クラウドファンディングで発生する3大コスト
こんにちは、MOSです。
ここでは以前ブログでチラッと書いたクラウドファンディングで発生する3つのコストについて解説していきます。ほぼ全てのキャンペーンに当て嵌まる内容なので、キャンペーン前に読んでおくと大赤字を防ぐことが出来ます。
クラウドファンディングの3大コスト
まずクラウドファンディングで発生するコストは以下の3つの段階に大別されます。
1.試作・開発コスト
2.広告・認知度向上コスト
3.量産・配布コスト
まず1の開発コストですが、これはハードウェアでもソフトウェアでも何かを作るという過程で必ず発生するコストです。人件費なども含まれます。
特に製品試作を伴う場合、設計費や試作費といったコストは必須です。これはクラウドファンディングの前段階でかかるコストのため、キャンペーンの成否に関わらず必ず負担しないといけないものになります。
次に2の広告コスト。キャンペーンの到達目標にも左右されますが、一般的にキャンペーンの存在を周知し、支援者を呼び込むためには何かしらの広告活動が必須です。
自社メディアを所有している場合、ここを節約することも出来ますが、目標が高ければ高いほど広告費はかかってしまいます。
これもキャンペーンが失敗しても支払わなければならないコストです。
つまり1と2に関してはクラウドファンディングをやると決めた段階で大なり小なり支払うことを覚悟しないといけません。
そして最後の量産コストは、実際に資金が集まり製品を作るためのコストです。
量産コストのみ、キャンペーンが失敗したときは支払わなくても良いコストになります。一般にクラウドファンディングはキャンペーン失敗時にこの第3のコストがかからない分、低リスクと言われますが、実際は1から2までの費用割合というのがかなり大きく、思うほど節約効果は出ません。
そしてキャンペーン終了段階で量産の目処まで立っていると良いのですが、そこから更に開発を進める場合は、集まった資金から1から3のコストを差し引いてもまだ余るくらいのマージンを持たせないといけません。この辺りの配分を誤り、赤字に転落するというケースも多々見られます。
赤字になるだけならまだ大丈夫ですが、製造不可能で返金もままならずトラブルを抱えるというケースも過去に起きています(例:Coolest Cooler事件
陥りがちなパターン
クラウドファンディングを終えて、最終的な収支バランスを形成する上で起こりやすいパターンを以下にまとめます。
キャンペーンに失敗してしまうケース
これはクラウドファンディングで最も良く有る例で、単純に調達金額が目標額を下回ってしまうケースです。
この時、手に入る資金は0円のため、1と2のコストの全てを負担する必要が有ります。トータルのコストを抑えたキャンペーンにも出来ますが、やはり完全赤字となってしまうのは財政的に苦しいですね。赤字の規模によっては今後の製品開発にも影響します。
このケースでは認知度の低さによる集客不足や、目標額が高過ぎたということが考えられます。特に目標額が高い、というのは小ロット生産のクラウドファンディングで陥りがちな問題です。
キャンペーン前にかかったコストを考えるとこれ以上下げられない!という事情も有るのですが、基本的に100万円を超えるハードルには何かしらの工夫が必要と考えて良いでしょう。
キャンペーンには成功するも1と2のコストを回収できないケース
次はキャンペーンに成功し、製品を無事に届けて一応のハッピーエンドを迎えたものの、残念ながら開発コストを回収できなかったという場合です。
これは3の量産コストに目が行きすぎ、低すぎる資金目標を設定してしまった時に起こります。1から3まで全てのコストを入念に計算し、それらを回収できるという目標を立てましょう。特に広告費は思わぬ出費となるケースが多く、計算を狂わせる元になります。
一方で、赤字覚悟で敢えて低い目標額を設定するという戦略も有ります。これはとにかく製品を出すことが目的で、多少の赤字は気にしないという人が取る戦略です。資金力が有るなら、成功率そのものは高まるので中々有効な手法です。
成功したが3のコストを賄えないケース
調達額だけでは製品を完成させ、量産するコストを賄えないケースです。これは逆に3の計算が甘いことで起こります。
クラウドファンディング前に完全に製品が完成していない、あるいは今まで実施したことの無い製造工程を含む場合、量産コストが非常に大きくなることが有ります。
未完成の製品でキャンペーンを行うのはそれだけコスト面の不確定要素が高い、ということです。反対に今の仕事の延長ならコスト管理は容易で、このパターンに嵌ることを回避できます。
クラウドファンディングのコストで死なないために
クラウドファンディングとは本来足りないお金を集めるための物で、結果的に赤字になってしまうと本末転倒です。クラウドファンディングに成功しても手元に何も残らなかった、という最悪のケースを僕も過去に経験しました。
複数のクラウドファンディングを実施して断言できるのは、成功したときに大幅な黒字になる見込みくらいで始めるのがベターということです。残念ながら微益くらいの計算で始めてしまうと利幅が小さい分、赤字になりやすいです。
貴方がもしクラウドファンディングを計画しているなら、まずは上記の3段階のコストについてそれぞれ計算してみると良いでしょう。
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