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第4章 春の作付け計画② 〜レイアウト編〜

 限られた菜園空間の中で、生物を多様化させるためのレイアウトを考えてみた。
生育環境を多様化することが重要テーマになる。


生育条件のバリエーションを豊かにする

 畝一本を作っている途中で、私の頭の中には菜園を立体的に造形し、山や森林の風景を再現するイメージはあった。
 一枚の均一な状態の畑では、どうしても快適に暮らせない生きものたちが出てしまうだろう。菜園で暮らす生きもの全員に、快適な居場所を作ってあげたい。

 高さに変化をつける

 中央の南北畝が山脈にあたるだろう。畝の表面部分は最も水捌けが良く、日当たり良好で地温も高めになる。

 トマトなど原生地の標高が高く乾燥に耐えられるよう進化してきたものは、この高畝に植えても大丈夫だろう。畝に這わせる形であれば、収穫も容易なはずだ。

 山頂部分は石ころがゴロゴロとある。受粉を担う昆虫を誘き寄せるために花を植えたり、夏にランナーを下方に伸ばすイチゴを植えようと思う。

生育環境に変化をつければ、生物は多様化する

 日当たりに変化をつける

 菜園の東西両端には防風壁やバンカープランツになるソルガムやヒマワリ、次に背が高いトウモロコシ・ローゼルなどを植えたい。山の裾野に森が広がるイメージだ。ハロウィン用のカボチャも、凄まじい範囲で蔓が広がるので端に植えたい。

 これで畑の両端に日陰ができ、ある程度の土壌水分が保たれる環境が生まれるはずだ。大型植物を植えるルールとして同じ種族では株間を広く取ることにしたい。
 競合させず十分に根を広げてもらう事で、土壌中に有機物を供給することも目的としている。

 棲息する微生物に変化をつける

 細菌/放線菌/糸状菌や酵母ではサイズ・構造も全く違い、数百万種が存在すると試算されている。
 糸状菌が本来持っていない代謝系を補うために細菌を内生させているような複雑な関係性も示唆されており、「菌ちゃん」の一言で括るのはさすがに無理があると思うほど、菌類は動物界・植物界に匹敵する複雑で大きな生物群だ。

 その菌類には進化を遂げながら、動物や植物同様に水辺から離れ陸上へと進出していった歴史がある。
 私の菜園でいえば、水分がある日陰や根の表面ではグラム陰性菌が、畝の上部表層では進化により高温乾燥に強い性質を獲得したグラム陽性菌が優勢なはずだ。

 ジャガイモを水捌けが良く乾燥する畑に植えると、グラム陽性菌が原因のそうか病のリスクが高まる。特定菌が過剰に増える条件がある事で病害が起こるとすれば、同じ畑の中で生育条件=菌を多様化させることが対策になると考えている。

 乳酸菌・納豆菌・放線菌などを病害対策として微生物資材的に使う人もいるが、実験室レベルでは上手くいっても、葉面から土壌中まで複雑に構成される菌が変化する状況で、狙った有用菌だけを有意に畑に増やす事が出来るのかは疑問だ。

前作に何を植えたかも大事

 畝立てをした跡を裸地にしないように、11月に大麦・クローバー・ほうれん草の種を蒔き、所々にタマネギやエンドウを植えていた。
 今ではホトケノザやナズナとともに、地面を覆い尽くし、しっかりカバークロップの機能を果たしている。

〜冬作物のアソート その辺の草を添えて〜

 リン酸を有効活用出来るアーバスキュラー菌根菌は、ホウレンソウやアブラナ科の植物には寄生しないので、冬作に宿主植物を入れてリレーを絶やさないことで、夏作のトウモロコシなど実物野菜へのプラス効果が期待できるようにしてある。
 特にマメ科植物には根粒菌とAM菌が二重に共生するので、リレーの宿主として有望だろう。

 春作のレイアウトを考えているうちに、秋冬作のイメージも湧いてきた。
やっぱり作付け計画を考えている時間が一番楽しい。

 

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