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白夜行

 うなかたともうします。

 ノートを何に使おうかと思って、一貫したテーマは設けないと決めたのに、自由になんでもかけるって難しい。何気のないことまで心にとめて文字にするのだから。ということで、今回は読書備忘録。

東野圭吾の白夜行

 東野圭吾。白夜行は東野圭吾とのおそらくセカンドコンタクト。 人がおもしろいっていったものって、読みたくなる。

 ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。人生をまるっと切り出した、後味が残らない感じ。そんなお話しに最近出会うことが多い気がする。

 物語は雪穂という、美人で知的で社交的なのに顔が見えない主人公。彼女の過去を追う男たち。

 読み終えた時あったのは読み終えた達成感。なんと言ったて文庫でおそらく5センチの太さのある超長編。

 雪穂は、まさに魔性の女。女の武器を最大限に発揮して自分の魅力を誰よりも把握しているとても強い女性でした。

 気をつけて読まないと時系列においていかれるって感覚が面白い。お話がなんにも進まないように見えて、いきなりグンっと解き明かされていくストーリー。 

 ミステリーというにはなんだかもったいない感じがする。小説のためにわざと起きた事件ではなくてもっと自然的に発生した事件だったから。しょうがないと言えばしょうがない。

 白夜行は、そのタイトルの通り朝にも夜にもならない、朝と夜の隙間で生きていく輪郭がはっきりとしない人たちが絡みあったストーリー。

 ここからは私の解釈。白夜行のタイトルで連想したのは百鬼夜行だった。

 雪穂は、数多の味方と己の武器を身につけてズンズン自分の道をいく。それはまさに鬼のお頭。

 雪穂は誰よりも自由に強く生きていた。人から見れば道理が通らぬことでも雪穂がすれば道理が通る。とてつもない極悪人かもしれないが誰もを魅了する、麻薬のような魅力の持ち主。

 最後まで人の道理を外れていた雪穂を私は悪いとは思えなかった。 私もまた雪穂の魅力に取り憑かれた人間だった。


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