休職日記 #22 白い街
昨日の雨空とはうって変わって晴れ渡った空、日差しはもはや春の物というよりは夏のそれだ。昨日は、家から一歩も出なかったので、運動がてら今日は少しだけだが近所を出歩く。
強い日差しによって照らされた街は、なんだか白く感じる。白い世界、ビルとビルの谷間、確かにそこに立っているはずの自分が、現実の世界にいるのか、幻の中にいるのか、よく分からない気持ちになる。不思議な感覚だ。
休職も間もなく2か月経とうとしている。仕事はないし、他に何かをしなければならないわけではない(心身を健康にするってことはしなきゃいけないんだが)時間がいつの間にかこんなに続いている。
学生時代だって、夏休みや春休みなど、そういう時間はあるにはあったが、バイトやらサークルやらで忙しかった自分にとって、ここまで何もしなくてよいここまで長い時間は結果的に人生で初めてのことだ。考えてみれば、今のありよう自体が、なんだか夢幻のような気もする。
少し喫茶店に入って休み、必要な物だけ買って帰宅した。暑さのせいか、2日ぶりの外歩きのせいか、少し疲れたので横になった。風が部屋に入ってくるので心地よい。気が付いたらウトウトしていた。そういえば、昨晩もその前も寝たのか寝ていないのか分からないような睡眠だった。そのせいもあったのだろう。月曜日の午後4時にこれである。やっぱり、なんだか今を生きているような気がしなくなる。
のどが渇いたので、家の前の自販機で冷たい缶コーヒーを買う。それを片手に今、この文章を打っている。今日のこの変な感覚を書くことは、世のほとんどの人にとって何の意味もないことだ。でも、私にとっては、言語化を通して、彼岸に行ってしまいそうな心を現実世界にとどめるためにも必要な作業なんだと思う。ようやく、気の輪郭がしっかりとしてきた・・・ような気がする。
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