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休職日記 #32 80日間の過ごし方①

間もなく復職ということに相成った。適応障害が発症したあの日から休職の最終日までをカウントしてみたら、ちょうど80日間だった。

この80日間、noteを書くことで思考を整理し、復職のためのリハビリにも多少はなったかと思う。そういう意味でもnoteには世話になったのだが、それ以上にありがたかったのは、同じように休職を経験された方や休職中の方が書かれたnoteを読むことで「自分だけじゃないんだ」「こういう過ごし方をしてもいいんだ」という考えになれたことだったと思う。

休職日記という名前のnoteを終わりにする前に、自分のnoteも他に苦しんでいる方の少しの慰め・参考にでもなれば良いかなと思い、休職中の過ごし方を改めて振り返っておこうと思う。

休職初期(~2週間)

徹底的に休んだ2週間

今年3月上旬、いつものように仕事をしようとした私は、まったく頭が動かなくなり、頭や胸の痛みが出て、息を切らしながら、ついには泣いていた。以前から通院していたクリニックの主治医から「適応障害」との診断を受け、正式に休職が始まったのは、この数日後のことであった。

休職直後は、過ごし方云々以前に何もできなかった。
朝、目が覚める。ただ、起き上がりたくはないし、食欲もない。トイレには行きたかったので、それだけ済ますと、再び布団にくるまる。いつもなら仕事が始まる時間も起き上がらない。職場の上司や先輩、同僚が必死に働いているであろう時間も、ただただ天井を眺めるだけ。気づけば日も傾き始め、夜になると処方された薬だけ飲んで、眠りにつく。これを何日間かは繰り返していた。

布団の中で考えそうになるのは、ほったらかしにしてしまった仕事のことばかりだ。特に私の場合、仕事から年度末は最も忙しい時期であり、しょせん2年目の自分とはいえ戦線離脱は迷惑をかけることは間違いなかった。また、初めて自分がメインで取ってきた仕事がいよいよ始まるというタイミングでもあった。なぜ、よりにもよってこのタイミングなのかと思わない日はなかった。ただ、主治医からも会社からも「仕事のことは考えるな」「PCを開くな」と言われていたので、できるだけ考えないようには努めた。

意識を他に向けようと思い、テレビを付けてみたが、時節柄ウクライナ情勢のことばかりで「これでは別のベクトルで滅入ってしまいそうだ」となり、早々にテレビは見ないようにした。ネガティブな情報をこれ以上入れたくなかった。

この時期は本当に、本能の赴くままに、寝たければ寝ている、少し起きたくなれば起きる、少し食欲がわいたら、少し食べるという感じで過ごした、というよりそう過ごすほかなかったのだ。ただ、振り返ってみれば、それで良かったのだと思う。

この時期にしなければならないことは、徹底的に休む、つまりエネルギーを回復させることだ。人間の場合、最大のエネルギー補給は睡眠や食事であり、仕事のことを考えたり、変に気張って生活を律しようとするとエネルギー消費が大きく、エネルギーはたまらない。最低限、朝は起きる、夜は寝る、何か栄養は取って、薬は飲むという緩いルールだけは守っていれば御の字だと思う。
私の場合、こういう日々をしばらく続けていたら、調子の波はあるものの、トレンドとしては上向いていった。

”無理に”休もうとするのは悪手

ただ、無理に休もうと思って行動するのは避けた方が良いと思う。

例えば、休職初期の比較的調子のいい日に「リフレッシュのために出かけてみよう」と思い、電車で1~2時間の場所まで出かけてみたことがある。元来、旅行やでかけることは好きだったので、いいリフレッシュになるかなと思ったが、結果的には大失敗だった。最初は、わりと楽しんでいたものの、徐々にとてつもない疲労感に襲われるようになり、しまいには当初の予定を切り上げて帰宅する始末だった。
また、以前からあった人と会う予定も、その時は久しぶりに旧交を温められて楽しかったのだが、帰宅する段になって、この時もひどい疲労感に襲われ、くたくたになった。
どちらの場合も、翌日・翌々日は寝たきりに逆戻りした。

結局、注意すべきは「一般的に『休む』とされていることでもエネルギーを消費する」ということだ。そして、休職初期のエネルギーがそこまで潤沢にあるわけではない時期に、この手のエネルギー消費の大きい休息をすると、再度ガス欠を引き起こしてしまうのだ。
ちょっと調子がいいと、いろいろしてみたくなるのが人情であるし、もともとアクティブな趣味を持っていたりすると「早く回復させるためにも今は好きなことをしよう」とか「せっかくの機会だし」とか思う気持ちもわかる。ただ、この時期にその手の無理をすると「今まで好きだったことが楽しめない」などと変に落ち込んでしまうこともある(実際、私はそう受け止めてしまった)。ただ、落ち込む必要など全くなく、単に「今はその時じゃない」というだけの話だ。

自分にとってポジティブな感情を生み出す行動でも、エネルギー消費があまりに大きいものは、いったん我慢しておくか、軽くやるにとどめておくのがいいのだと思う。繰り返しになるが、この時期はネガティブなことはもちろんポジティブなことでも無理をしない、本能の赴くままに行動するのが大原則だ。(②へつづく)

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