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40. 韓国で(その3:本場の焼肉を初体験Part II)

はるばる(でもないですが)やって来たソウル。
次は何が何でもローカル色豊かな店に行かねば、と決意も新たな我々は、ホテルに戻りつつ周辺の飲食店が多そうな辺りを歩きながら、外から見て店内に地元の人が多そうな店を探したのでした。
 
と、一角に焼肉店らしきお店が2-3軒並んでいるところを発見。
但し、看板はハングルで全く読めないし、写真などもないので、中でも一番賑わっているところを見定めてから、恐る恐る入店。

ローカルなお店は外から見ただけでは良くわからず、入店にはなかなか決意が要ります。

出迎えてくれたおばちゃんに、
“We are three. Do not speak Korean.”
(三人ですが、韓国語は分かりません)
というと、ちょっとビックリされたみたいですが(多分同胞だと思ってたヤツがいきなり英語で話しかけてきたので。これはその後コンビニとか色々なところで体験しました。)小上がりのテーブルが一つ空いていたのでそこに案内されました。
 
メニューを見ても写真がないのでサッパリわからず、おばちゃんにビール3つ(これは流石に通じました)と、周囲を見回して、他の人が食べているのを指差して同じものを、とオーダー。
 
これ、深夜特急の沢木耕太郎の昔から孤独のグルメのゴローさんに至るまで、海外のレストランで言葉が通じない場合、唯一意思の疎通が図れる方法でしょう。
 
しばらくして運ばれてきたお肉はどう見ても豚さん。
韓国焼肉=牛肉と思い込んでたシロートの我々は、あれれ??と思い今更ながらもう一度周囲を見回すと、どうやら皆さんが食べているのは豚の焼肉の様です。
 
まだ、当時は「サムギョプサル」ってのは知らなかったのですが、どうやらローカルなお店では牛肉ではなく豚肉がポピュラーなのだと理解したのでした。

そんな我々にはデジャブの様にキムチ4種とサラダが各自に配られ、チェシャやゴマの葉のかごもやって来ました。
 
たれは塩入ごま油とコチュジャンがそれぞれ小皿に。
 
おばちゃんが長いままの三枚肉をロースターに乗っけて、焼けたらそれをはさみで切り分けて片っ端からサラダの更に乗っけてくれます。

こんな感じでどんどん焼いてどんどん切り分けてどんどんこっちの皿に乗っけてきます

おばちゃんは周囲のテーブルをいくつか掛け持ちなのであちこち行ったり来たり、忙しいです。
 
焼き上がったお肉をこっちの皿に乗っけようとして、まださっき乗っけたやつが皿にあると不機嫌な感じで何か言われます。
多分業務に熱心で「早く食べなさいよ。」と言ってるだけだとは思いますが。
 
大きなハサミを持っているので、と言うわけではありませんが小柄なおばちゃんはなかなか威圧感があります。
 
なので、食べてるこっちもなかなかにせわしないです。
日本の焼肉では自分で焼くことが多いので忙しく、それとは違って急かされて自分のペースでは食べられないという事の違いはありますが。
 
このたれの組み合わせには牛肉より豚肉の方が合うような気がして、3人で顔を見合わせて、やはり先ほどの店は観光客向けのところで、こういうところを自分で探さないとホンモノには出会えないのだと思った次第(ま、これは実は思い違いであることを数日後思い知らされたのですがね)。
 
さて、最後にご飯を食べようともう一度周りを見回すと、皆さん釜めしを食べています。
 
韓国では焼肉と一緒に釜めしを食べるのかなぁ。と不思議に思いながらも、
“Steamed rice. White rice, please.”
(白いご飯をお願いします)
 
“Rice”というのは分かってもらえた様なので、まあ、釜めしが来たらそれはそれで、と思っていたら…。
 
いわゆるお一人様用として釜めしの容器が使われているのでした。
韓国のお米は日本のものと同じ様で、しかも炊き立てなのでとても美味しいご飯です。

こんな感じのお釜の中に白いご飯。韓国ではポピュラーな様でした。

しばらくして、どうやら我々が一通りお肉を食べ終えたらしいと見たおばちゃんがやって来て、それぞれご飯が残っているのを見てこちらに何か言ってきます。
 
さすがにセカンド・ディナーの我々は、ご飯は全部食べきれず、
“Sorry, We are full.”
(ごめんなさい、おなか一杯なんで)
 
そんな我々のいう事を聞いてるんだか、今度はヤカンを持って再登場したおばちゃんは、有無を言わさず我々のご飯の上に沸騰した液体を注ぎます。
 
あー、おなか一杯といいながら、実はおこげだけ、ちょびっとづつカジってたのに、何してくれてんの?というこちらの視線には委細構わず、大き目のスプーンでお釜をぐりぐり。
それをそれぞれスプーンで食べる様に身振りで指示されます。
 
そう言えば、周りを見てもほとんどの人はチゲなどのスープだけでなく、ご飯もスプーンで食べています。
 
おばちゃんがそそいでくれたのは出汁か何か?と思って恐る恐るスプーンですくって口に運ぶと、これが重湯(におこげが混ざっている)。
 
おばちゃん、お湯注いだだけですやん。
なら、おこげの方が良かったのに。
とかこっちが思ってることは知らないおばちゃんは、
「何してんの、早く食べなさい。」(きっとそう言っている)とこっちに怒ってる…訳では決してないとは思うのですがね。
 
なんだか口調が強めに感じられて(これはもちろん個人差あり)、でも結局全部は食べきれずに、ご飯を残して叱られちゃった子供たちみたいな感じで、おばちゃんごめんよ_(._.)_とお店を後にしたのでした。
 
と言うのが、まだまだ奥が深い韓国と焼肉、その他のことが全く分かっていなかった我々のソウルの初日なのでした。


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