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触れられなくとも《短文》

鬱が明けた。

すべてを愛おしく思い始めたときが
終わりの合図だ。

絶海の孤島を彷徨っていた気分だ。

その反動から繋がりを求めているのだろう。

関わってきた人たち
皆んなのことを案じ始める。

最近はどうしているかな。
元気にやっているかな。
何か、辛いことに遭っていないかな。

どれだけ想おうと、
直に触れることなどはできないのに。

それでもいいのかもしれないな。

独りではないと思えていれば。

また深く沈んだとき
次はもう上がってこれないのではと
そんな不安を抱えながらうずくまっている。

その時はまた手を伸ばすから。

触れられなくても。

"そこにいる"という事実が
私をまた強く浮かび上がらせる。

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