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遺伝(ノーベル賞特別企画)-CRISPR/Cas9-

ノーベル化学賞が発表されたので、CRISPR/Cas9について紹介する。

自分がどこまで理解できるのか、についてもこれではかることができるだろう。

まずは、大手新聞社で紹介されている内容を比較対象として記載。

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参照:朝日新聞社 ノーベル賞のゲノム編集「圧倒的に簡単」広がる応用研究 10/7 21:46

生命の設計図を操るゲノム編集

DNAの狙った部分をピンポイントで変えられる技術で、農作物の品種改良や、病気の治療への応用研究が広がりつつある。

クリスパーキャス9が報告されたのは2012年

今回のノーベル化学賞を受賞した2人の発見を応用した技術は圧倒的に簡単で、迅速にだれでもできるものとして基礎研究分野に急速に広まった。

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参照:コスモ・バイオ株式会社 特集:CRISPR-Cas9とはDNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術

参照:新海暁男 CRISPR-Casシステムの構造と機能 生物物理 2014;54(5):247-252

CRISPR=clustered regularly interspaced short palindromic repeats(クラスター化された規則的な間隔の短い回分配列)

典型的なCRISPRはパリンドローム(回文)様配列を含む25~40塩基の配列(リピート)が25~40塩基(スペーサー)を介して数回~20回繰り返している領域である。

Cas9=CRISPR associated proteins(Casタンパク質群)

cas遺伝子の多くはCRISPRの近傍に位置しており、これまでに約45種類が知られている。

CRISPR-Cas9とは、DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術

ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)、TALEN(転写活性化様エフェクターヌクレアーゼ)に続く第3世代のゲノム編集ツールとして2013年に報告された

標的遺伝子の変更や複数遺伝子のターゲットが容易であることから、現在、そのゲノム編集または修正に急速に利用されている。

CRISPR-Cas9システムは、細菌や古細菌においてウイルスやプラスミドといった遺伝的要素の侵入物を標的し、排除するよう進化した適応免疫の一つ。

CRISPR-Cas9システムを利用して、DNAに二本鎖切断を導入するためには、PAM配列、gRNA(ガイドRNA、sgRNA)、Casタンパク質の3つの要素が必要。

PAM配列(NGG)に隣接した標的部位に対し、ワトソン-クリック塩基対形成をベースにgRNAを設計し、細胞や受精卵にプラセミド、あるいはウイルス粒子でCasと共導入する。導入されたgRNAとCasタンパク質は複合体を形成する。gRNAがゲノム上の標的配列をみつけると、Cas9ヌクレアーゼがゲノムDNAの両鎖を切断し二重鎖切断が生じる。

・PAM配列とは、Proto-spacer Adjacent Motif(プロトスペーサー隣接モチーフ)と呼ばれる2~3塩基対のこと。生物系統やCRISPR-Cas9タンパク質の種によって異なり、S.pyogenes Cas9に対応する配列は5’-NGGである。

5'-NGGとは、5'-AGG、5'-TGG、5'-GGG、5'-CGGのことである。

現在利用可能なCRISPR-Cas9システムは、いかなる5'-N20-NGG DNA配列へも配向し、精度の高い二本鎖切断を産生することができる。

・ワトソン-クリック塩基対とはDNAおよびRNA中において標準的に形成される塩基対のこと。グアニン(G)とシトシン(C)、及び、アデニン(A)とチミン(T)がきれいに水素結合で対合し、それぞれG-C塩基対、A-T塩基対と呼ばれている。

CRISPR-Cas9システムによって二本鎖切断が導入されると、通常通り、非相同末端連結(NHEJ)あるいは相同組換え修復(HR)の経路によって修復される。

しかし、CRISPR-Cas9を過剰発現しているため、繰り返し二本鎖切断が導入され、それにより修復エラーを誘導する。

NHEJ経路では、修復過程のエラーによって、欠失や挿入などの変異を導入することができ、これによって、遺伝子内の変異であれば、フレームシフトを引き起こし遺伝子が破壊(ノックアウト)される。

また、HR経路の修復では、ドナーベクターを共導入することによって、切断部位に外来の遺伝子を挿入し、遺伝子ノックインやSNPsの置換を行うことが可能。

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新聞記事はだいぶ省かれていましたね。99%くらい。

僕が理解できる範囲で記載したため、実はこれでも70%くらい省いていることになってしまうかもしれません。

もう少し勉強して、詳しい流れを説明できるようになりたいですね。

しかも、2019年の東京大学の発表では、NGGではなく、NGNの状態でPAM配列とすることができるようになったのだとか。

つまり、Gがある部分ならどこでもきれるとのこと。

参照:https://bio-sta.jp/development/1160/

この辺についても勉強していって見たいと思います

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