたし達の久矎ちゃんがお嫁さんになるのヌねね」
ミケ、そうでしょうね゚ヌガなんおどヌでもいヌよねミケの顔、匷匵った衚情から溶ける様に笑顔になりたした。でも苊しい苊しそう。けどやっぱり でも、ねミケ刀っおくれるよね
「ほら高間さんわたし達の久矎ちゃんが、『フルヌト〜』の女子高生だった久矎ちゃんがお嫁さんになるのヌね良かったねどんな人なの盞手の人」
ねぇずっおも玠敵だず思わない

「垃斜監督ごめんなさい」

その時、久矎ちゃんがわたしの胞にしがみ぀いお、そしお、泣きじゃくりたした。むダ、こんなの絶察むダ。久矎ちゃんの䜓、嗚咜で震えおいたした。堰を切った様に、久矎ちゃん、泣きたした。䜕で䜕で䜕でヌ久矎ちゃん、䜕で泣くのヌもヌ
「謝らないで謝らない、謝らないもヌ久矎ちゃん、䜕で泣くのヌ⁈ワケわかんない泣くなヌ久矎ちゃんお嫁さんになるんだから、笑顔笑顔ほら」
久矎ちゃんの頭優しく撫でお肩撫ぜお、ほらほら、泣かない泣かないあれでも、これっお 䜕だかお母さんみたい りッ゜アハハハ䜕これヌ⁈ミケヌ、わたし、久矎ちゃんのお母さんみたいよヌもう
「か、監督の 『かぐや姫』、絶察やりたかったのたたね、監督ずお仕事出来るっおね ずっおもね 」
ヒックヒックしながら頑匵っお蚀う、可愛い可愛いお嫁さん。
「えヌんヌなの、たた次次次も絶察久矎ちゃんにオファヌするから仕事なんお、い぀でも出来るのよ。ねだから泣かない泣かないね」

アヌン、アヌン、アヌン 

しばらく久矎ちゃん、泣き続けたした。もういいんだよう。久矎ちゃん、おめでずう。玠敵じゃない。お嫁さんになるんだもん。映画なんかに出る事よりも、それは玠敵な事。わたししばらく久矎ちゃんを抱きしめおた。ちょっず呚り芋るず、皆んなハヌフ困り顔、ハヌフ笑顔。いいじゃない。それは映画よりも玠敵な事。この時だけは、わたしの頭の䞭に、かぐちゃんもブルトン様もどっか行っちゃっおたした。そうですよ、はい久矎ちゃんの心は久矎ちゃんのものです。そこに゚ヌガも䜕も、入り蟌めたせん

そんな䞭、久矎ちゃんを抱きしめながら、かぐちゃんもブルトン様もいなくなったわたしの頭の䞭に炎がボッ

“ここからだわこれ、乗り越えなきゃ”

4/17

久矎ちゃん、少し萜ち着く。皆んな、䜕だか優しい目。高間さん、ミケ、刀っおくれたみたい。けど、䞍満もあるよヌな、んな顔。しょヌがない、しょヌがない。こっちも゚ヌガに本気組なんである。え垃斜わたしははっきり蚀っお、どヌでもいヌんじゃないでしよヌかいえいえ久矎ちゃんの降板に関しお。それはそれ。ケッコンは結婚。そりはそり。しかし今、垃斜のノヌリには皲劻みたいなん、バリバリ走っおたす

“久矎ちゃんじゃない”

謎掛け呪文の謎解けた盎感冎え冎えだったのよヌ垃斜理恵子でも盎感぀ヌより予知胜力じゃね゚シシシ、占い垫に転職しよかな。

“久矎ちゃんじゃない”

そりは䜕でずっずわたしのノヌリにグルグルしおたのそりはそりは䞍思議。でも䞍思議ちゃんっおよく蚀われっから、た、いっか。

“久矎ちゃんじゃない”

ふずたた垃斜理恵ワンダヌランド。䜕ず今床はベヌトヌノェンだぞ、ベヌトヌノェンあの肖像画がバンッず垃斜のノヌリに

『運呜』

あの、わたし、怖い方苊手なんです。勘匁しお貰えたせん

“それは束浪久矎ではない”

では、誰がよくっお

“友よそれは決しお束浪久矎ではなかったのだ”

は、はい。ゲンゞツ今、そヌなっおたすけど。

“扉を開けるのだ、友よ躊躇わずにそう この様に”

タ・タ・タ・タヌン

「久矎ちゃんはいもう泣くのはおしたいねさあ、お行きなさいんで、振り返っちゃダメ絶察にねあなたはあなたの道を行くのよヌねわたしも皆んなも、応揎しおるの、あなたの事ねミケ高間さんだっおあなたはわたし達の束浪久矎なんだもんね振り返っちゃダメ埌に残っおるわたし達の事ずあなたの人生ずはカンケヌないのんで、考える必芁ないのよヌ」
䜕でこんな過激なんだ、垃斜理恵子でもよいじゃないですか。ねえ振り返るな真っ盎ぐそのドアから、出おけヌ

久矎ちゃん、さっきたでの涙は䜕凊ぞやら。飛んでっちゃった。んでお目々たん䞞。

「突っ立っおないで行けヌ」

わたし、おかしくなっおない指差しお、ドアを、んで、叫んでた。するず、あら䞍思議。久矎ちゃん、ニコッ笑顔になりたしたよヌ

「やだ䜕かこれ、垃斜映画の挔技指導めですかヌ⁈」

涙に濡れた笑顔。最高ですね、束浪久矎さん

「そヌよヌ指導指導久矎ちゃんバヌゞンロヌドを勢い぀けお走っお行くのねヌ⁈ミケ」

ミケに話振るず、ワナワナ震えおたすな。刀ったど映画映画の撮圱しおるよな瞬間にハむッたなもきっずそうむェむ、垃斜をナメるなよ

「刀りたした本日はシツレヌ臎したした」

久矎ちゃん、クルッ背を向けおドアを開ける。

「そそそそれでは」

久矎マネ付き埓う。

いなくなった 
いなくなっちゃった 

久矎ちゃん、シアワセになるんだぞヌ

残ったわたし達、少しもぬけの殻。でももう埌がない、ないのよヌ、垃斜理恵子どヌする垃斜理恵子秘策あヌ、忘れおた、忘れおた。あるある、ありたすよヌ聞きたい゚ッシッシッシ

でも走っおった久矎ちゃん、笑顔最高に玠敵だったヌ。やっぱ久矎ちゃんの方が良かったんじゃね

4/21

「ケヘヘ、どうすんだよ、垃斜監督」
䞋品なよな、悪い事考えおるよな、高間䞍二雄。
「どうそヌねヌ」
わたし、あっち向いお蚀いたした。たるで枝に止たった春のメゞロのよヌに。
「り、理恵子ヌマゞ、久矎ちゃん、降板出しちゃっお 久矎ちゃんのケッコンはわたしもオッケヌめだけど、んでも、え、゚ヌガがぁ」
ミケ、半泣き珍し。䜕、オタオタしおんのヌミケ。
「えヌ゚ヌガそう。そヌねヌ」
わたしの春はのどかどかどか。ピチュチュチュのちゅ。いずおかし。ねえお倩気は気持ちよかよ、ねえ久矎ちゃん結婚匏呌んでくれるかな゚シシシ、スピヌチ頌たれたりしお。
「理恵子ヌマゞダバいっおヌ」
おっずっず、ダベ、い぀もず立堎逆転しずるずよ。気分いヌけど、䜕かンゲヌミケかわいそ。んヌ。
「垃斜ヌ、ホントは䜕にも考えおねぇんだろう」
カチンなヌに、このオゞン䜕にも考えおないちょっずヌメゞロだっお怒ったら闘うのよヌこのヌ
「ミケ」
わたし、ミケの名を叫ぶ
「は、はいヌ」
ミケ、固たる。
「軜尟さんに電話」
ミケ、口開けおパクパク
「すぐにでも䌚いたいっお垃斜が蚀っおるめだっお䌝えお」
「ははいヌ」
ミケ、電話を探す探す。でもすぐ出せねヌの。もヌオタオタすんなヌ
「高間さん、䜕にも考えおない随分蚀っおくれるじゃないわたしをナメんなよヌもうこの゚ヌガセヌサク、誰が䞀番真剣に考えおるっおワタシですからねワタシ原案から䌁画からセット構想、脚本、確かに高間さん達にンゲヌ頌りたくりめですけど、『かぐや姫』の党䜓を再珟するデザむンはあなたの蚀う、ゆヌえんちみたいなこの頭に党郚入っおんですからもう久矎ちゃん降板高間さん、あなた䜕幎゚ヌガセヌサク携わっおんのヌ信じらんない&頌りねそんなのすぐ代圹立おればいヌめでしょ」
吠えるフセリ゚
「ずずず、ちょっず埅ったちょっず埅った映画に぀いおはそのよう、埌だ、しかしよう、代圹んなのすぐはそりゃあすぐ圓おられるわなけどよう、束浪久矎だぜ束浪久矎倩䞋の束浪の代わりなんおよう、おいそれ、はいお願いしたす、おな蚳にはいか 」
ちょっずパニッた高間䞍二雄、けど、䜕か察し぀いたんな顔したした。
「垃斜、お前たず軜尟さんっお 謝眪の連絡か撮圱䞭止の」
ん䞭々良い勘しおるでおじゃるぞよ、オゞン。䜕か考えおるよな感じ。
「んな蚳ないじゃん」
わたし、流し目でミケ芋る。
「あ軜尟さんですかはいはい䞉田です。はいはいあやはりご存知で 」
ミケ、アワアワ。瞋るよにわたし芋る。
「たずいよなぁ、垃斜。なんたっお軜尟さんは束浪の倧ファンだもんなぁ。束浪降板なら、気ぃ倱くすかもな。んで、゚ヌガおじゃんだ、おじゃん。ケヘヘ」
皆さん、このオゞンは意地悪で蚀っおないめにちゅヌもくこい぀はわたしを挑発しおるのだ。揺さぶられおはなりたせんのでおじゃる

4/23

「ミケ、アポ取っおわたし、代わる」
わたし、オゞンを睚みながら蚀う。ミケ、バタバタ手ぇ振る。
「あ、あああ、あのう、垃斜が、お話をしたがっおおりたしお」
頑匵れミケ今のわたし、ちっず頭がファむダヌなんで。レヌセヌに話せない
「垃斜、぀たりおじゃんにしないっお事はよ、代圹誰考えおんの遠藀藀子はもう無理だからな」
オゞン 
「遠藀藀子はじめっから遠藀さんでは考えおたせんもん。ショヌゞキ、久矎ちゃんでもなかったもん」
オゞン、ハテナ顔。
「垃斜、お前倧䞈倫か本圓の所はよう、束浪結婚でずうずう頭が 」
蚀い掛けたオゞンに、このう‌
「ホントの『かぐや姫』探しで毎日毎倜頭いっぱいだったんだヌ䜕蚀っおんのヌ高間さん日本をダむヒョヌするお姫様だよヌ⁈れッタむ倖せねヌのもうむメヌゞず挔じる人を頭が䜕その続きはスッゎむ聞きためなんですけど、もういいわ」
「り、り、理恵子ぅ。お話䞭悪いんですけどぅ」
「䜕⁈もヌ今取り蟌み䞭」
「軜尟さんがぁ」
「えっ軜尟さん⁈ミケ代わりに答えおお」
「で、ででで、でもぅ」
「でもも䜕もないの今からでも盎接お話ししたいわっお蚀っお」
「は、ははは、はいヌもしもし軜尟さん、りチの垃斜は 」
「束浪や遠藀以䞊に、『かぐや姫』できんのがよう、いるんか」
オゞン、薄ら笑っお。クキヌッ締め殺しおやりたいでおじゃる
「お生憎様わたし、もうめっけおんの」




高間さん、んで電話䞭のミケ、止たった。
「たさか」
ミケ、お目々からお星様飛び出した
「そヌよミケ」
わたし、ミケにりィンク。
「だ、だだだ、だっお留孊がどヌのこヌの あすみたせんこちらの事で、ででで、でしお、なるべく早く 」
ミケ、い぀ものミケみたいに行けヌゎヌ
「今すぐっお蚀うの」
あヌ、むラむラするぅもう
「い、今すぐ」

“アヌッハッハッハ”

するず電子音の笑い声、聞こえたした。軜尟さん、受話噚の向こうで笑っおたすよヌ。

“りえちゃヌん、埅っおるよヌ”

あら 軜尟さんのお声。しもた、わたしずオゞンの口喧嘩、聞こえめでしたあら嫌だ、オホホ。でも、安心するヌ。やっぱ軜尟さん。あったかいなぁ。このオゞンずは倧違いこのオゞンずは
「あ、高間さんそヌいう蚳だから、わたしずミケ、すぐ軜尟さんずこ行くから。埡免遊ばせ」
このオゞンの顔、芋おたくないヌクキヌッ
「俺は行かなくおいいのか」
「いいですおか来ないで」
「だっおよう、䌚瀟ずしおも 」
「そんなの埌埌でもう行くよミケ」
「はいヌ」
ミケ、バタバタ。
「そうかい。刀った。しかし䜕だよう、垃斜。䜕でもっずその本気、早く芋せおくれなかったよ」

えっ 

フセミケ、停止。
「もういいよ。行け。行きな。んで結果、教えろよ。早くな。早くおう、行っおきな」
高間さん、むスに座る、ドッカず。䜙裕芋せ芋せ。カッコいいじゃん。
「 ミケ、行こ」
フセミケコンビ、郚屋を出たしたのです。

4/26

「理恵子」
バタバタするミケがブザマでおじゃる。
「䜕」
わたし、ペナヌ。なヌんか、ぞえ、そうみたいな。ヘッチャラヘッチャラ。
「もしかしお、軜尟さんのお嬢さんかぐや姫挔らせるの」
ミケのお目々がグルグルパヌあ、クルクルパヌじゃありたせんからね。ミケはお友達だからんな事蚀いたせんよヌ。
「そう」
フフン、そヌよ。
「だ、だだだ、だっお無理じゃねちゃんずした女優さん、探そヌよヌ」
䜕を泣き蚀を。もヌ、今日のミケ、䜕かりザい。い぀ものミケに戻っお
「あ、倧䞈倫。わたしにたっかせずいおヌ」
答えんのもヌめんどくせ。
「たっかせずいおヌっお、理恵子ぅ」
たたグゞュグゞュ このぅ 
「ミケわたしに任せおもヌおんなじ事蚀わせないで」
「は・はいヌ」
やっず黙った。もヌ。はい、タクシヌ。うん、すぐ捕たった。ガチャ、ボトム、行く先はそヌねヌ、軜尟さんち。軜尟さんちたでお願い。え䜕凊のお宅軜尟さんは軜尟さん早く動かしおヌな
「〇〇番地の△×たでお願いしたす」
やった、ミケのツヌダク入りたした、ツヌダク助かるわヌ、ミケ。ありがず。あぶねヌ、間䞀髪でこのシトず喧嘩するトコだったでおじゃる。
「でも理恵子、お嬢さんの予定が合わなかったらそれずか乗り気になんなかったら 」
たた䞍安の虫。
「あ、そん時はそん時」
もヌ 
「そん時はそん時ぃマゞ、理恵子、今床ばかりはペナヌなしめなんだから」
もヌ 
「倧䞈倫倧䞈倫。ミケ、心配しなくお倧䞈V」
Vサむン、キマッタ 任せお任せお、わたしに任せおヌでも“倧䞈V”っおもう死語だにゃ。
「Vぃ⁈だっお久矎ちゃん以䞊のタレント䟡倀あるシトなんお、他考えらんねヌようこの『かぐや姫』、わたし、頭ん䞭でずっず久矎ちゃんでシンコヌしおたんだから高間さん達䌚瀟の人もそヌよヌんで、軜尟さんだっお 久矎ちゃんの『かぐや姫』を皆んな楜しみにしおくれお、んで、セヌサクたで取り付けたんだから」
もヌ 
「ミケ、䜕でんヌなに匱気なの䜕かミケらしくなヌい。あ、ケヌコヌ、䜕か食べるもん持っおるチップスずか」
「チップスだあヌ⁈」
もうニャヌニャヌ、ガミガミ、うるさいもヌ 

「慶子ちょっず静かめになっお䞋さらない⁈」

タクシヌん䞭、シヌン ダベ、ミケに怒鳎っちゃった ごめん。
「ごめん」
ミケのお耳、ショボンず垂れる。あ、これもわたしのモヌ゜ヌ。
「いいよ。わたしもね、ごめんね。でもね、ちょっずレヌセヌになっお。わたしが倧䞈倫っ぀っおんだからV」
もう䞀発。
「んな事蚀ったっお、おめヌが倧䞈倫っ぀ヌず益々こっちが䞍安めになるじゃんか」
「䜕⁈」
ミケ、お手手をバタバタバタフラむ
「んヌ䜕にもヌ」
口ドンガラがせおあっち向いた。このう シタタカな奎でおじゃる。

4/30

ピロリロリヌン

ミケのケヌタむ鳎った。ミケ、電話出る。
「あ恭子さヌん⁈」
えお姉様
「あんあんあん今マゞダバめ いやもうダバダバフルスロットルですヌ」
ダバくないっおのにヌ、もヌ

『ハッハッハッ、やっぱり』

あれ姉様もペナヌ

「笑えないですヌマゞでどヌしよどヌしよ⁈」

フヌッ ったくぅ。

『たヌいぞんねえ、たさかの久矎ちゃん降板。ニュヌスもたヌいぞんよヌ。きっずフセリ゚もパクパクしおんじゃない』

ピッキヌン、キたした。はい。䜕パクパクっお。

「恭子さヌん。聞こえおるよヌ」




ミケの顔。凍り぀いおるを通り越しおたす。そしおれツボヌ的に悲壮な顔しお電話持ったたた。んで、恭子さん、黙った。でも今は恭子さんの事、気ぃ遣っおらんない。おか、慶子がわたしをむラむラさせ過ぎ。

『フセリ゚ず代われる』

「えっはい理恵子ヌ恭子さん話したいっお」
聞こえおるっおのにもヌんなおっきな声出さんでもう電話受け取る。
「フセリ゚、マゞ、どうするの」
このう でもお姉様、したたか。サグリ入れ方䞊手過ぎ。
「おか、皆んな隒ぎ過ぎ。久矎ちゃんは結婚するのよ。䜕でハピハピハピっおあげらんない蚳⁈信じらんない」
そうよねヌね
「ハピハピハピっおあげたい気持ちは山々めなんですけど。フセリ゚、わたし達の映画の事最優先で考えお圓然でしょうわたしだっおベルリンの個展の話蹎っお撮圱に参加する蚳だし。䜕『かぐや姫』、止めるの」
ケッコヌ、タカマヌさんず同じ角床で投げお来たすコトムヌベルコテの話はキツいですヌ
「えヌ止めるなんお、誰も蚀っおないよヌ。わたし止める気なんおサラサラなさめだし」
ミケ、わたし芋る。ぶったたげ凝芖
「止めないそう 」
ああ、恭子さんの衚情が目に浮かぶ。仕事する人の顔しおるんだろな。わたし、スマホ持ちながら姿勢正す。負けるもんですか
「じゃあ䜕か考えおるっお事ね」
恭子さん、䞁寧に蚀う。
「そう。そうよ。そう」
ミケはゞタバタし過ぎだけど、恭子さんには䜕かが䌝わったみたい。
「それで今、移動しおるの。少し目凊が付いたら、恭子さん、わたし連絡するから」
わたしも蚀葉、気を぀けお気を぀けお、ず。
「そう刀った。埅っおるわ。理恵子、がんばれ」
「えっ」
電話、切られちゃった 
「理恵子ヌ、倧䞈倫恭子さん、怒らせなかった」
ミケ、オドオド。でもわたし、知っおるヌ。ミケ、恭子さんが倧奜きだもんね
「えヌ倧䞈倫めじゃないあの人、そんなに现かい人じゃないんだから」
フフフヌン、V
「りりり理恵子⁈あ、あ、あんたは䞀䜓⁈その自信は はっ⁈もしかしお 」
んどしたミケ。

「キタヌッ“映画の神様”理恵子にコヌリンだヌ」

ギニャヌず叫ぶ䞉田慶子おヒゲもビリビリずころで はあ“映画の神様”䜕蚀っおんのヌ、ミケ。ずうずう限界め

5/5

たたピロリロリヌン、ず。もヌ。
「ワヌッ怎サマヌ⁈そうそうなのそうなのそうダバいのヌ」

「ミケ」




「もヌ、ダバい蚀うなヌダバくないダバくないぜヌんぜんダバくない」
「でもヌ」
「でもも䜕もないのヌ刀っおるめでしょわたしが䜕狙っおっかっお」
「そりはそヌなんだけどヌ」

『䜕フセリ゚、ブチ切れハハハ』

ピアノの高い音のポロポロポロリヌンな笑い声ポロネヌれみたい。その胜倩気さが、このう 他人事めでおじゃるあでもポロネヌれ スパゲッティ食べたくなっおきたのでおじゃる
「そうそヌなのヌ理恵子、ブチ切れヌ」
ミケ、ズルいですヌ怎サマに瞋ろうずしおおじゃる
「ブチ切れなんお蚀わなでよヌ䞀生懞呜めなだけでおじゃる」
やだ、ずうずう“おじゃる”が出おしたったでおじゃる。

『代わっおヌ』

もヌ 
「はヌい、垃斜理恵子でヌす」
もう りザった。
『䜕倧䞈倫めニュヌス、ダバいよヌ』
「えヌ⁈倧䞈倫なんじゃないですかヌ?」
早く軜尟さんち、着け。
『゚ヌガ、撮圱䞭止め、あり埗る』
もヌ 
「あり埗りたせんあヌ、もヌミケがダバいダバいゆヌから倧䞈倫でヌす」
わたし、ミケ睚む。ミケ、゜ッポ向く。このう 
『あ、そう止めたら怒っからねヌ』
「えっ」
意倖でおじゃる 
『わたしの代衚䜜になるオペラを䜜るのよヌ止めたら絶察蚱さないもうンゲヌ、出来掛かっおるめなんですからねヌ止めたら、ンモヌ絶察蚱さない』

ケラケラケラず笑っおたすもん。぀おいよ、このお嬢様
「倧䞈倫怎サマ絶察、怎サマ䜜のオペラたで挕ぎ着けるのよヌンモヌ」
ンモヌ牝牛のコンビ、最匷ですね任せお理恵子に任せおよあれでも埅およ
「でもC子さんやけに 」

ピコヌン気付いたキッタネヌ根性、芋えたしたヌ
「もしかしお、そんなに拘りめなのは 」
“あの方”ただ“あの方”ずキッカケ䜜りたいが為に 
『“やる”っお聞いたからもういいや。じゃあねヌ』

ブツっ

このう このこのこのみんなみんな勝手ホヌダむでおじゃるわらわの事、䜕ず心埗る名画『フルヌトず私』の監督でありたす事よ⁈もヌもヌンモ〜っんずにもヌ ず、着きたしたわね、やっず。ホホホ、敎えなきゃ、軜尟さん、お久しぶりです事、ず、ホホホ。

5/7

「理恵子ヌ着いたよヌ」
もヌ芋れば分かるわよヌりルサむミケ猫ニャンコめ
「フヌッ、そう」
「そうだヌ早く行かなきゃ行かなきゃ」
ハァヌッ、早く行かなくったっお軜尟さん、逃げないよヌ。ワッミケ、わたしの袖掎む
「早く行かなきゃ行かなきゃ行かなきゃヌ」
「もヌミケ萜ち着いお倧䞈倫だから」
「倧䞈倫も䜕もあるきゃヌわたし達の゚ヌガがぁ」
たあ 慶子 泣き虫。錻氎たで出おるわよ 蚀おうず思たけどやめた。ホンマ、えろう 

ホンマ、えろう 

やだ、須川サマの頭掻き掻きの照れたよな笑顔。垃斜のノヌナむ・テアトルに映りたした。さっき怎サマず話したきゃらだにゃ。このう た、いっか。今のミケにこんな事蚀うの、酷やないの。だっお 䞀生懞呜なんやから。そう 䞀生懞呜なんだから

「ミケ、あヌんしお」
「は」
わたし、ポヌチをゎ゜ゎ゜ 
「はい、あヌん」
「あん」
あ、ミケの頭の䞊にUFO出た。グルグル回っおるヌ。
「あん、じゃなくおあヌん早く」
ミケ、お目々パチクリ。んで、あヌん。

ポンはい
ボンタン风
理恵子のポヌチは四次元ポヌチ。
䜕きゃ色んなモン入っおるのだ。
“おじゃる”が入れたのきゃな昚倜。
知らない

「 」
ミケ、口閉じた。んでモグモグ。やっず黙った、もヌ。
「行くよ、ミケ」

ズンズン、ズンドッコ、ズンドッコ理恵子

ミケも歌っおせヌの

ズンズン、ズンドッコ、ズンドッコ理恵子

 んな気分で玄関ずヌちゃく。ピンポンピンポン

『あヌりえちゃん埅っおおヌ』

あヌ、くたプヌの声ヌむェむ、やっお参りたした、゚ヌガ監督ずそのお友達のネコちゃんよヌ今日は䜕ご銳走しおくれるのヌパニヌニポロネヌれのスパスパパパッティやべ、“ゲ”が抜けた。た、いっか。いっ぀も“ゲッ”っお蚀っおっから。

「りえちゃんケヌコちゃんようこそ」

オホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ

 䜕ず蚀うのでしょうわたしのオホホは“あらたあしばらくです事オホホ”。ミケのは“半分ダベェんだけど笑っずこ”のオホホ。どうなるのきゃな

「ねえミケヌねホントにヌ」
「゜、゜゜゜、゜ヌネヌオホホ」

二人で口に手を圓おお。かぐちゃんの時代だったら、お口を扇で隠しおいる所でおじゃる。

5/10

「さあ入った入った倧倉だなぁ、りえちゃん」

アハハハ、ず、くたプヌ。䜕か安心だにゃん。このクマちゃんの反応は、うん、倧䞈倫ぃ※V。悪い方には転がっおいかねめ。うんうん、だから蚀ったでしょヌミケ。んヌ、ミケの顔、䞍安そう。たヌだ安心出来ぬでおじゃるか 

「あら宜しいオホホ、では。ねえ、ミケ」
「あ アハハハ 」
「もヌ行くよ」

軜尟さんのお尻に付いおっお広い広い客間に流れるでおじゃる。゚シシシ、゚ヌガの事よりさあ、䜕がおや぀に出んのヌセレブの出しおくれるおや぀、楜しみなのヌ

客間に着いたでおじゃる。あら奥様。いらっしゃったのお久しゅうございたすぅ。パタン、お蟞儀する。ミケ、ほらお蟞儀するのでおじゃるあれでもい぀もず立堎が逆テンテン。䜕ヌこれいっ぀もわたしがあなたにお尻叩かれおるのよヌもヌミケしっかり

「りえちゃヌん」

奥様がハヌむっお手ぇ振りたした。わたしもお返し。フリフリフリ。でも奥様、い぀も玠敵。䜕か顔面お花畑ですね 笑顔ずワンッず豊かな髪がたるで菜の花畑。ちょっずこりは ミケヌ、奥様にかぐちゃん挔っお貰おっか

「座っお座っおおい、お茶を頌む」
「今持っおくるわよ。蟺芋が」
「そう」

くたプヌず奥様、しばらく芋぀め合う。んで、くたプヌ、玍埗。

「座っお座っお」

ではシツレヌしお。オホホ 

「久矎ちゃんが結婚だっお」

「そ、それは そう。そうなのヌオヌッホッホッホ」
䜕を笑うのきゃ垃斜理恵子。でもゎマカすっきゃない。隣のミケはカチンコチンだしヌ、もヌ。

「そっかあ 」

あれくたプヌ、かなりブルヌめですヌ。そっきゃ、倧奜きな久矎ちゃんの結婚だもんにゃ。刀る刀る、刀りたするでおじゃりたするぞ、軜尟殿。

「さっきからずっずこうなのよ」

奥様、肩頬杖付いお流し目でプヌを芋る。呆れるっお顔しおる。あ、奥様ヌ、それも刀りたす刀りたするでおじゃる。䜕か男がたかがゲヌノヌゞンの結婚でブルヌになっおんの、呆れるんのよヌねミケ。

「りえちゃん、『かぐや姫』、どうするのボカァ、久矎ちゃんの『かぐや姫』、楜しみにしおたんだ」

ダベッ来た来たこりを乗り越える、ず

「えヌそんなのダむゞョブです事よ、オヌッホッホッホ」
口を手で隠しお高笑いする垃斜理恵子。あ、あれミケプヌ奥様3人ずもシラヌッず わたしを芋る。えヌナニナニヌわたし、䜕か悪い事蚀いたしたヌ曎に、オヌッホッホッホ䜕ヌするず人、ギョッずしたのでおじゃる、ギョッずえヌ䜕ヌわたし、䜕にもしおないよヌ。オヌッホッホッホ取り敢えず、笑い倒すのでおじゃる

5/12

「りえちゃん、倧䞈倫」

ず、くたプヌ。えっえっその“倧䞈倫”は、フセの粟神状態が倧䞈倫めっお事そりはないですよヌそりは

「えヌダむゞョブですよヌねミケ。わたし、ダむゞョブダむゞョブ」

ブむブむ、キョセヌ匵る、おか、貌っずこ。

「いやいやいや、りえちゃん映画が 」

あらやだ。オホホ 䜕だ、プヌちゃん、映画のお話そうでしたのオホホ やだぁ、ミケ。ねオホホ 

「えヌ䜕だヌ。映画ですかヌそれはそのう ねえ、ミケ」

っお蚀った瞬間䜕ずミケ、テヌブルに頭付きそなぐらい頭䞋げたドドドドドドどヌしたのミケ

「軜尟さんお願いしたす盎ぐにでも代圹立おたすから、映画ぞの協力は続けお䞋さいお、お願いしたヌす」

今床はフセプヌ奥様3人ドン匕き。䜕ナニなにヌミケ、萜ち着くのでおじゃるヌ

「䞉田さんどうしたの倧䞈倫だよ倧䞈倫だよただだっお、久矎ちゃんのニュヌスは出たばっかりじゃないかボカァ、いや参ったなぁ」

続いお奥様も。

「慶子ちゃんあらたあどうしお泣かないで」

ミケ、お目々が真っ赀っか。このう 倧䞈倫だっお蚀っおんのにヌどしお功を信じおたもれなめでありたすのわたし、ほっぺが颚船みたいに膚らんだ。もヌ 

「ミケ、もヌ、䜕でそんな事蚀うの。もヌ 」

思わず。

「だっお」

あら お顔が涙でぐじゅぐじゅ。もヌ 

「䞉田さん倧䞈倫倧䞈倫倧䞈倫だよほら、もう 蟺芋早くお茶あずケヌキ早く持っお来ヌい」

あらヌ こんなワタワタ焊っおるくたプヌ初めお芋るんですけど。䜕かキチョヌなもん芋れたわぁ。あれセヌカク悪め゚シシシ、しヌらないっずだっおわたしは聞き逃したせんでしたよヌ、はヌいケヌキあらやだ どんな玠敵なケヌキが蟺芋によっお運ばれお来るんでおじゃるか ペダレがぐじゅぐじゅしおきたのでおじゃる。

5/15

「お埅たせ臎したした」

蟺芋さん、やっお来たしたヌむェむ元気ヌ⁈倪ったヌ⁈前からだっけヌフセはれッコヌチョヌですのよヌオヌッホッホッホ

蟺芋さんずその盞棒、それぞれに蚭えしお頂けたしおお預かりになるのでおじゃる。゚シッシッシ チョコレヌトのケヌキでおじゃる ゞュルゞュル 

「たあ、おあがんなさい」

ミケ、泣く、止める。あらたヌゲンキンな事ケヌキ出されたら泣き止むもヌ、䜕歳児の少女めなんですかヌ⁈

「゚シ頂き 」

パチッ

むッテヌ䜕すんのヌミケ手ぇ匕っ叩かれたしたよヌしかも痛い痛いの䞀発

「理恵子もうどうすんのヌ軜尟さんにたず謝んのが先だろヌ信じらんない」

ミャヌッず。ブゥ、たたい぀ものコンビの流れになっちゃった。

「軜尟さん、すみたせんでした」

はい、謝った。わヌい、いっただきたヌす

「理恵子ヌケヌキは埌たずどヌいうケヌむか軜尟さんに説明」

「たあたあ 慶子ちゃん」

くたプヌ、助け舟。むェヌむ。

「ちょっず召し䞊がれ」

くたプヌ、ダンディヌな笑顔。あヌ、若くお痩せおる頃、モテたもしかしおうん、倚分モテた、このくたプヌ。でも、やヌい、軜尟さんがいいっお食べよヌよヌねミケ涙なんか拭き拭きしお、ほらわたし、ハンカチ出す。

フセミケ、カチャカチャず音立おお、ケヌキを食べたした 

矎味しヌ
セレブっお毎日こんな矎味しいケヌキ食べられるのいヌなヌもう䞀口

あヌ、あっずいう間。食べちゃったヌ぀たんないのヌねえ、蟺芋さんもう䞀皿、ケヌキ頂けないだっおわたし達、今食いしめおおかねヌず次い぀頂けるか刀らないのよねミケっお、ミケ、さっきわたしがあげたハンカチでお口拭き拭き。あわたしはハンカチがないダベッどヌしよう手の甲でそんな端ないマネ出来たせん事よねえだから、お茶、これを䞊手く䜿っお、んでベロも䜿っお、ず バレねヌよヌにお口回りをキレむにするのねミケ

5/17

「もっずあるよ」

やったヌありがずうプヌさんもう䞀皿頂きたいわっお蚀おうずしたけど、さすがに止めた。お茶も飲んだ、うん。準備オッケヌよ。ミケ。じゃあわたし、説明するね、プヌさんに。

「軜尟さん、もうニュヌスでお聞きになったず思いたすけど」

「えっ⁈うん」

「ずいう蚳で、久矎ちゃんはわたしの方から、はい、今回の撮圱は芋合わせお頂く様に、正匏に先皋䌝えたした」

するず奥様。
「そう やっぱり。久矎ちゃん、『かぐや姫』降板 」
奥様、目だけあらぬ方ぞ。

「はい」

「映画は」
こりはプヌさん。

「はい。亀代を立おお」

ミケ、お耳がピヌン逆立っおるヌ

「誰か いるの正盎、ボカァ束浪 」

「軜尟さんお姉ちゃんを起甚したいの」

ミケプヌ奥様、シヌン 
フフヌン、蚀っちゃった。

「お、お姉ちゃんもしかしお、りチのお姉ちゃん」
「そうそうですの是非『かぐや姫』に」
「ちょっずちょっずちょっず」
くたプヌ、頭掻く。ビックリしたヌねわたしもビックリだっお䜕か偶然なよな狙っおたかのよな、䜕が䜕だかクルクルポンですもんね、クルクルポンッあ、し぀こいですけど、クルクルパヌではありたせん、ネンタメ。
「りチのお姉ちゃんだっおそんな だっおお姉ちゃん、挔技なんかやった事ないよ」
くたプヌ、やっぱ混乱しおる。ちょっず衚情が 困っおるあんたり嬉しそうじゃなさめ。うヌん 
「それはわたしどもに任せお䞋さい。お姉ちゃんは、“絵”になりたす」
ピッず栞心を突く。どうかなぁ 
「母さん 」
軜尟さん、奥様の方を。するず、わたしも奥様を芋たら、䜕ず、スンゎむ笑顔歯が党郚芋えたした嘘じゃありたせん事よワヌ 圧倒的ヌ

「いいじゃない。お姉ちゃんに聞いおみたしょ」
その笑顔のたた軜尟さんの方を向いお、奥様は蚀いたした。
「お姉ちゃんに聞くいやしかしボカァ 」
「ボクも䜕もないの。垃斜さん達も切迫詰たっおるんだから。あなたは久矎ちゃんが奜きだから、出れなくなったのが残念で埌ろ髪匕かれおるだけでしょう」
「それは しかし。いや、そりゃあそうだよ。けれど、お姉ちゃんはもう留孊するじゃないか。来月」

はい皆んな止たりたした、止たりたしたよヌどうするフセリ゚でもここが正念堎なんですはいぃ

5/19

「゜コの所を䜕ずか」
抌すしかない前進あるのみのみ
「ンヌ 」
軜尟さん、めちゃ困っおるぅ 垃斜的盎感で 

“お姉ちゃんをかぐや姫で立おたいの”

“えヌっ‌そりゃあいいりチのお姉ちゃんが『かぐや姫』⁈母さんいいよなヌ”

“いいんじゃないりフフ”

っおペ゜ヌしおた。あれヌ、ハズレ。ども、お父さん乗り気じゃない やべヌな。絶察むケるず思おた 隣のミケ、軜尟さん達から芋える角床では頭䞋げめで申し蚳なさそな、でもわたしの事暪目で睚んでるヌコワヌむ

“だから蚀ったじゃんか”

っお目が蚀っおたす、目がど・ど・どヌしよけど、半分ケロリ。䜕故䜕故か冷静めの垃斜理恵子。䜕でそりは 

「今日すぐお返事欲しいっお蚳でもないんです。そしお、わたし、お姉ちゃんずも盎接お話ししたいんです」

そうですよ。ねヌ急転盎䞋で、すぐにオファヌしおすぐ快諟もないもんでおじゃる。時間はゞリゞリ迫っおたすけど、ねヌ時間はみたす、みたすよ。ねヌミケ。

「でもさ」
あれ奥様䜕かしら
「お姉ちゃん、今いるわよ。呌びたしょ」
サッず立぀奥様。䜕か颯爜ニコニコ、ずいうよりギラギラしおおりたするノリノリでおじゃるかこりはこりで奜材料、奜材料゚ッシッシッシ
「是非」
垃斜理恵子、手ぇ䞊げおお願いしたしたよヌはヌいはヌいねえノリっおあるず思わないそん時起こったノリに乗っずく。これ理恵子の人生の鉄則です、はい。あ、わたし、ゞンセヌ盞談でもやろっかにゃ『映画監督 垃斜理恵子の郚屋』 いくない

「母さんちょっず」

あれい぀も優しいくたプヌ、声がおっきい やだな、䜕か。軜尟さん、マゞで乗り気じゃない

「なヌに」

ありゃた、たるで銖のながヌいオシャマな猫みたい。振り向いた奥様。

「だっおお姉ちゃん、ケンブリッゞに行くの、ずっず楜しみにしおたじゃないか」

け・けけけけけけけっフセ

ケンブリッゞヌ⁈フセ&ミケ

セレブゥ‌もう負けそう

5/22

「そりゃあそうですけど」

ふふふヌん、な奥様。䜕かダバいにゃ。嫌な予感がするでおじゃる

「そうだよ母さんその為にお姉ちゃん、䞀生懞呜勉匷したんだから」

くたプヌが乗り気でなかった理由、刀りたしおおじゃる。そヌだよヌ そんな理由あったなら 䜕かわたし、いや、わたし達、お邪魔虫めフルスロットルでんがな。でも 

「そんなの、テキトヌに折り合い付ければ撮圱しながらガッコヌ行けばいいんだし」

奥様、ニコッ䜕かこの奥様、䜕かに気づいおいるんでおじゃる。でもそりは垃斜の、実はわたしの本音のホンネのほんねの ずヌっず心の奥、掞窟の䞭にある氎溜りにね 

「母さんテキトヌなんお蚀うもんじゃないよ孊校入ったら、勉匷をやるもんだよそれに、孊校でお友達も䜜っお ボカァね、母さん、孊校生掻に集䞭させおあげたいよずおも、ずおも倧切な思い出になるのだから。それに思い出䜜りだけじゃなくお、お姉ちゃんはお姉ちゃんの進路、お姉ちゃんの将来があっお、それで勉匷しに行く蚳だからずおもずおも倧切な時間だよだっおりえちゃん」

「はい」
キョトン、の垃斜理恵子。

「映画だっおそんな生半可な物じゃないでしょうそんな片手間になんお 皆んなの心を感動させる䜜品を䜜るのだから、ねえ⁈ボカァそれ、生半可じゃ駄目なんだず思うな」

やだ 軜尟さん セヌロン わたし、軜尟さんのこの蚀葉の方に、感動しちゃった じヌん 枩かいですね、お父さん

しかしなんです、はい。奥様これがもう、負けず嫌いなのかなんなのか次の蚀葉聞いおヌ

「お父さん、今のお姉ちゃんの茝き、それは今撮っお貰わなきゃ」

ガッツヌンもうびっくりヌ映画監督顔負けでんわヌわたしの心の掞窟の氎溜り、そんな所にあった、䞭々人に蚀葉ずしお䌝えられる蚀葉ではない蚀葉 映画監督皆が思っおいる蚀葉 

“今撮らなければ、もう2床ず撮れない”

その時、垃斜の頭ん䞭にフィルムのリヌルがピヌッ。クルクルクル カリカリカリ 

“それはそれは長い様で短いお話”

あらたあ懐かしい淀川先生のお声です䜕だか懐かしいわあ あれわたし、い぀の間にか映画通の客垭にトリップしおるんでおじゃる。

“ええ、ずっおも短いのよヌ。映画の歎史はね。ねえはい映画、20䞖玀の産んだ至宝でありたすねぇ”

あらたあずっおも叀い叀い映画がスクリヌンに映っおたす。

ワァッ玠敵ディヌトリッヒ様お顔が人工的過ぎお䞍自然でおじゃる。けど、これメむクなのよヌ。ねミケあれいないいない。

あクレヌンに吊り䞋げられおるキヌトンンンンタヌむヘン危ない危ないよヌねえ誰かキヌトン様を助けおあげおでも倧䞈倫倧䞈倫なのだっお鉄人キヌトン、呜が個も個もあるお方きっず乗り越えたすわよホッホホ ハァヌッ、ハラハラドキドキ 

ドキドキ ハラハラ 

あんぐりしながら手元のコヌンずコヌラ。

ドキドキ、ハラハラ 

“今撮りたい物は、撮らなきゃねヌ”

そうですの先生

“い぀も、ねえ、映画い぀もねえい぀の時も映画”

はい 

“理恵子さん、埅っおたすよ”

えっ䜕ですか

“玠敵な映画を埅っおたすよ”

あれ先生、グヌパヌグヌパヌ始めた。あれい぀もの決め台詞は蚀っおくれなめ

脳内トリップから垰還そしおわたし

「『かぐや姫』の為なのそうなのわたしのワガママでもわたしだけのワガママめじゃない軜尟さんお願いですわたしにお姉ちゃんず話だけでもさせお貰えたせん⁈」

氎打った、シヌン 

しかし曎に 䞊には䞊がおわしたすでおじゃる。

「お姉ちゃん、呌びたしょ」

奥様、アッケカラン、カラン、カラヌン 
しかし、カランカランダカンしおたらダメなんでおじゃる

「是非是非是非お姉ちゃんずお話しさせお頂けたせんか⁈」

くたプヌ、困った。奥様、ニカッ。んでりチのミケは顔が北極の吹雪の䞭のペンギン。か、南極。

「困ったなぁ。こりゃあ困ったぞ」

ありでもプヌ、ちょっずだけ笑顔に なんだ ホントは嬉しめ嚘ちゃたの゚ヌガ出挔。ねヌ、淀川せんせ。こりっおやっぱ、おずヌさん的に嬉しめですかヌた、いっか。抌せ抌せヌ垃斜理恵子

5/24

「困る事もないじゃない。だっお、りえちゃんのお話聞いお決めるのは、お姉ちゃんじゃない」

お、奥様 䜕ずありがたい暪槍を 理恵子、涙が出るほど嬉しいめヌねミケ

「困った 」

くたプヌ、ブヌっ。むくれおたすよ。でもちょっずダベ。軜尟さんをあんたり怒らせおはなりたせぬよヌ。ここはナリナキに任せお黙っおた方が良い様でおじゃる。

「お話だけは、いいんじゃないのかしらねえ、蟺芋」

りワッこんな話振られた蟺芋さんにどヌじょヌしたすんでおじゃる。

「旊那様、私思いたすに 」

あれ蟺芋、あなた 随分ずズむッず出たすわね ちょっず理恵子、驚きたすでおじゃる。

「んヌ」

りワッ プヌ、苊い顔でもヌ そんなに嫌め゚ヌガにお姉ちゃん出す事 

「里奈様、きっずお断りになるか、ず」

「ゲッ」

ダビャむ軜尟さんちでゲヌ蚀うおしもたしかも蟺芋さんの声、超クヌル。フカフカした癜髪がずおも凛々しい玠敵な方ですねあれ耒めおるバダむじゃない䜕おこず蚀うのヌ⁈ぞんみヌ

「そうか」

プヌ、ひょヌじょヌ倉わた

「ええ」

「随分、自信あるなぁ」

プヌ、頭掻いお撫でお。

「旊那様、わたしも、ずっず芋おたした。お嬢様、ずっず頑匵っおらした。本圓に、䞀生懞呜に。それで受かった孊校、そしお留孊ですから」

・・・・・

軜尟倫劻ずわたしたち、しヌっレンス※サむレンス。蟺芋さん、クヌル過ぎ&優し過ぎ。

「私も、僭越ながら、拝芋しおたす。垃斜様の埡䜜品」

「ゲッ」

蟺芋さん、わたしにキュヌに話振る。ゲッしか蚀えぬでおじゃヌる

「ええ、倧倉奜たしく思っおたす。垃斜様の埡映画を。旊那様、奥様ず同じ様に、貎女の䜜品に埡登堎なさる人々を、ずおも愛しおおりたす。この床は、束浪様の件、私も倧倉残念に感じおいる者の䞀人です。ただ それずこれずは別。幟幎も勉孊に励んで兌ねおからお願いを達成なされたお嬢様 これからの孊校に斌ける曎なる勉孊の貎重な時を勿䜓なくなさるのは、私、䞀人の䜿甚人ではありたすが、敢えお 里奈様の代わりになっお、お断りしたいぐらいで埡座いたす」

・・・・・

党員、絶句 ずいうか、話ぶりのむンテリ感、ハンパなさ過ぎ。ここたでの方を䜿甚人ずしお扱っおる軜尟家に倧いなる疑問が湧きたすこずよ、ホッホホ シュン。

5/26

「でもね」

あれ奥様めげおない 

「蟺芋、そしおあなた」

プヌず蟺芋さん、奥様を芋る。

「この機䌚、ねえりえちゃん。わたしね、これ偶然なんだけど、あ、このお話の事ね。お姉ちゃんのお勉匷ず留孊、そしおね、努力。わたしだっお母だもの、しっかり応揎しおたわよ。けどね この偶然“映画”になれるっおチャンスうヌん 」

やだ 奥様の䜕ずむンテリ感話す調子にカクチョヌが

「人生さ、䜕も蚈画した事のみ、綺麗に敎然ず進むだけでも、ねえりえちゃん。だっお、女だもの。自分の䞀番綺麗な時を撮っお貰う事の喜びは そうよね」

「ははいそヌでヌす」

垃斜理恵子、恥ずかしながら、随喜の涙、溢れたしおおじゃる奥様、そうですのよそうなのヌもヌ、奥様䞀生぀いお行きたすんでおじゃる、理恵子は

「うヌん」

プヌ、腕組んで唞ったたた衚情倉わた䜕か、プヌ顔のクセに男らしい顔カッコいいんでおじゃる

「よし呌んでみよう蟺芋、ありがずう僕の気持ちを代匁しおくれおでもここは、ちょっずお姉ちゃんずりえちゃんで話しおみお貰おう呌んで来お」

ワォやった奥様のお陰頑匵っおみるもんねヌ、ミケヌっお、ただこや぀は氷みたいに固たったペンギンみたいな顔なんでおじゃる。限界倀を超えおおじゃるのかにゃゞョヌキョヌが。

「はい」

っおあれ蟺芋さん、ちょっずニダッず笑た こ、コワヌむえっさっきたでスラスラ答えおた蚀葉は、嘘なのだずしたら、䜕か頭良すぎお怖いですヌ

 皆んなで埅぀
 沈黙です
 この沈黙やだにゃ
 でも、わたし、実はホンシン、りッシッシ
 䜕だかんだず䞊手く行っおいるんでおじゃる

 サッず、ピンクの竹のある景色
 かぐちゃんが入っおいるのは金色の節
 いよいよ生たれるの
 わたしたちの『かぐや姫』

えっ⁈入っおない⁈

どういう事⁈

翁、垃斜を芋たした
こっちゃを芋るなヌ
あれ翁を挔じおんのは
䌚った事もない、須川様に竹林を譲った

けったいなおっさん

謎のおっさん 
おっさん、䜕凊行った
皆んな、探しおるんでおじゃる
あなたの行方を探しおいるんでおじゃる

おっさん、ピンクの竹を切った埌
金色の節の䞭を芋お

“入っおない”

こらヌ撮っおんだから、こっち向かないのヌもヌ

“だっお入っおないんや”

入っおないだ、誰じゃあミケ、ちゃんず赀ちゃん、入れずかなきゃダメでしょヌもヌ撮り盎し

“ち、違うその子やない”

えっ䜕りチのミケは助監督なんですがな、おっさんもヌ、ずがけんずいおや

“違うんやあんた、たちごうずる”

えっ䜕

“たちごうずる蚀うおんやその子やない”

はあ䜕蚀うずんの、おっさん。

“その子やないんやはっ⁈もう時間かいな⁈ほな ”

えっ䜕あヌ消えちゃったヌけったいなおっさん、煙になっお霞匕いお竹林から消えちゃった 

「垃斜監督」

えっ䜕
あれ皆んながわたし芋おる 
䜕
あ お姉ちゃんの声
ワヌッお姉ちゃん

「お姉ちゃん。久しぶり」

わたし、ニコッ

「お久しぶりです」

手を埌ろに組んで。ずっおも恥ずかしそう。ほっぺ、ちょっず赀いんでおじゃる。カワむむ。䜕か、『フルヌトず私』で初めお䌚った時の久矎ちゃん、思い出した。

5/29

「お姉ちゃんね 」

わたし、開口䞀番に。

「たあ、座りなさい」

くたプヌ、お姉ちゃんに。お姉ちゃん、怅子に座る。

「あのね、お姉ちゃん」

わたし、図々しく。するずミケのしっぺがけどこりはかわしたした゚シシシ、いっ぀もやられおいる蚳ではありたせん事よヌ

「理恵子単刀盎入過ぎ」

ミケのミャヌッ知ヌらないっずおかりルサむ

「あのね、お姉ちゃん」

わたし、䞡手をテヌブルの䞊で握っお。

「はい」

お姉ちゃん、顔マッカッカ䜕ヌもう実は知っおるんじゃありたせんフセが䜕蚀いたいかっお

「お姉ちゃん、もう久矎ちゃんのお話聞いた」

わたし、俯く。テヌブルの䞊の手ぇ芋る。久矎ちゃん、おめでずう。そしお、久矎ちゃんの“かぐや姫”、さようなら。久矎ちゃんがお姫様の衣装着たら、どんなに玠敵だった事か ずっずず

「はい」

りフフっずお姉ちゃん。あ、喜んでる あれ久矎ちゃんの゜クホヌ聞いお初めお喜んでる人の顔芋たしたよヌそうそうなのよこれっおおめでたい事なのよヌ

「りフフ、ねヌびっくりでね」

ん隣のミケが唟飲むゎクっお音が聞こえたしおおじゃる。

「はい」

「それはそれでね、わたし達、困っちゃったの」

「 」

「お姫様の圹をやる人、いなくなっちゃった」

゚ヘヘっず垃斜。

「 」

お姉ちゃん、りフフ。

「そしおね、今、かぐや姫の圹をやる人をすぐに芋぀けなきゃならなくなったの」

「 」

「それでわたしね、今、お父さんずお母さんず話しおたんだけど」

「 」

「お姉ちゃん“かぐや姫”になっお」

わたし、俯いおた顔、ワッず䞊げたした

しかしだったんです 

お姉ちゃん、顔をグニャッお歪めたした。思い出しおも、ずおも悲惚な、蟛い瞬間でした。笑顔の混ざったグニャッ。

盎感したした 

お姉ちゃんは映画に出たくない

こりはダメだ 

こりは女の勘でしょうか

もうこの䞀瞬でダメだず刀っちゃいたした

これ以䞊、蚀っおもダメだ 

どうしよう 

わたし、わたし ここたで来るたでの高揚感、無くなっちゃいたした。

お姉ちゃん、俯きたした。真䞋に、頭䞋げちゃった。

「ダメ」

わたし、雑巟絞る様に声を。

お姉ちゃん、今床は肩も䞋げちゃった 

チラッずミケを芋たした。

ああ ミケも。ミケも同じ。同じ栌奜。でも ただただただ負けるな、垃斜理恵子

「映画に出るっおむダ」

お姉ちゃん、頭䞋げたたた、頭を暪に振りたした。

䜕か匕っ掛かっおんのかにゃあ っおケンブリッゞだ でか。ラむバルでか過ぎ。もヌ、負けそヌ。

「わたし達もね、さっき聞いた。お姉ちゃん、け、けんびりっじに行くっお」

ありこりはこりでおめでたいんでおじゃるよヌねヌミケお姉ちゃん、けんびりっじに受かったっおヌ凄くないわたしやミケじゃ逆立ちしたっお入れお貰えない所なんですけどヌっお さすがのわたしも今は気分倉わんない うヌんピンチでヌす

くたプヌずお母さんを芋るず、二人ずもガッカリな衚情。こりは ゞョヌキョヌが最悪にダバめですよヌ

5/8

「むダ」

石を泉に投げるよヌに 

あら䞍思議。䞍思議っお䜕が䞍思議っおわたしの頭ん䞭の䞍思議シネマの事なんですけど 

泉そしお、石を投げる 

こりはどっかで芳たよヌな 

䜕の゚ヌガだったっけ

“玠敵な䜜品、埅っおたすよ”

淀川せんせ。

“間違うずるよ”

けったいなおっさん。

そしお、ヒロむン、泉にポヌン 
石をもう䞀個投げたしお

䜕だか凄い泉 
神聖っ぀ヌか 

“願い事叶え”

わたし、スクリヌン芳ながら、そう念じたした。
あ、思い出した 
むングマル・ベルむマン倧先生の絵かもしれない 

「垃斜監督」

ゲンゞツに戻された。お姉ちゃんに。

「なぁに」

そっから30秒ぐらい、シヌン 

「わたしね、留孊するの」

「ああ お父さん達から 聞いた 」

やだ どうも泉に石投げおんのは 

お姉ちゃん

䜕ですぐ刀らなかったんだろ

お姉ちゃんもわたしに向かっお、石投げおるのね。

「わたし、ずおも ずおも 他の事、今、考えられないわたし」

堰を切ったよう。お姉ちゃん、蚀い出し掛けたした。

お姉ちゃんの努力
お勉匷した
きっずたくさんたくさんしたのね
倧倉な事
雲の䞊の
海の向こうの
䜕だかおずぎの囜のお城のよヌな
キャンパス

んおずぎの囜

わたしの頭ん䞭の䞍思議䞖界で、䜕ず地面からニョキニョキ竹が生えお来たしたよヌ䜕これヌ⁈今床はゞブリもヌ、やヌよヌあっちでもこっちでもニョキニョキニョキニョキにょ今はンなくヌそヌしおるバダむじゃない

でもニョキニョキ 
ニョキニョキニョキニョキ 

“おずぎの囜を実珟させたたえ”

やだブルトン様お久しぶりでございたすヌでも、ありこないだ列車に乗っおどっか行っちゃいたせんでしたあのね、ブルトン様わたし 連れお行っお欲しかったのよ。やだヌ蚀っちゃった、恥ずかしヌでも本圓。䜕故あの時、わたしを眮いお行っおしたわれたのそしたらわたし ゚ヌガなんお撮る事忘れお 

“君は我が芞術運動の末裔なのだ。私達の《超珟実》を達成したたえ”

はあ䜕の事ですのわたし、そんな事よりも 

“ほら、前を向きたたえ”

ブルトン様に蚀われお、モドっお来た、里奈ちゃん、俯いおる プヌさんも奥様も、んでミケも。䜕をしんみりしおおじゃるか⁈皆の衆こりはこりで単なる電気玙芝居じゃないしんみりする事なんお党然ないダミなら、はいそヌですかヌ、ホヌッホッホッホ、他圓たりたすわっおなもんで。ハァヌッ、次誰にしよう流石のわたしもブレヌクダりン。しんみり、みりみり。䜕できゃっお

お父さんもお母さんも
りチのミケも
そしお
お姉ちゃんも 

かぐや姫、出れるずか挔じるずか
そヌいうんじゃなく

青癜い月をバックに
ブルトン様が懐䞭時蚈を芋る

こんなわたしの
自分勝手な
䞀方的なお願いを

そんなワガママを
ここにいるみんな
愛しおくれおいたの

だから、皆んなしんみり
わたし、聞いおくれただけで
胞いっぱい
ずおも、感謝です

ブルトン様、たたむチから出盎しみたい
もうお姉ちゃんには迫れないわ
でもね
わたし、負けないから
次よ
うん決めた
わたしも手探り手探り
でも゚ヌガっおこんなもん

“玠晎らしい映画、埅っおたすよ”

埅っおおねセンセ

“でも、すぐそこにあるんじゃないの”

えっ、䜕が
それは、もういいの。
わたし、䞋唇噛んだ。

その時でした 

䞍思議。

皆んな、䜕か申し合わせた様に、ここから芋えるこのお家の廊䞋を同時に芋たした。䜕だったんだろあの瞬間。偶然偶然にしちゃ出来過ぎ 

廊䞋を1人
じょしコヌセヌが
バッグ肩に䞋げお
ドヌナッツを斜め䞊に咥えお
䞀瞬、チラッず
こっちを芋お
通り過ぎた 

そしお続く、こりは垃斜の劄想

“かぐちゃん”が
右手を口に圓おお
笑いを隠しお
巊手の指で
通り過ぎた女の子を
指差しおたんでおじゃる
んで通り過ぎちゃった 

わたしガタッお立ち䞊がった

「ミケ」

ミケ、お目々たん䞞だけど、りンりン頷いおた䌝わっおた䜕かが、電光石火同じ気持ちだったのそしお、お父さんずお母さんも芋たしたよちょっずポケッずした顔、2人ずも、でも そうですそうですよヌ同じレヌカンむンスピレヌション同時ばしりのバチバチでんがな

「めっけたわ」

やだわたし声に出しちゃったんで、お姉ちゃん、䞊䜓のけ反っおビックリそりゃそヌだわ、でも、今、んヌな事気にかけおらんないの、ごめヌん

「䜕で今たで気付かなかったんだろ⁈ねヌかぐちゃヌん埅っおヌ」

「お、萜ち着いお理恵子」

テヌブルを離れかける女゚ヌガ監督ずその腰に䞡腕でしがみ぀くオンナ助監督

アヌッハッハッハ‌

ありお父さんずお母さん芋぀め合うず、同時に倧笑い䜕で䜕で䜕でヌだっお、奇跡の倧発芋でおじゃる事よヌこりはブルトン様もしかしお だりを䞻挔に据えようずしおも、ずっず違う違う蚀うおはったのは 

”ブラボヌリ゚コブラボヌ”

空想のブルトン様、ポンポンずおっきく拍手しおるんでおじゃる

もしかしお、セヌカむですか

”玠晎らしい映画、埅っおたすよ”

よ、淀川センセはい分かりたした

垃斜理恵子、『かぐや姫』、そのしょヌたいは、くたプヌんちの効ちゃんだった

この蚘事が参加しおいる募集

#創䜜倧賞2024

曞いおみる

締切:

✍フォロヌずいう支持、支揎はずおもありがたい。曎なる高みを目指しお『レノェむナ』をクリ゚むティブな文芞誌に育おお行きたい。🚬