去年のクリスマス。
12月25日、夜の8時頃。
仕事が終わって帰ろうとしたら、何かの理由で電車が停まってた。
とくに予定もなく、どうせ家に帰るだけだったし、
なんとなくの気分で、数駅分だけでも歩いて帰ることにした。
世の中はきっと、浮ついた気持ちで溢れているのだろう。
素敵なディナーでも食べている時間だ。外はいつもより、静かに感じた。
バス停の近くを通ったら、広告看板が、かつてのセフレが好きなブランドだった。とても存在感のある、キラキラとした広告だった。
普段はそんなこと、ぜったい思い出さないのに。
一人で帰る、いつもは通らない道で見つけた記憶を、思わず拾い上げてしまった。
懐かしくなって、でもそんなことを思い出してしまう自分が悔しかった。ちょっと情けなくも思う。
だって私、結婚してるのに。
でも夫は、家に帰ってもいない。別居婚だから、仕方がない。
つい、人肌が恋しくなった。
今日はクリスマス。
私の心は、仕事が終わった開放感で、冬の夜のネオンを見た瞬間から無意識に浮ついていたのかもしれない。
だから、思い出の蓋が、ゆるんでいたせいにしよう。
家に帰ったら、美味しいご飯を食べようかな。
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