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【前世の記憶】寝室で両親が射殺されたと言う息子


アメリカ、ネバダ州ラスベガス。マージーには二人の息子がいる。次男のライアンは長男に比べてかなり小さかったものの、発育はごく普通の男の子だった。

両親はライアンが小さい頃からとても賢いことに気づいていた。彼は語学力に優れ、何かを説明するときも明確。語彙も豊富で、大人と問題なく会話ができた。彼があまりにも明確に話すことに皆驚いた。

母親のマージーが言う。

「彼は年齢の割にはとても大人びていました。振り返ってみると、長男はいろんなことを怖がっていましたが、ライアンにはそれがありませんでした。彼にはとても冒険心がありました。」

彼は車に登ったり木に登ったり、壁から飛び降りたり、ソファから兄に飛び乗ったりするような恐れ知らずの男の子。勇敢で、年上の子達と好んで遊んだ。

両親は、彼は少し変わっていて個性的だと思っていた。しかし最初に異変に気づいたのは幼稚園に通い始めた時。学校に送り届ける時、極度の別離不安症に悩まされる様になる。それは駐車場に着くや否や、エスカレートし始めた。

マージーが言う。

「教室に連れて行くと、私の足にしがみついて、『行かないで、僕から離れないで、ママ!』と言っていました。胸が潰れそうでした。仕事に行かなきゃいけなかったから。帰ってから彼がどれくらい泣き続けたのか先生に聞くと、1時間くらい泣いていたそうです。これが幼稚園に通う間ずっと続きました」

父親のケリーが言う。

「教室に着いたら、おもちゃに気を取られている間にこっそり抜け出さなきゃいけませんでした。彼はただ長男とは違うのだろうと思っていました。兄とは全く違う行動をしましたから。長男の時は全く逆で、問題なく離れることができたのです。」

マージーは言う。

「仕事で3、4歳の子供達と多く関わってきて分離不安も見てきましたが、ライアンのような極端なケースは他に見たことがありません。彼は置き去りにされるのを心配し、二度と会えないとでも思っているかのようでした。私も夫も混乱しました。どうしたらいいのか解決方法も分からず悲しかった。私達が離れる時に彼はなぜそれほど取り乱すのだろうと不思議に思いました。」

我が子が教室で泣き叫ぶのを見たい親はいないだろう。我が子が怖がっているのを知るのは心が痛むことである。

マージーは言う。

「恐れ知らずの息子が突然怖がってしがみついてくるんです。なぜそんなに怖がるのか理解できず悲しかった。ある日彼は全く予想外のことを言いました。ライアンが4歳になったばかりの時、私を見上げて、『ママは今までのママの中で最高のママだよ』と言うんです。だから私は言いました。『ライアン、あなたのママは私だけでしょ?』と。すると彼は首を振って、別のパパとママがいたと言います。自分が私をママに選んだのだと。そこでどうやってママを選んだの?と聞くと、ママに着いて行ったんだと言います。どこで着いてきたのかと聞くと、雪の中で私の足跡を辿ったのだと。自分が耳にしたことが信じられませんでした。ライアンは雪を見たことがなかったのでとても驚きました。私達はラスベガスに住んでいます。ただ、私は東海岸の出身です。冬は厳しいので雪の中を歩いて多くの時を過ごしてきました。」

ケリーは言う。

「マージーから聞いて非常に驚きました。小さい子は話を作ったりして楽しみます。幼稚園で他の子達と一緒に過ごす中で、友達の話に合わせて話を作ったり、既に聞いたことを脱色したりしているのかは分かりません。だから最初は少し懐疑的でした。」

マージーが言う。

「生まれる前に何が起こるかをライアンに話したことはありません。この話がどこから来たのか分かりませんでした。ライアンは恵まれない人や障害者、いじめられている人々に対して多くの共感を持っています。将来何になりたいか聞いたら、軍人や警察官になりたいと言いました。この二つの仕事はむしろ人々を守るものです。人を守ること・・それが彼がやりたいことでした。ライアンには軍隊経験のある祖父がいますが、彼はライアンにそのことについて話したことはありません。警察官も家族にいないのでその興味がどこから来るのか分かりませんでした。その後彼が人を助けたいという強い願望を持っていることが分かりましたが、その理由は私の手に負えないものでした。」

ちょうど息子は何か違うと気づき始めた頃だった。ただそれが何なのか分からないでいた。

ある日マージーはライアンと裏庭に出ていた。辺りが暗くなりはじめると彼は震えて泣きはじめる。マージーには理由が分からなかった。彼は何かを指差して、『ママ、見えないの?』と言う。それが何かと聞くと彼は、『あの光、あの光だよ、あの輝く光』と繰り返すだけ。マージーが自分には見えないと言うと、彼は家の中に駆け込んだ。マージーには彼が何故そんなに動揺しているのか分からなかった。

ケリーは言う。

「マージーから光のことを聞いた時、小さな子供の言うことですし、想像力、光るおもちゃの壁の反射、コンピュータの画面などだろうとあまり気にしていませんでした。」

その後、その光はより頻繁に見えるようになる。ライアンはこれらの光を輝く色と表現し、それが彼を取り囲んでいた。彼はとても怖がっていた。最初は輝く色は外でしか見えなかったが、2階でも見えるようになり、一人で2階にいるのが怖くなってしまう。

マージーは言う。

「ライアンはとても勇敢な子で、これ以外に怯えているのを見たのは分離不安が起こっている時だけでした。これらの光が何を意味するのかは分かりません。でもライアンは普段物事をでっち上げることはしません。だから彼が見たことや感じたことは真実だと分かっていました。ただどうしていいのか分からず無力さを感じました。」

ある日ライアンが母親のところへやってきて言う。彼には別のパパとママがいたと。マージーは衝撃を受ける。

彼らに何が起こったかと尋ねると、何者かが侵入して、就寝中の両親を射殺したと言う。その後は祖父母が彼の面倒を見てくれ、大きな農場のある家に住んでいたと。

マージーは言う。

「彼はおばあちゃんのことをGrannyと呼んでいました。我が家ではGrannyという表現は使っていませんでした。彼らは6匹の犬を飼っていて、小さな犬はピックアップトラックの後部座席に乗っていた。ライアンは感情なしでその話をしてくれました。事実を淡々と語るような感じで。幼かったのでこれがどこから来るのか分かりませんでした。テレビで暴力的なものは何も見せていないし、彼を暴力にさらしたことも、暴力的なことを話す人も家族にはいません。ライアンが両親が寝室で撃たれたと言った時私は、なんてひどい話・・と言いました。他に何と言えばいいのか分からず言葉を失いました。」

ライアンには名前もあった。彼は自分は、エド・ジョンソンだったと言う。マージーは鳥肌が立ち、背筋が凍った。

「私はライアンがなぜこのような話を淡々と語れるのか疑問に思いました。彼の話には非常に多くの詳細な点があり、現実的なものに思えた・・。それで息子が前世を覚えているのではないかと思い始めました。私はカトリックとして育ち、毎週日曜日には教会に行きました。そこで輪廻転生について語られることはありません。でも常に関心がありました。ライアンの情報が詳細だったのでさらに興味をそそられました。」

ケリーは言う。

「祖父母と犬達とトラックの後部座席に乗っていた話を聞いて、最初は作り話だと思いました。ただ彼の話の中で両親が殺された部分は少し強烈に感じた・・。幼い子が暴力的な表現をすることに動揺しました。作り話にしては詳細すぎる。何か他のことが関係していると思えてきました。3、4歳の子が細かいことを作り出すのは難しいことです。」

マージーが言う。

「ライアンの話にはショックを受けましたが、あまりにも多くの詳細があったので真実だと思いました。すると急に彼の分離不安症が意味をなしたのです。軍人や警察になりたがっていることも、他の人には見えないものが見えたことも説明がつきます。彼は前世があったと心から信じていました。」

ライアンには両親のこととそれにまつわることを除いては前世の記憶はほとんどなかった。マージーが一番驚いたのは名前があったこと。エド・ジョンソン・・。

11歳のライアンが言う。

「僕に前世があるのはちょっとかっこいいと思う。二つの人生があるから。ほとんどの人はそれを理解してないけど。僕が誰だったか見つけ出すのはちょっと素敵だと思う。」

マージーはライアンからの情報から調べ始める。そしてライアンの描写と一致するケースを2件見つけた。

一つ目のケースは、16歳の少女が両親が起きてこなかったので部屋に入るとベッドで射殺されているのを発見。その家族には7人の子供がいた。射殺、子供達が親戚の元で暮らすために農場で暮らすことになったことなどライアンの話と多くの類似点があった。

二つ目のケースは、3人の子供の両親がベッドで撃たれた事件。犯人は子供達を生かしたが、子供達は両親に何が起こったのか聞いていた。

この悲惨な話の全てをライアンに話すつもりはなかったものの、名前、時代、場所の情報を提供し、彼の記憶との関連を確認してみることにする。

マージーはライアンに記事を見せて言う。

「最初の記事は1961年にアーカンソーのハーディントンで起こった事件。両親が目覚まし時計を止めないのを不思議に思った16歳の少女は両親がベッドで死んでいるのを発見した。」

ライアンは「おぉ」と言う。

「二つ目の記事は、1993年にインディアナ州エディンバラで起こった。真夜中に何者かが侵入し、3人の子達の両親を殺した。」

ライアンは少し考えた後、「分からない」と言う。

マージーは言う。

「ライアンは成長するにつれて前世の記憶が薄れてきました。だから前世の記憶とつながらない可能性があり、自分が前世で誰だったか知ることはないかもしれません。」

マージーが

「この記事でどちらか関連があると思う?」

と聞くと、ライアンは「ノー」と答える。

これらの話はライアンの記憶とよく似ていたものの、どちらにもエド・ジョンソンという名前はなかった。

マーギーが言う。

「ライアンが前世で誰だったのか、何をしていたのかを知り、今の人生と比較することにとても興味があります。リサーチは続けていきたいと思います。答えは決して見つからないかもしれませんが、特別で素晴らしい息子を持てたことがとても幸せです。ライアンは雪の中で私の足跡を見つけてくれました。最高の息子の一人です。」

ケリーは言う。

「ライアンは良い子で、強い男に成長しています。彼を死ぬほど愛しているので、常に幸せで安全であることを望んでいます。」

最後にライアンが言った。

「僕が警察官になりたいのは、前世で両親が亡くなった経験があって、他の人に同じことが起こらないようにしたいからです。」

ライアンは今でも輝く光を見るが、それに対する恐れは軽減してきている。他人を守りたいという強い関心は今でも持っている。

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