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社会現象!中国フィギュア業界が進歩しすぎ

皆様ご無沙汰しております。unbotマガジン編集部です。
unbotマガジン編集部noteが復活しました!定期的に皆様に中国のマーケティング情報を共有いたしますので、よろしくお願いいたします。

さて、中国ではいよいよ春節を迎え、帰省や旧正月の準備でバタバタしているようですね。コロナから回復しつつある中国では、近年IP市場がアツいです!IP市場の中でもフィギュア、グッズなどの細分化カテゴリーも大人気を博しています。

今回のnoteでは、中国のフィギュア市場について、お話していきます。
それではどうぞ!


==================================コレクションフィギュア市場のマーケティング情報 
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2022年8月25日、POP MARTの2022年中間業績報告書が発表された。2022年上半期、POP MART純利益は前年比13.5%減の3.76億元(約75億円)で、ブラインドボックスはブームが続いているものの、収益は当時の絶好調には及ばなかった。それに応じ、POP MARTは、コレクションフィギュアに移行し、より客単価の高いMEGAコレクションなどのシリーズ商品開発に方針転換すると発表した。

では、コレクションフィギュアとは何か?今後のトレンド指標になるのだろうか?

▲POP MARTの商品
(画像出典:インターネット)

<<POPMART(ポップマート)とは?>>

 2010年創業の中国・北京を拠点とする総合アートトイ/フィギュアメーカー。“Make something fun”をブランドコンセプトに、アジア圏を中心とした様々なアーティストとコラボレーションし、トレーディングフィギュアを軸に多数のコレクションアイテムを生み出し続けている。
 2018年に上海・北京で主催したイベントには計12万人が来場、フィギュアの累計販売個数は100万個以上と、国内外に多くのファンを獲得した。
 現在は、日本や欧米など世界中へ商品を展開している。

2019-9-12,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000047874.html

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「トレンドフィギュア」という新しい市場
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フィギュアという概念はこの2年間中国でよく知られるようになった。POP MARTの大ブームにより、雑貨小売企業の名創優品(MINISO)がアートトイ専門店TOPTOYを開業するなど、トレンドフィギュアはすでに中国の若い消費者の中で話題となっている。このような時代傾向に沿って、トレンドと密接に結びついているアイテムは中国のエンタメ業界内では「トレンドフィギュア(潮流模玩)」と定義されている。

▲コレクションフィギュアに対して、「歴史や文化背景がある」「大衆の共感を引き起こす」「カルチャーやライフスタイルを代表する」といったイメージが上位を占める
(画像出典:易観分析)

易観分析の『2021年中国収蔵玩具業界市場洞察分析』によると、コレクションフィギュアはトレンドフィギュアに比べて価値を持ち、文化的、生活的な要素をより多く備えている。また価格帯も、POP MARTなどのトレンドフィギュアより客単価が高くなっていることが判明した。
コレクション系フィギュアといえば、中国ではまだ多くの消費者はミニタリーモデル、メカモデルなどコアなイメージを持つことがあるだろう。フィギュアの消費状況から見ると、中国はまだ初期の段階にある。中国はフィギュアの生産大国ではあるものの、消費大国ではない。2018年のデータによると、中国の年間平均フィギュア消費支出(世帯別)は、アメリカの1/9であり、世界平均水準より遥かに低い。

▲2018年の1世帯平均玩具消費額 アメリカ、イギリス、日本、ロシア、ブラジル、中国の対比
(出典:Euromonitor)

しかし、上記データは中国フィギュア市場の伸びしろも意味する。2016年のPOP MARTの台頭により、トレンドフィギュアが主力商品となってきたが、ここ1、2年では成長が鈍化している。一方、コレクションフィギュアは2019年より急速成長しており、今後の主力となる可能性が高まってきている。

▲左:コレクション系玩具の年間消費額  右:コレクション系玩具の年間市場規模
(画像出典:易観分析)

さらに、アメリカ・日本などのコレクションフィギュアが成熟している市場の傾向によると、一人当たりのGDPが1万ドルに達すると、コレクションフィギュア市場が急成長期を迎える事が多い。2021年に中国は一人当たりのGDPが1万ドル圏内に入った。したがって、フィギュア市場の成長が始まるのも時代にあった動きだと言えるだろう。

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コレクションフィギュアのマーケティング事例
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コレクションフィギュアはトレンドフィギュアのステップアップであるといえる。現在中国国内では、コレクションフィギュアのマーケティング前例がほぼ無いため、過去のトレンドフィギュアマーケティングを参考にしている事例が多い。

▲名創優品傘下のアートトイ・ブランド——TOPTOY
(出展:インターネット)


◆例:異業種コラボレーション、IP価値の育成

中国以外の地域では、コレクションフィギュアには通常、アニメや映画などの成熟したコンテンツが背景としてある。しかし中国市場にとってアニメや映画を切り口とするようなマーケティング方法は投資額が高く、成長サイクルも長期化するため、難易度が高い。そのため、コンテンツを迅速に成長させる方法として、異業種コラボレーションが主軸となってきている。

▲POP MARTとコカ・コーラとのIPコラボレーション
(出展:インターネット)

異業種コラボレーションの最も大きなメリットは、IPの世界観と組み合わせられることである。例えば、POP MARTのオリジナルIPであるMollyとコカ・コーラが2022年に立ち上げた新商品「星河漫步」IPコラボレーションでは、Mollyというキャラクターに「宇宙のロマン」というインパクトのあるイメージを加え、IPにコンテンツ要素を追加することで短期間内に話題性を創出することができた。

▲POP MARTとROSEONLYとのIPコラボレーション商品:販売価格29,999元
(出展:インターネット)


POP MART商品を見たことがある多くの人は、POP MARTに対して「受容力が強いIP」という印象を持つだろう。POP MARTは、いかなるブランドとのIPコラボにおいても自然に見えるという特徴がある。コスメ、奢侈品、日用消費財を問わず、どのカテゴリーの商品とも相性が良い。これはPOP MARTがコレクションフィギュアへとステップアップするメリットと言える。

コレクションフィギュアのマーケティングにおいては、このような異業種コラボレーション手法を参考とし、IPコンテンツを拡大、一般向け知名度を高める事が可能である。例えば、日本のロボットIPであるガンダムの従来のイメージは「男のロマン」だったが、Hello KittyとのIPコラボレーションを通じ、女性からも人気を獲得するようになった。


▲ガンダムX Hello Kittyのコラボ
(出展:インターネット)

コレクションフィギュアや、コンテンツIPには元々のコンテンツ背景やイメージがある。この従来の枠組みを突破するには、異業種コラボレーションは最も直接的かつ効果的な手段であり、IPを活性化かさせるマーケティング手法でもあると言える。

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ファン層やIP話題性の維持
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トレンドフィギュアとコレクションフィギュア両者の最も本質的な違いとして、コレクションフィギュアは充実したストーリー性などの背景を持っており、長くファンを維持できることである。IPにとって最大の強みは、安定した忠実なファンを育成できることである。ロイヤリティが高いファンは何歳になっても好きなIPには投資をする。これこそがコレクションフィギュアの力強さだろう。

▲上海ららぽーとの上海ガンダム基地
(出展:インターネット)

ガンダムはこのような長期投資サイクルの特徴を持つフィギュアの一つである。2021年4月、上海ららぽーとでは等身大のガンダム立像が完成した。このガンダム立像は世界で3番目の等身大ガンダムモデルである。開業当日には多くのファンが来場し、ファン年齢層は10歳未満の小学生から70歳の本物「コアファン」にまたがる。来場者の中には、高速鉄道で杭州から数時間かけてわざわざ駆けつけたファンもいた。

▲ガンダム立像のプロモーションポスター
(出展:インターネット)

このようなファンへのサプライズは「ガンダムチャイナプロジェクト」の一環である。2020年バンダイナムコグループは「ガンダムG会2020」で初めて「ガンダムチャイナプロジェクト」に言及し、中国ファン向けに新たな挑戦を始めた。今後もガンダムのファン向けに一連のマーケティング施策が行われる予定であり、ガンダムIPや付属のコレクションフィギュアのライフサイクルが長期的な効果を果たすのであろう。

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展望:コレクションフィギュアから次世代フィギュアの誕生
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数年前、POP MARTがブラインドボックスを活用して市場に進出した際、人々が人形に対してこれほど大きい情熱を持つようになるとは誰も予測できなかっただろう。
現在、消費者は実物の文化IPだけでなく、そのIPの背後にある物語、文化的側面も期待している。この変化はコレクションフィギュアのターニングポイントを迎えた事を意味しており、この消費ニーズに応えるため、国内外の無数のIPが市場を注視しながらアップデートをしている。
どのIPが次のフィギュア市場のユニコーンIPとして浮上してくるのか、各ブランドの今後のマーケティング手法に注目したい。

*本記事のデータ、画像は公式サイトおよびインターネットを参照しております。不都合がある場合はご連絡頂ければ削除対応いたします。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回の記事もお楽しみに!

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