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03_八女は仏壇・提灯・線香、お盆道具の産地!

※この記事は「お盆と夏の涼週間」2023年7/25(火)-7/31(月) に付随した特集記事で、メールマガジンでリリースした内容をアーカイブしています。
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お盆とは何なのか?

8月1日は「釜蓋朔日かまぶたついたち」と言い、地獄の釜が開いて亡者が出てくる日という伝承がある。地獄の釜が開くと赤とんぼが出てきて、これに乗って亡き人がやってくる、とか。この日をお盆の始まりとして灯籠を家に飾る地域や、7日に七日盆としてお盆の準備を始め、墓掃除をしたり、花を用意したりする。

お盆は仏教の「盂蘭盆うらぼん」を略したもの、と言われている。仏教が書かれた梵語の「ウランバーナ」の発音を漢字で置き換えたもので、本来は「天井から逆さづりにされて苦しくもがき悶えること」を意味し、その苦しみから救われることを説いた仏の教えのことだ。が、実は別の説もいろいろある。イラン語のウルヴァンが語源で「死者の霊魂」を意味するとか、中国の儒教の祭りと結びついてできたもの、など。そして柳田国男は、お盆の起源は、日本人固有の祖霊信仰に由来し、お盆は日本人の民俗信仰である祖霊信仰の「ホトケ」と仏教の「仏」が結びついたものだと主張している。

神聖な「火」は、そのものが霊であり
先祖が帰ってくるための目印である

古代、火は神聖なものであり日常生活で使うものではなかった時代には、「火」は祖先を迎え供養するためのものであり、万灯、灯籠を家々においていた。灯籠は、念仏を唱えたり踊ったりすることの中心にあり、それが庶民にとっての死者に対する供養だった。12世紀後半から墓参り、踊りや灯篭などがでてきて、江戸時代になると仏壇が普及し現在の盆の行事が成立する。灯篭や踊りなどを引き継ぎながら、お墓、檀家制度ができ、先祖を迎え、そして送るというお盆の儀礼が成立した。

提灯、ろうろく、線香
「灯り」は現代の癒しへとつながっている

いろいろあって今に至るお盆だが、お盆で使ういろいろな道具を八女周辺はつくっている。お盆でご先祖をお迎えするために大切な「灯り」となる提灯とろうそくについて、見てみる。

・提灯
八女は岐阜と並ぶ二大提灯産地のひとつで、盆提灯は全国一の生産量を誇る。地域によって異なる形や絵付けに応じてつくり全国へ出荷している。家紋入りの提灯であれば、ご先祖様だけでなくお客さまにとっても目印となるし、和紙ごしの優しい灯りは盆提灯以外にも、祭り、神社、インテリアなどいろいろな場所で活躍している。

・和ろうそく
ろうそくには、パラフィン(石油由来)のものと植物由来のものがある。櫨(はぜ)という漆科の木の実を原料とする和ろうそくは、全国でも数件しか製造していない。八女市のお隣、みやま市の荒木製蝋所では櫨の実をしぼり、和ろうそくの原料となる蝋(ろう)を精製している。その蝋を使って、滋賀県の大與が手づくり和ろうそくをつくっている。櫨蝋の炎は揺らぎがでて美しく、仏壇への祈りだけではなく現代の癒しにもなる。

・線香
線香を焚くと、香と煙がたちのぼる。その香りはご先祖さまや仏さまの食事(香食・こうじき) であるという考え方がある。できれば美味しいものを食べていただきたい。八女は面積の約6割が森林が占め、杉の一大産地である。その杉の葉を粉にして線香の原料とした線香が八女にある。その天然の杉の香りは、アロマとしても楽しめ、立ちのぼる煙のゆらぎを眺める癒しにもなる。もちろん、香食としても喜んでもらえるだろう。

仏壇の産地でもある八女。住まいも家族もコンパクトになった現代のものづくり。

八女では仏壇も江戸時代からつくられている。九州における仏壇作りの源流とされ、木材から仏壇の形にする木地職人、漆の蒔絵を施す蒔絵職人、金具を加工し彫刻する彫刻職人などなど、約80の工程を経て八女福島仏壇はつくられる。大型の仏壇が主流だったが、住まいも家族もコンパクトになった現代の暮らしの変化に合わせた小さめの仏壇もつくられ、その横に飾る盆提灯もそれに合うサイズへ、と現代のものづくりを行っている。

家族の形が多様化し、習慣が変わっていくなかで必要とされるものは変わっていく。仏壇やお盆など日本の文化を支えてきた道具たち、そしてそれをつくってきた職人たち、その技術。つくるものは変わっても、これまで継承してきた技術は次の世代につなげていきたい。八女の産地では、そんな想いで新しいものづくりへの挑戦が続いている。


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